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10月の誕生石「パライバトルマリン」の基本情報
パライバトルマリンの基本情報を表にまとめました。
項目 | データ |
---|---|
化学組成 | Na(Li,Al)_3Al_6(BO_3)_3Si_6O_18(OH)_4 |
色 | 青緑色、青色 |
硬度 | 7~7.5 |
結晶系 | 六方晶系 |
光沢 | ガラス光沢 |
透明度 | 透明から半透明 |
屈折率 | 1.614~1.666 |
二色性 | 強い |
分散 | 0.017 |
主な産地 | ブラジル(パライバ州)、ナイジェリア、モザンビーク |
以下より、さらに詳しく解説していきます。
パライバトルマリンの特徴
パライバトルマリンは「トルマリン」という、30種類以上の鉱物が属するグループの一つです。鮮やかなネオンブルーが特徴かつ産出量が少ないことから、アレキサンドライト・パパラチアサファイアとともに「世界三大希少石」と呼ばれています。
パライバトルマリンを構成する元素のほとんどは地球の表層付近で形成されますが、ネオンブルーカラーを構成する銅元素は、地球深部での形成です。
つまり本来交わらない二つの元素が、奇跡的に共存することで生まれたのがパライバトルマリンなのです。
パライバトルマリンのモース硬度
モース硬度とは、鉱物の硬さを評価する数値です。最も硬いダイヤモンドは10mohsで、パライバトルマリンは7~7.5mohsと評価されています。
モース硬度の評価基準は「鉱物同士をすり合わせたときにどちらに傷がつくか」を基準に評価しています。そのため、硬度が高いからといって、しっかり管理しなければ不用意に傷つけてしまうかもしれません。
特にパライバトルマリンは、特徴的な色合いを保つために適切なケアが必須です。軽く水洗いし、毛先の柔らかい歯ブラシや布を使って手入れを行いましょう。
パライバトルマリンの原産地
パライバトルマリンは「ブラジル(パライバ州)」「ナイジェリア」「モザンビーク」が原産地です。ただパライバトルマリンが登場した直後に需要が急増し、閉山する鉱山も出ています。
それぞれの原産地について、詳しく解説します。
ブラジル
パライバトルマリンが世界で最初に発見されたのは、パライバ州にあるバターリャ鉱山です。ブラジル産はもともと色の美しさから、高値で取引されていました。しかし現在はほとんど採掘されておらず、市場にも出回りにくいため価値が高まっています。
ブラジル産は銅の含有量が多いため、色が濃く鮮やかなのが特徴です。他の原産地にない独特のネオンブルーで、パライバトルマリンの中でも高値で取引されます。
ナイジェリア
ナイジェリアでは、2001年に発見されました。やや淡い色合いで、青みがかったアクアブルーやミントグリーンが多い傾向です。どちらの色も、パライバトルマリンの代表的な色と認められています。
色がやや薄めですが、透明度の高さとサイズが大きいものの多さから評価されています。ブラジル産より安価で入手しやすいものの、ナイジェリアも鉱山が枯渇していることから流通量は少なめです。
モザンビーク
モザンビークで発見されたのは、2005年のことです。ブラジル産とナイジェリア産の流通量が少ないのに対し、モザンビーク産は現在流通量の多くを占めています。
ナイジェリア産と同じく色が薄めで、ブラジル産に比べると価値が低めです。しかしまれに大きな原石や、ブラジル産のように濃い色のパライバトルマリンが採れることもあります。
大きなパライバトルマリンは、産地に限らず価値が上がります。そのためナイジェリア産も侮れません。
パライバトルマリンの歴史
1987年、ブラジルのパライバ州のサンジョセ・ダ・バターリャで、初めてパライバトルマリンが発見されます。現在ではネオンブルーのような色合いが一般的ですが、当時発見されたのは宝石なのか疑うほど深い青色でした。
発見から2年後に宝石市場デビューし、どの宝石とも比較できない色彩と希少性が大きな話題となります。2000年代に入ってからは採掘地が広がりますが、ブラジル産と比べ異なる特性を持つものも多数でした。
その分よりブラジル産の希少性が高まりましたが、現在では産出量が減少しモザンビーク産がほとんどとなっています。
パライバトルマリンの名前の由来
パライバトルマリンという名前は、初めて発見された場所である「パライバ州」と、セイロン島の現地語である「トゥルマリ(turmali)」が由来とされています。
1988年~1990年に発掘された深い青の宝石は「エイトリータ」と呼ばれていましたが、数年後にはパライバトルマリンと名付けられます。
