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5月の誕生石「翡翠」の基本情報
東洋の宝石といわれる翡翠は、ルビーやダイヤモンドとは異なる艶やかな質感が特徴です。また、歴史があり、縄文時代には使われていたといわれています。最初に、翡翠の特徴や意味、石言葉など基本情報を確認していきましょう。
名前 | エメラルド / ベリル |
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英語名 | jade |
和名 | 翠玉・緑玉 / 緑柱石 |
色 | 深緑、ピンク、薄紫、半透明、白、青、黒、黄など15色程度 |
産地 | 日本、中国、ロシア、ミャンマー、ニュージーランド |
硬さ(モース硬度) | 7.5~8 |
屈折率 | 1.66 |
翡翠の特徴
翡翠は、日本列島をはじめとするプレート収束帯、かつ寒冷な地熱勾配の環境だけで作れるといわれています。地表を覆うプレートが、ほかのプレートの下に入り込んだ帯で産出することが特徴です。
日本のほかにも、ロシアやミャンマー、ニュージーランドなどで産出されます。
日本では、鳥取県若桜町、新潟県糸魚川市、兵庫県養父市などで翡翠を見ることができます。世界最古の翡翠は、糸魚川で約5億2000万年前にできました。
特に、新潟県の糸魚川は日本で唯一宝石質の翡翠が採れる場所で、天然記念物に指定された地域もあるほどです。
翡翠のモース硬度
ジェダイトは多彩な色を持ち、モース硬度は6.5~7と高いことが特徴です。
ネフライトは半貴石に分類され、その主成分鉱物はトレモライトで、一般に緑色を帯びています。モース硬度は6~6.5で、翡翠と比較して柔らかいことが特徴です。
翡翠の原産地
翡翠の主な産地、主に5つ挙げられます。
・日本
・中国
・ロシア
・ミャンマー
・ニュージーランド
特に、ミャンマー産の翡翠は高品質として有名です。さらに、日本では新潟県糸魚川市と周辺で貴重な宝石が産出されています。
翡翠の歴史
縄文時代に縄文人が翡翠を加工し、新石器時代に道具や武器、飾りとして使われました。
翡翠の産地としては中国を思い浮かべがちですが、ミャンマーから中国に持ち込まれたのは1700年代後半のことです。
中国の翡翠はほとんどがネフライト(軟玉)。また、飾りや彫刻に使われ、不老不死のパワーストーンとして信じられて死者と一緒に墓に埋められました。
なお、翡翠は有名な権力者である慈禧太后(じきこうたいごう)が使用していたことで有名です。
さらに、2016年9月に日本鉱物科学会の総会で、翡翠が「日本の国石」と決められました。国石とされるためには、日本国内での認知度が高いこと、そして美しい石であることが条件です。そして、翡翠はアジア諸国で知名度が高い宝石という条件を満たしています。
このように、翡翠は日本人に親しまれている宝石です。
翡翠の種類とそれぞれの特徴
翡翠には、ジェダイト(硬玉)とネフライト(軟玉)の2種類があります。それぞれの特徴を紹介します。
ジェダイト(硬玉)
ジェダイトは貴石に分類され、本翡翠とも呼ばれます。
昔の中国では、翡翠は「玉」と称されていました。翡翠を持つことで様々な効果を得られる石として、装飾品に使用されていました。
日本では一般に「勾玉(まがたま)」と呼ばれ、多くの遺跡からも出土しており、日本においても様々な効果を得られる石であったと知られています。
勾玉が権力者に好まれたのは、長寿と健康をもたらすパワーストーンであるといわれていたためです。
ネフライト(軟玉)
本来ネフライトは、昔の中国で「宝石」として珍重されていた石です。しかし、ネフライトを使用していたのは、翡翠を入手できなかったことが理由です。
両者が区別されるようになったのは、時代が下って翡翠が産出されるようになってからです。中国では、ネフライトがジェダイトの偽物として使われることがあり、ジェダイトの方が価値があると認識されています。
しかし、ホワイトで透明度が高いネフライトも存在し、色や透明度によっては非常に価値が高いです。
