ベリルとは
ベリルは和名では「緑柱石」と呼ばれる鉱物で、さらに詳しく言えば、ベリリウムとアルミニウム、ケイ素、酸素によって構成されている「ケイ酸塩鉱物」です。ちなみにこの世に岩石の形で存在する鉱物の大部分が、この「ケイ酸塩鉱物」です。また、ベリルの構成要素の一つであるベリリウムは、合金を作ったり、核エネルギーに利用されたりもする金属です。ベリルの存在は古くから知られており、起源1世紀、プリニウスの「博物誌」においてすでに、この宝石についての言及がみられます。berylは語源的には、ギリシャ語で「海の色」という意味の「Beryllos」という言葉がラテン語派生し「Beryllus」となり、英語で「Beryl」になったといいます。世界中で産出されますが、コロンビアやロシア、パキスタンやブラジル、アメリカなどが特に有名な産地です。鉱物の硬さを示すモース硬度では7.5~8とされ、ジュエリーとして身に着けるにも十分な硬さがありますが、ダイヤモンドやサファイア、ルビーほどは硬くないので、これらの宝石と一緒に着けると傷ついてしまう恐れがあります。
ベリルの種類
ベリルには様々な種類が存在し、それらは色の違いによって各々の呼称を持ちます。
エメラルド
翠玉(翠玉)とも呼ばれます。クロムやバナジウムを含むため緑色をしています。コロンビアやロシアのウラル山脈産のものは良質と言われます。
アクアマリン
鉄(二価鉄イオン)を含むため青色です。ブラジルやロシアのウラル山脈、日本でも産出されます。
ヘリオドール
名前は太陽を意味するギリシャ語hēlios(ヘリオス)に由来します。鉄(三価鉄イオン)を含むため黄色や黄金色をしています。加熱処理により三価鉄イオンは二価鉄イオンになるので、加熱するとアクアマリンになります。ロシアやブラジルで多く産出されます。
モルガナイト、レッドベリル
マンガンによる赤系の色合いを帯びます。淡いピンク色だと「モルガナイト」、濃い赤色なら「レッドベリル」と呼ばれます。
ゴーシェナイト
名前はアメリカ マサチューセッツ州ゴーシェンで発見されたことに由来します。アルミニウムを含み無色です。
パワーストーンとしてのベリル
ベリルには様々な種類が存在するので、パワーストーンとしての機能も多様です。感情に働きかけるパワーストーンと言われ、直感を研ぎ澄ましてくれます。また、負のエネルギーを抜き去り、問題の解決や仲裁、緊張状態の緩和などの効果が期待できるとされています。黄金色に輝く「ヘリオドール」は太陽エネルギーを司り、精神を刺激し、意思を強く持つことを助けてくれます。「エメラルド」は希望のシンボルです。またベリルによって能動的に行動できるようになり、ストレスが軽減されることにもつながります。優しいピンク色を帯びる「モルガナイト」は心的問題を解消し、人の魅力を引き出すと言われています。ベリルはチャンスや平静、純粋さの象徴です。そのような側面から、インドでは結婚式で贈られる宝石でもあります。
ヒトのエネルギーに作用する効能としては、エネルギーのバランスを取り戻す効果があると言われています。持つ者に安らぎを与え、陰に支配されている人には陽のパワーをもたらします。精神面では、人のもつ精神的機能を高い次元に押し上げてくれます。思考レベルも向上し、普段よりも一歩引いて俯瞰することを助け、自分を客観視することができるようになります。したがってベリルは、ありのままの自分を見ることができるようにする、言わば内なるガイドです。それはつまり、私たちが日常何気なくこなしている物事にも意識を巡らし、再考するきっかけを与えてくれます。したがって、自分の認識を刷新し新たな自分の可能性に気付くことを可能にします。
身体的効能としては、身体機能にバランスをもたらしてくれると言われています。また、呼吸器の機能を高め、血液の循環を促進します。さらに肝機能や骨髄にも働きかけるともされています。また、リンパ腫や動脈瘤を解消し、生理痛を和らげる働きも期待できるといわれています。
※パワーストーンとしての効能は医学的・科学的に実証されたものではありません。
まとめ
このようにベリル(緑柱石)には、色によってエメラルドやアクアマリン、モルガナイトなどと様々な名称をもつ宝石が属しています。純度の高いエメラルドは非常に高価ですが、アクアマリンやモルガナイトなどは比較的低価格で購入することも可能です。ベリルは調和をもたらしたり、人や身体を良い方向に導いてくれるパワーストーンでもあり、日常使いにするにもぴったりな宝石と言えるでしょう。豊富なバリエーションも選ぶ楽しみを与えてくれますね。