ダミエの歴史
ダミエ(Damier)はフランス語で市松模様のことを表します。市松模様と聞くと、モノグラムの星や花のモチーフ日本の家紋からヒントを得て作られたというエピソードから、同じようにジャポニズムの影響を感じる方も居るかもしれませんが、ダミエは日本の市松模様に影響を受けたものではありません。そんなダミエが誕生したのは1888年です。息子のジョルジュが、ベージュと茶褐色のチェス盤にルイ・ヴィトンの銘が入った「ダミエ・ライン」と呼ばれるデザインを考案しました。実はモノグラムよりも先にダミエは誕生したのです。では一体なぜ、その生地を誕生させたのでしょうか?
ダミエ誕生の訳
1859年、ルイ・ヴィトンはアニエール=シュル=セーヌに最初のアトリエを構え、翌年にはは大量の需要によりヴィトン社は規模を拡大しました。そして1867年、パリで開催された万国博覧会でヴィトン社は銅メダルを獲得し、世界的な評判を得ました。当時、世界的に力を持っていた各国の国王や皇太子、特にスラブ、ラテン系の王侯族に重用されたそうです。
世界的に認められたルイ・ヴィトンには、コピー商品が出回るという問題が発生しました。ルイ・ヴィトンの技法は、トランクの上から布地を貼るという技法で、効率もよく賢明な技法であったが、安易にコピー商品が出回ることになってしまいました。そこでストライプキャンバスというベージュと赤の2色で色付けされた布地を使うようになります。しかし、この商品も結局はすぐにコピー商品が出ることになりました。それでも、コピー商品に負けることなく、ルイ・ヴィトンの商品は売れ続けました。そして1885年にはロンドンに進出を果たします。
そして1888年、ルイ・ヴィトンの息子ジョルジュが、コピー商品の製造の防止のために、ベージュと茶褐色のチェス盤を模した生地を作り出しました。それがダミエです。そしてダミエは1889年のパリ万国博覧会にて金賞を取りました。けれども結局、ダミエもコピー商品が出回り、無くなることはなかったのです。それがモノグラムの誕生へと繋がっていくこととなります。素晴らしいデザインのダミエやモノグラムですが、それはコピー商品との戦いの歴史でもあったのです。
ダミエのデザインバリエーション
ダミエは、そのシンプルで落ち着いたデザインとダークカラーの濃淡の美しいバランスで人気を集めています。豊富なカラー展開で、男女問わず使えるユニセックスな雰囲気も魅力です。その豊富なデザインバリエーションを紹介していきます。
●ダミエ・エベヌ(Ebene)
いわゆるダークブラウンとモカベージュの二色からなる茶系の定番が、このエベヌです。エベヌとはフランス語で「黒壇」を意味しています。
モノグラムの登場により、ダミエは一時その姿を消しました。しかし1996年、モノグラム100周年を記念して、ルイヴィトンはダミエを復刻させました。時を超え蘇ったダミエは「ダミエ・エベヌ」としてその名を継承し、ルイ・ヴィトンの伝統ともいえる茶色の唐松模様(ダミエ)は21世紀となった現在も変わらぬ愛と人気を得ています。通常は単に「ダミエ」と呼ばれます。
●ダミエ アズール(Ebene Azur)
長い歴史を持つダミエのラインに、2006年に新たに加わったのがダミエ・アズール(Damier Azur)です。2006年秋冬に登場したダミエ・アズールは、一般的に「ダミエ」と呼ばれるブラウン系のダミエ・エベヌの同シリーズで、同じく市松模様が特徴です。ホワイト系のカラーから、日本ではダミエ・エベヌに対して「白ダミエ」などと呼ぶ人もいます。
イタリアのリゾート地・リビエラをイメージし、その美しい海から「紺碧」を意味する「アズール」の名が付けられました。爽やかなカラーから春夏に活躍するダミエ・アズールですが、ダークトーンのコーディネートが多くなる冬に持つのも、着こなしのアクセントとなって素敵です。「ネヴァーフル(Neverfull)」「スピーディ(Speedy)」「トータリー(Totally)」など、多彩なルイ・ヴィトンのバッグデザインの中で、ダミエ・アズールはその多くに展開されています。おなじみの形のバッグであっても、ダミエ・アズールが女性らしい印象を与えてくれ、どんな場所でも高感度をアップさせてくれます。
●ダミエ・ヴェルニ(Vernis)
