目次
サファイアとはどんな宝石?ルビーとの違いや関係性
サファイアは「コランダム」という鉱物に属する宝石です。無色透明のコランダムの中でも、赤く発色したものがルビーと呼ばれていて、それ以外のカラーは全てサファイアとなります。
サファイアはカラーストーンの一種で、高額にはなりにくいといわれています。しかし、サファイアは非常に高い人気があります。品質の高い石であれば、ダイヤモンドに負けないほどの高値で取引されることも珍しくありません。
サファイアの価値は「色」の濃淡で判断可能
サファイアの価値を判断するには、色の濃淡が重要な要素になります。一般的に、鮮やかで深みのある色合いが高品質なサファイアとされます。
たとえば、深い青色や明るいピンク、鮮やかなオレンジなど、色がはっきりとしているサファイアは価値が高い傾向にあります。
逆に、色が薄くてぼやけている場合や、不均一な色合いの場合は価値が低くなります。サファイアの高値買取には、色濃く、テリ(輝き)良く、透明度が高いことが必要です。
サファイアのランクと買取相場価格
サファイアの買取相場は、さまざまな要素によって異なります。一般的に、色が濃くて透明感がある石に高値がつきます。買取価格はランクにより違いがあり、参考価格を表でまとめました。
▼Sランクのサファイア
<カラー:濃い、クラリティ:内包物なし>
カラット数(ct) | 買取参考価格 | ||
---|---|---|---|
1.0 ct | 約 30,000円〜 | ||
2.0 ct | 約 120,000円〜 | ||
3.0 ct | 約 250,000円〜 | ||
5.0 ct | 約 550,000円〜 | ||
10.0 ct | 約 1,700,000円〜 |
▼Aランクのサファイア
<カラー:やや濃い、クラリティ:わずかな内包物>
カラット数(ct) | 買取参考価格 | ||
---|---|---|---|
1.0 ct | 約 15,000円〜 | ||
2.0 ct | 約 100,000円〜 | ||
3.0 ct | 約 170,000円〜 | ||
5.0 ct | 約 270,000円〜 | ||
10.0 ct | 約 800,000円〜 |
▼Bランクのサファイア
<カラー:普通、クラリティ:一般的>
カラット数(ct) | 買取参考価格 | ||
---|---|---|---|
1.0 ct | 約 10,000円〜 | ||
2.0 ct | 約 40,000円〜 | ||
3.0 ct | 約 90,000円〜 | ||
5.0 ct | 約 175,000円〜 | ||
10.0 ct | 約 525,000円〜 |
▼Cランクのサファイア
<カラー:薄くやや黒っぽい、クラリティ:内包物が多い>
カラット数(ct) | 買取参考価格 | ||
---|---|---|---|
1.0 ct | 約 2,100円〜 | ||
2.0 ct | 約 7,000円〜 | ||
3.0 ct | 約 21,000円〜 | ||
5.0 ct | 約 42,000円〜 | ||
10.0 ct | 約 105,000円〜 |
▼Dランクのサファイア
<カラー:かなり薄く黒っぽい、クラリティ:濁っている>
カラット数(ct) | 買取参考価格 | ||
---|---|---|---|
1.0 ct | 約 700円〜 | ||
2.0 ct | 約 2,800円〜 | ||
3.0 ct | 約 6,300円〜 | ||
5.0 ct | 約 10,500円〜 | ||
10.0 ct | 約 24,500円〜 |
サファイアは色や品質に応じて価格変動します。買取価格は、地域や店舗によっても異なるため、信頼できる宝石鑑定士や買取業者に相談することが重要です。
サファイアの鑑別書の見方
