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ペリドットの価値

ペリドットの価値

ペリドットとは、カンラン石(苦土橄欖石)の中で、宝石として扱われるものがこう呼ばれている。含有する鉄分の作用によって緑色を示す。ペリドットは、夜間照明の下でも昼間と変わらない鮮やかな緑色を維持したため、ローマ人からは「夜会のエメラルド」と呼ばれていました。今回はそんなペリドットについてご紹介します。

ペリドットについて

この石は、宇宙から地球へやってくる隕石と同じような成分をしており、古代の人々は『太陽が爆発して飛んできた石』など『太陽の石』として崇拝してきました。ペリドットは地中深くのマントル付近や溶岩で発見されますが、隕石の中で発見されたこともある神秘的な宝石でもあります。2005年には、スターダストロボットが宇宙から持ち帰った彗星塵の中からもペリドットが発見されました。

ペリドットは、ハワイでキラウエア火山の女神「ペレ」の涙とも呼ばれているそうです。まさに”太陽の石”といわれるごとく、ネガティブなエネルギーを取り除き、ポジティブなエネルギーをもたらしてくれます。夜に輝きを放つとされるペリドットは、暗闇への恐怖や妄想を吹き飛ばし、ネガティブなエネルギーから身を守る護符としても、活躍してくれるでしょう。怒りや悲しみなどマイナスな感情におちいりやすい人などには心を癒し、明るく前向きに生きていけるようサポートし、夢を実現させてくれるといわれています。

途中、自信をなくしたり意気消沈してしまったとき、この石をアクセサリーとして身につけてみてください。心が明るく太陽に照らされるように、ふたたび希望をもたらし向上心を復活させてくれるでしょう。この石は、どんな時にも明るい希望と勇気をもたらしてくれますので、マイナスの感情にとらわれやすい人には、身につけてお守りにすることをお勧めします。ストレスをやわらげ、持ち主の魅力を内面から美しく輝かせるサポートをしてくれますので、異性などからの注目度もアップすることでしょう。また、ペリドットは知能と関係が深く、知恵と分別を与えてくれる石とされています。

中世ドイツの女性神秘家ヒルデガルトは『この石を身につけている人は、知能が強化されます。初めから素晴らしい知能や技能を備えている人は、この石を心臓の上にあてることで、その知能や技能が失われることを防いでくれるでしょう。』と言っています。その豊かな心で夫婦の和合をはかり、お揃いで身につけることで、いつまでも仲の良い幸せな夫婦になるといわれています。朝露のような煌きと吸い込まれそうな透明感、そして若葉のような発色の「ペリドット」。爽やかな輝きは、宝石に入った光が二重の光となって出ていく「複屈折」という特性が大きく影響しています。

8月の誕生石にふさわしい強い煌めきは、夏の太陽の眩しさを連想させます。一方で、夜の薄明りの中でも色を失うことなく輝きを放つことから「イブニング・エメラルド」の別名を持ちます。昼も夜も輝く「光」の宝石です。

ペリドットの伝説について

古代ギリシャやローマのジュエリーに好んで使われたペリドットは、紀元前1500年にエジプト人がザバルガド島で採掘を始めて以来、常に人気がありました。ザバルガド島はのちにセント・ジョンズ島と呼ばれるようになる紅海の島で、エジプトの海岸から80キロ沖にあります。興味深いことに、「ザバルガド」はアラビア語でペリドットを意味します。

ペリドットは自然な光を放つため、昔から見つけやすい夜に採掘されてきました。古代エジプト人は、ペリドットは日光を浴びると見えなくなるとさえ言いました。興味深いことに、エジプト人はまたペリドットの色は太陽神ラーの金色の光を受け継いだものであり、危険から身を守ってくれると信じていました。

ハワイの先住民はペリドットを女神ペレの涙だと信じ、聖書では(ギリシャ語で「金色の石」を意味する古い名前クリソライトを使って)モーゼに授けられアーロンの胸当てにはめこまれた(出エジプト記28章15節から30節)「火の石」(エゼキエル書28章13節から16節)のひとつとされました。またエルサレムの城壁の土台石に使われた12の宝石のひとつであり(ヨハネの黙示録21章19節)、12使徒のひとりバルトロマイの象徴とされました。クレオパトラは見事な「エメラルド」のジュエリーのコレクションを持っていたと伝えられていますが、実際にはほとんどがペリドットでした。

