フランチャイズに加盟すると、多くの場合、ロイヤリティの支払いが発生します。しかし、このロイヤリティとは具体的にどのようなシステムなのでしょうか?今回は、ロイヤリティの仕組みや種類、相場、そして加盟前に知っておくべきポイントについて詳しく解説します。
目次
フランチャイズ(FC)のロイヤリティとは?
ロイヤリティとは、フランチャイズ本部(FC本店)から商標・ブランド、ノウハウ、サポートなどの提供を受ける代わりに、加盟オーナーが本部に毎月支払う料金のことです。
知名度の高いブランドを活用することで、加盟直後から集客がしやすくなり、早期に経営を軌道に乗せやすくなります。また、長年蓄積された本部のノウハウを活用することで、効率的な経営が行えますので、成功の可能性が高まります。
開業後のサポートや研修がロイヤリティに含まれるケースもありますが、別途料金が発生する場合もあるため、契約内容をしっかりと確認することが重要です。
フランチャイズのロイヤリティを支払うのはなぜ?
ロイヤリティ(royalty)とは商標やロゴの使用、経営ノウハウの指導や教育を受ける対価として支払うものを指します。ロイヤリティは、契約時に支払う加盟金とは異なり、開業後に定期的に支払う報酬です。
ここでは、なぜロイヤリティの支払いが必要なのかについて、3つの理由を解説します。
1.商標権の使用
フランチャイズ契約では、商標、ロゴ、チェーン名を使用する権利が与えられます。消費者は、これらを見ただけで店舗のサービス内容を把握しやすく、新規開店でも一定の信用を得ることができます。ブランドの知名度を活かせる点が、フランチャイズの強みです。
2.経営ノウハウの提供
未経験者でもフランチャイズオーナーとして成功できるのは、本部が長年蓄積してきた経営ノウハウを活用できるからです。このノウハウに従って運営することで、サービスやブランドイメージの統一を図ることができ、消費者に安心感と信頼感を与えます。
3.継続的な指導とサポート
開業後も、本部からの定期的な指導や教育、援助を受けることができます。
これは、フランチャイズの大きな利点であり、安定した経営や売上アップを目指すうえで重要です。万が一問題が発生した際も、本部に相談できるため、フランチャイズ経営を長期的に安定させるためのサポートとなります。
フランチャイズのロイヤリティの種類について
フランチャイズにおけるロイヤリティの種類は以下の3つが挙げられます。
・定額方式
・売上歩合方式
・利益分配方式(粗利分配方式)
ここでは、これら3つの計算方法や特徴についてご紹介します。
1.定額方式
定額方式とは、毎月支払うロイヤリティの金額が固定になっている形式です。
たとえば、ロイヤリティが10万円に設定されている場合、売上が100万円でも1,000万円でも、支払う金額は変わらず10万円です。
この方式のメリットは、ロイヤリティが一定のため、売上が伸びるほど利益を拡大させやすいことです。
しかし、売上が伸び悩む時期でも固定額の支払いが必要になる点はデメリットです。そのため、ビジネスが軌道に乗っていない場合は、支払いが経営の負担になる可能性があります。
2.売上歩合方式
売上歩合方式とは、毎月の売上に応じて決められた割合のロイヤリティを本部に支払う形式です。
これは、多くのフランチャイズで採用されている一般的な方式になります。
たとえば、ロイヤリティが売上の10%と設定されている場合、売上が100万円なら10万円、売上が1,000万円なら100万円と、支払う額は売上に応じて変動します。
この方式のメリットは、売上が低いときにはロイヤリティの負担も軽くなる点です。
しかし、売上が増えるにつれて支払う金額も大きくなるため、パーセンテージが高い場合、売上を伸ばしても手元に残る利益が増えにくいというデメリットもあります。
3.利益分配方式(粗利分配方式)
利益分配方式とは、毎月の粗利益(売上-原価)に基づき、決められた割合の金額を本部に支払う方式です。また、多くのコンビニエンスストアではこの方法が採用されています。
たとえば、ロイヤリティが粗利の10%に設定されている場合、売上が100万円で原価が30万円なら、粗利は70万円となり、その10%にあたる7万円を本部に支払います。
同様に、売上が1,000万円で原価が300万円の場合は、粗利700万円の10%である70万円を支払うことになります。
この方式では、粗利を基に支払いが計算されるため、売上のみに基づく売上歩合方式よりも、支払うロイヤリティの金額が少なくなることが多いです。
ただし、パーセンテージが高い場合は他の方式よりも高くなることがあります。
フランチャイズのロイヤリティの相場はいくら?
