水晶(クリスタル)と石英(クオーツ)の違い
水晶とは鉱物学的には石英の仲間です。石英とは二酸化ケイ素の結晶です。ケイ素は地球の表面に大量に含まれています。大地を作る大切な元素がケイ素なんです。あなたの身の回りにある石ころや砂、岩にもケイ素が含まれています。ケイ素が含まれる化合物はたくさんありますが、その中でも特に多いのが二酸化ケイ素です。石造りの建物の材料に使われる花崗岩は主な成分は二酸化ケイ素。砂もほとんどが二酸化ケイ素です。だから砂は固いんですね。
大地の岩石に含まれる二酸化ケイ素が地中の熱で熔けて、ゆっくりと固まると結晶になります。これが石英です。溶けて固まるだけなら結晶にはならずにガラス質のようになります。結晶になるには熱水に溶ける必要があります。水晶は水に溶けるんです。溶けるといっても極わずかです。食塩の2000倍溶けにくいです。だからほんの少し溶けた二酸化ケイ素が、時間をかけてゆっくりと固まるんです。だから水晶ができるためには何千年とかかります。
特に長い時間をかけて結晶化したものは結晶の粒が大きく透明なものになりやすいです。大きな結晶になると人間の目でもはっきりとわかります。水晶クラスターから突き出ている多角形の塊。あれが結晶です。結晶が密集して生えているのがクラスターって事ですね。結晶化の時間が短いと小さな結晶になります。 早く冷えると結晶が成長する時間が短くなるんです。水晶と石英は同じ成分。二酸化珪素の結晶です。では水晶と石英の違いは何でしょうか?
奈良時代には白石英と水精という呼び方がありました。どちらも水晶を意味する言葉です。透明な石英を白水晶と呼んでいました。水精とは水晶の古い書き方です。透明な塊は水精と呼んでいました。天然ガラスも石英も区別はなかったようです。奈良時代には白石英と水精は区別していたようです。白石英は加工していない天然の姿のもの。水精は装飾品として加工された物だったようです。その後、水晶と石英の区別は曖昧になります。
明治以降。無色透明な石英を水晶。透明度の落ちるものを石英とよぶ習慣ができました。でもその境界はあいまいです。結晶が肉眼で見えるものを水晶という説もありますが、そうなるとビーズや丸玉のように加工したものは水晶とはいえなくなります。結局のところ水晶と石英の違いにははっきりとした定義はないんです。研究者、石ファン、業者。それぞれが自由に呼んでいます。つまり鉱物としては石英。なんとなく透明なものを水晶と呼んでいる。その程度の差なんですね。
水晶のパワーストーン的な意味
パワーストーンを持つならば、水晶はまず最初に揃えたい基本の石であり、様々な用途に使用できる万能のパワーを持ちます。石の収集は「水晶に始まり、水晶に終わる」といわれます。
【古代より神聖視されてきた石】
水晶は産出地も多いことから、古くから世界各地で神聖視され、宗教儀式や祈祷、浄霊、邪気払い、病を治療するため呪術ツールとして用いられてきました。
オーストラリアの先住民であるアボリジニの間では、水晶は霊力の根源であり、宇宙は虹色の蛇が水晶のパワーを借りて創り上げたという天地創造神話が伝えられています。
ネイティブアメリカンのメディスンマンは、水晶はグレートスピリットのチカラを宿した石と考え、ヒーリングに用いました。これはアメリカ先住民に限らず、世界各地のシャーマニズムに見られる傾向です。古代ギリシアでは、水晶玉を使って太陽光を集め、祭壇の火を付けたり、傷口の消毒をしたといいます。もちろん、予知を得るための占術のツールとしてもしばしば用いられてきたことは、一般にもよく知られています。
【日本における水晶】
日本でも各地で水晶を産出し、とくに山梨が大きな産地でした。弥生〜古墳時代には勾玉や玉が作られ、水晶を加工した工房跡なども各地で発見されています。こうした加工品は、豪族などの有力者しか持つことができなかったと思われ、大和朝廷成立後は、下賜品として使われたようです。
正倉院の中にも水晶の製品や薬としての石英が多数収納されていますし、甲府の玉諸神社は、水晶を御神体とする神社として知られています。
明治維新後は、水晶の加工品が海外にたくさん輸出され、明治天皇にも大きな水晶玉が献上されました。
山梨の職人は水晶の加工技術に優れ、世界的にも有名になりました。しかし今では掘り尽くされてしまい、現地で販売されている水晶や他の天然石は、ほとんど海外からの輸入品になっています。現在日本で商業的に水晶が採掘されている場所はありません。ちなみに日本の国石は水晶です。
高価買取になりやすい水晶の特徴は?
過去の傾向をみると、天然物かつ大きく、透明度の高い水晶は高価買取が期待できます。水晶には、人の手を加えない「天然水晶」と、二酸化ケイ素を人為的に結晶化させた「人工水晶(合成水晶)」の2種類があります。どちらもれっきとした水晶ですが、希少性の観点では、天然水晶に軍配があがります。また、10cmを超える大きなもの、極めて透明度の高いものは、高価買取が期待できるでしょう。