目次
人工真珠の特徴
真珠の真贋を見分けるには、まず「人工真珠(イミテーションパール)」との違いを理解することが大切です。見分けのポイントとなるのが「テリ」です。
本物の真珠は、アラゴナイト結晶の層が織り成す、奥行きのある上品な光沢と透明感を持ちます。一方、人工真珠は核素材に合成真珠箔や塗料を施しており、特有の深みが出にくく、表面がギラついたような光沢があります。
こうした違いを知ることで、真珠の質感を見極められるようになるでしょう。
プラスチックパール
プラスチックパールは、プラスチックの球体に合成真珠箔をコーティングした人工真珠です。
ネット上では「〇〇パール」といった名称でさまざまな人工真珠が流通しており、本物と誤解してしまうかもしれません。惑わされないように注意が必要です。
本物の真珠に比べて光沢が少ないものの、軽くてアクセサリーとして取り入れやすく、気軽に扱えるため使いやすいでしょう。
貝パール
貝パール(Shell Pearl)は、天然の貝殻を原珠とした人工真珠の一種です。真珠箔やパール塗料を重ねて加工することで、真珠特有のオーロラ効果に近い輝きを放ちます。
これにより、他の人工真珠よりも本物に近い印象を与えることができます。しかし、「貝パール(シェルパール)」という名称から本物の真珠だと間違えやすく、見た目や重さも似ています。
真珠をあまり見たことがなければ、真贋の見分けは難しいかもしれません。
コットンパール
コットンパール(Cotton Pearl)は、圧縮した綿をパール塗料でコーティングした人工真珠です。プラスチックパールよりもさらに軽く、直径1cmのピアスでも重さをほとんど感じさせません。
表面にはわずかなデコボコがあり、ナチュラルで独特の風合いを感じられます。綿を核とする特性上、完璧な丸型ではなく、小さな歪みが生じることもあります。
ガラスパール
ガラスパール(Glass Pearl)は、真珠箔やパール塗料でガラスをコーティングした人工真珠です。強い光沢感がありこの美しい輝きから、普段使いのアクセサリーとして人気があります。
ガラスをベースにしているため、さまざまな形に加工しやすく、定番の丸型からオーバル型まで多彩なバリエーションが楽しめます。しかし、塗料によるコーティングのため、使用中に剥げてしまうことがあるため注意が必要でしょう。
マジョリカパール
マジョリカパール(Majolica Pearl)は、スペインのマジョルカ島で作られる人工真珠です。地中海の天然成分を用いて伝統的な製法で作られ、「世界一のマンメイドパール」とも称されています。
天然真珠に似た光沢と繊細な色合いを持ち、傷がつきにくく、汗や化粧水にも強いため、夏場でも安心して着用できます。また、オールノット仕上げにより、万が一糸が切れてもパールがバラバラになりません。
本物と偽物の真珠の見分け方
人工真珠にはさまざまな種類があり、きわめて精巧に作られたものも存在します。真珠の真贋を見極めるためには、1つの観点だけではなく、複数の方法を組み合わせて総合的に判断することが大切です。
表面の質感
真珠の質感は、本物と偽物を見分ける重要なポイントです。
自然の力で生まれた真珠は、軽くこすり合わせるとザラついた感触が感じられます。一方、プラスチックパールなどの人工真珠は、表面がすべらかな感触を持っています。
また、本物の表面には微細な凹凸があり、光を受けて独特の輝きを放ちますが、偽物はその輝きが均一です。
触った時の温度
真珠特有の温度からも、真贋を判断することができます。天然の真珠は熱伝導率が高く、触れるとひんやりとした感覚があります。これは、鉄のフライパンや銀の皿に触れたときの感触に似ています。
対照的に、プラスチックなどの素材で作られた人工真珠は熱伝導率が低く、触るとあたたかく感じます。この違いを意識することで、本物と偽物の真珠を見分ける手助けとなるでしょう。
穴の断面
