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南洋真珠の特徴と宝石言葉
真珠貝、つまり一般に真珠のとれる貝類を指しますが,日本ではアコヤガイを指すことが多いです。その他にクロチョウガイ,シロチョウガイ,淡水産のイケチョウガイなどがあります。日本では主として北海道〜東北地方の水温の低い河川上流の礫底(れきてい)に生息しています。そのように様々な種類のある真珠貝の中で、主に南半球に生息する最大の真珠貝である白蝶貝(しろちょうがい)から採れる真珠を、南洋真珠と言います。大きいものでは、貝の大きさが30センチ以上になる場合もあります。貝がとても大きいため、真珠も大きく育ち、19ミリくらいまでのサイズになる真珠もあります。貝殻内面の周辺部の色によってシルバーリップとゴールドリップに分けられます。オーストラリア海域ではシルバーリップ、インドネシアやフィリピン海域ではゴールドリップが多いようです。真珠の色はホワイト、シルバー系クリーム、ゴールド系に分けられますが、アコヤ真珠のようにブルー系やグレー系、シルバー系のものもあります。ゴールド系の真珠は自然のままのナチュラルカラーの真珠やゴールドカラーに染色した真珠が流通しています。南洋白蝶真珠は、珠のサイズも大きく、高級感があり、華やかでゴージャスな印象があります。真珠の女王と呼ばれるに相応しい、気品溢れる輝きを放ちます。ここで見出しにもあるように、宝石言葉について触れます。ジュエリーには、それぞれの種類によって宝石言葉というものがあります。もちろん真珠にもありますが、真珠の場合は様々な色が存在しますので、色が違うと宝石言葉がさらに分かれてくることはあまり知られていません。真珠は、白、黒、ピンクといったように、さまざまな色合いのものが存在しますので、宝石言葉によって使い分けましょう。真珠自体が持つ宝石言葉には「純真、無垢、純潔、長寿、健康」といったものがあります。私たちに最もなじみの深いホワイトパールの場合には「誠意、謙譲」という意味があり、冠婚葬祭で使われることも多いです。さらに、シックで落ち着いた雰囲気が魅力のブラックパールには「力強い、静か」というものがあり、エレガントでゴージャスな雰囲気が魅力のピンクパールには「辛抱強く愛する」といったものがあります。
真珠って価値が無いって言われたことがあるんだけど・・・
「真珠のイヤリングやネックレスは価値がない」
「資産になるのはダイヤモンドなどの宝石」
こうした情報を耳にする人は多いようです。実際にジュエリーの買取店に真珠を使ったアクセサリーを持ち込んだ際に、「ほとんど値段が付かなかった…」「買取を断られた」として、がっかりされる方もいらっしゃるようです。結論から申し上げると、真珠自体にはとても高い価値があります。しかし、買取という場面ではダイヤモンドなどの石に比べて価格上不利になりやすい特徴があります。買取の現場ならではのその特徴について見ていきましょう。その一つは、真珠が有機物であるという点です。有機物とは、生物に由来する炭素原子を含む物質の総称を言います。つまり無機質である石に比べると経年劣化がしやすく、ダメージも残りやすいため、その部分を買取評価に含まないわけにはいかないので、買取価格に悪影響が出やすくなるということです。また、真珠のアクセサリーの代表例でもあるネックレスは、貴金属がほとんど使われず、非貴金属が使われています。その分、他の貴金属が使われる傾向のあるジュエリーに比べて、買取価格が安くなりがちです。以上のように、真珠の買取価格が高くなりにくいのは、真珠自体の価値がないのではなく、それ以外の部分に大きな原因があると言えます。しかし、これらのような知識は残念ながら広く知られていることではなく、その状態で買取店に赴き、十分な説明もないまま買取価格を告げられてしまうと、どうしても「真珠は価値が低い」と思い込んでしまうのでしょう。結果、多くの人が真珠の本当の価値を知らずに評価をしてしまっているのが現状だと考えられます。また、真珠のアクセサリーにはイミテーションパールが使われているケースもあります。
イミテーションパールとは、構造としては真珠と似ていますが、核の周りに真珠層を人工的に吹き付けて作られたものです。この場合、天然でなく人工物は大量生産が可能なため、当然ながら買取価格は大きく下がります。店舗によっては、買取拒否をされる可能性もあるでしょう。こうした事例が頻発したことも、「真珠の価値は低い」という間違ったイメージに拍車をかけてしまったのかと思われます。
真珠の価値を決める4つの基準とは?