翡翠の意味と宝石言葉
翡翠は「カワセミ」と読むこともあり、鳥の名前が由来です。赤と緑が美しいカワセミが、ミャンマーから伝わった翡翠に似ており、赤と緑を併せ持つことからこの名がついたといわれています。
翡翠の宝石言葉は、長寿、繁栄、安定、幸福です。
翡翠は古来より神聖な儀式に用いられており、中国では中心に穴が開いた形の翡翠は「天の象徴」とされていました。
翡翠に怖い意味がつけられた理由
翡翠は美しいですが、その強いパワーと歴史を知る人には「怖い」という印象を持たれています。翡翠が怖いといわれる背景には、次のようなことがあると考えられています。
呪術道具として用いられていたから
翡翠は、メソアメリカやニュージーランドで呪術の道具として使用されていました。
日本では、翡翠は勾玉(まがたま)として使用され、神々を祀る祭具として使われてきた過去があります。映画やアニメで、勾玉のネックレスをつけて神に祈る、巫女の姿を見たことがある方も多いでしょう。
そのためか、翡翠は呪術の道具という怖い印象を持つ方もいます。
死者と埋葬していたから
翡翠の歴史が死者と関係していることも、怖いイメージを持たれる一因となっています。
古来、翡翠には生命の再生をもたらす力があると信じられており、死者と一緒に埋葬する墓用品として人気のある石でした。
古代中国や中南米では、身分が高い方が亡くなった後、翡翠のビーズを金属糸で取り付けた翡翠の衣を故人に着せることで、生命を維持できると信じられていました。
中国南部では、亡くなった方の口に翡翠の珠を詰め、再生の祈りを捧げる葬儀も行われていました。
実際に起きた体験談から
翡翠はパワーストーンとしても人気があり、自分の中にある悪いものを排出する効果を実感したり、よく眠れるようになったりという体験談も多いです。
なかには、「翡翠が熱くなって危険を知らせてくれた」「夢の中で大切な人からアドバイスをもらった」など、不思議な体験談もあります。
翡翠のパワーを実感した方の口コミを見た方から、「強力なパワーを持つ翡翠は怖い」というイメージが生まれたのかもしれません。
翡翠を身に着けると現れる効果
翡翠を身に着けると不思議な体験をしたという方が多いことからも、さまざまな効果が期待できるといえます。そこで、翡翠を身に着けることで得られる効果を紹介します。
魔除け効果
未知の力と美しさで多くの人に愛され、古くからパワーストーンとして珍重されてきた翡翠。翡翠を所有することは、幸福、健康、調和などいくつもの効果をもたらすと信じられています。
翡翠は、適度なエネルギーを放ち、悪いエネルギーを追い払うとさられています。
健康・癒し効果
緑色の石である翡翠は、自然をイメージする色です。自然のエネルギーと自分のエネルギーが調和して、心身の安定を維持する効果も期待できるでしょう。
そのため、翡翠をお守りにすることで、心と身体のバランスを整えながら、邪悪なものから自分を守る石としての効果があるといわれています。
身体的・精神的調和を図る効果
翡翠は、身体の健康と心の調和を維持する効果が期待できます。翡翠は身体の健康に対してプラスのエネルギーを持つとされ、特に肉体を癒すことに役立つでしょう。
翡翠を持ち歩いたり、身体の気になる部位に置いたりすることで、病気や不調からの回復を助ける効果が期待できます。
翡翠には、調和させる効果があると広く信じられています。調和とは肉体的なものだけではなく、心の調和や精神面の安定にも関係しています。翡翠を身に着けることで、不安やストレスを緩和し、気持ちのバランスを取ることができると信じられています。
また、人間関係やコミュニケーションの調和を促し、平和な環境を作る効果も期待できるでしょう。
幸運をもたらす効果
翡翠は、幸運を引き寄せる力があると広く信じられています。翡翠は繁栄や成功を与えると信じられており、仕事や昇進に関連する幸せをもたらすために使用する方も多いです。
また、翡翠を所有することで、新たなチャンスや幸運がもたらされるという信仰もあります。
翡翠の価値基準