和名は「リチア電気石(銅リチア電気石)」で、加熱すると電気を帯びる性質を持つことが由来です。電気と言っても過熱で発生するため、静電気とは異なります。
パライバトルマリンの石言葉や意味
パライドルマリンが持つ石言葉は「ルーツ」「友愛」「真実」「勝利」の4つです。深い意味を持つ言葉であることから、多くの人から魅力的に受け取られています。
それぞれどのような意味があるのか、順番に見ていきましょう。
ルーツ
ルーツは「根源」という意味の言葉です。人生においてはこれまでの経験や背景とも言え、どのような人生を送ってきたのかを想起させてくれます。
パライバトルマリンを身に着けることで、自分のアイデンティティを強く感じられます。あなたが大切にしているルーツをもとに、誇りをもって生きる力を与えてくれるでしょう。
また自身のルーツを知ることで存在意義や価値を理解し、より良い人生を送っていく効果も期待できます。
友愛
友愛は、人との絆や愛情を意味する言葉です。パライバトルマリンに電気を引き付ける性質があることから、大切な人との縁を引き寄せるという意味が生まれました。
普段から身に着けることで、家族や友人と過ごす時間をより深く感じられます。人生の中での出会いを大切にし、より感謝の気持ちを持てるようになります。
人間関係を円滑にしたい人や良縁を求める人は、パライバトルマリンを身に着けていくと良いでしょう。
真実
パライバトルマリンの透き通ったブルーの色合いから、偽りのない心を象徴した「真実」という石言葉もあります。人々の間での誠実さを表す言葉として評価している宝石愛好家も多数です。
パライバトルマリンの色合いには「真実を見通す力を与え、よりよい未来をつかむ」というスピリチュアルな効果があると信じる人もいます。
また人付き合いにおいても真実の言葉を交わし「嘘偽りのない人」として信頼関係を築いていける効果も期待できます。
勝利
どんな困難な状況でもあきらめずに前進する力を、パライバトルマリンは与えてくれます。電気を引き付ける性質があることから「勝利を引き寄せる」という意味が生まれました。
そのため、夢や目標に向かっていく勇気や力を身に着けたいと思っている人におすすめです。
またパライバトルマリンの他の宝石にない色合いによる存在感が、勝利というイメージにつながっています。大勝負や重要な目標がある場合、お守りとしての役割も果たしてくれるでしょう。
パライバトルマリンの効果
パライバトルマリンは、効果を持つ、スピリチュアルストーンとしても知られています。
・気持ちを切り替える
・自己肯定感を上げる
・直観力や判断力を上げる
・心を浄化する
・洞察力・想像力を高める
・魔除け
具体的にどのような効果なのか解説します。
気持ちを切り替える効果
ネガティブな感情や思考をクリアにして、前向きな気持ちに切り替える効果が期待できます。さまざまなストレスやプレッシャーにさらされている現代では、大きな効果と言えるでしょう。
パライバトルマリンには色合いや輝きによって、心を穏やかにしたりリフレッシュさせたりする効果があるとされています。混乱や迷いを取り除くことで、気持ちを切り替えられるのです。
また希少性や美しさが、自信や勇気を与えてくれるとも言われています。
自己肯定感を上げる効果
自己肯定感を上げる手助けにもなります。パライバトルマリンの色合いや輝きが心を癒し、自分のことを肯定的にとらえられるようになるでしょう。
日常の中で小さな成功や喜びを感じたり、目標への挑戦に自信を持って取り組んだりできます。大きな挑戦に成功すれば、より自己肯定感を高められるでしょう。
自己肯定感が低いと感じているなら、パライバトルマリンを身に着けてみるのも一つの手です。
直感力や判断力を上げる効果
持ち主の直観力や判断力を高め、成功につながる最適な選択をサポートする効果があるとされています。自信や勇気を与えてくれ、前向きな気持ちで日々の選択に取り組めます。
日常生活では、さまざまな選択を迫られる場面が多数です。その際に直観力や判断力を活かし最善の選択ができれば、求める成果や成功を得やすくなります。
普段迷いや不安を感じることが多いなら、パライバトルマリンを身に着けると良いでしょう。
心を浄化する効果
心の中にたまったネガティブなエネルギーを浄化し、クリアな状態に戻す効果が期待されます。パライバトルマリンを日常的に身に着けることで、心の安定をサポートしてくれる力が得られるとされています。
私たちの心は日常生活での人との関わりやストレスなどによって、曇りや混乱が生じやすい状態です。パライバトルマリンによって心を浄化させられれば、日々を気分よく過ごせます。
