フランチャイズは本当に儲かるのでしょうか?おそらく、多くの人が稼ぎやすい加盟先を探していることでしょう。
しかし、フランチャイズにはさまざまな業種があり、一概に利益を語ることはできません。業種によっては、利益率が高い一方でマーケティングが難しい場合もありますし、逆に利益率が低くシビアなビジネスモデルも存在します。
ここでは、フランチャイズの基本的な仕組みから、業種別の利益率まで詳しく解説していきます。
目次
フランチャイズの仕組みとは?
フランチャイズは、加盟オーナーがブランド名(看板)や商品・サービス、ノウハウなどを使用する権利を得る仕組みであり、その対価として本部に毎月ロイヤリティを支払います。
このため、無名の状態でゼロから事業を立ち上げるよりも、集客がしやすく、成功しやすいというメリットがあります。
しかし、店舗運営に必要な経費に加えて、毎月のロイヤリティの支払いが必要になるため、オーナーの手元に残る金額が想定よりも少なくなることがあります。
これは、ロイヤリティが高いフランチャイズに加盟した場合、特に顕著です。そのため、加盟先を選ぶ際には、ロイヤリティの金額やその他の経費も考慮することが重要になるでしょう。
売上のうちオーナーに入るのはどれくらい?
フランチャイズオーナーは、店舗の売上すべてを手元に残せるわけではなく、ロイヤリティや店舗運営にかかる月々の固定費や変動費も負担しなければなりません。ここでは、フランチャイズオーナーの収入がどの程度なのかや、ロイヤリティに関する注意点について解説します。
フランチャイズオーナーの収入
フランチャイズオーナーの収入は、以下のようにおよその計算ができます。
オーナーの手元に残る金額=店舗の売上-(本部へのロイヤリティ+固定費・変動費)
たとえば買取店の場合、利益率は約20%とされています。
本部へのロイヤリティをはじめ、商品や店舗にかかる保険料、店舗・設備のメンテナンス代、修繕積立費などが該当する固定費・変動費を合わせると、売上高の約80%が経費として差し引かれます。
そのため、売上が1,000万円の場合、実際にオーナーが得られる利益は200万円程度になります。このように、収入をしっかりと把握するためには、さまざまな経費を考慮する必要があります。
ロイヤリティによってオーナーの収入が変わる
ロイヤリティはフランチャイズオーナーの収入に大きく影響を与える重要な経費です。
ロイヤリティの設定方法には、フランチャイズによって「売上の〇%」や「毎月〇万円」と定めるケースがあります。この割合や金額によって、オーナーの利益に大きな影響を及ぼすことがあります。
もしもロイヤリティが高額であれば、月々の負担が増加し、結果的にオーナーの手元に残る収入は減少するでしょう。
そのため、フランチャイズ契約を検討する際には、ロイヤリティの具体的な条件をしっかりと確認し、経済的な負担を理解することが重要です。収入を最大化するためには、ロイヤリティが収益に与える影響を考慮する必要があります。
業種別の利益率
フランチャイズは加盟先の業種によって利益率が大きく異なります。
ロイヤリティが高く、売上に対して利益が残りにくい業種もあれば、利益が残りやすい業種も存在します。ここでは、フランチャイズに多い業種を6つ取り上げ、それぞれのオーナーの平均年収と利益率について詳しく解説します。
コンビニ
コンビニフランチャイズオーナーの年収は、一般的に約700万円といわれています。
まず、コンビニの仕入れ原価は売上の約70%に上ります。たとえば、売上が2,000万円の場合、売上総利益は売上から原価を差し引いた金額であるため、約600万円になります。
この金額に対し、コンビニのロイヤリティは30%から70%と非常に高く、売上総利益によって異なります。仮にロイヤリティが50%に設定されている場合、残る利益は約300万円です。
また、テナント、廃棄処分、スタッフ雇用などの経費も加味すると、最終的にオーナーの手元に残る利益はさらに減少します。このように、コンビニ経営は多額の売上があっても、利益率が低いため、年収700万円を目指すには相当な売上が必要になります。
買取業
買取フランチャイズオーナーの平均年収は、700万円から1,000万円程度といわれています。小売業の中でも比較的稼ぎやすく、高い年収が期待できるビジネスの1つとして人気があります。
買取店では、仕入れ原価が売上高の約50%から60%になることが一般的です。そのため、残りの約40%が粗利(売上総利益)となりますが、多くの場合、粗利の半分は経費によって差し引かれます。
これにより、最終的な利益は売上高の20%程度になることが多いため、年収700万円を目指すには、約3,500万円の売上が必要です。
この収支構造からもわかるように、買取ビジネスでは仕入れが最も重要な業務となります。いかに仕入れに資金を割きつつ、その他の経費を抑えるかが、成功への鍵となります。
下記の記事では、買取フランチャイズオーナーの1日や年収について詳しく解説しています。
塾
学習塾のフランチャイズオーナーの平均年収は約500万円とされていますが、実際には生徒数によって大きく変動します。たとえば、100人規模の生徒を集めることができれば、年収2,000万円に到達することも可能です。
「個太郎塾」を例に見てみると、売上が1,200万円の場合、約17%が本部へのロイヤリティ、約60%が運営にかかる支出であり、利益率は25%から50%まで幅があります。生徒数や提供するプランに応じて、利益率に幅があることが特徴です。
学習塾経営では、特に人件費、ロイヤリティ、テナント費用が大きな負担となります。これらのコストを抑えながら、生徒数を増やして収益を向上させるかがポイントとなります。
リペア
リペア業界の平均年収は約500万円から1,000万円とされ、車や住宅、家電などの修理・補修サービスは安定した需要のある業種です。
特にリペア業の利益率は90%を超え、他の業種と比較しても非常に高い収益性があります。
