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宝石が枯渇しているので、投資として所持する人が増え始めている
宝石は長い年月をかけて地球の内部で作られるものです。例えばダイヤモンドであれば1.5億年以上もの年月を経てこの世に誕生します。ジュエリーを身に着ける文化は、今から3000年ほど前から存在しているといわれており、綺麗なものは高値で売れることもあってか、世界中の鉱山から多くの宝石が採掘されました。その結果、現在は世界規模で希少価値の高い宝石が枯渇してきています。そのため現在販売されている宝石の多くは、30~50年前に使われていたリングやネックレスなどの宝石を再利用して販売されるほどです。あなたが持っている宝石も、実は何百年も昔に採掘されてものかもしれませんね。
世界規模で良質な宝石は取れなくなっています。それに目を付けた投資家たちは今より価値が上がってしまう前に投資目的として購入します。なぜ金や時計ではなく宝石なのかというと、宝石はメンテナンスが不要。さらに、高値になる種類や産地、品質などを抑えて購入すれば“手堅い投資”となるからです。例えば、最高品質のコロンビア産のエメラルド2カラットの場合、10年前の小売りは500万円程度で購入できたのですが、現在は1,000万円程と、価格が2倍に上がりました。エメラルドはダイヤモンドに比べると流通量は1/20程度しかなく、高品質な石は採掘しきってしまったこともあり、価値が上がることはあっても下がることはありません。また、宝石は丁寧に扱えばバッグや洋服のように品質が損なわれることが少ないので、新品と中古の価格差がほとんどありません。
そのことから、日常的にジュエリーとして楽しみつつも投資目的として所持できるため、現物投資のひとつとして注目を集めています。
4大宝石、特徴と見分け方
宝石の数は200種類以上あり、主に流通されている数は30種類程度です。その30種類の宝石すべてに価値があるわけではなく、中には価値がゼロというものもあります。ダイヤモンドを除いた宝石は、産地によって査定額は大きく変わりますので、もし鑑定書・鑑別書をお持ちであれば確認してみてください。ちなみに、鑑定書・鑑別書に産地が記載されているのは海外で発行されたもので、国内のものは記載がありません。もしも鑑定書・鑑別書がなくても、プロの査定士は宝石の色合いによって大体の産地を判別することができます。なので、もし宝石の産地や価値がわからず売るのをためらっている方は、店頭に持ち込んでみて聞いてみるのもいいでしょう。
宝石中に一番人気ダイヤモンド
ダイヤモンドは「キンバーライト」と呼ばれる岩石から採れるのですが、そもそもどのようにして誕生したのでしょうか。地球の深部は高圧高温で、その中には炭素が存在しています。火山の噴火によって炭素が地表に押し出され、これまで高温下にあったものが急速に冷やされたことにより、ダイヤモンドが誕生した(キンバーライトができた)といわれています。キンバーライトができたからといって、ダイヤモンドを大量に採取できるわけではありません。およそ4tのキンバーライトの中から、ダイヤモンドはわずか0.2gほどしか採れないといわれています。また、その0.2gのほとんどは、内包物が多く含まれジュエリーとして活用できないダイヤモンドばかりです。
そのため、採掘や加工に多額の費用がかかることから、他の宝石に比べると高値で取引されています。全てのダイヤモンドが高いわけではなく、石の色や質によって同じサイズのダイヤでも5万円~100万円以上の価格差があります。ここからは価値のあるダイヤモンドの違いについてご紹介していきます。
◆ダイヤモンドは4Cと呼ばれる評価基準で価値が決まってきます
4Cとは
・Carat~カラット~(重さ)
・Clarity~クラリティ~(透明度)
・Color~カラー~(色)
・Cut~カット~(形や仕上げ)
上記、それぞれの頭文字のCから取った名前で、評価が高いものほど高値になります。またダイヤモンドのカットは30種類ほどあり、その中で一番高値になるのは定番のラウンドブリリアンカットです。ダイヤモンドが最も綺麗に輝く形状ということと、リングやネックレスへの再加工がしやすい形ということもあり、高値で売却することができます。ダイヤモンドは基本的に無色透明であればあるほど価値があるといわれ、黄色みがかっているものは安くなります。
ただし黄色味がかなり強いものはイエローダイヤモンドという、別名「ファンシーカラーダイヤモンド」といわれます。黄色以外にもピンクになっているものをピンクダイヤモンド、他にはブルーやグリーンといったカラーダイヤモンドもあります。ファンシーカラーダイヤモンドは、流通しているダイヤモンドの0.01%未満ほどしか出回っていないので、もしお持ちであれば高価買取にかなり期待できます!
