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世界の伝統工芸品

世界の伝統工芸品

伝統工芸品は古くから受け継がれてきた技法で、1つ1つ手作業で作られた工芸品の総称です。現在日本にある伝統工芸品は1,192品目と言われており、織物や陶磁器、漆器、木工品、和紙、文具、人形、センス、提灯、和楽器などさまざまあります。都道府県別で見ると、京都府が最も伝統工芸品の数が多く、次に栃木県、福島県、島根県、茨城県、滋賀県などと続いています。
また、伝統工芸産業を行っている企業は現在約25,000社で市場規模は約8,000億円となっています。経済産業大臣から、2021年1月時点で236品目もの工芸品が伝統的工芸品と指定されています。伝統工芸品は、大きく15業種に分かれ、「織物」「染色品」「その他繊維製品」「陶磁器」「漆器」「木工品・竹工品」「金工品」「仏壇・仏具」「和紙」「文具」「石工品」「貴石細工」「人形・こけし」「その他の工芸品」「工芸材料・工芸用具」などがあります。
ただし、これは産地から申請されないと審査対象にはならないため、指定要件を満たしていても指定されていない工芸品も多いです。そのため、指定の有無で工芸品の価値が決められるわけではありません。市場には色々と商品が出回っています。品質を認定するような印で「伝統工芸品」であることを確認できます。必ず表示しなさいというものですが、多くは証紙が貼られています。伝統工芸品には、伝産法により商品に『伝統的工芸品として指定されているものであること』を表示することができるようになっています。
また、その証紙は認定を受けた特定製造組合等のみが実施できるようになっていますので、もし購入するにあたって伝統工芸品であるか確かめるときは、その特定製造組合であるかも確認いただくと確実です。
この「伝統工芸品」に登録されていなくても、地域で盛り上げている伝統的な工芸品や民芸品など地域から生まれたいいものはたくさんあります。本物、偽物というよりも、その商品を見た際の感性に響いた点や、日常生活にどう使え自身にどんな影響をあたえるか、その商品がどのようにできてきたかというストーリーを楽しむような見方で触れてみてはいかがでしょうか。

日本の伝統工芸品「南部鉄器」

南部鉄器は、岩手県盛岡市周辺で作られている金工品です。江戸時代中期に誕生した伝統工芸品で、南部藩で作られていたことから「南部鉄器」という名前が付けられました。現在の南部鉄器には、伊達藩領の旧水沢市(現在の奥州市)で作られていた鋳物も含まれています。南部鉄器の特徴は、さびにくく長持ちすることや熱が均一に伝わること、保温性に優れていることなどです。鉄器ならではの重量と安定感、ざらりとした独特の風合いも相まって、素朴ながらの美しさも魅力となっています。

南部鉄器の代表ともいえる鉄瓶には、職人によって様々な紋様が施されています。表面がポコポコしたデザインのアラレ紋様は、鉄瓶の表面積を増やす目的で南部鉄器に用いられています。なお、南部鉄器の製品は鉄瓶だけではなく、鍋や風鈴、アクセサリーなども作られています。

伝統工芸品には必ず歴史がある

南部鉄器は、17世紀中ごろに岩手県南部藩が茶の湯釜を作らせたことが起源です。盛岡は古くから鉄資源が潤沢で鋳物産業に適している地域で、南部藩は鋳物師を招いて鋳物生産を奨励していました。その一方で茶道を推奨していた藩主が、1659年(万治2年)に京都から釜師の初代小泉仁左衛門を呼び寄せて、城下町で湯釜を作らせるようになりました。当時の南部藩が用いるすべての茶の湯釜を作らせ、献上品としての歴史を重ねます。3代目仁左衛門の頃には茶の湯釜を一回り小さくした「南部鉄瓶」が開発され、湯沸かしの道具として広く親しまれるようになりました。

1908年(明治41年)には東北地方を訪れた大正天皇のもとで8代目仁左衛門が南部鉄器を作り、その様子が全国の新聞を通して知らされた出来事がきっかけで知名度を上げています。現在では岩手県の盛岡地区と水沢地区で作られている品が南部鉄器と呼ばれています。

日本の歴史と工芸品

日本の法律でも伝統工芸品として認められていますが、現代日本に生きる人々にとってこのような歴史と伝統を有している工芸品に触れる機会はなかなかありません。例えばお茶わんや筆など毎日使用するものも数多くあるので、気軽に生活の中に伝統工芸品を取り入れることが可能です。こういった生活の中に取り込められる伝統工芸品は、世界でも高い評価を得ています。

そのため日本が好きで伝統工芸品をさりげなく生活の中に取り入れたい人にとっては、とても便利なものといえるでしょう。

なぜ日本は、フランスやイタリアに勝てないのか?

ブランド力は、作り手の矜持と技術を守る盾にもなります。エルメスの職人も特級ワインの作り手も、きっと自分たちの仕事に誇りと愛情を持っているはずです。そうでなければ、あんなに人を惹きつけるものが作れるはずがありません。世界の人がその価値を認めるから、作り手にも十分な報酬が支払われる。その結果、職人が誇りを持って仕事に打ち込める環境が整い、さらに良いものが作られる。地域を代表するブランドとそこで働く職人は地元の人の誇りとなり、それにあこがれる若者や子どもたちが出てくる。こうした好循環がブランドとしての強さを確固たるものにしています。

では、日本製のバッグの品質や職人の技術が劣っているのかといえば、そんなことはありません。日本製の上質なバッグは、品質もデザイン面でも、世界のトップブランドにひけをとりません。でも、数百万円でそれを買おうという人はいない。技術や品質で勝ったとしても、ビジネスで負けているのが現状です。工芸品の職人を希望する若者は少なくありません。しかし、その報酬の額を聞くと二の足を踏んでしまう。修業の名目の下に、将来設計が描けないほどの額しかもらえないケースが珍しくないから当然です。

雇用する側も、払えるものなら十分な報酬を支払いたいはずですが、安価な大量生産品に押されて、それもままならない。だから、あとを継がせられない、と言うのです。世界でここにしかないという独特の製造工程や技術力が、作り手の引退とともに消滅していっています。フランスやイタリアに負けないブランド力を築いて、良心のある作り手が誇りを持って仕事に取り組める環境が整えば、エルメスなどと比肩する工芸品ブランドが日本から生まれても何の不思議もありません。成熟期を迎えた日本の稼ぐ道は、政府が力を入れる観光立国ばかりではないはずです。工芸が日本の産業の1つの顔になる可能性は十分にあると考えています。

まとめ

いかがでしたでしょうか。日本の伝統工芸品というと、主に「和」が浮かぶと思いますが、世界には様々な文化があり、歴史があり、価値観があります。もうこれは価値がないから捨ててしまおう・・・そう考えているものが、もしかしたら世界にとっては貴重な物かもしれません。捨ててしまおうと考える前に、是非一度大吉にいらしてみてはいかがでしょうか。

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