日本の宝石鑑別機関「G.E.lab(for Gem Enthusiasts Laboratory)」は、宝石の街・御徒町にあります。G.E.labのジェムレポートには以下のような項目があります。
番号 | 項目 | 内容 | |
---|---|---|---|
1 | Report No. | 鑑別書発行番号 | |
2 | 形状 | カット形状 | |
3 | 重量 | カラット | |
4 | サイズ | 縦×横×深さ(ミリ単位) | |
5 | 色相透明度 | 石の色と透明度 | |
6 | 鉱物名 | 鉱物名(国際鉱物学会承認) | |
7 | 宝石名 | カラーバラエティー、光学特性がつくもの | |
8 | コメント | 鑑別にて明らかになった処理など | |
9 | 備考 | 特記事項 | |
10 | 検査内容 | 鑑別結果をだした機器 |
サファイアの価値基準
サファイアの価値は色の質や明度、また透明度や内部のクラックやインクルージョンの有無など、複数の要素で判断されます。良質なサファイアであるかどうかを判断するポイントは複数あり、総合的に考慮するべきでしょう。
価値基準① 色
サファイアの価値を決めるポイントは複数ありますが、その中でも最も重要なのが「カラー」です。青色のサファイアが最も高価で、特に「ロイヤルブルー」と「コーンフラワーブルー」が人気で高値で取引されています。
ゴールデンサファイアやパパラチャサファイアも評価が高く、一方で希少なカラーリングや美しい色合いのサファイアも高く評価されます。サファイアの価値は国際的な基準がなく、鑑定士によって異なるため、査定額も異なるようです。
価値基準➁ 内包物
サファイアの価値基準のひとつは、透明度の高さです。宝石の透明度を示す「クラリティ」が重要で、高いクラリティを持つサファイアは、内包物であるインクルージョンや傷が少ないとされています。
一般的に、宝石の価値はインクルージョンが少ないほど高くなりますが、サファイアでは棒状のインクルージョン(ルチル)が、星のような光の筋に見えることがあります。
このスター状の筋があるサファイアは「スターサファイア」と呼ばれ、希少価値があるため高く評価されます。
価値基準③ 大きさ
サファイアの価値基準のひとつは、宝石の大きさです。他の宝石同様、サファイアも大きい方が一般的に価値が高くなります。宝石の重量を示す「カラット」は、1カラットが0.2グラムに相当します。
ダイヤモンドなど他の宝石では、10カラットは高価なものになりますが、サファイアは大粒なものが多く、20カラットを超えるものもあります。
大きなサファイアはそれだけで高い価値がありますが、たとえ小さなサファイアでも大きさ以外に優れた要素があれば、高額で取引されることがあるようです。
価値基準④ 加熱処理の有無
サファイアの価値基準のひとつは「熱加工の有無」です。一般に、サファイアは加熱処理によって色味が深くなります。そのため、市場に流通しているほとんどのサファイアは加熱処理されています。
もちろん加熱処理が施されているからといって、価値が大幅に下がることはありません。ただし、着色目的の拡散加熱処理を施されていると、価値が低くなることがありますので注意してください。
稀に存在する加熱処理が施されていないサファイアは、貴重なため通常よりも高値で取引されています。
価値基準⑤ 原産地
サファイアの価値基準のひとつは「産地」です。特にブルーサファイアは、産地が価値に大きな影響を与えます。世界各地の高山から採掘されるサファイアは、産地によってカラーやクオリティが異なります。
中でもカシミール産サファイアは自然な美しさがあり、加熱処理なしでも輝きます。これらは「カシミールサファイア」として知られ、柔らかで繊細な色合いが特徴です。残念ながら、掘りつくされたといわれているため、現在ではますます価値が高まっています。
サファイアの輝きやカットは価値に影響を与える?