また滅多に採れないこともあって、投資目的として所持される方も増えてきています。例えば同じサイズのラウンドブリリアンカットでも、4Cの評価によって買取金額は100万近く変わることもあります。4Cの評価でダイヤモンドの価格がすべて決まるわけではありません。その他のさまざまな要素(産出国や品質を保証している機関など)が考慮されて査定額として出てきます。もし大体の金額を知りたい場合は、当社が運営する「ブランドリバリュ―」の宝石ページで宝石の価値を調べることができます。鑑定書がお手元にあるのであれば、参考程度に確認してみてください。
◆天然ダイヤモンドを見分ける方法
ダイヤモンドに似た石と天然ダイヤモンドは、ほとんど見分けがつかないものです。しかし、多少正確さは欠けてしまいますが、見分ける方法を知っておくことである程度の判断はつきやすくなります。
①息を吹きかける
簡単に見分けられる方法として、「ダイヤモンドに息を吹きかける」というものがあります。天然ダイヤモンドは熱伝導に優れているため、息をフーッと吹きかけたときに曇るのはほんの一瞬です。これに対し、ジルコンやキュービックジルコニア、モアッサナイトは熱伝導率が低いので、曇っている時間が多少長くなります。
②線や文字が書かれた紙の上に置いて透かす
このほか、「線や文字が書かれた紙の上に置いてみる」という方法もあります。これは、天然ダイヤモンドの屈折率を活かした見分け方であり、天然ダイヤモンドの場合は線や文字を透かして見えません。なぜなら、天然ダイヤモンドは光を取り込むと屈折し乱反射するため、反対側が透けないためです。もし、線や文字が見えるようであれば、それは天然ダイヤモンドではないかもしれないため、より念入りに確認しましょう。なお、天然ダイヤモンドに近い屈折率を持つモアッサナイトの場合、ダイヤモンドと同じく線や文字を確認できない可能性があります。そのため、ほかの見分け方で再確認することをおすすめします。
➂油性ペンで書く・水滴を垂らす
天然ダイヤモンドの特性のひとつに、油に馴染む「親油性」があります。そのため、油性ペンを使用すればダイヤモンドに線や文字を書くことが可能です。もし石が油性ペンを弾き、線や文字を書けない場合は、天然ダイヤモンドではないと考えたほうがよいと言えます。ただ、油性ペンを使用する方法は、落とす時のことを考えてあまりおすすめとは言えません。また、天然ダイヤモンドには水を弾く「疎水性」もあり、水滴を垂らすとそのまま弾かれてしまいます。天然ダイヤモンド以外はそのまま水滴が残ってしまうので、容易に見分けることが可能です。
ダイヤモンドに次ぐ高い人気を誇るエメラルド
ダイヤモンドに次ぐ高い人気を誇るエメラルドは、鮮やかな緑色が特徴の宝石。内包物(インクルージョン)が多い宝石で、光に透かすと草や木々が生えている庭のように見えることから「天国の庭が見える石」と呼ばれています。エメラルドは主にコロンビアやブラジル、ザンビアなどの鉱山で採掘され、その中でもコロンビアで採れるエメラルドの質は高く、世界の60%以上の産出量を占めています。コロンビア産の特徴は、他の産地で採れたエメラルドに比べると内包物(インクルージョン)が少なく、色が濃くて透き通っています。
さらに他の産地では見られない、「三相インクルージョン」と呼ばれる個体が存在します。通常宝石の内包物は液体(水分)と気体(気泡)の2つです。しかしコロンビアで採れたものは液体と気体に加え、個体(塩)の3つの内包物が見えるのが最大の特徴です。なぜ他の産地にない個体(塩)が内包されているのかというと、30億年前のコロンビアは海の中にあり、その時に塩の結晶が内包されたことで、珍しいインクルージョンのエメラルドが誕生しました。もしお手元に鑑別書があれば、コロンビア産の三相インクルージョンなのか確認してみてください。国内で発行された鑑別書には産地の記載がありませんが、三相包有物と書かれていれば価値あるコロンビア産のエメラルドなのでぜひ確認してみてください。
そしてさらにその中でもムゾー鉱山で採れたエメラルドは、通常のものに比べると深みのある緑色で、柔らかな風合いがあることから希少価値が高く、査定額は高くなります。エメラルドは内包物が少なく色濃いものが高値になり、色があまりにも薄いものや、インクルージョンがあまりのも多すぎるものは安くなります。例えばコロンビア産以外で、色が薄くインクルージョンがたくさんあるものだと、10カラットほどある大きなエメラルドでも買取は30万円程にしかなりません。逆にコロンビア産で色が濃く内包物が少ない5カラットのものだと、200万円以上の値がつきます。
