ジャン・ピエール・カシニョールとは?
まずは、ジャン・ピエール・カシニョールについてお話いたします。1935年7月13日、フランスのパリで生まれます。幼少期を過ごしたのち、パリの美術学校で5年間、絵を学びます。そして、1952年、パリにて初めて個展を開催。
1967年から本格的にリトグラフの制作をはじめ、その後アメリカやヨーロッパで個展を開催しますが、真っ先にその人気が出たのは、なんと日本でした。当然、日本でも、東京・大阪・名古屋などで、たくさん展示会を開催しており、現在も存命です。
そもそも、リトグラフとは?
絵画の世界ではよく耳にするリトグラフ。そもそもリトグラフとは一体どういうものなのか、簡単にご説明いたします。まずは、大きく絵画の種類としまして、油絵・日本画・複製画・版画といったものがありますが、リトグラフとは、版画の技法の一つです。
版画の中では、とてもメジャーな手法で、石版画とも呼ばれます。具体的には、石版の上に、油性チョークで絵を描き、薬品を塗ります。その後、描画部分にインクがのったところに紙を置き、プレス機で圧力をかけ、刷っていきます。
多くの版画は、基本的に何枚でも擦れますが、作品の価値を守る為や、版面の耐久性などの問題から、限定枚数が決められます。おおよそ300~500枚くらいが多いのですが、希少性や作家の人気度によりその枚数は異なります。
また、多くのリトグラフには、その発行枚数を表す、『1/300』『99/300』などの番号の記載や、作家のサインが書かれています。参考までに、この番号による優劣は基本的にありません。
カシニョールのリトグラフの人気作品について
冒頭でも述べましたが、カシニョール作品といえば、女性をモチーフにしたリトグラフが多く、その構図や描き込み具合により、市場価値が大きく変わってきます。全身ではなく、女性の上半身のみで描かれている場合が多く、顔がハッキリと分かる構図が人気です。
制作年代を見ると、比較的新しい年代の方が人気の構図が多く、また赤色を使用した作品が高い評価を受けております。ヨーロッパやアメリカでも人気ですが、特に日本国内での人気は絶大で、絵画中古市場での取引点数も多く、長年安定した価値を保っております。
ただし、版画の状態によっても変動があります。蛍光灯や日光が当たるところに長い期間飾っておきますと、絵の表面の色がやや薄く感じたり、変色のような、日ヤケが発生します。また、保管の際も、湿気などによるカビなどの傷みにも注意が必要です。せっかく、高価で価値のあるお品物ですので、大切に保管してあげてください。
まとめ
ごくごく簡単にではございますが、カシニョールのリトグラフ作品についてご説明させて頂きました。少しはご理解いただけたでしょうか。要点をまとめますと、カシニョールのリトグラフ作品は、保管状態が良く、発行枚数が少ないもの、かつ人気の構図の作品の価値が高いということになります。
これは、カシニョール作品に限らず、絵画全てに当てはまる内容ですので、もしご自身の絵画の価値を知りたい、という方は参考にして頂ければと思います。そして、保管の際は、過度な湿気を避けて頂き、風通しが良い場所、展示する場所も直射日光のなるべく当たらない場所にしてください。