偉大な祖父
1932年、岡信孝は近代日本画の巨匠・川端龍子(かわばたりゅうし、1885年-1966年)の直孫として生を受けました。若いころから龍子の薫陶を受け、18歳から32歳まで龍子の主催した青龍社で着実に画家の道を歩みます。そして1961年、青龍社・社人となります。
1966年に龍子が無くなると、その遺言により無所属で活動を続け、芸術家としての精神面での充実を旨として制作にあたっています。
祖父龍子は豪放な作風の反面、繊細でのびやかな明るい花鳥画をよく描きましたが、岡信孝もその資質をよく受け継ぎ、「描くものを生命あるものとして見ることで、尊いものとして描くことができる」と言い花をモチーフに数多く描いている。
自然を愛する岡信孝の作品
岡信孝が絵を描くための心の糧としてきた世阿弥の〈風姿花伝〉より「年々去来の花を忘るべからず」の精神で描かれた作品は、祖父の龍子のように豪快で垰やかなで、写実的でありとても繊細な雰囲気で伸びやかなものとなっています。
もちろんオリジナルの作風であり、その中に祖父の血を受け継いでいるのです。無所属となったですが、その後も精力的に個展を開いたり、さらには数多くのグループ展を繰り返し行ってきました。
そして、各方面から高く評価され、数多くの名誉ある賞を受賞しています。岡信孝の描く作品の多くは花鳥図が多く、その繊細なタッチと色使いに定評があるのです。
その中のひとつである「椿籠」ですが、バランスの取れた配置でありながらも、どこか自然な無造作感もあり、生き生きとした花の生命力を感じるような素晴らしい作品となっています。
鮮やかに彩られた赤と白、そして緑がかった主色を際立たせるバックの色彩など、一度見ると目を凝らさずにいられない不思議な魅力をもった作品となっています。
さらには「富士」を描いた作品は、その情景の美しさに言葉を飲み込む程の存在感を感じずにはいられません。少し、寒さを感じる曇り空に雄々しく立ちそびえる富士、そして風になびかれて揺れる草、とまさに日本の情景を切り取るような素晴らしい作品になっているのが見てとれます。
岡信孝は川崎での大連寺天井絵の完成後2年は活動を休止していましたが、その後ロマンの中にある本当の厳しさ、生きる情景を描きだすことに専念しています。川崎市文化賞受賞など名誉ある賞に輝いてきた岡信孝。
彼の功績は素晴らしいものであると同時に、見るものの心を捉えてやまない、力強くも繊細なタッチで表現をしていく日本人らしい画家といえます。
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