真珠は、ネックレスや装飾品に加工される際に、穴が開けられることが一般的です。したがって、見た目で真贋を見分ける方法として、穴の断面をチェックしましょう。
本物の真珠は、穴の断面が滑らかで美しい仕上がりになっています。それに対し、人工真珠は穴あけ処理後にコーティングされるため、断面がやや不均一でデコボコした形状をしています。
重量
本物の真珠は貝から生成されるため、一定の重みを感じます。触れてみると、その重さを実感できます。特に、アコヤ真珠や南洋真珠などは、一般的に重厚感がありしっかりとした印象です。
対照的に、プラスチックや軽量素材で作られた人工真珠は軽く感じられます。しかし、貝パールのような本物に近い重さの人工真珠もあるため、慎重に判断することが重要です。
表面の傷
真贋を見極めるには、表面の状態を確認することが重要です。本物の真珠には、自然に生じる突起やくぼみが見られます。これらは「キズ」や「エクボ」と呼ばれ、生物の体内で生成された証といえるでしょう。
ほぼ全ての天然真珠に存在するため、表面が完璧に滑らかで傷が一切ないものは、最高品質の本物か、あるいは偽物であるかのどちらかとなります。
ブラックライトを当てる
紫外線を強く放つブラックライトを当てると、本物の真珠は青くホタルのように光を放ちます。白っぽいままで変化が見られないものや、表面だけで光を反射するものは、人工真珠の可能性があります。
ただし、巧妙に作られた偽物には、蛍光性の塗料が施されていることもあります。ブラックライトだけでは、完全に真贋を判断することはできないでしょう。
本物の真珠の特徴
本物の真珠は、母貝の種類によって多様な個性を持ちます。アコヤ、南洋、タヒチなど、育まれる貝によって違いがあり、それぞれ異なる光沢や色合いが生まれます。
アコヤ真珠
母貝 | あこや貝(阿古屋貝・アコヤガイ)/ Akoya Pearl Oyster |
生産地 | 日本・インド洋・太平洋・オーストラリア など |
サイズ | 3~11mm 程度・小粒 |
色 | ホワイト・イエロー・ブルー |
特徴 | 有核養殖・海水真珠 |
アコヤ真珠は日本で育まれる本真珠で、上品な光沢と淡い色合いが特徴です。白やクリーム色、うっすらとピンク色のものが多く、あまり大粒なものはありません。
しっとりとした奥深いその美しさから、ネックレスやピアスなどの装飾品に幅広く用いられています。エレガントな印象を与えるため、冠婚葬祭などフォーマルなシーンで選ばれているジュエリーです。
黒蝶真珠
母貝 | 黒蝶貝(クロチョウガイ)/ Black-lip Oyster |
生産地 | タヒチ・インド洋 など |
サイズ | 7~18mm 程度・大粒 |
色 | ブラック系グリーン・ブラック系レッド・
ゴールド・グレー |
特徴 | 有核養殖・海水真珠 |
黒蝶真珠はタヒチなどで育まれ、黒真珠(ブラックパール)として有名です。深い黒やグレーを基調に、虹色の輝きが加わる神秘的な美しさがあります。また、鮮やかなグリーン色はピーコックと呼ばれています。
存在感がある大粒なものが多く、世界で初めて量産に成功したのは、日本の琉球真珠です。
白蝶真珠
母貝 | 白蝶貝(シロチョウガイ)/ Silver-lip Oyster |
生産地 | オーストラリア・インドネシア・フィリピン・ミャンマー など |
サイズ | 8~20mm 程度・大粒 |
色 | ゴールドリップ(イエロー・ゴールド)・
シルバーリップ(シルバー・ホワイト) |
特徴 | 有核養殖・海水真珠 |
白蝶真珠は、アコヤ真珠に似た大粒の真珠として知られています。天然の白蝶真珠は非常に希少で、流通するほとんどのものは養殖です。
上品な白やシルバー、ゴールドの色合いが特徴で、そのきらめく光沢は洗練された美しさがあります。
淡水真珠
母貝 | 池蝶貝(イケチョウガイ)/ Freshwater Mussel |
生産地 | 中国 など |
サイズ | 1mmから大粒までさまざま |
色 | バイオレット・オレンジ・ホワイト |