またエメラルドは他の宝石に比べると硬度が低く、少しの衝撃や急激な温度変化によって割れや欠けが起きやすい宝石です。表面に傷や欠けがあると査定額が30万円以上落ちてしまうこともあるので、取り扱いには十分に注意してください。
◆エメラルドの特徴と見分け方
エメラルドには、「天然」「合成」「イミテーション」があります。天然エメラルドは、ベリルに「クロム」もしくは「バナジウム」が含まれることによって美しいグリーンカラーに変化します。ルビーと同じく、天然エメラルドも奇跡的に作られるもので、色合いが薄いものはエメラルドとして認められず、「グリーンベリル」と呼称が変わります。合成エメラルドは、天然エメラルドと同じ成分でできているのが特徴です。「水熱法」と「フラックス法」で合成エメラルドは作られますが、商品としてきれいに仕上がるのはわずかと言われています。そのため、市場にたくさん出回っているわけではありませんが、天然エメラルドに比べるとリーズナブルな価格で購入することが可能です。
一方で、イミテーションは天然・合成エメラルドとは違った素材で作られています。非常にリーズナブルな価格で販売されており、また素人目でもイミテーションとわかるほど。そのため、イミテーションはすぐに見分けられますが、天然・合成は見分けるのが難しいと言われています。持っているエメラルドが天然か合成かを確認したい場合は、以下の方法を試してみるとよいでしょう。
①傷の有無を確認する
天然・合成エメラルドの見分け方には、「傷の有無を確認する」があげられます。合成エメラルドの場合、見た目をきれいにするため傷がない状態のものが存在します。しかし、天然の場合は自然につくられたものになるので、傷がない天然エメラルドは存在しないのです。そのため、傷がないエメラルドは合成である可能性が高いと言えます。
②紫外線ライトを当てる
このほか、天然・合成エメラルドの見分け方には「紫外線ライトを当てる」という方法もあります。エメラルドに紫外線ライトを当てた場合、強い赤色になるものは合成である可能性が高いでしょう。一方で、淡い赤色や黄緑色になる場合は天然・合成の判断が難しくなるので、100%天然・合成とは言い切れないのです。
女性から支持されるされることが多い宝石ルビー
赤色が特徴のルビーは女性から支持されるされることが多い宝石のひとつ。4大宝石の一つとして古来より重宝されてきたこともあり、時にはダイヤモンドよりも貴重とされていました。主な産地はミャンマー(ビルマ)やタイ、スリランカのアジア諸国で採掘され、産地によって特徴が異なります。実はルビーとサファイアは同じコランダムと呼ばれる同一の鉱物で、含まれる不純物の違いによって発色が赤になるのか青になるのか変わってきます。
基本的にルビーの原石で発色の良いものや透明感のあるものは少なく、それぞれの良さを引き出すために大半が加熱処理を行っています。加熱処理が行われているから「天然のルビーではない」と言われることも多いですが、それは誤った情報です。加熱処理を施さなくても鮮やで透明感のあるものも採れますが、流通しているルビー全体の5%以下なので、その希少性から価値は非常に高くなっています。
価値あるルビーの特徴として、ピジョンブラッドと呼ばれる鳩の鮮血のように真っ赤で透明感のあるものは、流通量が少ないことから非常に高値で取引されています。ピジョンブラッドはミャンマー(ビルマ)で多く採掘されていましたが、現在は枯渇しており質の良いルビーはほとんど出回ることがなくなりました。
◆ルビーの特徴と見分け方
ルビーにも「天然」と「合成」が存在します。天然のルビーはコランダムと呼ばれる鉱物の一種であり、その中に「クロム」という元素が含まれています。このクロムがルビーの特徴である鮮やかな真紅カラーを作り出しているのです。たとえば、コランダムにクロムの含まれる量が多いと色は濃くなり、反対に量が少ない場合はピンク色になります。ピンク色になったコランダムは、ルビーではなく「ピンクサファイア」になってしまうので別の宝石へと変わってしまうのです。
このように、ルビーはクロムの含まれる量によって大きく左右される宝石であり、自然に作られる確率はごくわずか。そのため、天然のルビーは希少性が高くなっています。合成ルビーは、天然に比べて鮮やかでとても美しい色をしており、内包物がほとんど含まれていないのが特徴です。天然ルビーには内包物が含まれているので、内包物の有無によって「天然か合成か」を判断できますが、中には内包物が含まれた合成ルビーも存在します。では、天然と合成はどのようにして見分ければよいのでしょうか。
①紫外線ライトを当てる
