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ブラックオパールとは?最高級と言われる歴史と背景
ブラックオパールは遊色効果のあるプレシャスオパールの一種で、地色が暗色系のものを指します。オパール自体は古代ローマ時代にはすでに「神の石」として人々に重用されていましたが、ブラックオパールの歴史はそこまで古くはありません。
ブラックオパールはオーストラリアのライトニングリッジで1870年頃に初めて発見され、その後1903年に粒が大きく、良質なブラックオパールの密集している区画が発見されたことで一気に注目を集めることになりました。
それまでのオパールはホワイトオパールが主だったこともあり、遊色効果の強く見られるブラックオパールは上流階級の人々を魅了し、オパールの最高級品として扱われるようになっていきました。
ブラックオパールの基礎知識
ブラックオパールには様々な特徴や意味があり、人々からパワーストーンとしても重用されています。ここではそんなブラックオパールの基礎知識についてご紹介します。
ブラックオパールの基本情報 |
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日本語名(和名く | 黒蛋白石 |
屈折率 | 1.450 |
モース硬度 | 5〜6.5 |
主な産出地 | オーストラリア |
宝石言葉 | 「自信」「魅力」「カリスマ性」「威嚇」など。 |
遊色効果 | あり |
ブラックオパールの意味と宝石言葉
ブラックオパールの宝石言葉には「自信」「魅力」「カリスマ性」などがあり、所有者に確固たる自信をもたらす力が期待できます。
ポジティブで活動的な意味が込められているブラックオパール。地色でもある黒色は他の色に染まらないため、自分らしさを安定して保つことができます。
自分の信念に自信を持ち、周りに惑わされることなく独自の革新的なアイディアのもと行動する様子は、周囲の人に魅惑的に映ることでしょう。その迷いのない行動が、知的でカリスマ性のある存在だと感じさせるのです。
その言葉が象徴するように、ブラックオパールには、持ち主に確固たる自信をもたらす力が期待できます。
ブラックオパールの産出国や産地
オパールの主要産出国は、オーストラリアとメキシコです。またここ数年(2011年頃から)エチオピア産のオパールも、市場に多く出回るようになりました。これらの国以外にも、南米のブラジルやペルー、インドネシアなどでも採掘されます。
その中でも最高級ともいえるブラックオパールはオーストラリア産がほぼ100%を占めています。特にライトニングリッジ産のブラックオパールは「オパールの王」と呼ばれ、その美しい遊色効果によって世界中の人から愛されています。
ブラックオパールの効果や効能
宝石言葉にポジティブで活動的な意味が込められているブラックオパールは、自分らしさを保つこと以外にも「セクシャリティ・魅力・惹きつける」などといった意味も持っています。
オパールは水分を含む宝石の中でも珍しい存在であるため、アンチエイジングの効果があるともいわれています。「若々しくありたい」「魅力を高めたい」という願いに対してもおすすめしたい宝石です。
ブラックオパールの特徴や魅力
オパールの魅力は何といってもその不思議な色合いです。特にオーストラリア産のブラックオパールは、まったくと言ってよいほど同じ色の石は存在しません。また、異なった角度や光で見た場合の色合いの変化もオパールだけの特徴といってよいと思います。
どうして同じ種類の宝石で、ひとつひとつの石がこれほど違った表情を見せてくれるのかというと、オパール特有の色の変化のおかげです。このような色の変化を遊色効果(ゆうしょくこうか) と呼びます。
遊色効果という言葉自体が物語っているように、様々な色が遊んでいるように見えます。上質なブラックオパールなどを見ていますと、宇宙や海を連想させる神秘性を秘めており、石に引き込まれてしまいそうな、不思議な力を感じます。
遊色効果は英語で Play of collar (直訳すると、色の遊び) と呼びます。これは日本だけではなく、世界中の人々がオパールの不思議な魅力に引き付けられている証拠といえるかもしれませんね。
ブラックオパールの手入れ方法と注意点