これは、個人でも始めやすく、仕入れがほとんど不要であることが主な理由です。また、フランチャイズ本部へのロイヤリティも数万円程度と少額であるため、売上の多くが利益として残ります。
しかし、修理業は専門技術が必要で、技術習得に時間や努力を要します。さらに、営業活動に苦戦する加盟者も少なくないため、収益率の高さだけでなく、技術面や営業面も十分に考慮する必要があります。
ハウスクリーニング
ハウスクリーニングのフランチャイズオーナーの平均年収は約500万円といわれていますが、そのなかには800万円から1,000万円の高収入を実現している加盟者もいます。
利益率は加盟するフランチャイズによって異なりますが、一般的には約70%ほどです。
今回は「COVERALL」を例に見ていきましょう。ロイヤリティは約17%、経費が約7%であることが多いため、月の売上が60万円の場合、オーナーの月収は約45万円になります。
このように、ハウスクリーニングは店舗を借りる必要がなく、個人でも経営を始められるため、コストを抑えつつ高い利益を目指すことができるのです。
カフェ・レストラン
カフェ・レストランのフランチャイズオーナーの年収は約500万円から1,000万円といわれています。
飲食店フランチャイズの一般的な利益目標は10%から15%ですが、実際の利益率は約8%と低めの値になっています。ただし、デリバリー専門店や移動販売の場合は、利益率が35%にまで上ることもあります。
店舗型の場合、立地が重要となり、好立地に店舗を構えるためのテナント費用が利益を圧迫する要因となります。そのため、飲食業界に初めて参入する場合は、いきなり店舗を持つのではなく、移動販売から始めてみるのも1つの選択肢かもしれません。
儲かるフランチャイズビジネスの見極め方
儲かるフランチャイズビジネスを見極める際には、次の3つのポイントを意識することが重要です。
・フランチャイズ本部に問題はないか
・ロイヤリティはどのくらいか
・市場の競合性や差別化はどうか
ここでは、これら3つのポイントについて詳しく解説します。
フランチャイズ本部に問題はないか
フランチャイズへの加盟を検討する際には、事前にフランチャイズ本部に問題がないかを徹底的に調査することが重要です。判断材料として、次のポイントを確認することをおすすめします。
・日本フランチャイズチェーン協会に加盟しているか(経済産業省が認可)
・研修制度や業務マニュアルといったサポート体制がしっかり整っているか
一見魅力的に思えるフランチャイズでも、実際に加盟してみるとサポートが十分でなかったり、予想以上に経費がかかったりする場合があります。そのため、インターネットでのリサーチに加え、次のような調査も欠かせません。
・本部から資料を取り寄せて詳細を確認する
・説明会に参加し、疑問点を直接質問する
・実際のフランチャイズオーナーから実体験を聞く
このように十分な調査を行うことで、後のトラブルを回避し、安心してフランチャイズに加盟できる環境を整えることができます。
ロイヤリティはどのくらいか
ロイヤリティは、フランチャイズ本部から提供されるサポートへの対価であり、その費用がサービス内容に見合っているかを慎重に判断することが重要になります。ロイヤリティの計算方法には、主に以下の3つの方式があります。
・売上歩合方式:売上に応じてロイヤリティを算出する方式
・粗利分配方式:粗利に応じてロイヤリティを算出する方式
・定額方式:売上にかかわらず、一定の金額を毎月支払う方式
ロイヤリティの金額や割合は、業種やフランチャイズ本部によって異なります。そのため、事前にどの程度の金額を支払うことになるかを試算し、支払う費用と提供されるメリットが釣り合っているかを確認しましょう。
しかし、必ずしもロイヤリティが低ければ良いというわけではありません。
低すぎる場合は提供されるサポートが不十分な可能性があります。一方で、ロイヤリティが高くても充実したサポートが提供されるのであれば、金額に見合った価値があると考えることもできます。
このように、ロイヤリティの金額とサポート体制のバランスが取れているかが、フランチャイズ加盟を判断する際の重要なポイントになります。
市場の競合性や差別化はどうか
フランチャイズを選ぶ際には、各チェーンの市場や差別化要素をしっかりと調査することが重要です。選定の際には、次のポイントを参考に見極めることができます。
① ターゲット層
どの層を主要な顧客として設定するかを検討しましょう。子ども向けの商品や高齢者向けのサービスなど、ターゲット層によってビジネスの戦略が異なります。
② 商品・サービスの価格帯
提供される商品やサービスの価格設定が、その市場のニーズに合っているかも重要です。また、競合他社と比較して価格競争力があるかも見極めましょう。
③ 口コミ・評価
顧客の満足度やフランチャイズ本部への評判を確認しましょう。これらの評価が高ければ、安心して経営に取り組むことができます。
④ 店舗展開地域
どの地域に集中して店舗展開しているかを確認し、自分の地域で成功する可能性があるかを見極めます。
これらの要素を分析した上で、顧客のニーズに合わせたサービスを提供し、競合他社との差別化をはかることが成功の鍵となります。また、リピート率を向上させるためにも、顧客にとっての価値を意識した戦略が必要です。
業種の検討が大事
今回は、フランチャイズオーナーの収入構造について説明しました。
フランチャイズで成功するためには、業種選びが非常に重要です。ロイヤリティが高く、利益を出しにくい業種もあれば、ロイヤリティが低くても、初心者の参入が難しい業種もあります。
このように、ロイヤリティの利率に目を向けることは重要ですが、全体的なビジネスの収益性や自分に合った業種を見極め、戦略的に経営を続けていくことが成功の鍵となります。
今回の記事を加盟先選びの参考にしてみてください。
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