目次
はじめに
日本ジュエリー協会によって「ジュエリーとは、装身具のうち、素材に貴金属、天然宝石を用いた宝飾品である」と定義が発表されています。
定義にある素材の貴金属とは、一般に金、銀をはじめ、プラチナの仲間にあたる白金族の6種類のプラチナ、パラジウム、ルテニウム、ロジウム、イリジウム、オスミウムの合計8種類を指します。
これら貴金属のうち、金、銀、プラチナはジュエリーの主材料として使用し、パラジウム、ルテニウム、イリジウムは割り金としてジュエリーの素材に使用するものです。
また定義にある「天然宝石」とは、ひとの手を加えずに自然界で生成された宝石物質(鉱物、岩石および有機物など)を指します。ただし「宝石」には、生成後に色や外観にひとの手を加えられたものも含まれます。
宝石の代表として挙げられるのは、ダイヤモンドやルビー、サファイア、エメラルドなどです。
ジュエリー保管の基本
① 直射日光の当たらない場所で保管
宝石によっては熱や紫外線によって変色し、品質が劣化してしまうものがあります。直射日光の当たる窓際などでの保管は控え、ジュエリーボックスにしまって通気性がよく気温の変わらない場所で保管をするようにしましょう。
② 乾燥剤や防虫剤と一緒に保管をしない
間違った保管方法として多くあげられるのが、乾燥剤と一緒に保管をすること。「カビが生えないように……」などといった理由から、このように保管をしてしまう方が多いのです。
しかし、ジュエリーには適度に湿気が必要です。乾燥剤を入れることでよけいに宝石を劣化させてしまう可能性があるので、保管する際には乾燥剤の使用は控えましょう。
③ こまめな洗浄を徹底
ダイヤモンドなど、宝石によっては油分を吸着しやすい特性を持つものがあります。油分は、皮脂をはじめ、お化粧品・香水などにも含まれているので、思ってもみないところで油分によるダメージを与えてしまうこともあります。
付着してしまった油分はこまめに洗い流してあげることが大切です。洗い方は、ぬるま湯でやさしく洗い流してあげるだけ。洗剤カスが残ってしまうと劣化の原因になるので、洗剤は使用しません。
また、歯ブラシなどでゴシゴシと磨いてしまうかもしれませんが、傷の原因になるのでこれもNGです。細かい箇所はつまようじなどを使って、少しずつ優しく洗ってあげましょう。
④ 狭い場所にごちゃごちゃと保管しない
宝石はそれぞれ硬度が違うので、ひとつのジュエリーボックスにたくさん詰め込んでしまうと宝石同士がぶつかり擦れて、傷をつけ合ってしまいます。ジュエリーボックスにしまう際はゆとりを持たせて、重なったりぶつかったりしないように丁寧に保管しましょう。
また、「ネックレスを外してそのまま放置していたら、チェーンが絡まって解けなくなってしまった……」という経験はきっと一度はあるでしょう。実はこれも上手に保管できていない証拠です。
ネックレスが絡まる原因は金具部分が動いてあそんでしまうことです。チャック付きの小さな小袋に入れ、金具(留め具)部分だけを袋から出してチェックを閉じて保管しましょう。
これでチェーンが絡まるのを防ぐことができます。
⑤ 高価な宝石・普段つけない宝石は金庫に入れよう
高価な宝石や普段あまり身につけない宝石は、ジュエリーケースに入れて金庫で保管することをおすすめします。
耐火性・防盗性の高い金庫に入れておけば、大切な宝石を紛失や盗難・火事などから守ってくれます。
さまざまな大きさ・重さ・仕様のものがありますので、お持ちの宝石の数や大きさなどに合わせて選ぶと良いでしょう。
アイテム別保管方法
ネックレス
ネックレスは、ジュエリーボックスまたはケースの中で、留め具部分をつないだ状態でチェーンを伸ばして収納するのが理想的です。このように保管することで、チェーンが絡まりにくくなり、また、トップの宝石がチェーンと当たって傷つくのを防ぎやすくなります。
ピアスやイヤリング
ピアスやイヤリングも、ワンペアずつ収納できるケースか、区分けできるタイプのジュエリーボックスで保管してください。このとき、左右のペアが互いに触れ合わない距離をとるようにしましょう。宝石がついているピアスやイヤリングの場合は特に、左右のペアが当たることで傷つけあってしまう恐れがあります。また、フープピアスのような華奢な作りのものは少しの衝撃や負荷で変形することがあるので、丁寧に扱いましょう。
リング
リングは、ジュエリーボックスのリング用スリットで保管しましょう。スリットにリングを入れることでリングが動かなくなるので、他のジュエリーとぶつかって宝石が傷ついたり他の宝石を傷つけたりする心配がなくなります。