宝石には、それぞれの特性に適したお手入れ方法があります。今は、インターネット等でそれらの情報を簡単に調べることができるようになりましたが、内容が各サイトで異なっていることも少なくありません。そこで今回は、ブラックオパールの正しいお手入れ方法についてご紹介していきます。
ブラックオパールの正しい手入れ方法
じつは、天然のブラックオパールはお手入れの際にそこまで神経質になる必要はありません。清潔で柔らかい布やセーム革などで軽く拭いたり、ぬるま湯につけて、柔らかいガーゼなどを使って優しく洗うことで、ブラックオパール自体にダメージを与えず、きれいにすることができます。
しかし、ブラックオパールを模したタブレットオパールやトリプレッドオパールなどの人工オパールに関してはお手入れの際に注意が必要です。詳しくは後述しますが、この2つのオパールには接着剤が使われているため、長時間水に浸けることで、接着面に水が浸入し色が消えたり変わったりしてしまうこともあります。
ブラックオパールの保管時の注意点
オパールは宝石の中で水分を含んでいる唯一の存在です。そのため、保管には気をつけるべき点があります。
水は温度によって固体(氷)や気体(水蒸気)になり、日常的に起こる温度変化で性質を変化させる物質です。そのため長時間、日に当たる場所に保管していると、オパール内に含まれる水分が変質し、オパールにくすみや色落ちが起こる事があります。
最悪の場合はそれが原因となって割れてしまうこともあるため、なるべく温度変化の少ない場所で保管するように心掛けてください。
ブラックオパールの偽物の種類と見分け方
品質の良いブラックオパールはどうしても希少性が高く、取引金額が高額になりがちです。そのため、本物に似せて作った偽物で騙そうとする人もいます。オパールの偽物は主に3種類あり、それぞれの見分け方についてご紹介します。
クリエイテッドオパール
クリエイテッドオパールは「人工的に造られたオパール」のことをいい、最も有名なものはフランス人のピエール・ギルソンという人が作り出した「ギルソンオパール」です。オパールを見慣れている専門家以外では見分けることは難しく、その色合いは、本物そっくりです。
しかし、これは消費者を騙す目的で作られたわけではありません。模造品というよりも、品質を安定させた再結晶宝石なため、天然のブラックオパールと同成分で作られており、安価に高品質なものを流通させているため、騙す目的で宝石販売店に並ぶことはほとんどありません。
日本でも京セラがクリエイテッドオパールを製造販売しており、非常に人気の高いアイテムとなっています。見分け方としては、人工的につくったオパールなため結晶構造が安定しており、遊色効果が写真のようにきれいに柱状に入っているという特徴があります。
タブレットオパール
タブレットオパールは天然で透明度の高いオパール(クリスタルオパールなど)の裏にオニキスなどの黒系で安価な宝石を張り合わせて作られたものです。素材が両方とも本物の素材を使っているため、遊色効果なども本物のブラックオパールと同様に見えます。
タブレットオパールだと知って購入する分には、同様の輝きをもつブラックオパールよりもはるかに安価に購入できるメリットがありますが、経年劣化によって接着面が剥がれてしまうデメリットもあります。
見分け方としては接着面が直線的になっていることが挙げられます。
トリプレットオパール
トリプレットオパールは薄いオパールの板を黒い石部分とプラスチックや透明な樹脂などで挟みこんで貼り合わせたものです。
オパールがほとんど使われていないことから宝石としての価値は一切ありません。横から見るとオパールの色がついている部分が薄く、不自然な色の違いがあります。
経年劣化により表面部分のプラスチックや樹脂に剥がれや細かなキズがでやすく、曇っているように見える場合もあります。ルースの状態だと天然のブラックオパールと比べると一目瞭然なことから、台座にセッティングする事で側面や裏の状態を見づらくしている場合がほとんどです。
ルース状態の確認ができないオパールジュエリーは信頼している店舗以外では購入しないようにしましょう。
ブラックオパールの価値基準
宝石はその品質や大きさ、形などによって価値が大きく変わります。ブラックオパールを含むオパールはそれらの基準に加えて地色や遊色効果の綺麗さなどによっても価格が大きく変化する宝石となっています。ここではブラックパールの価値を決定する基準についてご紹介します。