輝きやカットは、サファイアの価値に影響を与えます。輝きはサファイアの内部の光の反射や、外部の光の反射によって生じるもので、カットの質によって異なります。また、カットの精度や形状も価値に影響を与えます。
輝きが価値に及ぼす影響
輝きは「テリ」と呼ばれています。これは表面光沢などの輝きを指します。サファイアのテリは、内包物の少なさや入り方も影響します。上質なサファイアは必然的に良いテリを持っています。また、テリはカットの種類や内包物によっても変わります。
ただし、色が悪くてもテリが良いサファイアは高価で取引されることはありません。カラーや透明度よりも価値に及ぼす影響は低いのですが、上質なサファイアは自然とテリも良い傾向があります。
カットが価値に及ぼす影響
サファイアの輝きと美しさを引き出すカットは、原石の形状やサイズによって、柔軟にかつニーズに合わせることにあります。そして高度な技術と精密さが必要とされます。
サファイアのカットは、一般的に楕円形のオーバルカットが多く見られます。他にもカボション・ハートシェイプ・ペアーシェイプ・スクエアなどがあります。しかし、サファイアの価値はカットの形よりも、色や透明度が重要です。デザインの影響は比較的低いでしょう。
サファイアの種類とそれぞれの特徴
サファイアは世界各地で採掘されていますが、特に有名な産地としては以下の地域です。これらの産地から採掘されるサファイアには、地域ごとに特徴や色合いがあり、それぞれの産地で異なる魅力があります。
スリランカ産サファイア
インド洋に浮かぶ島国スリランカ。長い歴史を持つ宝石の宝庫であり、サファイアをはじめとするさまざまな宝石を産出しています。スリランカ産の無処理のサファイアは、上質で透明度が高く、やや紫がかった青色が特徴です。
1977年頃、採掘の過程で破棄されていた「ギウダ」という半透明で乳白色の結晶石が、加熱処理により美しいブルーサファイアに変わることが判明しました。しかし最近では、供給が減少しているようです。
マダガスカル産サファイア
アフリカ南東部沖に浮かぶ巨大な島国マダガスカルは、アクアマリンやサファイアなどを産出する国です。現在では宝石の採れる国として注目を集める、サファイアの主要な産地です。
質も量も素晴らしいマダガスカル産サファイアは、多くは加熱処理が施されています。サファイアは一般的に加熱処理されているので、価値が低いということはありません。品質の高いものも多く、外見や価値はスリランカ産と似ています。
スターサファイア
星が浮かんでいるような、神秘的な輝きを放つスターサファイア。ブルーとグレーのコランダムがカボションカットされることで、スター効果(アステリズム)が見られるものを指します。
産出量そのものが少ないスターサファイアは、多くがスリランカから採掘されています。地色が美しいほど価値が高く、スタールビーと並ぶ人気があります。
スターサファイアは、熱を加えると色を薄くすることがあるため、扱いには注意が必要です。
カシミール産サファイア
インドとパキスタンの国境にあるカシミール。カシミール産のサファイアの魅力は、やや白みがかった柔らかなブルーにあります。「コーンフラワーブルー」や「ベルベティブルー」と呼ばれる色調は、和名で矢車草という美しい花の色合いに例えられます。
しかし、カシミール産のコーンフラワーブルーは非常に高価であり、他の産地のサファイアと比べると価値が高いです。カシミール産サファイアは現在では採掘が行われておらず、幻の宝石とされています。
ミャンマー産サファイア
東南アジアの国ミャンマー(旧ビルマ)。ミャンマー産のサファイアは産出量が少なく、しかし大粒で深い青色のものが多く採掘されます。特に美しいものは「ロイヤルブルー」と呼ばれています。
このロイヤルブルーのサファイアは非常に希少で、やや紫がかった青で彩度の高いディープパープリッシュブルーを差します。大粒に見られることが多く、少なくとも3ct以上はあるでしょう。
宝石の色はファセットが生み出す立体的なモザイク模様で、その調和が美しさを引き立てます。
今のサファイアの主要産出国
現在のサファイアの主要な産出国は「スリランカ」です。スリランカでは高品質で輝き(テリ)が良く、透明度が高く、濃い色合いのサファイアが産出されています。他には、マダガスカルやミャンマーも重要な産地として知られています。