心を浄化させる効果を得ることで、ネガティブなエネルギーから解放されるでしょう。
洞察力・想像力を高める効果
洞察力・想像力が高まることで、新しいアイディアや解決策が思いつきやすくなります。ビジネスの成功や円滑な人間関係にも役立ち、より充実した日々につながるでしょう。
正確な判断を行うには、洞察力や新しいアイディアを生む想像力が求められます。情報の取捨選択やアイディアの創出がスムーズになり、ビジネス・プライベートともに好影響です。
これから新しいことを始めてみようと考えている人に、パライバトルマリンはおすすめです。
魔除けの効果
パライバトルマリンは強い魔除け効果があり、邪悪なエネルギーや災難から身を守ってくれる宝石と言われています。日常生活でさらされるネガティブな感情や、邪気から守ってくれる効果が期待されます。
優れた浄化能力を持っているため、自分を守りたいときの着用や厄年のお守りにも最適です。また癒しの力も秘めているため、回復効果も合わせて得られます。
邪悪なエネルギーや災難から守ってくれる魔除けとしても、パライバトルマリンが役立ちます。
パライバトルマリンの価値基準
パライバトルマリンは「色」「透明度」「サイズ」「輝き」「産地」が価値基準です。質が良ければ、ダイヤモンド以上の価格で取引されることもあります。5つの価値基準について、詳しく解説します。
色
価値基準として、色が最も重要となります。質が高いほど彩度が高く、色が濃い宝石です。
色は原石に含まれる銅と元素の濃度で決まります。ブラジル産は蛍光が強く深いブルーで、ナイジェリア産・モザンビーク産は淡い色合いが特徴です。
ただパライバトルマリンは採掘量が減っており、彩度が高く色の濃い物が新規で採掘される可能性は低い状態です。その分色の濃いものを持っていたら、価値が高いため高価買取も可能です。
透明度
色の濃さの方が重視されるものの、透明度も価値に大きく影響します。どんなに色が濃くても、透明度が低いと暗く見えてしまい価値が大幅に下がります。
ただパライバトルマリンは、内包物が入りやすい宝石です。世界的に評価の高いブラジル産も、内包物が多くなっています。
そのため透明度のチェックで重視されるのは、全体の色合いが損なわれていないかです。全体の輝きや発色に影響しなければ、透明度が低くても問題ありません。
サイズ
他の宝石と同じく、大きくて重量がありカラット数が高いほど価値があります。ただ品質が良く大きなパライバトルマリンは、ほぼ産出されていません。
2018年香港で行われたオークションで、パライバトルマリンのイヤリングが約3億円で落札されていますが、これはかなりのレアケースです。
アフリカ産は比較的大粒ですが、それでも3カラット以上はめったになく1カラットにも満たないものがほとんどです。その分カラット数が大きいと、希少価値が高まります。
輝き
色鮮やかに発色していて輝きが強いほど「テリがよい」「テリが強い」と評価され、価値が高まります。
テリとは、蛍光度や石そのものの輝きのことです。蛍光性の高い独特の色はパライバトルマリンならではのもので、他の宝石にはない魅力といえます。
世界で最初に出品されたパライバトルマリンは、あまりにテリが良かったため人口石と疑われたほどです。価値基準で最も重要である色が多少薄くても、強い輝きで存在感があれば高く評価されます。
産地
パライバトルマリンは「ブラジル(バターリャ、リオグランデ・ド・ノルテ)」「ナイジェリア」「モザンビーク」が主な産地です。
上記3つの中で最も価値の高いものが産出されるのは、ブラジルのバターリャ鉱山です。しかし発見からの1年でほとんどの原石を採掘してしまったため、ごくわずかな量しか産出されていません。
現在はモザンビークが産地のメインですが、ブラジル産と比べると色が淡く価値がやや下がります。ただ色やカラット数によっては、買取査定で高値がつく可能性があります。
パライバトルマリンと似ている石
「アパタイト」「アクアマリン」「ブルートパーズ」の3つは、パライバトルマリンと似た特徴があります。詳しく解説するため、見間違えることのないよう理解を深めましょう。
アパタイト
最も間違えやすい宝石がアパタイトで、パライバトルマリンと同じく鮮やかなネオンブルーが特徴です。1カラットあたり数千円程度で、どれだけ品質が良くても1万円を超えることはありません。
一方パライバトルマリンは、1カラット100万円以上の値打ちで、価値が大きく異なります。またアパタイトはカラット数が大きい石も多数ですが、パライバトルマリンで大粒のものはほとんど流通していません。
