ヌメ革
植物タンニンで鞣され、型押しなどが施されない最も自然な原皮の風合いを残す「ヌメ革」には、天然素材の証であるしわや微細なキズがあり、一つ一つの製品に唯一無二の個性を与えます。このデリケートなレザーは、時間の経過とともに柔らかくしなやかになり、独特の質感がでます。この独特の質感は、使い込んでこそ現れる、高品質なレザーの真の品格であり、使用中に刻まれる所有者の歴史を証明しています。
もし雨などによって水に濡れた場合は、乾いた布で水分を拭き取ってください。クリーニングの際は、化学溶剤系や化学薬品系のローションはあまりお勧めできません。長期の使用によって悪影響がでる場合があります。保湿にはビーズワックスやミンクオイル、天然由来のレザーローションなどを使用するのがオススメです。
カーフスキンとカウハイドスキン
カーフスキンは仔牛の皮を原料とした素材で、しなやかさが特徴的です。一方カウハイドスキンは生後2年以上で出産経験のある雌牛の皮を原料としており、しっかりとして頑丈であることが特徴です。ルイ・ヴィトンでは、厳しい基準によって最高品質の革を選択します。カーフスキンもカウハイドスキンも天然素材ならではのスジやシワがあります。レザーにオイル、化粧品、香水、クリーム、または消毒液がたれると、皮革本来の美しさに影響を与える可能性があります。表面が汚れた場合は、水でほんの少しだけ湿らせた柔らかい布で拭いてください。
パテントレザー
1998年春夏コレクションで誕生したルイ・ヴィトンのエナメルレザー素材である「ヴェルニ」は、グラマラスで究極の女性らしさを体現しています。エナメルレザーは革をウレタン樹脂でコーティングしたものです。独特のツヤがあり、その特有の美しさに加え、水気や汚れをはじきます。一方、吸い付くような質感なので印刷や染物の色素をもらいやすいという性質もあります。そのため、雑誌やジーンズのインディゴ染めなどとの接触は避けてください。特に財布や小物は色移りの危険性が高いのでご注意ください。また、変色の原因となりますので、直射日光に当てないでください。明るい色の製品は特に光に敏感で、黄ばんだり変色したりすることがあります。
ルイ・ヴィトンのキャンバス生地
最もポピュラーなモノグラムキャンバスやダミエキャンバスは、コットン素材のキャンバス地にPVC(ポリ塩化ビニル)をコーティングした素材です。1896年に誕生したこの素材はビニールコーティングされているため、雨にも強く汚れも染み込みにくいので、拭けばシミになりにくいというメリットがあります。そのため天候やシーンを選ばないので普段使いにはもってこいです。一方で高温多湿に弱く、加水分解を起こす可能性があります。加水分解とはビニール素材が水分と反応して分解作用が起こることで、高温多湿の環境下で起こりやすい現象です。また、加水分解によって、ビニール素材に柔軟性を与える可塑剤(かそざい)が表面化することがあり、これはべたつきが発生する原因になります。
これらの生地は、中性洗剤の水溶液を軽く染み込ませた布で拭いてください。またキャンバスの表面に色が移る可能性があるため、色の濃い素材との接触は避けてください。とくにダミエ・アズールなどの淡色のキャンバス地は色移りする可能性が高いのでご注意ください。
エキゾチックレザーや特殊な素材
クロコダイルやパイソン、リザード、オーストリッチなどのエキゾチックレザーは、湿気、水、雨から保護する必要があります。水やアルコールベースの消毒ジェルやスプレー、その他の液体の使用は避けてください。万一、水、雨、その他の液体が製品に付着した場合は、すぐに吸水性の高い白い布で濡れてしまった部分を軽く拭き取ってください。直射日光は変色の原因となりますのでご注意ください。クロコダイル、パイソン、トカゲなどの爬虫類の皮は湿気や熱に非常に敏感であり、そのような状態に長時間さらされると、剥がれが生じる可能性があります。また、シミの原因となりますので、クレンジングクリームなどの油分も避けてください。またメタリックレザー、パール、フェザー、スパンコールなどの特別な素材には特別な注意が必要です。クリームやローションなどを利用するとかえって汚れやシミ、劣化の原因になりかねないので、乾いた布やホコリ取りで軽く埃を取ってあげる程度にしましょう。
まとめ
天然の皮革素材は使い込むほどにが柔らかくなり、自然なツヤが出てきます。これらの変化は、天然皮革のしわや傷とともに、それが天然素材であることの証であり、一つ一つの製品に唯一無二の個性を与えます。ルイ・ヴィトンの製品は最高級の素材を使用し、一流の職人によって製造されています。そのため、手入れをしながら使用すれば末永く愛用することができます。基本的に、保管の際は、高温多湿を避けて保管してください。付属の保存袋はヨーロッパの乾燥した気候で天然皮革が割れないよう、保湿をする役割も想定されています。逆に日本の夏には湿気をため込む可能性がありますので、通気性のよい不織布などが日本の気候での保管にはより適しています。