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ボルダーオパールとは?カンテラオパールとの違いは?
ボルダーオパールを一言で伝えると、母岩(ぼがん)とくっついた状態で加工されたオパールです。ボルダーは英語で「boulder」と書き、「大きな岩」という意味です。褐色の鉄鉱石の隙間にオパールが生成されますが、オパールのみを取り出すことが難しいため、「母岩と共にカット(研磨)されたオパール」ということでこの名前が付けられました。
そんなボルダーオパールですが、似たものがあります。カンテラオパールです。
カンテラオパールの「カンテラ」は、スペイン語で「採石場」を指すのですが、母岩もカンテラと呼ばれるため、この名前になりました。
言葉という視点で見たら、どちらも同じオパールではないかと思います。ですが、違いが2点あります。
1点目はカットの違いです。ボルダーオパールは鉄鉱石の中に入り込んだ状態で産出されるため、形がでこぼこしたり、不定形であることがほとんどです。対してカンテラオパールは、カボションカットが施されます。
2点目は産出国の違いと母岩の性質です。ボルダーオパールの産出国はオーストラリアで、母岩が堆積岩や鉄鉱石です。カンテラオパールの産出国はメキシコで、母岩が流紋岩(りゅうもんがん)と呼ばれる火山岩になります。
カットの違いや国ごとの地質の特徴があるため、名前が違うのです。
ボルダーオパールの基本情報
ボルダーオパールの特徴ですが、以下の通りとなります。
名前 | ボルダーオパール |
---|---|
英語名 | Boulder Opal |
和名 | 蛋白石(たんぱくせき) 母岩付蛋白石(ぼがんつきたんぱくせき) 岩塊蛋白石(がんかいたんぱくせき) |
色 | 透明、乳白色 |
グループ(種・変種) | クリストバライト、トリディマイト、フィオライト |
硬さ(モース硬度) | 6.5 |
光沢 | ガラス光沢、樹脂光沢 |
化学成分 | SiO2・nH2O |
結晶系 | 非晶質(潜晶質) |
誕生石 | 10月 |
オパールの一種ですが、母岩とくっついた状態で加工されるため、和名は3種類となります。
では、このボルダーオパールを身に着けたらどのような効果があるのでしょうか。スピリチュアルな視点と産出国の特徴を併せて見ていきましょう。
ボルダーオパールの意味と宝石言葉
スピリチュアルな視点から見ていくと、ボルダーオパールは希望の象徴と言われ、いつでも前向きに過ごすことができる効果があります。オパールの中でも湧き出るエネルギーが強く、ポジティブな思考で考えることができ、体も健康になるよう不浄なエネルギーを浄化する力があると言われています。
宝石言葉には「希望・幸福・奇跡・発想・無病息災」などがあり、心や体の健康をサポートし、日々の仕事やプライベートを前向きにしてくれる力があることが分かります。
ホワイトオパールの産出国や産地
ボルダーオパールが採れる場所は世界中にありますが、その中でも有名なのは、オーストラリア北東部のクイーンズランド州です。ウイントン鉱区、クイルピー鉱区で産出されるといわれています。
オーストラリアでボルダーオパールが多く採れることから、「オーストラリアオパール」と呼ばれることがあります。
ボルダーオパールの効果や効能
ボルダーオパールにはポジティブな思考で考えられるとお伝えしましたが、そのおかげで閃きや発想力が豊かになる効果があります。持つ人のエネルギーレベルを高め、自分の殻を破ることができるでしょう。
また、恋愛成就を助ける効果もあります。スピリチュアル的に「ラブストーン」とも呼ばれ、パートナーとの絆を強くすると言われています。
運気を上昇し、どのような場面でもサポートしてくれる宝石だと言えます。
ボルダーオパールの特徴や魅力
ボルダーオパールは「母岩がある」という、他のオパールにはない個性を持ったオパールです。ここではそんなボルダーオパールの特徴と魅力についてご紹介します。
岩の隙間や亀裂に形成されるオパール
前述でも触れましたが、ボルダーオパールは堆積岩や鉄鉱石の表面や亀裂の間に生成されるオパールです。母岩の中にオパールが付着しているため、模様も様々です。
後述でご紹介しますが、見た目が美しいほど価値があるため、色のグラデーションの美しさが損なわないよう様々なカットがあります。
色彩豊かな遊色効果が美しい
