目次
まずはトルマリンの特徴から知ろう
カラーバリエーションが豊富なことで有名なトルマリンには、ない色はないといわれる程多くの色合いのものが存在します。主に含まれる微量元素の違いにより色が変わると考えられています。パライバトルマリンのほか、濃いピンク~レッドのルベライト、濃いブルー~ブルーグリーンのインディゴライト、鮮やかなイエローカラーのカナリートルマリン、カラーレスのアクロアイト、一石の中に2色を呈したバイカラートルマリンなども人気があります。
ピンクやグリーンのものやスイカのような見た目のウォーターメロンもとても可愛いです。実はトルマリンは一つの鉱物を指す名前ではなく、成分が異なる幾つかの種類から成るいわゆるグループ名のようなものです。細かく分けると、なんと30種類以上もあるそうです。種類によって異なる部分もありますが、結晶の両端に電極をもち、熱を加えると静電気を発生するという特徴は共通しています。それ故、和名を電気石と称されています。
パライバトルマリンってどんな宝石?
パライバトルマリンはトルマリンの変種の一つです。大きく分けると13種類に分けられますが、中でも鮮やかな青緑色を放つパライバトルマリンは、希少性も高く世界でもとても人気のある宝石の一つです。また、和名で電気石と呼ばれ、帯電する性質を持っており静電気を発生するといわれています。
1989年に宝石市場に登場した彩度が高く鮮やかな青色~緑色の銅着色のトルマリンです。当初ブラジルのパライバ州で発見されたため、パライバトルマリンと呼ばれるようになりましたが、1990年代には隣接するリオグランデ・ド・ノルテ州からも採掘されるようになりました。一般的なトルマリンと異なり、ブラジルのパライバ州でしか産出されないため、非常に希少価値が高く珍重されています。
パライバトルマリンの特徴は、酸化クロムと銅の化学反応による鮮やかなネオンブルーです。それぞれの金属元素の割合によって、石の色が青や緑に微妙に変化します。パライバトルマリンは9月15日の誕生石で「ルーツ」や「友情」という石言葉を持ちます。また、パライバトルマリンのほとんどは鉱物学的にエルバイトという種類に属しますが、モザンビーク産の一部のものはリディコータイトに属するものも知られています。
現在では原産地や鉱物種に関係なく、青色~緑色の含銅トルマリンは広義でパライバトルマリンと呼ばれ、変わらぬ人気を持続しています。持ち主に希望を与え、前向きな気持ちにさせるパワーストーンとしても人気です。
ブラジル産のパライバトルマリン
ブラジルのパライバ州バターリャは、パライバトルマリンが世界で最初に発見された場所です。それ故、この土地に敬意を表して「パライバトルマリン」という名前が付けられましたが、人気に一気に火が付いたことから鉱山が枯渇し、希少価値がどんどん上昇していきました。パライバ産のパライバトルマリンの特徴をまとめますと、多量の銅を含有することから「独特のネオンブルーを発する」、「色が比較的濃い」「インクルージョンが多い」、「宝石品質で大粒のものが産出されにくいため、0.3ct程度でも発色が良く透明度が高いものは少ない」といったものが特徴です。
特に特徴的な独特のネオンブルーは銅を多く含むパライバ産のみがもつと考えられており、1カラット以上の宝石品質のものは非常にレアです。その上入手が困難なことから最も高い価値が付けられています。ブラジルのもう一つの産地である、リオグランデ・ド・ノルテ州のパライバトルマリンは、色が薄くパライバ産ほどの品質ではないものも多いそうです。
アフリカ産のパライバトルマリン
アフリカで初めてパライバトルマリンが発見されたのはナイジェリアで、2001年のことだったといわれています。一般的に薄い色合いをしたものが多く、アクアブルーやミントグリーンといった爽やかな色合いが特徴的です。さらに2005年にはモザンビークでもパライバトルマリンが発見されました。
アフリカ産のパライバトルマリンは銅の含有量がブラジル産に比べて少ないことから、色は比較的薄くなりますが、サイズが大きく透明感も高いのが特徴的です。色の種類も豊富で、ミントグリーン、アクアブルー、深紫、青、青緑、赤紫色などが見られます。高品質で色が濃いものが産出されることもあるそうです。しかしナイジェリアの鉱山は既に枯渇しており、閉山されたといわれています。
パライバトルマリンに施される処理方法
パライバトルマリンの鑑別書を見ると、「通常加熱が行われています。」と書かれている場合が多いです。これは「一般的に加熱処理が行われることが多いが、自然熱で加熱されて非加熱のものも中にはあり、それらを明確に判別することが困難」という意味だそうです。
そのためパライバトルマリンは加熱処理が行われていることで価値が著しく下がることはないといわれています。但し、鑑別機関によっては加熱の痕跡を見分けられ、痕跡が見当たらない場合、その旨が鑑別書に書かれることもあります。そういった鑑別書が付いているものは、非加熱パライバトルマリンとして価値高く取引される場合もあるということです。
パライバトルマリンの輝きについて
パライバトルマリンは美しいネオンブルーを持った、透明感の強いトルマリンです。蛍光カラーはトルマリンに多くの銅を含むことが影響しています。酸化クロムが多く含まれている時は青色が濃く表れ、銅の含有量が多い時は緑の色味が強くなります。青と緑が絶妙に混ざり合った、カラフルなネオンブルーこそがパライバトルマリンの魅力です。青が目立つものがあれば、緑が強いタイプもあります。
発色次第で決まるパライバトルマリンの価値!
