茶釜と鉄瓶の違い
結論としては「どちらもお湯を沸かす茶道具」です。素材は主に「鉄」が使われおり、歴史的には中国から伝わり日本で古くに改良されて現在の形になったとされています。
茶釜は注ぎ口と持ち手がついていない
茶釜とは、小さなものは約30㎝程度の大きさで、注ぎ口や持ち手が付いておらず、胴と蓋だけというシンプルな構造の少し特殊な「お湯を沸かす」道具です。一般的な使われ方としては、炉の上に直接据えて使用しますが、天井から吊り下げた鎖に掛けて使用する小ぶりなタイプ(釣り茶釜)もあります。釣り茶釜には持ち手は付いていますが、注ぎ口がないため鉄瓶とは簡単に見分けられます。吊り茶釜は春先に主に使われるタイプのようですが、季節によって茶釜の種類を変えるなんて、茶道をしてないと知らない情報ですよね。
基本的に茶釜は他の多くの茶道具と共に鑑賞の対象となる品物です。炉から上げた状態を正面から客が鑑賞するといった具合で、客が釜に直接手を触れることはないそうです。茶釜を作る職人を「釜師」というそうで、室町時代から存在しています。茶道に携わっていない方が耳にする機会はあまりないとは思いますが、「釜を掛ける」と言えば茶会を催すことを意味するそうで、
あの千利休が「釜ひとつあれば茶の湯はなるものをよろづの道具をもつは愚かな」と、利休百首に残したほど茶道具の中でも特別な存在です。余談ではありますが、「利休百首」とは千利休が茶道の精神や点前作法の心得などを初心者にも分かり易く憶えやすいように、歌にまとめて百首集めたものと言われ、「利休道歌」とも呼ばれているものです。
要約しますと、茶道には絶対に無くてはならない茶道具だということですね。
鉄瓶は注ぎ口と持ち手がついている
一方、鉄瓶とは胴の部分に注ぎ口と持ち手が必ず取り付けてあり、一言でいうと「小型のヤカン」のような形をしています。注ぎ口がついているので蓋を開けて使用することはなく、他になにか道具を使わずともお湯をそのまま注ぐことが出来ます。茶釜との歴史的な違いは、登場した時代が違います。
茶釜の方が歴史が深く鎌倉時代にはすでに存在しますが、鉄瓶の歴史は浅く、室町時代や江戸時代などとも言われています。茶道が盛んな時代の影響かはわかりませんが、基本的には小さなサイズのものばかりなので、使用するのは小規模な茶席に限定されるようです。現代ではお湯を沸かす道具として「ヤカン」がありますが、鉄瓶が進化したものではなく、茶釜が発展した結果生まれた同じ「茶道」をするための道具だとご認識下さい。
まとめ
茶釜と鉄瓶の違いはご理解いただけたでしょうか?基本的にはどちらも「お湯を沸かす茶道具」になりますが、茶席では茶釜がメインに使用されており、鉄瓶はサブのようなものだとお考えいただければ分かり易いかもしれませんね。また、鉄瓶はヨーロッパを中心に人気があり、そのデザイン性に惹かれて「小型のヤカン」のような使われ方が多くなっているようです。
最後に、大吉では茶釜でも鉄瓶でもお値段が付く状態ならお買取りさせていただいております。ご不要になった物がございましたら、ぜひ一度大吉までお持ち込み下さいませ。