フランチャイズのロイヤリティは、方式の種類や業界によって異なります。ここでは、ロイヤリティの主な方式ごとの相場と、業種別の相場をご紹介します。
《種類別》ロイヤリティの相場
以下では、方式別のロイヤリティの相場と具体例を紹介します。
ロイヤリティは方式によって異なるため、各方式の一般的な割合と、売上100万円・原価30万円の場合に支払うロイヤリティの金額を見ていきます。
・定額方式の相場:10万円以下(例:10万円)
・売上歩合方式の相場:売上の10%以下(例:10万円)
・利益分配方式の相場:粗利の30~70%(例:21万~49万円)
上記の例からもわかるように、利益分配方式は粗利に基づいて計算されるため、パーセンテージが高い場合は、他の方式に比べてロイヤリティが高額になることがあります。そのため、ロイヤリティの計算方法だけでなく、適用される割合にも注意することが重要です。
《業種別》ロイヤリティの相場
各業界のロイヤリティの相場は以下の通りです。
ロイヤリティは業界によって方式や割合が異なるため、ここでは粗利または売上が100万円の場合に支払うロイヤリティ金額も併せて紹介します。
・コンビニエンスストア:粗利の30~70%(30万~70万円)
・飲食店:売上の3~10%(3万~10万円)
・学習塾:売上の10~30%(10万~30万円)
・買取専門店:売上の5~10%(5万~10万円)
・コインランドリー:売上の5~10%(5万~10万円)
上記は一例です。フランチャイズのロイヤリティは、業種はもちろんのこと、本部によっても大きな幅があるため、加盟前にしっかりと確認することが大切です。
フランチャイズを契約する際の注意点
フランチャイズ契約で最も注意すべきポイントはロイヤリティです。ここでは、フランチャイズ加盟前に押さえておくべきロイヤリティに関する3つの重要なポイントを紹介します。
1.ロイヤリティとノウハウのバランス
加盟を検討する本部が社会的信用やブランド力を持ち、優れたサービス開発力や最先端のシステムを導入しているかどうかを確認しましょう。
業績を伸ばしている本部は、ノウハウの提供が充実しており、ロイヤリティに見合ったサポートを受けられます。契約前に本部へサポート内容を確認し、双方にとってWIN-WINの関係を築けるかが重要です。
2.ロイヤリティの相場は適正か?
ロイヤリティが業界の相場と比べて大きく外れていないかを確認しましょう。特に、開業資金が不足して融資を受けている場合、高額なロイヤリティは大きな負担になります。
しかし、ロイヤリティが高くても、知名度の高いフランチャイズならその分集客力があり、加盟店にとってメリットが大きくなる場合もあります。
3.ロイヤリティが安すぎる場合の注意点
ロイヤリティの金額が極端に低い場合は注意が必要です。
加盟店を増やすため意図的に低く設定されていることがあります。また、ロイヤリティが安くても、本部からの仕入れ価格が高いなどの隠れたコストが存在する場合もあるので、事前にしっかりと確認することが大切です。
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まとめ
フランチャイズに加盟する際に、ロイヤリティの種類と割合を把握しておくことは重要です。
この記事で紹介した「定額方式」「売上歩合方式」「利益分配方式」には、それぞれメリットとデメリットがありますが、ロイヤリティの割合が高いほど支払う金額も大きくなります。
ただし、ロイヤリティが高いからといって必ずしも悪いわけではありません。充実したサポートやサービスが提供されるのであれば、加盟する価値は十分にあります。
そのため、フランチャイズ加盟を検討する際は、ロイヤリティだけでなく、提供されるサービスや契約内容についてもしっかりと確認しましょう。