基準①遊色効果による価値
遊色として代表的なものはレッドやオレンジ、パープルなどがあり、特にレッドが一番希少で価値が高くなっています。中でもレッドオンブラックと呼ばれている黒い地色の上に真っ赤に燃える炎のようなレッドカラーが見られるブラックオパールは、数あるオパールの中でも最上級とされています。
ブラックオパール自体が年々産出量が減ってきているため、そのようなオパールは大変貴重で、そのようなオパールは今後さらに価値が上昇していくと考えられています。
基準➁模様による価値
遊色効果には様々な模様があり、特殊な模様には名前がついています。ここではそれらをご紹介します。
ハーレクイン
ハーレクインとは英語で道化師を意味する言葉で、中世に道化(ピエロ)が着ていた格子状の枠に様々な色が塗られたまだら模様の衣装のようなカラーパターンを表しています。様々なカラーパターンがオパールの中でも最も美しいとされていますが、希少性もダントツで高く、現在ではほとんど見ることの出来ないパターンです。
リボン
リボンのように色の帯が何本も横切っているカラーパターンをこう呼びます。とても珍しいパターンで、その中でもそれぞれの帯が異なった色で表現されるものは、特に希少価値が高く、ブラックオパールの中でも非常に高値で取引をされています。
植物形状
ブラックオパールには植物を連想させるカラーパターンが2つあります。
ひとつは様々な色合いの太目の斑が麦わらを重ね、交差させているように現れる「ストロー」、ふたつ目は深い地色に、もみ殻のような色合いが表現される「シャフ」があります。
どちらも遊色効果がはっきり見えるため、とても美しく見えるパターンです。
チャイニーズライティング
チャイニーズライティングとは、漢字のことです。たくさんの直線が色々な方向に交差して現れる様子が、西洋の人達には東洋の漢字に見えるようです。
遊色が直線的にいくつも現れることは珍しく、かなり特徴的な見た目をしているため、コレクターアイテムとして人気があります。
フラッシュ
ブラックオパールを動かした際に、特定の角度で鮮烈な色が見られるカラーパターンをフラッシュといいます。このタイプのオパールは特に指輪などに相性が良く、手の動きによって遊色が美しく輝きます。
基本的に特定の角度以外では色が見えませんが、稀に発色の仕方が猫の目のように細く、動かした際に光が付いてくるように見えるローリングフラッシュと呼ばれる珍しいパターンもあります。見た目が猫の目のように見えることからキャッツアイともいわれるとても珍しいカラーパターンです。
ピンファイヤー
それぞれの斑が、まるでピンで突いたように小さな点で現れることからこう呼ばれています。斑の明るい、発色のバランスの良いものは華やかな美しさを見せてくれます。
パレット
様々な色が、ある程度のサイズでちりばめられ、まるで画家の使うパレットのように見えることからこの名前がついています。
フレーム
ブラックオパール全体に帯や斑などの色が見られるものをフレームといいます。
基準③地色による価値
ブラックオパールオパールの美しさは遊色効果の綺麗さによって決まるといっても過言ではありません。その美しさは遊色自体の色や模様も重要ですが、遊色を描くキャンパスの役目を果たすオパールの地色も同じくらい重要な要素となります。
地色は暗い色ほど遊色効果がはっきり見られるため、ブラックに近づくほど価値が高くなります。ブラックオパールと呼べるのはグレー色までで、明るいグレーから白に近い色のものは、ライトオパール(ホワイトオパール)に分類されます。
また、ブラックオパールで地色がグレーのものは、セミブラックオパール、もしくはグレーオパールと分けて呼ぶこともあります。
基準④カット方法による価値
オパールの中で最も価値の高いカット方法はカボションカットと呼ばれる楕円のドーム型に研磨されたものです。しかし、中にはボルダーオパールやカンテラオパールのように、原石の形状をそのまま活かしたフリーシェーブとよばれるものもあり、形によっては高い評価を受ける場合もあります。
他の宝石でお馴染みのステップカットやブリリアントカットのオパールも稀にありますが、これは遊色効果のない原石の美しさを際立たせるためのものであるため、オパールとしての価値はあまり高くありません。