オスマン帝国のスルタンは1300年から1918年の600年間にわたる統治の間に世界最大のペリドット・コレクションを成し遂げました。玉のみの宝石からイヤリング、リングなどのジュエリーまで、そのおびただしい数のコレクションは壮観です。パウダー状にしたペリドットは喘息の治療に使われ、熱の下がらない患者の舌の下にペリドットを入れると喉の渇きが癒されると言われました。ペリドットで作ったゴブレットで薬を飲むと、効果が上がるという言い伝えもあります。

海賊たちは、ペリドットには邪悪な霊や夜の恐怖を追い払う力があり、特に金にはめこむといいと信じました。ただし、悪霊を追い払うにはペリドットに穴をあけ、ロバの毛を通して左腕につけなくてはなりません。おそらく最も珍しいペリドットは宇宙から落ちてくるパラサイト(石鉄隕石)でしょう。パラサイトは1772年にドイツの科学者ペーター・ジーモン・パラスが発見しました。カットを施されジュエリーにはめこまれることもある、人類が知る数少ない大気圏外のジェムストーンです。2003年にペリドットは火星で発見され、地球以外の惑星で発見された最初のジェムストーンとなりました。

鉱物学

『ペリドット』という名は宝石名で、鉱物学では『オリビン』と呼ばれます。厳密に言えば『オリビン』もひとつのグループ名であり、この中には"フォルステライト"や"ファイアライト"といった変種も存在します。ペリドットは地球の上部、マントルの主要成分であり、ほぼカンラン石からなる岩石を『カンラン岩』と呼び、ダイヤモンドの母石『キンバーライト』はその一種とされています。この宝石が示す黄緑色は、12%~15%ほど含有された鉄分に起因し、そのほかにも含有されたニッケル分やマグネシウム分により、黄緑色や緑色、帯褐緑色などを示します。

マグネシウムの含有量が多いほど黄色が、鉄が多くなると濃い緑色になり、この緑は加熱処理することにより濃さを調節することが可能になります。火成岩の成分やその接触鉱物として産し、斜方晶系などの扁平結晶体で発見されることもありますが多くは塊状や粒状、砂状などで産出されます。ペリドットは、入った光がふたつの違う方向に進むほどの複屈折率が特徴です。地球上で形成される鉱物とは異質の特徴を示し、カットされた大粒の結晶は、非常に希少とされています。

ペリドットの産地

●ミャンマー(ビルマ)産

ミャンマー産ペリドットは、ルビーの産地で有名なモゴックの近くで産出します。10カラット以上の大粒のものも産出します。ミャンマー産は写真のように、ブラウンみが少なく、オリーブがかった美しいグリーンをしています。これはリカットによりプロポーションと仕上げを整えた、色の濃淡の織りなすモザイク模様が美しいものです。

 

●ノルウェー産

ノルウェーのサンモーア産の淡めだが純粋なグリーンのペリドットを見ると、ミャンマー産のものが見劣りしてしまいます。宝石は、色の濃淡よりも色の純粋さや鮮やかさ(彩度)が、さらにそれ以上に透明度の高さが美しさに大きく影響しているのがわかります。そのうえ色が1カ所に片寄らず石全体に豊富に見られ、形(なり)が良いことも重要です。

 

●アリゾナ産

アリゾナ産は産出が豊富ですが、ブラウンみや黒みの強いものが多く、またほとんどが5カラット以下の小粒のもので、手軽なアクセサリーとして使われています。しかし中には美しいグリーンのものも見られ、一律に低品質とはいえません。アリゾナ産、ミャンマー産、ノルウェー産の色みの差に注目してみましょう。特に、ジェムクオリティでの産地による稀少性の差は大きく、価値と価格に影響します。ペリドットは、茶色味のない、オリーブグリーンのものがグレードの高い石となります。

 

ただし、色が良くても傷があるものは価値が下がります。実はミャンマー産のペリドットは傷のある石が多く産出されるのですが、カットした上で仕上げているので、最高ランクの品質を保つことが可能だと言われています。19世紀以降に多くの宝石が出回るようになると、古代から愛用されていたペリドットの人気は次第に低下していきましたが、近ごろはその美しさが見直され、再び人気を博しています。