パライバトルマリンの価値を決めている一番の要素は発色性です。蛍光性のあるブルーからグリーンにかけての色味で、日本では青みが強いほど価値が高いとされています。光が少なくとも強い輝きを放つパライバトルマリンは、「幻の宝石」や「南国の海」ともいわれています。他の宝石にはない輝き、これがパライバトルマリンの価値に直結しているといっても過言ではありません。つまり、発色の良いほど、価値が高い可能性が高いと覚えておくといいでしょう。
また、パライバトルマリンは産地によっても価値が大きく異なり、とくに美しい輝きを放つと言われている、ブラジル産は銅を含む独自の色が特徴で、発色が良く1カラット以上の大きさだと希少価値が高いため、高額で取引される傾向があります。加えて、ダイヤモンドと同様に大きさやカットの仕方、透明度なども価値に変動があります。
ダイヤモンドよりも価値がある?
「一番高い宝石と言えばダイヤモンド!」おそらくほとんどの方がそう思っているのではないでしょうか。確かにダイヤモンドの価値は非常に高いことでも有名です。しかし、1ct(カラット)あたりの価値を見るとダイヤモンドやエメラルド、サファイア、ルビーではなく、トルマリンの一種であるパライバトルマリンの方が価値が高いのをご存じでしょうか。
5年前までは、1カラットあたり800,000円だったのですが、現在では2,000,000円と2倍以上の価格となっています。ダイヤモンドがDクラス(無色に近い)でIF(インクルージョンがほとんどない)の素晴らしい状態でも1カラットで販売価格約1,500,000円なので、パライバトルマリンがいかに高いのかが分かると思います。
近年、ダイヤモンドとパライバトルマリンを組み合わせたネックレスや指輪も販売されており、1カラット未満でも数百万円~という高額で販売されています。これが世界3大カッティングブランドや世界5大ジュエリーブランドから販売されていた場合は、数千万円という価格がついてもおかしくないですね。では、パライバトルマリンの買取価格はいくらなのでしょうか。次項では、買取価格について紹介していきます。
パライバトルマリンの買取価格について
パライバトルマリンの買取価格はいくらなのでしょうか。現在、ブラジル産のものは他の産地よりも買取価格が高額となっています。理由は、銅濃度が高いことや近年一気に人気が上がったことから、供給が需要に追いついていないことが考えられます。「そんなにブラジル産って高いの?買取価格っていくらするの?」と不思議に思う方のために、下記にブラジル産のパライバトルマリン買取相場をまとめました。
パライバトルマリン(ブラジル産)の1カラットあたりの最新買取相場
Sランク 1,000,000円
Aランク 500,000円
Bランク 150,000円
Cランク 30,000円
Dランク 5,000円
ランクによって大きく買取価格が異なることが分かります。
また、カラットごとでも買取価格差があり、1カラットのSランクが1,000,000円に対して、2カラットのSランクは2,500,000円です。1カラット以上のパライバトルマリンが市場に出回ることが少ないことも買取相場が高騰している理由のひとつです。ランクやカラット数、産地によって買取価格が大きく異なることを覚えておくといいでしょう。
パライバトルマリンはどんな効果があるのか
先ほどもお伝えしましたが、パライバトルマリンはパワーストーンとしてもとても人気があります。特に周囲との人間関係を円滑にすると言われていて、他人からの行為を集めるサポートをしてくれます。例えば、新しい環境で人間関係を作っていく予定がある人や、今いる周囲の人々との交流を深めたい方のお守りにおすすめです。
他にも、青色ならではの癒しと落ち着きを与えてくれるトルマリンでもあります。もともとトルマリンはエネルギーを循環させる働きがあり、パライバトルマリンも同様に全身の巡りを促進し心身のバランスを整えると言われています。パライバを身に着けると日々落ち着いて行動できると同時に、人間関係を整えるサポートとして活躍してくれることでしょう。
どんな加工をして使われることが多いのか
パライバトルマリンは美しい見た目から宝石に活用されています。しかし、産出地が限定的で量も少ないことから、そこまで多くの宝石は流通されていません。美しいカラーリングは世界中に注目されており、宝石的価値も高まっているため数あるトルマリンの中でも高価です。パワーストーンブレスレットなどたくさんのパライバトルマリンを使ったアクセサリーはあまり流通されていません。希少な為一粒をあしらった指輪やネックレス、ルースが定番です。
パライバトルマリンの偽物はどんなもの?
