骨董品の定義は?
骨董品には「古くて価値のあるもの」という漠然としたイメージがある、という方も多いと思います。骨董品の鑑定をするテレビ番組では鑑定品に高値が付くこともあるため、家にある古い陶器や絵画が本当は価値のあるものかもしれないと考える視聴者もいるでしょう。しかし、骨董品の値段はどのようにして決まるのでしょうか。ここでは骨董品の定義や価値の決まり方についてご紹介します。一般的に骨董品という言葉を聞いて想像されるのは、陶磁器や絵画でしょう。絵画や陶磁器の他にも、おおむね数十年前に作られた物は骨董品と呼ばれます。
正確には100年以上が経過し、作品に破損がなく、美術的な価値がある作品をまとめて骨董品と呼びます。100年という期間は1934年にアメリカによって制定された通商関税法にて、「製造から100年を経過した手工芸品・工芸品・美術品を骨董品とする」と定義づけられました。 けれども現代では数十年前に生産された美術的価値、歴史的価値がある物全般を骨董品と呼ぶことが一般的になっています。
アンティークと骨董品の違いは?
古いランプや家具、食器に使われるアンティークという言葉はフランス語で「骨董品」という意味です。古美術品や歴史的な価値がある物だけでなく、劣化によってより味のある色合いを持った物も指すことがあります。ヨーロッパ風の古い家具や雑貨をアンティーク、その他の歴史的な価値がある物を古美術品と使い分けることが一般的になっています。また、洋服や鞄にヴィンテージという言葉を使いますが、ヴィンテージは骨董品やアンティークの定義よりも新しい1950年代~70年代に製造された物に対して使うことが多いです。
骨董品の種類
・美術品
・家具
・日用雑貨
・食器
・装飾品
・衣類
・おもちゃ
意外に思ったかたもいらっしゃるかもしれませんが、古くて価値があれば、その品のジャンルは関係無いといえますので、おもちゃなども含まれてくるのですね。絵画についてですが、有名画家で本人の絵画なら高価買取になりますが、偽物も多くその場合は値段がつかないことがほとんどです。
絵画
絵画の種類には、日本画や油彩画、水彩画、版画、デッサン、水墨画やパステル画などがあります。茶道具は、戦果をあげた武将への褒美としても使用された貴重品で、骨董品的な価値があります。茶道具には水注や水差、蓋置、香合、棚、花入などがあり、希少価値がある茶道具には何百万という買取価格がつくこともありまます。
陶磁器
土を原料にして形を作り、窯で焼き上げた器を陶磁器と呼びます。
陶磁器は種類がいくつかあり
・土器→700~800度で粘土を焼いたもの
・炻器(せっき)→アルカリや鉄を多く含んだ粘土を1,200~1,300度で焼いたもの
・陶器→吸水性のある粘土質の素土に釉薬を塗って、1,200度位で焼いたもの
・磁器→陶石を原料とするもの
の4種類があります。
また、制作された時代、いずれの産地で制作されたものかどうかという点が重要な査定ポイントとなります。客数のある食器は、5客揃っていれば、高値の査定となります。もちろん、デザインや仕事の細かさも大事な要因です。伊万里焼で言えば、デザインが良ければ、江戸末期の伊万里焼よりも明治期の伊万里焼の方が高額の査定になることもあります。現代作家の場合、古来の製法を再現しておられる方もいらっしゃいます。古来の製法を忠実に再現された作品は、高額査定の対象となり、同じ作家の方でも、他の作品より高額査定になり得ます。
もともとは複数個でセットになるよう作られたお品が、時代を経て欠損、数が少なくなっていることがあります。和食器は5客が一般的ですので、客数が減っていると査定額が下がる傾向にあります。また、経年劣化による傷なども査定が低くなる要因です。現代作家さんの場合では、お箱の有無が査定に大きく影響します。高値が付く作家の方でも、作家の方が現存でないと欠損したお箱の替えが効きません。そうしたケースでは、より査定額に影響が出ます。
おもちゃ
状態がよく希少価値があるおもちゃは希少価値が高く、高価買取になることがあります。昭和のブリキ製おもちゃやカードなど、懐かしのおもちゃが現在高い価値を持っていることも多くあります。
人形についてですが、こちらは購入価格がどれほど高くても、最新の技術を使用して部品を大量生産することができるため近代の人形は、骨董品としての価値が無いと判断されることが多いです。ですが、有名作家が手がけた人形や芸術家による創作人形は高い価値が付くことがあります。さらに、19世紀のヨーロッパで流行した陶磁器製のビスクドールがコレクターに人気を集めています。また、装飾に金箔や珊瑚が使用されている人形も骨董品としての価値が期待できます。
根付
根付とは、現代のキーホルダーのようなものです。巾着や印籠に根付をつけ、帯からぶら下げて携帯していましたおしゃれとして、江戸後期には非常に流行したと言われています。根付の素材は象牙、イノシシの牙、鹿の角、骨、漆、琥珀、珊瑚など、様々な物が用いられており、モチーフも動物や花など、多種類の物が存在します。小さいため保管がしやすく、手頃な価格から手に入る骨董品の一つです。
古い物であれば全部骨董品になる?
