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物を売った時に消費税は、かかるのか?

物を売った時に消費税は、かかるのか?

貨幣やプラチナをはじめとする他の貴金属と比べて、需要と価値が安定している金は、安全な資産として高い人気を誇っています。そのため、金の売買をして利益を得たり、投資をしたりしたいと考えている人は少なくありません。ですが、物を売買する際には、消費税が気になるものです。少しでもプラスになるように金の売買をするためにも納税トラブルを避けるためにも、金の売買における消費税の知識は、蓄えておいたほうが良いでしょう。
そこで今回は、金の売買時に生じる消費税や金の売却で得た消費税の納税義務、消費税以外の金に関わる税金について解説します。

金の売買と消費税

金を購入する時と消費税

金は、軽減税率の対象ではありません。そのため、金を買う際には10%の消費税が加算されます。

たとえば、10万円分の金を購入したい場合は11万円、100万円分の金を購入したい場合は110万円の支払いが必要です。金の購入金額が高ければ高いほど、より多くの税金を支払うことになります。

消費税の納税義務者は、消費者ではなく事業者です。しかし、消費税は納税義務者と実質負担者を別にすることで税負担の水平的公平を図る「間接税」という扱いであるため、消費者が消費税を負担するよう求められます。

金を売却する時と消費税

商品・サービスを販売・提供する事業者は、納税の義務こそ課せられてはいるものの、消費税を負担する責任までは負わされていません。そのため、事業者は消費者に対して消費税を負担するように求めることができます。金を売る場合も、例外ではありません。金を売る場合には、10%の消費税が加算された金額を受け取ることができます。

たとえば、10万円で金を売る場合は1万円、100万円で金を売る場合は10万円を上乗せして請求することが可能です。金の販売金額が高ければ高いほど、より多くの消費税を受け取ることができます。

金の売買による消費税の納付について

金の売却で得た消費税の納税義務

金売れば、必ず納税の義務が課せられるわけではなく、消費税の課税対象に当てはまらない場合は、消費税として徴収した代金をそのまま利益にすることができます。消費税の課税対象となる事業者は、法人と個人事業主です。ただし、以下に挙げる条件のいずれかに該当する場合には、納税義務が免除されます。

事業開始後2年以内

法人は、前々事業年度、個人事業主は、前々年の課税売上高が1,000万円以内。なお、資本金が1,000万円を超える法人などは、事業開始後すぐに納税義務が生じるため、注意が必要です。

法人でも個人事業主でもない個人の場合、消費税の納税義務は生じません。ただし、短期間に何度も金を売却すると、営利目的の課税対象取引と判断され、納税義務を課せられる場合があります。

金の売買による消費税の納付方法

金を売って得た消費税は、所轄の税務署に確定申告し、納付しましょう。消費税の申告・納付期限は、下記のとおりです。

<個人事業主:翌年の3月末日まで>

個人事業主の場合、消費税の課税期間は1月1日から12月31日までの1年間です。そのため、令和3年1月1日から12月31日までに得た消費税は、令和4年3月31日までに税務署に確定申告し、納付する必要があります。

<法人:事業年度終了日の翌日から2か月以内>

法人の課税期間は、各法人が定める事業年度です。事業年度を4月1日から翌年の3月31日までと定めている法人の場合、毎年4月1日から5月31日までの間に消費税を税務署に確定申告し、納付します。

消費税の納付方法

消費税の納付は、さまざまな方法で行うことが可能です。消費税の納付方法には、以下の5つがあります。

・電子納税(e-Tax)

・振替納税

・クレジットカード納付

・コンビニ納付

・窓口納付

なお、直前の課税期間の消費税額が48万円を超える事業者は、中間納付が必要になることも念頭に置いておいてください。

消費税の課税の対象となる要件

消費税は、次の4要件を満たす取引が課税の対象となります。

【課税の対象の4要件】

① 国内において行うものであること

② 事業者が事業として行うものであること

③ 対価を得て行うものであること

④ 資産の譲渡・貸付け、役務の提供であること

日本国内において中古品を売却した場合は、上記「① 国内において行うものであること」、「③ 対価を得て行うものであること」、「④ 資産の譲渡・貸付け、役務の提供であること」の3つはすでに満たしているため、「② 事業者が事業として行うものであること」の要件を満たすかどうかがポイントとなります。

ここで、「事業として行う」とはいったいどういうことなのでしょうか?この点については、国税庁の質疑応答事例『消費税における「事業」の定義』で、次のように回答されています。

【照会要旨】

消費税法上における「事業」の定義は何でしょうか。

【回答要旨】

消費税においては、事業者が「事業」として行う財貨・サービスの提供を課税対象としていますが、この場合の「事業」とは、「同種の行為を反復、継続かつ独立して遂行すること」をいいます。これは、消費税が消費者に負担を求める税であることにかんがみ、個人が消費者として行う行為を課税対象から除外するためのものです。

質疑応答事例『消費税における「事業」の定義』

したがって、中古品の売却が「事業」に該当するかどうかは、「反復・継続・独立」して行われているものであるかどうかで判断することとなります。ほとんどの方は、掃除や片付けをしていた際に生じた不用品を買い取ってもらうくらいで、頻度としては年に数回程度のものだと思います。

そのような場合は、中古品の売却が「反復・継続・独立」して行われているわけではなく「② 事業者が事業として行うものであること」の要件を満たさないため、中古品売却時にもらった消費税を納める必要はありません。「税金をもらったのに自分の懐に収めちゃっていいの?」と思うかもしれませんが、いいんです。

(ただし、中古品の販売が、後述する「事業に付随して行われたもの」である場合は、年に数回程度の頻度であったとしても「② 事業者が事業として行うものであること」の要件に該当することになります。)

一方、中古品を安く仕入れて高く売る、いわゆる「せどり」を行っているような場合は、「② 事業者が事業として行うものであること」の要件に該当する可能性があります。

例えば、普段は会社に勤務しているサラリーマンであっても、副業として毎週末に「せどり」を継続的に行っている場合は、「反復・継続・独立」して行われているものとして「② 事業者が事業として行うものであること」の要件に該当します。

この場合は、中古品の売却は消費税の課税の対象となる取引であるため、中古品売却時に受け取った消費税につき申告納付する必要があります。

(ただし、事業として行っている場合でも、後述するように「2年前の課税売上高が1,000万円以下」の場合には、納める必要はありません。)

まとめ

金の売買をするときは、消費税の存在が気になるでしょう。たまたま所有していた金を売る場合でも投資目的で金を売買する場合でもまずは、よく調べ、場合によっては専門家に相談するなどして、トラブルを回避しましょう。

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