インドのカシミール地方に加え、ビルマ産サファイアも濃い青色で透明度が高く、無加熱であれば最高ランクに評価されます。しかし、現在は良質なサファイアの産出は稀なようです。
サファイアの色の種類とそれぞれの価値
サファイアの色はブルーだけでなく、さまざまな色があります。コランダム鉱物で赤色はルビーと呼ばれ、その他の色はサファイアです。青や緑、ピンクなど多彩な色があり、これらは「ファンシーサファイア」と総称されています。
ブルーサファイアの価値
青色のサファイアは「ブルーサファイア」と呼ばれ、最も価値が高いとされています。濃い青色ほど価値が高く、産地によって名称が異なります。カシミール地方の「コーンフラワーブルー」は最高峰とされ、採掘が終わった今では幻のサファイアと呼ばれています。
スリランカやマダガスカルでも価値の高い青色が産出され、ギウダと呼ばれる半透明で乳白色の原石に加熱処理を施し、青色を強調させたものが主流です。
パパラチアサファイアの価値
夕日のようなピンクとオレンジが混じった色合いの「パパラチアサファイア」は、蓮の花の色に似ていることから名付けられました。高い希少性を持つため、一部はブルーサファイア以上の価値がつけられることもあります。
また、「アレキサンドライト」や「パライバトルマリン」と並び、世界三大希少石の一つとされています。主要産地はスリランカ、マダガスカル、ベトナム、タンザニアなどで、コレクターからも高い人気を集めています。
ピンクサファイアの価値
ピンクサファイアの色合いは、コランダムの内包物である、クロムの濃度によって決まります。最も濃いピンクは「ホットピンク」と呼ばれる貴重なサファイアになります。
薄いピンクは「パステルピンク」、濃いピンクは「ラディッシュピンク」と呼ばれ、どちらも可愛らしい色なので、ジュエリーとしての人気はとても高いです。
イエローサファイアの価値
イエローサファイアは黄色系の色合いで、淡いレモンカラーから黄金色のゴールデンカラーまで色幅があります。サファイア独特の特性である、奥行きがある輝きがとてもきれいです。
インドでは「プクラジストーン」や「オリエンタルトパーズ」と呼ばれるほど神秘性があり、さまざまな幸運や富を与える強いエネルギーを秘めた石とされています。また『知恵の石』、『愛の守護石』として人気があります。
黄色味があると、加熱処理やベリリウム拡散処理などの加工が、施されているものが一般的です。そのため、未加工のイエローサファイアは非常に希少なので、コレクターの間でも高い注目を集めています。
パープルサファイアの価値
高貴で上品なカラーのパープルサファイアは、かつては「オリエンタルアメシスト」と呼ばれていました。その色合いは、チタンや鉄、クロムの組み合わせにより彩られています。
実はピンクサファイアよりも希少な色合いです。スリランカでは、パープルサファイアの産出量は全体の約15%程度と非常に希少です。そのため、パープルサファイアは他の色のサファイアよりも高い価値があります。
グリーンサファイアの価値
グリーンサファイアは、青色と黄色味が混ざることで緑色になります。エメラルドのように発色が良い緑色ではなく、ややくすんだ深い色合いです。ファイアの中でも最も愛に溢れる癒やしの宝石として人気があります。
濃い色の「ボトルグリーン」や淡い黄緑の「ライムグリーン」などに分かれ、色合いによって名称が変わります。ファンシーサファイアの中では価値は低いものの、色にムラのないグリーンサファイアは非常に貴重です。
ホワイトサファイアの価値
ホワイトサファイアは色をもたないカラーレスです。ファンシーサファイアの色の原因となる微量元素がないホワイトサファイアは、サファイアの原型といえるでしょう。
力強い輝きと神々しい明るさから、ダイヤモンドの代わりとして人気となりました。古代エジプト人はホワイトサファイアを、何でも見える「ホルスの目」にたとえ、ギリシャでは「太陽神アポロンの石」としてデルフォイの神託所に祭っていました。
まとめ
サファイアは「慈愛」「誠実」などの石言葉で知られ、一途な愛の象徴として婚約指輪にも使われています。今回お話ししたサファイアが持つ、その美しさや魅力を知る機会となれば嬉しく思います。