翡翠の価値は、主に5つの基準で決められています。ここでは、翡翠の価値を決める基準と、価値がある翡翠の特徴を紹介します。
価値基準①色
翡翠には美しい緑色から淡くくすんだ緑色までさまざまな色があります。
しかし、最も価値が高いのは、あまり濃くなく、「とろみ」と透明感のある濃い緑色をしたものです。色にとろみがなくても、色が濃く透明感のある翡翠も高価です。
価値基準➁透明度
翡翠は、透明度が高ければ高いほど価値が上がります。
ただし、色が濃くなければならないため、色が薄くて透明な翡翠はあまり価値がありません。透明度が高く、色が濃く、粘性のある翡翠は非常に希少なため、特別に高い品質となります。
なお、翡翠は透明なだけではなく、独特のとろみが重要で、柔らかく見えるかどうかがポイントです。
価値基準③大きさ
翡翠石は、楕円形やドーム型に加工されるケースが多いですが、長くて幅があり、厚みのある翡翠石は高価です。
他の宝石と同じように、翡翠も大きければ大きいほど高価ですが、これは高品質の翡翠にのみ適用されます。岩のような硬く加工しにくい翡翠は、どれほど大きくても価値は上がりません。
また、ロカン翡翠は大粒のものが少ないため、サイズよりも質感や色が大切だといえます。
価値基準④産地
翡翠の多くはミャンマー産で、翡翠石の含有量が豊富で、色や透明度など非常に高い品質を誇っています。そのため、現在一般的に出回っている翡翠のほとんどはミャンマー産です。
なお、昭和初期に新潟県糸魚川市の小滝川で石が発見され、日本でも翡翠が産出されることがわかりました。現在、糸魚川での翡翠採取は禁止されていますが、その美しさは有名です。
価値基準⑤ランク
翡翠には3つのグレードがあります。宝石としての価値があるのはグレードAだけで、グレードBとCは価値が低いです。
グレードAは、人の手で処理をしていない、またはワックスを塗っただけの天然の翡翠です。グレードA翡翠とも呼ばれ、翡翠そのものの美しさを楽しむことができます。
一方、人工的な処理で光沢を出したり、漂白して黒や茶色、黄色の内包物を取り除いたりした翡翠はグレードBとされ、価値は低くなります。
グレードCは染色や漂白を施した翡翠で、高価な翡翠と同じような色合いに着色されていますが、実際の品質はそれほど高くありません。グレードAとCの価格は100倍以上の差が生じることもあります。
翡翠は結婚35周年の結婚記念石
翡翠はエメラルドと同じ5月の誕生石で、日本では結婚35周年に贈る結婚記念石です。結婚35周年のお祝いでは、夫婦が翡翠のジュエリーやアクセサリーをプレゼントし合う習慣が定着しています。
翡翠のお手入れ・保管方法
翡翠を美しい状態に保つためには、正しい方法でお手入れと保管をしなければなりません。注意点も押さえて、翡翠をきれいなまま保ちましょう。
翡翠のお手入れ方法
翡翠の親油性を利用したお手入れ方法は、オリーブオイルを使う方法です。
柔らかい布にオリーブオイルを少量含ませ、表面に油分を補います。どのようなオイルでも問題ありませんが、香りの強いオイルや色の濃いオイルは、石の変色や劣化の原因になるので避けましょう。
なお、人間の皮脂による自然な油分補給とは異なり、オリーブオイルの使いすぎは酸化シミの原因になります。中性洗剤で洗浄した後や、通常の使用で表面が乾燥している場合には、オイルを足してください。
翡翠のお手入れ時の注意点
翡翠のお手入れには熱湯を使わず、35度程度のぬるま湯を使いましょう。
翡翠には内包物があり、表面に細かい凹凸があることが特徴です。熱湯を使うと、急な温度変化によりヒビが入ることがあります。
翡翠の保管方法
翡翠を保管する際、他の宝石や金属と接触すると傷が付いてしまいます。なるべく他の宝石と一緒に保管せず、翡翠のみで保管してください。
まとめ
翡翠は透明度が高いほど高い査定額が期待できる一方で、本物の翡翠と人工の翡翠の見分けは困難です。迷ったら専門家に鑑定を依頼することをおすすめします。
翡翠の買取を検討する際は、専門的な知識を持った業者に依頼することも検討してみてください。大切な翡翠を本来の価値に基づいた適正な価格で売却することができるでしょう。