基準⑤状態による価値
ブラックオパール評価するうえで、オパールの状態も金額に大きくかかわります。割れや欠けなどはもちろん、ポッチやポッチラインと呼ばれる研磨面にある色の見えない部分が多いものや、ウインドウと呼ばれる、色が抜けてしまっている部分があるものもマイナス評価を受けます。
また、オパール部分の厚みも評価の対象になり、石の厚みが薄いものはフラットとよばれ、価値が低くなります。
一方で、マイナス要因となりうるインクルージョンやポッチ等にデザイン性が見られる時には、それが大きくプラスに働く場合もあります。
基準⑥産地による価値
ブラックオパールを含むオパールの90%以上はオーストラリアから産出されています。その中でも最初にブラックオパールが見つかったライトニングリッジ産のブラックオパールは「オパールの王」とも呼ばれており、査定を受ける際にもプラスに働くことが多いでしょう。
基準⑦重みによる価値
他の宝石と同様にブラックオパールも石の重さ(ct)で価値が変動します。しかし、他の宝石と大きく異なる点としてブラックオパールの場合は地色の石によっても重さが異なる事から、一概に重ければ高くなると判断することはできず、上述した要素を総合的に加味して価値が決定します。
ブラックオパールの希少性は色によって異なる
ブラックオパールは地色に曇りが無く、遊色効果が鮮やかなものほど価値は高くなっていきます。遊色効果の希少性は赤・オレンジが最も高く、続いてイエロー、ブルー、紫とされています。
もちろん色の希少性によって価値が変わりますが、実際の遊色効果の出方によってブラックオパールの希少性は大きく変わり、複数の色が出ているものや石の一部ではなく全体に色の変化があるものの方が希少性が高く、高価値となります。
ブラックオパールの値段と買取相場価格
ブラックオパールは地色や遊色効果によって価格が大きく変わり、同じカラット数であっても価格が10倍以上の差がつくことも珍しくありません。ここではそんなブラックオパールの値段の目安をご紹介します。
ブラックオパールの値段・価格帯
ブラックオパールは天然の鉱石になりますので、その品質によって価格が大きく変わります。
オパール内に内包物がほとんど見られず、尚且つ遊色効果がはっきりと出ているブラックオパールは、希少性が高く、たとえ1ctに満たない小さなものであっても10万円を超える価格で取引され、10ct程度の特大サイズになると500万円以上の価格がつくことも珍しくありません。
一方で、内包物などによってオパールがくすんで見えてしまっていたり、遊色効果がほとんど見られないものは、たとえブラックオパールであっても価値は低く、1万円を下回る金額で取引されてしまいます。
ブラックオパールの買取相場価格
ブラックオパールは中古市場でも人気の高い宝石で、「買取大吉」でも積極的に買取を行っている宝石です。ここでは、あくまで目安となりますが、ブラックオパールの買取価格をご紹介していきます。
ブラックオパール買取相場価格表 | |||||
カラット数 / オパールのランク | Sランク | Aランク | Bランク | Cランク | Dランク |
1.0ct | 21,000円〜 | 14,000円〜 | 7,000円〜 | 4,200円〜 | 1,500円〜 |
2.0ct | 140,000円〜 | 70,000円〜 | 42,000円〜 | 9,800円〜 | 3,000円〜 |
3.0ct | 210,000円〜 | 105,000円〜 | 63,000円〜 | 16,800円〜 | 4,500円〜 |
5.0ct | 350,000円〜 | 175,000円〜 | 105,000円〜 | 35,500円〜 | 7,500円〜 |
10.0ct | 1,050,000円〜 | 700,000円〜 | 525,000円〜 | 350,000円〜 | 15,000円〜 |
まとめ
オパールの中でも特に人気が高く、希少なブラックオパールについてご紹介しました。宝石の中にまるで宇宙が広がっているようなブラックオパールは、それぞれが独自性をもち、同じ物はひとつとして存在しないオンリーワンな存在です。
今回の記事を通じてブラックオパールに少しでも興味がわきましたら、是非自分のお気に入りを探してみてください。