超人気石と言っても過言ではないであろう、パライバトルマリン。人気も価値も高い宝石ですから、残念ながら、偽物を高く売ろうとする悪徳業者も存在しています。最も有名なのは恐らく、アパタイトです。アパタイトも天然宝石のため、偽物として紹介するのは心苦しい限りですが、実際パライバカラーのアパタイトがパライバトルマリンとして販売されていることも少なくないと聞きます。アパタイトもとても魅力的でコレクターも多い宝石ではありますが、パライバトルマリンに比べるとまだ知名度も価値も高い方ではありません。そのためアパタイトとして売るよりパライバトルマリンと偽って売った方が儲けられる、という悪知恵が働くのかもしれません。
また、最近ではコーティング処理でパライバカラーに変えられたホワイトトパーズがパライバトルマリンとして流通することもあるそうです。パライバトルマリンとしてではなく、アパタイトやコーティング処理を施したパライバカラーのトパーズとして販売されていれば何の問題もないのですが…なぜ人を騙して儲けようとする人が居るのか、悲しい限りです。
パライバトルマリンの手入れ方法とは
パライバトルマリンはそのままでも美しい宝石ですが、定期的に手入れをすることで輝きが長持ちします。ここでは、パライバトルマリンの日常的な手入れ方法を紹介します。ホコリなどをこまめに拭き取るパライバトルマリンのアクセサリーを使用した後は、セーム革(研磨剤のついていない鹿皮の布)や柔らかい布で油分やホコリを拭き取りましょう。
汚れをそのままにしておくと、傷やくもりの原因となります。ぬるま湯で優しく洗う。拭いただけでは落ちない汚れが気になる場合は、ぬるま湯で優しく洗いましょう。中性洗剤を薄めたぬるま湯にパライバトルマリンを浸し、毛先の柔らかい歯ブラシなどでそっとこするだけで十分です。定期的に手入れをしていても、長く愛用しているうちに細かい傷などで宝石の輝きは失われていきます。
そんなときは、ジュエリー専門店のクリーニングに出すのがおすすめです。研磨布での磨きやヤスリでの再研磨により、美しい輝きが蘇ります。
パライバトルマリンの手入れで気を付けることは?
パライバトルマリンは、宝石の中でも比較的扱いやすい石です。宝石の硬さを表すモース硬度では、パライバトルマリンは10段階中で硬度7と、そこまで傷がつきやすい石ではないです。アクセサリーとして普段づかいしている分には、それほど傷や割れの心配はないでしょう。しかし、パライバトルマリンを扱う上で注意したいポイントが3つあります。
◆超音波洗浄機は使用しない
パライバトルマリンは、宝石内部に亀裂や内包物ができやすい鉱石です。そのため、超音波洗浄機を使用すると内部の亀裂や内包物に影響があり、割れや欠けの原因となります。
◆熱湯で洗わない
パライバトルマリンを洗う際は熱湯は使わないようにしてください。目安としては、35度程度のぬるま湯が最適です。熱湯を使うことで宝石が傷む可能性があります。
◆紫外線に長時間さらさない
パライバトルマリンに限らず、色石に紫外線を当てると退色や変色の原因となります。使わないときは直射日光をさけ、箱や引き出しに入れておくといいでしょう。
まとめ
今回はパライバトルマリンの特徴や価値、手入れの方法、注意点について紹介しました。パライバトルマリンは非常に貴重で高価な宝石です。美しい輝きや鮮やかな色を損なわないためにも、日頃の手入れを心がけることが大切です。パライバトルマリンを売却する際も、こまめに手入れされているきれいな状態の石は買取価格がアップします。パライバトルマリンの売却を検討中のお客様は、ぜひお気軽に「買取大吉」にご相談ください。