なお、複数収納可能なジュエリーボックスを使用する場合は、スリットに入れるリングとリングの間隔を空けて、必ず一本ずつ収納してください。
ブレスレットやアンクレット
ネックレス同様に、留め具部分をつないでチェーンを伸ばした状態で保管することをおすすめします。また、バングルのように形状が決まっているタイプは、一度変形するとなかなか元の形に戻らなくなってしまいます。
スペースに余裕を持たせ、一つ一つ保管するようにしてください。
地金のジュエリーやダイヤモンド
ゴールドやプラチナなど、地金だけでつくられたジュエリーやダイヤモンドは、着用後にやわらかい布で拭き取ってください。変色を感じた時や煌めきを失ったように感じた時にはプラスケアが必要です。お手入れには、専用クリーナーか中性洗剤を使いましょう。
プラスケアの方法は、まず専用クリーナーまたは中性洗剤を入れたぬるま湯につけて、やわらかいブラシで優しく磨いていきます。その後、真水につけてすすぎ、やわらかい布で水分をすべて拭き取って完了です。
シルバーの変色は箱に保管していても起こることがあります。箱から久しぶりに出した時に輝きが鈍くなっていたということも。そんな時は、シルバーポリッシュを使用し、硫化の汚れを落とす方法もあります。ただし、シルバーポリッシュを使用できるのはコーティングのかかっていないシルバーですので、素材に注意してください。
パール
パールはとても繊細なジュエリーです。中性洗剤はもちろん、水やお湯でのお手入れもできません。ですので、着用後にやわらかい布で拭くケアを徹底しましょう。パールネックレスは、年に1度は糸に緩みがないかを確認し、緩みのある場合は糸替えを行いましょう。
カラーストーン
カラーストーンは、種類によってケアの方法が異なります。サファイアやルビー、アクアマリンなどは比較的耐久性があるので、ダイヤモンドと同様に中性洗剤を使ったお手入れができます。しかし、エメラルドは繊細なので、やわらかい布で拭くお手入れだけに止めるのがベターです。
その他の宝石
何百種類もあるとされる宝石はそれぞれ耐久性の違いはありますが、基本的にデリケートなものがほとんど。ターコイズやオパール、サンゴ、コハク、べっ甲なども繊細なため、お手入れはやわらかい布で拭き取る程度にとどめましょう。
保管前のお手入れ方法
保管前に柔らかい布で拭く
宝石のついたアクセサリーを外した後は、ジュエリーボックスなどに収納する前に柔らかい布で拭くようにしてください。首まわりや手首・耳周りというのは、思っている以上に汗をかく場所です。
また、スキンケア製品や髪のスタイリング剤などが付着することもあります。
こういった、汗や皮脂・汚れなどをそのままに収納すると、宝石の輝きが失われやすくなります。しかも、チェーン部分の金属がサビたり変質する恐れもあります。
布で拭くときは、爪を立てたりせずに優しく丁寧に扱うようにしましょう。特にパールや翡翠・琥珀・珊瑚といった柔らかい宝石は、少しの衝撃で傷が入ってしまうので注意が必要です。
なお、宝石を洗うための超音波洗浄機というものもあります。これはモース硬度の高い硬い宝石の洗浄には向いていますが、前述したパールや翡翠・琥珀・珊瑚のような硬度の低い宝石にはNGです。
表面に細かい傷がついてしまうことがあります。
シーンによっては外して
宝石をつけたまま温泉やお風呂・サウナ・プールなどに入ると、温泉の成分や湿気・高温・化学成分などで宝石の品質が劣化する恐れがあります。
高価な宝石をつけたまま温泉やお風呂・サウナ・プールに入る方はあまりいないかもしれませんが、うっかりつけたままにしないように気をつけましょう。
身につけるのは出かける直前に
宝石の中には、油分や化学成分が付着すると変色・変質しやすいものもあります。
スキンケア製品やメイク用品・ヘアスタイリング剤・香水・デオドラント製品などに含まれる成分の影響を防ぐために、宝石は身支度がすべて終わった後、出かける直前につけるようにしましょう。
最後に身につけることで、着替えをする際に宝石にひっかかってしまったりするのも防げます。
まとめ
高価であればあるほど、保管方法に気を遣う宝石類。宝石の種類によって保管方法に違いがある他、お手入れの仕方にもコツがあるため、今回ご紹介した方法をぜひ参考にしてみてください。
また、宝石を普段から身に付けている方は、扱い方に注意することも大切です。大切な宝石の輝きが失われないように、日頃のメンテナンスを行いましょう。