ボルダーオパールはプレシャスオパールの一種で、遊色効果があります。遊色効果は、宝石の表面からゆらゆらと様々な色が沸き上がる効果のことです。虹やオーロラのように揺らめき、この効果のことを英語で「プレイオブカラー(Play of Color)」と呼ばれています。
ボルダーオパールも見る角度によって、様々な色が表れます。豊かな色彩に思わず見惚れてしまうでしょう。
研磨方法によってオリジナリティが生まれる
ボルダーオパールは母岩が入るかたちでカット(研磨)される宝石です。理由は鉄鉱石の隙間にあるオパール成分はとても薄く、オパールのみをカットするのが困難だからです。
母岩と一緒にカットされるため、形も様々です。それはつまり、自分だけの特別な宝石として楽しむことができると言えます。
カットによってオリジナリティが生まれるのも、ボルダーオパールの魅力です。
ボルダーオパールの6つの種類
ボルダーオパールにはどのような形で売り出しているのでしょうか。ここでは商品として流通している、代表的な6種類をご紹介します。自然の中でできた複雑な模様や不思議な姿は、まさにボルダーオパールの魅力といえます。
ボルダーのフルフェイス
まずは前提として、ボルダーオパールの中で「ボルダー」と呼ばれているものがあります。ややこしいですが、種類を分けるためにできた「総称」だと思ってください。その「ボルダー」には2種類存在します。その1つがこのフルフェイスです。
文字通り、母岩にあるオパール層に沿って全面フルにカットされたものです。母岩を切断するので、必然的に母岩の表面にきれいなオパール層が現れます。
ボルダーのパターンボルダー
2つ目はパターンホルダーです。こちらも「ボルダー」と呼ばれているボルダーオパールです。
こちらは、母岩にある複数のオパール層を垂直にカットしたもので、母岩とオパールが模様のように浮き上がります。
カットする方法を変えるだけで模様が変わるのは、ボルダーオパールならではです。
クリスタルボルダー
オパールの中でも水のような透明感があり、遊色効果が鮮やかに見えるものをクリスタルオパールと呼んでいます。つまり、このオパールが母岩とカットされたものは、「クリスタルボルダー」ということです。
文字が書かれた用紙の上に乗せたら文字が浮かび上がるくらい透明度が高く、遊色効果もはっきりしています。特にフルフェイスでカットしたものは美しく、高価なものが多いです。
ブラックボルダー
これは文字通り、黒に近い母岩の上にオパール成分が入ったボルダーオパールです。
見た目はブラックオパールに近いですが、母岩の隙間にもぐりこんだオパールを磨きだしているため、形を整えることが難しく、表面がでこぼこしています。
遊色効果はブラックオパールのように、とても鮮やかです。
ボルダーマトリックス
パターンボルダーの仕方でカットし、母岩の中にあるオパールが網目のように張り巡っているボルダーオパールのことです。
母岩全体にオパールが張り巡っていて、遊色効果がネットワークのように様々な線が重なっているような模様が特徴です。
人気が高く、風景や絵画のようにも見えることから「ピクチャーオパール」とも呼ばれています。
ナッツ
ナッツのように見える、希少性の高いボルダーオパールです。オーストラリアのクイーンズランド州ヤワ近郊で採掘されることから「ヤワナッツ」と呼ばれることもあります。
原石を真っ二つに割るとき、稀に綺麗なペアの状態で現れることがあり、その希少性の高さを知る収集家たちの「垂涎(すいえん)の品」となっています。
ナッツが複数確認された場合は、コングロマリットと呼びます。
ボルダーオパールの偽物の見分け方
他のオパールと同様にボルダーオパールにも偽物が存在します。
主な手口としては、タブレットオパールと呼ばれる人工オパールで二枚の鉱物を貼り合わせたものです。表面にオパールを乗せて裏面にあるプラスチックなどの素材で貼り付けています。
上から見れば天然のオパールなので、横から見ないと判断できません。接着面となるくっきりとした直線(境界線)があれば偽物の可能性は高いでしょう。
しかし、最近はアクセサリーなどで裏面を隠して見分けをつかなくする手口もあります。巧妙さが増しているため、素人に本物かどうかを区別できるかと言われると難しいです。
無理に判断せず、鑑別機関などのプロを頼るか、本物を扱っている信頼できるショップに相談しましょう。
ボルダーオパールの価値基準
ボルダーオパールの魅力を説明しましたが、どんなものが評価が高いのか気になるところだと思います。