もし値段が手ごろなネオンブルーの宝石があった場合、アパタイトの可能性が高いでしょう
アクアマリン
アクアマリンはラテン語で「海の水」という意味を持つ明るい水色が特徴的な宝石で、古代から海軍の兵士や王族など、多くの人に愛されてきました。外観は、パライバトルマリンの色が薄い物によく似ています。
パライバトルマリンは、色が薄くても緑色を感じられるほか、内包物が多い宝石です。それに対しアクアマリンは、澄んだ水色で透明度が高く、内包物が目立ちません。
つまりアクアマリンとパライバトルマリンは、色味と透明度に大きな違いがあります。
ブルートパーズ
ブルートパーズは、ロンドンブルーやスイスブルーなど、青色の種類が豊富な宝石です。リラックスしたり集中力を高めたりする効果があるとされており、お守り石としても人気です。
色が濃いブルートパーズは、高品質なコバルトブルーのパライバトルマリンと酷似しています。
前述したアクアマリンと同じで、緑の色味と透明度で見分けられます。緑の割合が少ない・透明度が高く濃いブルーなら、ブルートパーズの可能性が高いです。
パライバトルマリンの原石の特徴
パライバトルマリンの原石は、自然が生み出したとは思えないほどの美しさが大きな特徴です。産出方法は三角柱か六角柱で「ペグマタイト」という火成岩の一種を母石としています。
ペグマタイトの長石部分が、変性した白いカオリンの中で光ると、人工的にデザインされたような美しさとなります。
パライバトルマリンは「レピドライト」が指標鉱物です。採掘ではまず赤いレピドライトが露出し、その後奥からネオンブルーの原石が見えてきます。
誰かが意図的に作ったとしか思えないほどの配色を自然が生み出しているのが、パライバトルマリンの原石の魅力です。
パライバトルマリンの買取価格相場
パライバトルマリンの買取価格相場は、色の濃さやクラリティで決まるSからDのランクによって変化します。以下の表にまとめました。
カラット数 | 買取価格(円) |
---|---|
0.5ct | 約1,050~300,000 |
0.7ct | 約2,450~500,000 |
1.oct | 約7,100~1,500,000 |
2.0ct | 約42,000~3,000,000 |
3.0ct | 約105,000~6,000,000 |
1ピースだけでも、これだけの値段で買い取ってもらえます。状態によってはダイヤモンド以上の価値がつくこともあり、極めて価値の高い宝石と言えます。
パライバトルマリンのお手入れ方法
パライバトルマリンは「乾いた柔らかい布で拭く」「熱湯は使用しない」「超音波洗浄機は使用しない」「紫外線の当たらない場所で保管する」といった方法で手入れを行います。
比較的扱いやすい宝石ですが、手入れ時は注意点があります。
乾いた柔らかい布で拭く
パライバトルマリンを使った後は、乾いた柔らかい布で拭きましょう。汚れをそのままにしておくと傷や曇りの原因となるため、たまにではなく毎回行うことが重要です。
ホコリや指紋が気になる際は、ぬるま湯の石鹸水にひたし柔らかいブラシで軽くこするのも有効です。きれいな状態を保てるよう、拭き取りは欠かさず行いましょう。
熱湯は使用しない
手入れで熱湯を使用してはいけません。パライバトルマリンが急激な温度変化に弱い石のため、内部の気泡や亀裂が大きくなり割れてしまう恐れがあります。
パライバトルマリンの洗浄は、ぬるま湯と中性洗剤を使うようにしましょう。また万が一手を滑らせて落としてしまわないよう、容器に入れて洗浄するのがおすすめです。
洗い終わったら乾いたタオルで拭き、乾かしておきましょう。
超音波洗浄機は使用しない
超音波洗浄機は、パライバトルマリンには向かないため使用してはいけません。宝石の内部に亀裂が生じやすく、割れてしまう恐れがあるためです。
破損まではいかずとも、傷がついたり見た目が変化したりしてしまうかもしれません。汚れが気になる際は、前述したようにぬるま湯と中性洗剤を使用し洗浄しましょう。
紫外線の当たらない場所で保管する
パライバトルマリンは、紫外線の当たらない場所で保管することが重要です。色味の強い物や加熱処理で色を鮮やかにしている場合、紫外線が当たることで退色する恐れがあります。
パライバトルマリンは、非常に繊細な宝石です。保管時は直射日光を避け、紫外線の当たらない場所で保管しましょう。
まとめ
パライバトルマリンは非常に希少性の高い宝石で、状態によってはダイヤモンドより高値で買い取ってもらえる可能性もあるほどです。
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