目次
珊瑚ってどんなもの?
英名:コーラル(coral)
色:赤、ピンク、白、橙、黒、他
モース硬度:3.5~4
結晶:非晶質
原産国:日本、台湾、ミッドウェー近海、地中海など
宝石言葉:幸福、長寿、知恵
珊瑚の歴史
珊瑚の歴史は古く、紀元前にまでさかのぼると言われています。一例としては、ドイツの旧石器時代(約2万5千年前)の遺跡から見つかっています。珊瑚は地中海に生育していたため、沿岸に流れついたり、海の中で採取されたりしたものを、宝飾品や祭祀の神具・護符などとして活用していました。
また、貨幣替わりにも使われており、広く交易の対象になっていたようです。ちなみにギリシャ神話では、英雄ペルセウスが怪物メドゥーサを退治し、その首を掲げた時、したたった血が海に落ちて珊瑚となった、という記述があります。また、ヨーロッパからの交易物はシルクロードを通り、ペルシャ、中国を辿ることとなります。その過程で仏教にも珊瑚が取り入れられ、七宝(仏教において貴重とされる七種類の宝のこと)の一つに数え上げられるようになりました。
いずれのエピソードも、いかに珊瑚が古くから人々に親しまれてきた宝石であることがわかりますね。
デザインで選ぶなら、珊瑚ならではの個性と豊富な種類を楽しみましょう
柔らかな質感をもつ珊瑚は、磨き上げたり、もとの枝状の形をいかしたり、繊細な彫刻を加えたりすることで、さまざまなデザインに生まれ変わります。最もオーソドックスなデザインは、カボションカットや玉状に磨き上げたもの。珊瑚独特の光沢が浮かび、リング、ネックレス、イヤリングなど、あらゆるアクセサリーに柔らかなアクセントを与えてくれます。
「価値」として珊瑚を大切にしたいのならば、“真っ赤”な珊瑚がおすすめ
真っ赤なサンゴは大変美しいですがとても珍しいため、非常に希少価値の高いものとされており最高級品に相応しくなっております。また、「本ぼけ」や「エンジェルスキン(天使の肌)」と呼ばれている濃いピンク色も、人気の珊瑚の一つです。まるでキャンディーのような柔らかさがあり、フェミニンなアクセサリーによく合います。
珊瑚は産地ってどこ?
これだけ世界中から認知度の高い珊瑚ですが、実は生育域は限られています。まず日本では、高知の土佐沖や小笠原列島、五島列島、奄美、沖縄の近海で採取されます。また、近場では台湾などでも採取が確認されています。とりわけ土佐沖では大振りの珊瑚が打ちあがることで有名で、置物などにも用いられてきました。状態が良いことから、原木(石)のまま輸出することもあったようです。
ちなみに高知県では江戸時代に既に珊瑚漁が始まっており、国内だけで見てもとても長い歴史を持っていることがわかります。前項でも言及したように、日本産珊瑚は淡いピンクや白など、優しくやわらかな色味の珊瑚が採取されます。原木に大きさがあることもまた特徴的です。赤珊瑚と呼ばれる赤みの強く濃い珊瑚も採取されますが、「フ」と呼ばれる白っぽい筋を持ちます。これは原木をカット・研磨すると、より如実に表れてくるもので、日本産赤珊瑚の特徴と言えるでしょう。
ちなみに地中海産には見られないため、よく産地の区別のポイントとされます。水深100m~300mと比較的深い海底に生育しているため、そこから引き揚げて採取する必要があります。次にイタリアや、スペイン、ギリシャなどの地中海も有名ですね。乱獲が続きましたが、採れないわけではありません。地中海産は赤い珊瑚が主流です。ただ、日本で採れる赤珊瑚と区別して、紅珊瑚と呼ばれることが一般的です。珊瑚の中では高グレードに位置づけられていますが、大きいものがあまり産出されないため、ジュエリーではなくビーズなどの装飾品で用いられることもしばしばです。水深50m~200mほどの海域に生育しているため、日本産と比べれば浅瀬にいると言えるでしょう。