2000年に発表された、ディスコ全盛の80年代をイメージしたコレクション。素材にはダミエ特有の市松模様にエナメル加工を施したカーフスキンを使用。艶やかなチェッカーパターンは通常のダミエと異なる表情を見せてくれます。ダミエ・ヴェルニラインのバッグにはクラブやキャバレーなど、華やかな夜の世界をイメージさせる名前がついています。
●ダミエ・グラセ(Grace)
モバイル時代の到来を予測して2001年に登場した機能美と遊び心を併せ持つラインです。素材には艶やかな光沢のあるカーフ素材にダミエ柄を施した素材を使用しています。マリンブルー、レジン、コーラル、ポワニーの4色展開。マットな質感で電子手帳、PCケースなど実用的なアイテムが揃う、ビジネスシーンにフィットするラインでしたが、このラインは既に廃盤となっています。
●ダミエ・ジェアン(Geant)
2004年春夏のメンズコレクションで登場しました。ビジネスやトラベル、レジャーにも対応できる実用的なアイテムがそろうラインです。 歴史あるダミエ・モチーフを大胆に拡大した『ダミエ・ジェアン』。登山ロープなどに使われるテルモ・コンプリメ素材を使っており、軽量でなおかつ耐久性に優れたキャンバス地を実現。アルミニウム製の金属と伝統的なヌメ革やスムースレザーを組み合わせることにより、カジュアルでありながらシックでモダンな魅力が特徴です。
●ダミエ・グラフィット(Graphite)
メンズラインとして2008年に発表されたのがグラフィットです。軽さと耐久性を兼ね備えた鉱物グラファイトにインスピレーションを得たデザインとなっており、ブラックとグレーの組み合わせというクールでシックなダミエデザインになっています。ダミエ・グラフィットは主に男性をターゲットとしてデザインされているので、発表されているコレクションもブリーフケース・ビジネスバッグ、ボストンバッグなどビジネスシーンで活躍するような機能的なアイテムが多いです。そのコレクションはモダンでありながらも機能的なものが特徴です。
●ダミエ・アンフィニ(Infini)
2011年に登場したルイ・ヴィトン・メンズ・NEWラインです。アンフィニはフランス語で「無限」を意味しています。カーフより厚手のトリヨンレザー(生後1年以内の雄の子牛)に、ダミエ柄を型押しで表現したラインです。これまでのダミエ・ラインは茶色と焦げ茶やブルーとクリームといった2色のコントラストによるカラーの共演だったのですが、アンフィニはこれまでのダミエ・ラインとは少し趣向が違っていて、カラーではなく凹凸によってダミエデザインを表現しています。
その表現の仕方は、厚手で上質のトリヨン・レザーに対してエンボス加工を施すことによってレザーに起伏を生み出し、その高低差によってダミエデザインを生み出しているというカタチです。上質なレザーとエンボス加工によって、とても繊細でありながらも、エレガントでスタイリッシュな都会的デザインとなっています。
●ダミエ・コバルト(Cobalt)
メンズのディレクター、キム・ジョーンズが手掛け、2014-2015秋冬コレクションで公開されたダミエ・コバルトです。深みを湛えた絶妙なブルーの色合いが、ダミエの新しい可能性を広げてくれるコレクションです。キム・ジョーンズにとってのパリジャンのイメージがブルーなのだそうです。定番のダミエのバリエーションとしてラインナップしていることや、カラーにブラックコントラストを採用しているので、特に男性を中心に支持されています。
各ダミエ・ラインの代表的なコレクション
◆ダミエ・エベヌ(Ebene)
●スピーディ ●アルマ ●ネヴァーフル
◆ダミエ アズール(Damier Azur)
●ネヴァーフル ●ポシェット・コスメティック ●ジッピーウォレット
◆ダミエ・ヴェルニ(Vernis)
●アンジュ ●キャバレー ●クラブ
◆ダミエ・グラセ(Grace)
●リッキー ●ブルース ●ルーク
◆ダミエ・ジェアン(Geant)
●シタダン ●メサジェ ●アソシエ
◆ダミエ・グラフィット(Graphite)
●ミック ●ポルト・ドキュマン ●レム
◆ダミエ・アンフィニ(Infini)
●PDJ ●タダオ ●ポルト・ドキュマン
まとめ
永く、男女問わず愛され続ける「ダミエ・ライン」。当然買取市場でも大変高い需要があり、高価買取が期待できます。お使いになっていないルイヴィトンがございましたら、ぜひ「買取大吉」へお持ちください。