上述したように本来は高い価値のある真珠です。本来持っている価値が評価されれば、高額買取も十分にあり得ます。そこで以下からは、真珠の価値を決める要素について見ていきましょう。
真珠の価値は、主に以下の4つの要素と、巻きの厚さ、キズの有無で決まります。巻きとは、真珠層の厚さを指す言葉です。
●種類(品種・色)
●テリ(輝き)
●形
●大きさ
品種でまず分類され、その中でテリや大きさ、形等が評価されるのです。また、パールネックレスなど、多くの真珠を使用するジュエリーでは、色調(干渉色含む)がそろっているかも評価の対象になります。ここからは、上記の要素について、詳しく見ていきます。
■種類(品種・色)
淡水産のものは、淡水真珠、湖水真珠などと呼ばれ、量産できることと高品質のものができにくいことから、近年まで価値の低いパールとされてきました。しかし、最近は真珠核を入れた大粒のものや淡水真珠特有の様々な美しい色合いのものも生産されるようになり、高級淡水真珠というものが誕生したことで、その価値は上昇しています。真珠核とは養殖真珠の芯となるもので、養殖真珠の「原料」です。そのような現場での取り組みはあるものの、高級淡水真珠はまだまだ周知されていないことと、買取した真珠の需要自体が他の宝石に比べて低いこともあり、買取シーンでの高額査定はまだ先になりそうです。
淡水真珠に続いてはアコヤ真珠です。日本で発明された養殖真珠の先駆けで、価値の高い真珠です。アコヤ真珠は、ホワイト系が基本で需要も人気も高いです。ホワイトの中でもブルー系とピンク系があり、日本人の間ではピンク系を好む傾向にあります。そのため、ピンク系の上質なパールは、他の色合いに比べてプラス査定になる可能性があります。これはあまり知られていないことなのですが、ほとんどの真珠は漂白されています。漂白された後、調色という真珠本来がもつ色味を引き出す工程を経て流通されます。これら漂白や調色はマイナス要因にはなりません。
そして次にご紹介するのが、本記事のタイトルでもある、南洋真珠・白蝶真珠です。こちらの真珠は先ほど書かせてもらったので割愛します。続きまして、黒蝶(くろちょう)真珠(ブラックパール)です。タヒチ産のものがほとんどの、比較的新しく業界に出てきた(1970年代)パールです。基本的に黒色ですが、シルバー色に見えるものもあります。
孔雀(くじゃく)の羽のような光沢のあるものが最高品質で、「ピーコック・グリーン」と呼ばれています。
種類として最後にご紹介するのは、コンクパールです。コンクパールは、カリブ海に生息する、大型巻貝の一種である“ピンクガイ”から、非常にまれに採取される真珠です。近年養殖に成功しましたが、まだ実用段階ではないため、一般的に天然のものが流通しています。しかし、採取に規制が掛かっていることと、1000~10000個に1粒ほどしか採取できないと言われており、実際に宝石レベルのものは非常に希少なため、真珠の中でも入手が困難なものとなっています。また、コンクパールには、白・赤・ピンク・オレンジ・黄色など様々な色合いのものがありますが、1番人気で希少価値も高く、最高品質と呼ばれているものは、濃いピンク色で、火焔(かえん)模様と呼ばれる模様が出ているものでございます。
■テリ(輝き)
テリとは虹色の干渉色が見られる、パールの光沢のことを言います。特に、アコヤ真珠はテリに優れた真珠で、総合的に最高品質のものは「花珠(はなだま)」と呼ばれます。ただし、統一の定義がないため、発行機関(真珠の評価をして鑑別書を発行する機関)により品質には大きな差ができてしまっているのが現状です。現在、真珠科学研究所で発行されている鑑別書では、花珠にも明確な基準を設けているため、ジュエリー業界からも信頼が寄せられています。その他、真珠にも最高品質の証として、上記鑑別書発行機関では、白蝶真珠のシルバー系のものに「ヴィーナス」、同ゴールド系のものに「茶金」、黒蝶真珠のグリーン系のものに「ラグーン」、同レッド系のものに「サンセットブラック」等の名称を記載していますが、これらもまだあまり周知されていないのが現状です。なお、パールの中でも資産的価値の高いコンクパールには、このテリはありません。