また、北太平洋に位置するハワイ・ミッドウェー島沖でも採取が確認されています。白珊瑚と呼ばれる、淡いピンクやベージュ色をしたものがよく見られます。ただ、ミッドウェー海域で採れたものは、「ミッド珊瑚」と言った呼び方をすることもあります。水深100m~400mと深い場所に生育しているため、引き揚げ作業が必要となります。
いずれの場所にせよ、豊富に産出される資源というわけではありません。前述の通り珊瑚は生育海域が限られ、かつ成長スピードは遅く一年で1cm程度にしか育たないと言われています。一方でインドや中国を中心として宝飾品需要の高まりにつれて、乱獲や密猟問題が浮き彫りになってきました。
そのため現在、宝石珊瑚と呼ばれるアカサンゴ、モモイロサンゴ、シロサンゴ、ミッドサンゴの四種はワシントン条約によって保護対象と明記され、国際輸出の際は輸出許可書や原産地証明書等が必要になってきます。この規制は年々厳格になってきており、限りある資源・珊瑚を守るための取り組みが世界各地でなされています。日本でも、珊瑚の保護は考えられなくてはならない課題です。現在、東京都、高知県、沖縄県など、行政から許可を受けた漁船のみが、年間5トン程度の珊瑚漁を行っている状態です。
しかしながら各都県の行政に一任されている側面があり、国内の統一ルールはまだありません。また、禁漁期間や区間は設けられているものの、外国漁船の密猟対策はまだ十分とは言えず、種々の問題を抱えています。
人間と珊瑚の意外な繋がり
古来より愛されてきた海の神秘宝石珊瑚は古くから、真珠と並ぶ海の宝石として人々に愛されて来ました。ドイツの旧石器時代(約2万5千年前)の遺跡から珊瑚の玉が発掘され、古代ローマ人も子供の健やかな成長を祈って揺り籠に添え、また兵士たちは護符として身に付けて戦場に赴きました。遥々とシルクロードを辿って日本にもたらされた地中海の珊瑚は、奈良・正倉院の御物として今に伝えられています。
キリスト教や仏教だけではなく、イスラム教やヒンズー教においても、宝石珊瑚は装飾素材を超える重要な意味を与えられて来ました。それ以外にも中国やインドでは医薬品として、またカルシウムが不足する土地では補給食品として珍重されたようです。宝石珊瑚は3月の誕生石であり、特に女性の人生のドラマに寄り添って輝くジュエリーなのです。
蔵相珊瑚について
海の生き物と人への大いなる恵み造礁サンゴは成長が速く、活発な生命活動によって分厚い石灰質の層が出来、サンゴ自体は更に上へ沖へと伸張して行きます。また、破損・倒壊したサンゴは浜辺に打ち上げられ貝などの生き物の死骸と共に堆積して白い砂浜を作り出します。
こうして形成されたサンゴ礁(リーフ)は天然の防波堤となって波の浸食を防ぎ、内側の穏やかなエリアでは多種多様な生き物たちが生息し、それを捕食する大型の魚も集まって来ます。サンゴ礁の豊かな生態圏は人間の生活と密接に関わっていますが、最近はスキューバダイビングなどのマリンレジャーを楽しむ人々も多くなっています。また採取が禁止され、国際的に保護されています。
誕生石について
1月 ガーネット (貞操、真実、友愛、忠実)
2月 アメジスト (誠実、心の平和)
3月 珊瑚、アクワマリン、ブラットストーン (沈着、勇敢、聡明)
4月 ダイヤモンド (清浄無垢)
5月 ひすい、エメラルド (幸運、幸福)
6月 真珠、ムーンストーン (健康、長寿、富)
7月 ルビー (熱情、仁愛、威厳)
8月 サードニクス (夫婦の幸福、和合)
9月 サファイヤ (誠実、徳望、慈愛)
10月 トルマリン、オパール (心中の歓喜、安楽忍耐、悲哀を克服して幸福を得る)
11月 トパーズ (友情、友愛、希望、潔白)
12月 トルコ石、ラピスラズリ (成功を保証する)
誕生石の由来ですが、昔、ユダヤの僧が胸に12個の宝石を飾っていたこと、西洋には古くから生まれ月が一生を支配するという占星術が信仰されたこと等から来ています。現在のような誕生石の選定は、1912年にアメリカの宝石商が季節感も考慮して決めたものと言われています。
珊瑚って小さいイソギンチャク?