古ければなんでも骨董品といえるかというとそうでもありません。その時代に大量生産された物、鑑賞用や実用品など、現代で用途がない物はただの古物として判断されます。つまりいくら大切に保管していた雑貨や着物でも、後世に受け継がれる価値がないと判断された場合は骨董品として扱われなくなるのです。ただし大量生産されていた物でも、年月の経過で焼失、紛失によって現存数が非常に少ない物は高い価値がつけられる場合があります。
他にも、製造から100年未満しか経過していない昭和に製造されたおもちゃ、鉄瓶、家具なども骨董品の定義を満たしていませんが、昭和レトロ感を楽しむことができる骨董品として扱われることがあります。骨董品の定義を満たしていない物や、有名作家による作品ではない物を目利きするためには、作成当時の時代背景や骨董品市場の流通数を把握しておかなければ正確な価値を見極めることができません。ですので、価値が分からない骨董品が出てきたときは豊富な専門的知識や鑑定経験を持った鑑定士に見てもらうことが重要になるのです。
インターネットや多数の書籍をあたることで、骨董品の価値を個人で調べる事も不可能ではありませんが、時間と労力が必要となる上に、得た情報の正誤確認をするためには、更に多くの情報を調べる必要があります。また、需要によって価値は変動するため、一個人では需要の調査に限界が生じます。世の中に多数ある物ですと比較的調べやすいのですが、数が多いことから希少性に欠け、価値があまりない場合がほとんどです。一点物の価値を調べる事は、まず無理です。専門家・骨董商は、知識と経験に加え、需要を把握しています。そうした人間に査定してもらうのが一番の方法です。
お手持ちの骨董の価値を調べてみませんか?
もし、自宅に骨董品をお持ちというかたがいらっしゃれば、いったいどのくらいの価値が現在あるのか、一度査定を受けて把握しておくとよいでしょう。買取業者によって査定額に大きく差がでることも少なくありません。買取業者ごとの基準価格の違いも理由の一つですが、もっとも大きな理由は、「国内にしか販売ルートがない業者」と「海外にも販売ルートがある業者」の違いにあります。世界中の市場から骨董を一番高く売れる市場に販売ルートをもつ「海外にも販売ルートがある業者」の方が仕入れである骨董の買取価格を高く設定することができるのです。
複数の買取専門業者に査定を依頼し、その中から一番高い査定額をだす業者の価格を参考にするとよいでしょう。また、骨董品を高く売るためには保存状態が重要です。何十年の間、湿気の多い場所で開けずに保存されているとカビや埃が付着します。一年に一度で構いませんので、空気に触れさせてあげると、保存状態を保てます。また、セットの物や、置物の様な工芸品等は付属品や木箱の有無が重要です。当時の木箱に入ったままなのか、付属品が揃っているかどうかで、査定額は大きく変わります。
骨董品に相続税はかかる?
骨董品にも相続税はかかります。個人の持ち物ですので、それに価値があれば譲り受けたご家族には相続税が発生します。そのため、価値ある物かどうかをしっかりと査定してもらい、その価値を把握しておくことは非常に大事なこととなります。某テレビ番組で査定をし、高額がついたために、多額の相続税が請求された話は有名です。
まとめ
今回は骨董品の種類や定義などについてお話させていただきました。おもちゃや人形など、意外なものも骨董品としての価値がつくこともありますので、自宅を整理される際には今一度骨董品が眠っていないか確認してみてくださいね。もし気になるものがあれば、買取店で査定をしてもらうのも一つの手でしょう。思わぬ骨董品と出会うことができるかもしれないですね。