■形
真珠には、様々な形のものがありますが、日本では、真珠を冠婚葬祭に使用することが多いです。楕円形より完全球体に近いラウンド系が1番高品質で、需要があるとされています。その一方で、ヨーロッパ等では、バロックと呼ばれる自然な形を楽しむパールにも人気があり、高級ジュエリーにも多用されています。また、真珠の形を利用してつくられた動物や小道具などのジュエリーにも人気があります。例えばドロップ形の真珠を使った商品などはカジュアルファッションにとても合います。TPOに応じて使い分けると良いのではないでしょうか。
■大きさ
テリや巻きが高評価で、キズなどもなくラウンドで大きなものであればあるほど、高額な真珠であると言えます。アコヤ真珠では、大きなものはあまり採取できないため、直径9mmを過ぎると大粒と表現されます。また、アコヤ真珠よりも大きく成長できる白蝶真珠と黒蝶真珠では、20mmオーバーのものもありますが、12mmを過ぎると大粒と表現されることが多くなります。特に白蝶真珠でホワイト・シルバー系のものの場合は、私たちが市場でよく見かけるサイズの商品は、10mmくらいから15mmまでのタイプのものが多いです。クリーム・イエロー・ゴールデン系のものの場合は、母貝の大きさ自体、比較的小さなものが多いので、そこから採れる白蝶真珠の大きさも少し小さめで、およそ7mmから17mmになります。もちろんホワイト・シルバー系の場合でもクリーム・イエロー・ゴールデン系の場合でも、大きさが大きいほど希少で価値が高いことは言うまでもありません。さらに、コンクパールは大粒なものがほとんど取れないため、ct(カラット/重さ)表記されることが多いです。0.2~0.3ctのものがほとんどで、0.5ctを超えるとさらに希少になり、高品質のものが産出されることは非常にまれです。以上が真珠の価値を決める4つの基準である、種類・テリ(輝き)・形・大きさについてでした。
真珠をはじめて購入するときのポイント
真珠をまだ一つも持っていなくて、初めて購入するという場合は、まずはホワイトパールを選ぶと無難です。冠婚葬祭の場合は球型、カジュアルであればそれ以外の形がおすすめです。そして2つ目からは、ブラックパールやピンクパールを購入するとよいのではないでしょうか。色違いがあれば、その日のお洋服によって、シックなお洋服にもエレガントな装いにも、カジュアルファッションにも合わせることができます。最初の真珠の色としてホワイトを挙げましたが、真珠本来の色は「薄い黄色」です。濃いものはゴールド、薄いものはクリームと呼ばれることもあります。一方、黄色の色素がほとんどないものを「ホワイト」や「ピンク」と呼びます。また、真珠層に異物が混入して色合いが変化したものではブルーやグレーなどが例として挙げられます。本来の色と異なるため、一律の評価が難しい色として扱われます。なお、フォーマルな場ではあまり見かけませんが、お葬式などでよく使われています。真珠の色については、色合いを加工したものもあります。核と真珠層の間に特殊塗料をしみ込ませ、実態色をピンクにします。自然なピンクの真珠とかなり近く、専門家でなくては見分けがつかないほどです。
真珠の売却、および買取での評価ポイントとは?
真珠自体の日ごろのメンテナンスに加えて、貴金属やダイヤモンド等がパールジュエリーに使用されている場合には、これも評価の対象になります。さらには、鑑別書(信頼の厚い鑑別機関のものなら尚可/真珠科学研究所・真珠総合研究所等)があれば持参し、またはブランド品の場合には購入時の附属品(ギャランティーカードや袋、BOX等)がありますと、プラス評価になることがあります。
まとめ
真珠と一言で言っても色々な種類があります。南洋真珠を取り上げましたが、今回の記事を参考にしていただき、ご自分にとってお気に入りの真珠が見つかるといいですね。