イソギンチャクですが、このイソギンチャクを超ミニサイズに縮小したものがサンゴの本体だと思ってください。また、この触手を含むサンゴの本体をポリプと呼びます。つまり、サンゴというのは本来1mm~数cm程度の触手を持つ小さな個体(ポリプ)だということです。サンゴ(ポリプ)は、自らを外敵から守るために、身の回りに石灰質の岩のような骨格を作ります。
そしてその骨格を広げていき、自らのクローンを作り出しポリプの個体数を増やすと共に、更に骨格を広げていきます。こうして長い年月をかけてサンゴ(ポリプ)が何百万、何千万と集合したものがこの岩のような造礁サンゴの正体というわけです。すなわち、一般にサンゴとして知られているあの岩のようなものは、サンゴが作り出した骨格であり、実際のサンゴ本体はその骨格に住むポリプのことを言います。
珊瑚は暖かい水が好き?
サンゴは水温が18〜30℃の暖かい水が大好きです。水が透明で水深は40m未満、チッソやリンなどの栄養が乏しく塩分が高い海水にすんでいます。余談ですが、赤色の宝石サンゴはサンゴ礁のサンゴとは種類が違い、水深100m以上、深いものでは1,000mを超える深海底にすんでいます。
サンゴは刺胞動物門に属し、クラゲやイソギンチャクの親戚です。意外かもしれませんが、皆さんが普段目にするのは昼間の寝ている姿で、夜になると起きて触手を開きます。その姿を見るとイソギンチャクのようなかたちに見えます。私たちが普段見ているサンゴはポリプというサンゴの個体がたくさん集まったもので、群体と呼ばれます。
サンゴの体は、ポリプが石のコップに入っているような構造です。石のコップはサンゴの骨格で、炭酸カルシウム(CaCO3=石灰)でできています。成長するにつれ炭酸カルシウムをどんどんつくりだすので、骨格は年齢とともにゆっくりと積み重なっていきます。サンゴ礁で見られる白い岩や砂は、サンゴなどの石灰化生物がつくったものなのです。
沖縄の万座毛の岩や沖縄本島の南側の大地は、サンゴなどの石灰化生物が何十万年、何百万年かけてつくり上げたものです。サンゴは岩だけでなくて地形までつくりだす、非常に重要な動物なのです。サンゴにはさまざまな形状があり、樹枝状のものは年間10~20㎝成長しますが、塊状のものは成長が遅く、年間数㎜程度しか成長しません。
その代わり非常に巨大になることができます。ちなみに宝石サンゴは1㎝成長するのに50年かかるものもあります。
世界の珊瑚の面積
世界のサンゴ礁の総面積は60万km2です。そのほとんどは赤道付近の暖かい海域に分布しています。60万km2という数字は、海洋面積の1%、地球表面の0.1%に過ぎませんが、このわずかな空間に全海洋生物の25%が依存して生きているのです。世界最大の面積のサンゴ礁世界で最も広大な面積を持つサンゴ礁は、オーストラリアの北東岸に広がるグレート・バリア・リーフです。2600km(1,600マイル)を超える長さで、総面積は344400km2以上にもなります。これは日本の100倍近い大きさになります。
宇宙空間からも確認できるほど広大で、世界遺産にも登録されています。日本のサンゴ礁の分布面積日本のサンゴ礁の総面積は374km2で、そのほとんどは沖縄に集中しています。沖縄には世界のサンゴ800種のうち200種が生息しており、島の大きさからみれば世界有数のサンゴ密集地帯といえるでしょう。沖縄にサンゴ礁が多い理由沖縄は日本からすれば南の端ですが、世界のサンゴ礁の分布からすれば北の端にあたります。
普通赤道から離れるほどサンゴ礁の分布は減っていき、他の同じ緯度帯では沖縄ほど多く分布していません。しかし沖縄の場合、世界のサンゴ分布の中心からサンゴの生育に適した暖かい海水(黒潮)が流れてくる為、他の緯度帯よりサンゴ礁が発達しやすい環境が整っているのです。
まとめ
いかがでしたか?石器時代から愛されてきた珊瑚は、人類の歴史とともにあった最古の宝石と言われております。鉱物起源の宝石にはない独特のカラーや質感、ツヤは、身に着けるその一人一人に個性を与える宝石としても魅力的で人気。
ジュエリーのコーディネート幅を広げてくれる意味でも、珊瑚は、一つは持っておきたいおすすめの宝石です。柔らかく傷つきやすいため、お取り扱いは少し難しい印象ですが、うまくコーディネートに取り入れることができれば、きっと「上品で落ち着いた大人の女性」を演出できるマストアイテムになること間違いなしです!!ぜひご購入を検討してみてはいかがでしょうか?