特徴 | 有核養殖 |
淡水真珠は、主に淡水の貝から生成される真珠で、華やかな色や変形したものなど多様です。養殖が一般的で、近年では高品質の淡水真珠も増えています。
アコヤ真珠や南洋真珠に比べると手頃な価格で手に入ります。また、一つの貝から複数の真珠が生まれるため、コストパフォーマンスが高いのが魅力です。
真珠の種類・品質の見分け方
真珠が持つ真価を判断するには、さまざまなポイントや基準をしっかり把握することが重要です。種類や品質によって異なる特性を知ることで、真珠をより深く楽しむことができるでしょう。
巻き
真珠のランクを決める際に最も重要なのは、大きさではなく「巻き」と呼ばれる部分です。真珠は核を中心に、何層にも重なり合って形成されています。この真珠層の厚みがあるほど、光沢や耐久性が高まります。
巻きの厚さが0.4ミリ以上のものは、最高品質とされる「花珠真珠」と呼ばれます。一般的に、真珠が貝の中で育つ時間が長いほど巻きが厚くなる傾向がありますが、種類によって育成条件は異なります。
また、巻きが厚いからといって必ずしも光沢が良いわけではなく、真珠のランクを見極めるのは、簡単なことではありません。
テリ
真珠のテリとは、真珠の表面に現れる光沢や輝きを指します。光の反射によって生まれるこの美しさは、巻きの厚さや質、表面の滑らかさに大きく影響されます。
特に巻きが厚い真珠ほど、陰影が豊かで、光の中に複雑な色合いや虹色のグラデーションが現れることがあります。最高品質のテリを持つ真珠は「オーロラ天女」と呼ばれ、特別な存在として評価されています。
キズ
真珠の表面には、形成プロセスでくぼみや突起が、自然と現れることがあります。これらは「キズ」や「エクボ」と呼ばれ、職人はこれを巧みに隠す技術を持っています。
キズは、無傷・小傷・中傷・大傷の4つにランク分けされ、「花珠真珠」は無傷が基準となっています。このランクによって真珠の品質が評価され、上質なものを選ぶ際の指標となります。
色
真珠といえば白色が一般的ですが、実際にはブルーやグレー、クリームにゴールドなど多彩なカラーが存在します。そして、真珠そのものの「実体色」と、光の反射によって現れる「干渉色」に分かれます。
主なカラーには、ピンク(赤)、ホワイト、クリーム、ゴールド、ブルー、シルバー、ブラック、グリーンなどがあり、特にアコヤ真珠はピンク色が美しいとされています。
一概に高ランクのカラーを決めるのは難しいですが、真っ白や金色の真珠は、特に希少価値が高いとされています。
鑑別書
真珠の品質を見分けることは、簡単ではありません。そこで、信頼できる鑑定機関の鑑別書を参考にすることが、最も確実な方法です。
多くの鑑定機関が存在しますが、中には業者の意向に流されるところもあります。ダイヤモンドで名の知られた鑑定機関でも、専門知識を求められる真珠鑑定は特殊で難しいからです。
ではどの鑑定機関が信頼できるのかといえば、次の二社になります。
・真珠総合研究所
・真珠科学研究所
つまり、この二社以外が発行した鑑別書は、あまり信頼性が高くないといえるでしょう。
価格
真珠の種類や品質を見分けるには、価格の違いも重要な要素です。品質が高い真珠は、価格も高くなる傾向があります。しかし、異なる種類の真珠同士を比較すると、その価格には明確な違いが生じます。
同じ10ミリサイズのホワイト系真珠を見てみると、次のような価格順になることが多いです。
アコヤ真珠 > 南洋白蝶真珠 > 淡水真珠
この違いは希少性に起因します。アコヤ真珠は比較的小粒なものが多く、10ミリのサイズは特に貴重です。そのため、他の種類の10ミリ真珠と比較すると、相対的に価格が高くなるのです。
まとめ
本物と偽物の真珠を見分けるには、色合いや光沢、キズの有無に注目することが大切です。また、真珠の種類や品質に関する理解を深めることで、選択の幅が広がります。
この機会に、自分にふさわしい真珠を見つけて、その魅力をさらに楽しみましょう。