モノを大切にする暮らしが再評価され、古くなったものを捨てずに売ろうと考える人が増えています。この流れの中で注目されているのが買取ビジネスです。
買取ビジネスを始める際には、市場がどのような状況にあるか、理解する必要があります。この記事では、個人で始める方法とフランチャイズで始める方法について、特徴やメリット、デメリットを紹介します。
目次
買取ビジネス市場の可能性とは?
スマホやタブレットの普及で誰もが簡単にインターネットにアクセスできるようになり、アプリやオークションシステムを利用して個人単位でモノの売買をすることが一般的になってきました。
「中古品を買う」という行為に抵抗を持つ人が少なくなり、自分の欲しいものが見つかるのであれば、新品、中古品を問わないという人が増えています。
また、SDGsをはじめとした環境保護意識の高まりも、多くの人がリユースに社会的意義を感じるきっかけとなっています。何より節約にもなるため、不要品の処分方法として「売る」という選択肢が選ばれるようになってきました。
リサイクル通信「中古市場データブック2022」によると、2021年における国内の消費財における販売額を示したリユース市場規模は2兆7000億円で、2025年には3兆5000億円に達すると見込まれています。
この数字には、法人間の売買や輸出に関する値、自動車や住宅などは含まれていません。内訳をみると、ブランド品、衣料・服飾、バイク・原付、家具・家電、ゲーム・メディアと多岐に渡る品目が売買されていることが分かります。
また、一般消費者の最終需要ベースの自動車、バイク・原付を含むリユース市場は約3兆1000億円で(2022年、環境省)、医療機器市場の約4兆円(2020年、厚生労働省)や、ホテル・旅館業のコロナ禍前2019年の3兆210億円(2021年、帝国データバンク)に匹敵する大きさです。
この数値は消費者の購入量から推計した値で、事業者が購入するものや、海外でのリユースは含まれていません。こうしたデータからも、リユース市場は今後ますます発展していくと考えられます。
買取ビジネスには、将来性を評価したさまざまな業者が参入しており、良い品を手に入れるための買取価格競争が激しくなっています。
下記記事ではコロナ禍においての買取ビジネス市場の成長について詳しく解説しています。
買取ビジネスに必要な能力
買取ビジネスで成功するためには、品物の価値を正確に見極め、適正な価格で取引するための目利き力が最も重要です。そのうえで、真摯で誠実な対応が必要となります。
買取の口コミを検索すると「思っていたより安い値段を提示された」「安く買いたたかれた気がする」といったマイナス評価を目にすることがあります。
多くのモノは年々価値が下がり、購入した時は高価であっても、同じ値段で買い取れることはほとんどありません。一部のブランド品などを除き、値段が下がるケースは一般的だといえるでしょう。
しかし、思っていたより安い価格提示だったとしても、モノに対する利用者の思い入れを十分にくみ取って対応すれば、納得して売却してもらえるのではないでしょうか。
商談が成立しなかったとしても、マイナスの評価はつけられなかったかもしれません。買取ビジネスは、所有者から思い入れのある品物を買い取り、欲しいと感じる利用者に売却する、接客能力が問われる職業です。
コミュニケーション力の良し悪しが「また買取をお願いしよう」「このお店を利用して買い物をしよう」という評価に影響することを覚えておきましょう。
買取ビジネスに必要なもの
買取ビジネスで起業するために必須なのが、「開業資金」と「古物商許可証」です。
買取ビジネスは、商品を買い取るところからスタートするため、商品を売って利益を得るまで、収支的にはマイナスの状況が続きます。そのため、まず商品を買い取って商品を揃えるためのまとまった資金を用意しなければなりません。
買い取った商品を保管したり、販売したりするための店舗や倉庫の契約料、賃料、光熱費も必要です。ホームページを開設するための費用や、スタッフを雇う人件費、広告費も考慮しておきましょう。出張買取をするなら軽トラックが必要になるかもしれません。
「古物商許可証」は、一度でも取引をされたことのある品物を取引する際に必要なものです。もし、この許可証をとらずに買取ビジネスを起業し、取引を行えば罰せられます。
古物商許可証は管轄の警察署に届け出ることで取得できるので、開業前に必ず手続きを済ませておきましょう。申請には、住民票などさまざまな書類が必要です。
インターネットで古物取引を行う場合は、ホームページに関する書類も必要になるため、あらかじめ、どのような業態で開業するか、そのために必要な書類は何かを、警察署の古物商担当係に問い合わせておくとよいでしょう。
ちなみに、申請が受理されて許可がおりるまで2カ月程度かかります。
個人型とフランチャイズ型のメリット・デメリット
買取ビジネスで起業する方法として、個人で経営する方法と、フランチャイズに加盟する方法があります。
個人型のメリット・デメリット
個人型の買取ビジネスとは、独立した個人がすべての裁量権を持って主体的に経営する方法です。自分の裁量で仕入れから店舗運営までをすべて行えるため、取扱品目や店舗デザインに個人のカラーを出しやすいメリットがあります。
ロイヤリティを支払う必要がないため、利益をそのまま確保することも可能です。一方で、仕入れ先や販路開拓を一から行わなければならず、未経験の分野から転職、起業するには大きなリスクが伴います。
仕入れの際の目利きを誤れば、大きな損失を出す可能性も否めません。買い取った商品を売りさばけずに在庫を抱えてしまうなど、専門的なノウハウがない状態で始めて、資金繰りに失敗するケースも多いです。
フランチャイズ型のメリット・デメリット
フランチャイズ型で起業することのメリットは、加盟元で行われる研修を受け、買取ビジネスに必要なノウハウを入手できることです。
学びながら経営を行うことができるため、脱サラして未経験分野から転職する、といったケースでもリスクを抑えることができます。開業と同じタイミングで加盟元の知名度を利用して集客できるのもポイントです。
また、仕入れ先や販路も斡旋してもらえます。デメリットはロイヤリティや加盟金がかかることです。また、契約通りの経営をしなければならないため、店舗デザインなどに自由が少ないほか、定められた契約期間内は解約することができません。
フランチャイズ本部の選び方
フランチャイズ本部を選ぶときには、さまざまな視点からチェックを行う必要があります。多くの人にとって、まず気になるのが加盟金やロイヤリティの金額でしょう。
しかし、これらの金額を優先順位の上位にして判断することは得策ではありません。加盟金やロイヤリティの金額に対して、どれだけの見返りがあるのかを把握し、コスパを重視して選ぶことが大切です。
そのために、相談会や店舗見学会に参加して積極的に質問しましょう。研修の頻度や内容、開業前、開業後のサポート体制の充実度合いをチェックして、安定した経営ができるかどうかを冷静に判断する必要があります。
また、買い取った品物を売りさばく販路についても確認しておきましょう。在庫を抱えることは大きなリスクにつながるからです。フランチャイズに加盟すると契約内容を遵守しなければなりません。
経営方針が同じかどうかなど、経営の基本となる部分は必ず数社を比較して検討しましょう。
初心者にはフランチャイズがおすすめ!
フランチャイズと個人型での買取ビジネスの違いについて、理解できましたか?
フランチャイズに加盟すると、ノウハウ不足からくる経営リスクを抑え、経営を安定させることができます。
特に、買取ビジネス業界での十分な経験がない場合は、フランチャイズに加盟してサポートを受けながら始めるのがおすすめです。将来性のある買取ビジネス業界で、起業してみませんか。
買取専門店をフランチャイズで開業することを検討しているなら、大吉を選んではいかがでしょうか。