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香水とは
そもそも香水とは、様々なものから香料として香りの成分を抽出したものです。そして、それら様々な個性の香りを独自に調合したものが、高級ブランドなどが販売している香水です。
香水Perfumeの語源はラテン語の「Per Fumum=煙を通して」です。香りは人が火を使うようになってから使われた要素で、古代文明では儀式で香木を焚くことがよくありました。
この文脈では、お線香も卑近な例ですね。また香りは、古くより王侯貴族に大切にされてきました。古代エジプト文明においてはミイラに香料が塗布され、防腐防臭の役割を担いました。
古代ローマでは入浴後に体に香料をぬったり、食事に大量の香辛料を用いたと言われています。
我々がなじみのある香水に近い、アルコールに香料をまぜたものは、16世紀後半にメディチ家出身のカトリーヌ・ド・メディシスがフランスに持ち込んだものが有名です。
その後19世紀、産業革命でヨーロッパでは人の動きが活発になり、人口が急増したパリは公衆衛生の問題を抱えました。そのためパリは大改造とよばれる大々的な改修計画が実行されますが、この当時、同様に「悪臭=不衛生」という考えも強くありました。
そうした背景もあって香水は1830年代のフランスで大きく発展することとなりました。
香水の種類
現在、香水として流通しているものは大きく分けて3つの種類があります。
オイル系香水
ホホバオイルやアーモンドオイルなどの香りのよいオイルをベースにしたアロマオイルです。天然オイルベースのものは肌の保湿効果もあります。
練り香水
練り香水は液体香水よりもマイナーな印象を抱きがちですが、20世紀にはよく使われていました。これはソイワックスや植物油脂などを原料にして作られます。固形でコンパクトなので持ち箱びに便利で旅先で重宝します。
アルコール性香水
アルコール性の香水は現在最も使われている香水です。原料のアルコールで一般的なのがエチルアルコールです。これは香りに干渉することなく香料を希釈できる、香水に理想的な特性をもっています。
また、エチルアルコールは揮発性が非常に高いため、肌につけたときにアルコールのみが揮発し、香りは残ります。アルコールと香りの素である香料の割合は、香水のタイプによって異なります。
当然香料の割合が多いほど香りの持続時間は長く、複雑で深みのある香りを楽しむことができます。ただしその分、価格も高額となります。
パルファン(Parfum) | 香料 約20~30% |
オード パルファン(Eau de parfum) | 香料 約15% |
オード トワレ(Eau de toilette) | 香料 約10% |
オーデコロン(Eau de Cologne) | 香料 最低5% |
香水はどれくらいの寿命なのか
香水の種類や原料にもよりますが、一般的に香水を変質なしに楽しめるのは製造後3年以内と言われています。しかし、パルファンのように高濃度のものは酸化への耐性が他の香水よりも高いので、3年以上長持ちするものもあります。
またフランスなどのEU製品にはPAO(開封後品質保持期間)とよばれる表記があるため、開封後の使用期限の参考になります。
寿命を迎えて変質してしまった香水は、香りの“メリハリ”がなくなり、酸化して鼻にツンとくるような酸っぱさや、金属っぽい不快臭を発するようになります。また液体も黄色く変色します。しかし、その香水がお気に入りのもので変化がそこまで気にならない場合は、捨ててしまうのではなく、ルームフレグランスなどとして活用するのもありですね。
香水を適切に保存するには
香水に含まれるアルコールは香水の保存料としても機能しますが、それでも時の経過とともに揮発したり、保存環境が悪いと早い段階で変質してしまう恐れもあります。ここから香水を長持ちさせるためのポイントを紹介します。
香水瓶を振らない
香水を激しく振ると酸化を加速させるため、劣化が進むと言われています。
なるべく酸素に触れないようにする
先述のこととも関係していますが、香水は空気に触れると酸化します。香水の瓶の蓋は使用後すぐに閉めるよう心がけ、大容量のものならアトマイザーに移し替えることで、本体の液体が酸素に晒される機会を減らすことができます。
湿気から遠ざける
酸素と同様、湿気も香水の敵です。湿気は細菌やカビなどが繁殖しやすい環境を作るため、そういった菌の繁殖によって香水の品質が損なわれる可能性があります。
直射日光を避ける
香水の香りの分子は光に弱く、それは太陽だけでなく、蛍光灯などの人工的な光にも敏感です。香水には保存箱がついていることが多いので、都度箱の中にしまうなど光の届かない場所に保管しましょう。
高温や温度変化の激しい場所を避ける
高温は化学反応を引き起こす可能性があり、香水のバランスに影響を及ぼすことで、本来の香りを変えたり液体を黄ばませる恐れがあります。温度の変化も同様に香水を変質させることがあります。理想的なのは10~12℃の安定した温度帯です。
まとめ
香水、とくにポピュラーなアルコール性香水は、直射日光や高温多湿を避けた冷暗所で保管するのが理想的です。現在は、香水を理想的な保存環境で保管できる専用の保管庫すら販売されています。
もし家にワインセラーをお持ちで片隅が空いているのなら、そこに保管するのもいいでしょう。とはいえ、そんなにナーバスになってもせっかくの香水の楽しみが台無しなので、夏の季節にちょっと意識するくらいで気軽に楽しむのがちょうどいいかもしれません。