ダイヤモンド
価値の高い宝石として、やはりダイヤモンドは外せません。「ダイヤモンドは永遠の輝き(A Diamond is Forever)」に象徴されるデビアス社の巧みなブランディングによって、ダイヤモンドは、結婚指輪の代名詞、憧れの宝石としての地位を不動のものにしました。ダイヤモンドの採掘は19世紀後半より活発化し、世界中で盛んに採掘されてきましたが、昨今では採掘しつくして閉山してしまうダイヤモンド鉱山も増えています。そのため、天然ダイヤモンドの希少性が向上し、さらに価値が向上していくことも考えられます。
また、ダイヤモンドには「4C」と呼ばれる世界共通の評価基準が存在します。4CはColor(色)・Carat(重量)・Clarity(透明度)・Cut(カット)という4つの“C”からダイヤモンドの価値を評価するというものです。カラーにおいては無色透明に近いほどグレードが高く、カラットにおいては重量が大きいほどグレードが高く、クラリティにおいてはインクルージョン(内包物≒不純物)が少ないほどグレードが高く、カットにおいてはダイヤモンドの反射を効率的に引き出している均整がとれた研磨であるほどグレードが高いということになります。そのため小さくても、無色透明に近く、不純物が少なく、質の高い研磨が施された石であれば、高価買取の可能性は期待できるでしょう。
また無色透明ではないダイヤモンドは「ファンシーカラーダイヤモンド」と呼ばれ、ホワイトダイヤモンドとは別の高い価値を有します。例えば持ち主に破滅をもたらすといわれるホープダイヤモンドに代表される「ブルーダイヤモンド」は、ホウ素が入ることによって美しい青色を湛えます。また、女性に特に人気の高い「ピンクダイヤモンド」はオーストラリアのアーガイル鉱山からしか採掘されず、採掘量も極めて低いため、とくに高価なダイヤモンドとして有名でしたが、アーガイル鉱山の閉山によりその希少価値に拍車がかかりました。
エメラルド
エメラルドも高価な宝石として古くから知られています。その深く鮮やかな緑色は、生命や再生の象徴として讃えられ、クレオパトラの時代から珍重されてきた由緒正しい宝石です。エメラルドはベリリウムとアルミニウムを構成元素にもつベリル(緑柱石)の一種で、鮮やかで美しい緑色をしているものが特にエメラルドと呼ばれます。このエメラルドの緑色は、クロムやバナジウムに由来しています。天然に産出するエメラルドにおいて、大きく不純物の少ない原石が採れることは、非常に非常に稀であり、小さい石でも普遍的な価値を持っています。また、エメラルドは内部に無数の傷を内包しているため、加工の段階で欠損を起こすことが多く、高度な加工技術を要することから、高価になりやすいという背景もあります。スクエアフォルムのエメラルドカットは原石の形を活かし、研磨による欠損のリスクを押さえつつ、エメラルドグリーンの深みを活かすエメラルドのためのカットとも言えます。
エメラルドの中でも特に価値が高いのがコロンビア産です。コロンビア産のエメラルドは、色合いにおいて透明度と彩度のバランスがよく、鮮やかな発色を持つものが多いのです。また「トラピチェ・エメラルド」とよばれる、放射状に延びた6本の筋の入ったエメラルドは希少価値が高く、サイズに関係なく高価な買取が期待できるでしょう。
ルビー
燃えるような鮮紅色で愛の象徴としても名高いルビーも、ダイヤモンドと比肩する価値の高い宝石として有名です。古くは解毒作用や悲しみを拭い去る効果がある石と信じられ、キリスト教世界ではキリストの血を象徴する神聖な石とされました。ダイヤモンドの研磨法が発見される以前は最も高価な宝石であり、古くはサンスクリット語で「Ratnaraj」、宝石の王とも呼ばれました。ちなみにRubyという言葉はラテン語のRubens(=赤い)が語源です。ルビーは鉱物学的には後述のサファイアと同じ「コランダム」という鉱物に属し、コランダムの中で鮮紅色を持つものはルビー、それ以外の色のものはサファイアと呼び分けられます。ルビーが赤いのは、わずかに含まれるクロムが石の持つ赤以外の可視光線を吸収するからです。
ルビーの中でも特に価値が高いのが「ピジョンブラッド」、つまり「鳩の血のような」と形容されるミャンマー産のビジョンブラッドルビーです。これはミャンマー産の最高級ルビーに贈られる賛美であり、鮮やかな深紅が堂々たる風格を備えたルビーです。また、ルビーやサファイアにはルチルが内包されることによって、針状インクルージョンが見られることがあり、星のような模様を浮かび上がらせたり、シルクインクルージョンと呼ばれる繊維状のきめ細かな編み目模様を浮かび上がらせるものがあり、ルビーに付加価値を与えます。
サファイア
サファイアも長い歴史の中で古くから価値が認められている宝石です。蒼空を映したようなロイヤルブルーのサファイアは、古くから天空と結びつけられたり、聖書にもたびたび登場する崇高な貴石でした。そのため、敬虔なキリスト教徒やキリスト教の聖職者は、サファイアの指輪を伝統的に着用します。ルビーの項で触れたように、サファイアはルビーと同じコランダムと呼ばれる鉱物です。ルビーが赤色のコランダムである一方で、それ以外の色はサファイアと呼ばれるため、青色のイメージの強いサファイアには実際のところ様々な色合いの石が存在します。
やはりブルーのサファイアはとくにポピュラーですが、「イエローサファイア」も金運や開運を司るパワーストーンとしても重要視されることもあり、人気の高いサファイアです。しかもトリートメント(加熱などの人工的な処理)を施していない天然の色味で鮮やかな彩度をもつものは希少なため、小さな石でも高価買取が期待できると思われます。
また、「パパラチア サファイア」といわれるサファイアも希少価値が高いです。パパラチアとは、スリランカで話されるシンハラ語で蓮の花を意味します。そんな蓮の花を連想させるようなチャーミングな橙色をおびたピンク色を呈したサファイアが、パパラチア サファイアです。また、サファイアもルビー同様、針状インクルージョンが美しい視覚効果をもたらしているものがあり、きれいな針状インクルージョンのものは「スターサファイア」と呼ばれ、高い価値をもちます。
まとめ
小さくても高価買取が期待できる宝石を紹介しました。地球が時間をかけて育んだ奇跡の結晶である宝石は人知を超えた幽玄なる美しさが備わっています。一言にダイヤ、ルビーといってもそのキャラクターは千差万別で、大きさだけではない価値を有しています。