ペリドットの石言葉

8月の誕生石であるペリドットの石言葉は「夫婦愛」です。美しいグリーンは見ている人の気持ちを落ち着け、「持ち主の色欲をなだめる」と言われています。その性質から、浮気防止や夫婦円満に役立つと言い伝えられてきました。ほかにも、太陽の光が邪気を払ってくれると信じられてきたため、魔除け効果もあると言われています。このように、ペリドットは身につけることで、持ち主の「平和」や「安心」をサポートしてくれる宝石なのです。

太陽の石とも呼ばれるペリドットは、持っている人の心を明るく照らして穏やかにしてくれる効果があります。身につけていると気持ちが明るくなるだけではなく、周囲の人間にも明るく優しく接することができるようになるでしょう。人間関係のトラブルを未然に防いでコミュニケーションをサポートしてくれるペリドットは、毎日を穏やかに過ごしたい方にぴったりの宝石と言えます。ペリドットが持っている太陽の力は、穏やかさだけではなく活力ももたらしてくれます。身に着けているだけで気持ちが前向きになり、毎日を明るくエネルギッシュに過ごせるようになるでしょう。

ただエネルギッシュになるだけはでないのが、ペリドットの魅力。心を落ち着ける効果もあるため、静と動のバランスが取れた生活に導いてくれます。太陽のような明るさとパワーで暗闇に希望をもたらし、マイナスのエネルギーを取り除き、夢を実現させてくれるといわれています。後悔しがちな人、ネガティブになりやすい人、嫉妬や恨み、怒りを捨てられない人にもおすすめです。

心身を癒し、前向きに生きられるよう力強くサポートしてくれるでしょう。心の重荷や過去のことが気になって前に進めないとき、ネガティブな考えを取り除く助けになってくれるでしょう。また、ペリドットは「暗黒の波動を打ち砕く石」とも呼ばれ、古くから悪しきものを寄せつけないためのお守りとしても用いられていました。暗闇への恐怖を吹き飛ばし、邪悪なエネルギーをはね返して、深い知恵を与えてくれるでしょう。前向きに問題を解決できるよう働きかけるとされるため、仕事や人間関係でトラブルに直面したときにも、身につけるとよいでしょう。逃避的な考えを取り去り、過ちを素直に認め、自他を許せる気持ちをはぐくんでくれるはずです。

まとめ

宇宙の彼方から降ってくる唯一の宝石それがペリドットです。太陽系の火星と木星の間にある小惑星同士が衝突して、周囲に無数の岩石破片が砕け散り、そのうち幸運な一つが、地球の重力に引き寄せられて私達の棲む星に飛来します。古くは18世紀の1748年、帝政時代のロシア東シベリアのクラスノヤルスクに落下した680キロの隕石。時のロシア科学アカデミーが調べてみたら、それは「橄欖岩(かんらんがん)を多量に含んだ石鉄(せきてつ)隕石でした。地球中心部のマントル層の主要成分とも共通するこの橄欖岩は、奇しくも「橄欖石」すなわち公式名「オリビン」通俗名「ペリドット」を結晶させる母岩でもありました。それから1世紀半の19世紀末、米国ケンタッキー州イーグル・ステーションに落下した隕石の岩塊中に、橄欖石が見つかります。

かの鉱物学者G.クンツ博士に見出され、博士の属するティファニー社によって0.42カラットのクッションカットに研磨されたペリドットは、折から「1900パリ万博」に出品されて世界を驚かせます。そして、まだ記憶に新しい2013年2月の「チェリャビンスク隕石」。ロシア・チェリャビンスク州の湖に飛来した重さ10トン大きさ5メートル立方の石鉄隕石は、無数の標本に分割されて、東京のミネラル・フェアにもお目見えしました。会場で黒褐色の鉄橄欖石は沢山ありましたが、それと苦土(くど=マグネシウム)橄欖石との混合鉱物である緑色透明のペリドットは、残念ながら見つかりませんでした。

古代エジプトでは「太陽の石」と呼ばれていたように、希望に満ちた力を与えてくれるのがペリドットです。太陽は周囲を強く照らして、気持ちを明るくしてくれる力があります。ペリドットはマイナスをプラスに導く宝石として、昔から親しまれてきました。心を癒し、明るく前向きに生きていけるようサポートし、夢を実現させてくれる宝石と呼ばれており、人の内面の美しさ素晴らしさを引き出し、その人を輝かせてくれる力があります。パートナーとの関係をいま以上にすばらしくするために、身に付けてみてはいかがでしょうか。

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