宝石の形なのか色なのか・・・・・・考える点は色々ありますが、価値のあるボルダーオパールは以下の4つの基準が高いです。
基準①遊色効果による価値
遊色効果は、色の数の多さと発色する色全体のバランスが良いほど評価されます。赤や橙(オレンジ)といった暖色系の色がはっきり見えていればさらに高くなります。
ボルダーオパールの価値を決める上で最も大事な要素ですので、選ぶときは慎重に見てみましょう。
基準➁模様による価値
ボルダーオパールは様々な形で売られていますので、見た目の模様の美しさも重要な基準となります。特にパターンボルダーでカットされた珍しい模様や絵画のようなデザインであれば、評価が高くなります。
他のオパールでは表現できない、ボルダーオパールのならではの醍醐味と言えるでしょう。
基準③サイズによる価値
ボルダーオパールは母岩を含めた大きさなので、他のオパールと比べたら大きいです。ウォーターオパールのような美麗さのあるオパールを含んだ大きいものであれば評価が高いです。
ただし、大きいからといってオパールの層が薄く遊色効果がはっきりしない場合は低くなりますので、注意しましょう。オパールの層の厚みも評価の対象となります。
基準④状態による価値
カットの仕上がり、ひび割れ、陥没した穴の大きさなども評価対象です。ボルダーオパールは鉄鉱石の隙間にあるオパール層と母岩をカットしている性質上、100%マイナス要素のないものを探すのは難しいです。そのため査定者による基準によって変動しますが、目立つものでなければそれほどマイナス評価になりません。傷が目立っていたりカットの仕上がりが十分でなければ、もちろんマイナス評価です。
とはいえ、人によって考え方は違いますので、査定基準を確認するのも1つの手段でしょう。
ボルダーオパールの販売価格と買取価格
価値基準が整理されたところで、ボルダーオパールの販売価格と買取価格の相場を確認しましょう。製品の種類や経済情勢によって価格が変動しますので、「参考価格」として判断していただけたら幸いです。
ボルダーオパールの販売価格
石のみを購入しようと考えた場合、1カラットにつきおよそ1万円~3万円で取引されています。カラットの質量が大きいほど高価となり、遊色効果も鮮やかであれば100万円以上の価格になるものもあります。
アクセサリーは遊色効果がブルーやグリーンが濃いものであれば2万円~7万円程度となりますが、貴金属がダイヤモンドのような高価なものと組み合わせたり、ボルダーオパールの遊色効果に暖色系のものがあれば30万円前後の価格になります。
ボルダーオパールはブラックオパールと同様、採掘数が減少傾向にあります。そのため、販売価格は年々上昇傾向の模様なので、動向に注意しましょう。
ボルダーオパールの買取相場価格
買取相場を調べてみると、形やボルダーオパールそのものの色味によって変動しやすい傾向があります。質の悪いものであれば、12カラットでもおよそ3,000円で買取しているところもあります。
逆に「ボルダーオパールの価値基準」で述べた要素が高ければ、4万円以上で買取されており、高価な貴金属と組み合わせた商品であれば10万円以上の高額買取につながる実績もあります。
ブランドやデザイナーによっても変動しますので、査定してもらう場合はブランド品に詳しい買取店がおすすめです。「買取大吉」にもブランド品に詳しい者がいますので、ぜひご利用ください。
ボルダーオパールの失敗しない選び方
様々な種類のボルダーオパールを紹介しましたが、何を基準に選びたいでしょうか。最後に失敗しない選び方のポイントについてお伝えします。
外見の形から入る方が多いと思いますが、一番は遊色効果による輝きの強さが重要になります。何度もお伝えしましたが、遊色効果が暖色系の鮮やかなものをおすすめします。そのうえで形、カット、予算を考えて選びましょう。
ですが、偽物には要注意です。タブレットオパールのような人工オパールをはじめ、巧妙な手口で騙しています。高価な商品を購入する場合は信頼できる販売店で選びましょう。
まとめ
母岩すら芸術へと変えるボルダーオパールは、自然の神秘と大きなパワーを感じさせる、収集家も目を向けるほど希少価値の高いオパールです。
石によって様々な表情を見せ、加工方法によって見たことのないオリジナリティの高いものが生成できる魅力があります。収集家たちの視点から見ても収集価値の高いものがございますので、お守り代わりにお家に飾ってみるのもよいでしょう。