天然と合成ルビーの見分け方のひとつが、「紫外線ライトを当てる」です。ルビーに紫外線ライトを当てた際、強い赤色に輝いた場合は合成の可能性が高くなります。天然の場合も赤色に輝きはしますが、合成のように真っ赤にはならず淡い反応なので、光る具合で確かめられます。ただし、天然ルビーであっても稀に真っ赤に輝くケースがあるそうなので、この方法だけで判断しないよう注意しましょう。
②ルーペで内包物・気泡を確認する
天然と合成ルビーの見分け方には、「ルーペで内包物・気泡を確認する」も挙げられます。前述したように、ルビーをルーペで見たときに内包物がほとんどないものは合成である可能性が高いでしょう。また、気泡も同じく合成ルビーには含まれていないことがほとんどのため、内包物と一緒に確認するとよいでしょう。天然ルビーは自然にできたものなので、内包物・気泡が含まれているのが通常と言えます。
➂カットの状態を確認する
このほか、天然と合成ルビーの見分け方のひとつが「カットの状態を確認する」です。合成ルビーの場合は、左右対称で美しい形に仕上がっています。一方で、天然ルビーの場合は大きさと色を美しく見せるため、左右非対称になっているのが特徴。形を整えるためにカットするとサイズが小さくなってしまうので、天然ルビーは無駄なカットを防ぐために左右非対称になっているのです。
4大宝石の最後に紹介するのは神秘的な青色が特徴のサファイアです
4大宝石で最後に紹介するのは、神秘的な青色が特徴のサファイアです。ルビーと同じ鉱物で、赤色がルビーでそれ以外をサファイアと呼びます。なのでサファイアはブルーだけではなく、ピンクや緑、オレンジなども存在し、それらはファンシーカラーサファイアと分類されます。その中でもスリランカで採れるパパラチアサファイアという、オレンジとピンクの中間色の宝石が滅多にとれないことから、ファンシーカラーサファイアの中では非常に価値が高いです。サファイアが最も採掘されるのはオーストラリアですが、価値ある宝石と認定されているのは、ミャンマー(ビルマ)で採れたものです。
ビルマで採れたサファイアは熱処理を行わなくてもいいほど発色がよく、透明感のある美しさが特徴なので、市場では高値で取引されています。他にはカシミール産のサファイアも非常に価値が高いです。カシミール産のサファイアは全体の1/500ほどしか流通しておらず、1800年代後半に発見された以降、多く採掘してしまったことから、現在はほとんど採ることができなくなってしまいました。そのことから現在流通しているカシミール産のサファイアは、当時採れたものをリユースしたものが一般的です。
◆サファイアの特徴と見分け方
サファイアもルビーと同じく、コランダムの鉱物の一種です。前述したように、クロムの含まれる量によって色合いが変わるので、宝石の呼称も異なります。赤色であれば「ルビー」、それ以外が「サファイア」です。サファイアと聞くとブルーやピンクの色合いをイメージする方は多いはず。しかし、じつはサファイアにはほかにもホワイト、パープル、グリーン、イエロー、オレンジなどさまざまな色合いのものもあります。そんなサファイアには「含浸(がんしん)サファイア」と呼ばれるものが存在します。含浸サファイアとは、内包物やヒビが多いものに対して鉛ガラスなどを含浸し、見た目を美しくしたものです。つまり、天然であることには変わりはありませんが、ガラス含浸処理が施されていることによって宝石としての価値が下がってしまうのです。
では、天然と含浸サファイアはどのようにして見分ければよいのかというと、ルーペを用いて表面と内部を確認します。天然と含浸サファイアの見分け方として、まずルーペで表面をチェックします。サファイアの表面にヒビや亀裂などがついている場合は、含浸サファイアの可能性が高いでしょう。というのも、ガラス含浸処理は、サファイアの亀裂部分からおこなわなければならないので「亀裂が入っているのが通常」であるためです。この亀裂は消せないので、ヒビや亀裂が多いサファイアは含浸サファイアである可能性が高くなります。次に、ルーペで内部の気泡を確認しましょう。含浸サファイアの場合は、ガラス製品に見受けられる気泡が含まれています。そのため、気泡があるサファイアは含浸サファイアの可能性があります。
まとめ
過去と比べ、世界中で宝石の買取相場が高騰しています。特にダイヤモンド製品は世界中で需要が増加しているにも関わらず、中古市場での流通量が圧倒的に不足しています。また、ブランドの中古ジュエリーの市場も活性化しており、カルティエ、ブルガリ、ティファニーなどは特に買取価格の高騰が目立ちます。宝石を売るなら今がチャンスです!