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翡翠とは?
翡翠は濃い緑色をした宝石ですが、元々は色がなく透明です。
翡翠はダイヤモンドのように単一成分の鉱物ではなく、さまざまな鉱物が集まってできた宝石です。そのほとんどが翡翠石と呼ばれる色がなく透明な鉱物でできています。
また、「仁・義・礼・智・信」の五徳を象徴し、世界中で「奇跡の石」として親しまれてきました。
パワーストーンとしても有名
中国では古来より儀式やお守りに、日本でも古来よりお守りに用いられています。
特に上質の翡翠は贈答品として珍重され、翡翠だからこそのきれいで深い緑色の美しさを装飾品に加工することもありました。
現在でもパワーストーンとして世界中で親しまれています。ネックレスやブレスレットといったアクセサリーや、大きなサイズの翡翠はそのまま飾るなど、色々な方法で利用されています。
翡翠には2つの種類がある
翡翠は、ジェダイト(硬玉)とネフライト(軟玉)に分類されます。それぞれ似ているところもありますが、異なる石です。ここでは、2種類の翡翠の違い、特徴を紹介します。
ジェダイト(硬玉)
ジェダイトは「貴石」と呼ばれる分類であり、「本翡翠」ともいわれます。
ジェダイトは、色彩の幅が広く、モース硬度は6.5~7と硬いです。
主な違いは、ネフライトよりも硬いことと、深い緑色だけではなく他の色の種類があることです。
ネフライト(軟玉)
ネフライトは「半貴石」と呼ばれる分類であり、主成分の鉱物はトレモライトです。
ネフライトは一般に緑色をしており、モース硬度は6~6.5でジェダイトよりも柔らかいことが特徴です。
ジェダイトとネフライトは別物といわれるほど異なりますが、かつては科学的に区別する方法はありませんでした。そのため、まとめて「玉」という名前で売られていました。
ジェダイトとネフライトを明確に区別できるようになったのは、成分を明確に分析できる科学技術が進歩してからのことです。
翡翠の価値基準
宝石としての価値は、一般的にジェダイト(硬玉)の方が高いです。
中国ではネフライトが重宝されていましたが、現代の宝石で価値が高いのは、光沢が美しく翡翠を主成分とするジェダイトです。
価値基準①色
翡翠には、深い緑色から淡くくすんだ緑色までさまざまな色があります。
この中で最も価値が高いのは、緑色が濃すぎず透明感があり、粘性のある緑色です。このような粘性のある翡翠は「ろうかん(琅玕)翡翠」と呼ばれます。
透明感を感じさせますが濃い色をしており、粘性のあるろうかん質の翡翠はほとんど産出しないため、1カラットの翡翠でも非常に高価です。
ろうかんではなかったとしても、濃く透明な緑色の翡翠も非常に高価です。 当然、色がくすんでいる、色が薄いなどの翡翠は価値が下がり、色のムラが目立つと更に価値は下がります。
価値基準➁透明度
透明度が高ければ、比例して価値も上がることが特徴です。 しかし、色が濃くなければならないため、淡く透明な翡翠はあまり価値がありません。
また、結晶構造上、ほかの宝石のように100%透明になることはないため、透明度が低くても色や質感の良い翡翠は高額になります。
透明感があり、濃い色をしているほか、粘りがあるように見えるものはレアであり、品質がとても高いです。
ろうかんは透明なだけではなく、独特の粘性が重要で、とても柔らかく見えることが魅力です。翡翠は実は宝石のなかで一番硬いですが、ろうかんは飴やグミのように柔らかく見えます。
価値基準③大きさ
基本的に翡翠はドームや楕円形などの形に加工されることが多いですが、縦・横・厚みが大きいものは高価になります。
しかし、大きさに比例して高価になる翡翠というのは高品質なものに限られるため、岩のような見た目の翡翠はどれほど大きくても高額にはなりません。
また、ろうかん翡翠は大粒のものが少ないため、ろうかん翡翠の場合はサイズよりも質感や色が重視されます。
価値基準④産地
翡翠のほとんどはミャンマーで産出されますが、ミャンマー産の翡翠は翡翠石の含有量が多く、色や透明度など高品質なことが特徴です。そのため、現在市場に出回っている翡翠の多くはミャンマー産です。
日本では縄文時代中期の遺跡から翡翠が発見されましたが、奈良時代以降は発見されなくなり、中国などからもたらされたと考えられています。
しかし、昭和になると新潟県糸魚川市の小滝川で石が発見され、日本でも翡翠が産出することがわかりました。現在、糸魚川で翡翠を採取することはできないものの、糸魚川市の翡翠の美しさは有名です。
価値基準⑤ランク
翡翠の価値は加工方法によって決まり、加工方法や加工の度合いによってA~C級(グレードA~C)に分けられます。
翡翠の価値は、どの基準に該当するかによって異なります。
翡翠のランクによる値段の違い
ここでは、A~Cのランク別に、特徴や加工方法について紹介します。
A貨
Aランクは、必要最小限の研磨・加工を施しただけの翡翠で、天然に近く価値が高いとされています。
宝石としての価値が高いのはAランクの翡翠だけで、BランクやCランクと分ける目的で「天然翡翠」といわれています。
Aランクの翡翠の具体的な加工は、一般的に粗面を研磨し、色が付いていないワックスで磨くことですが、この加工によって翡翠の価値が低下することはありません。
B.C貨
Bランクの翡翠は、漂白して透明にしたり、樹脂を含浸させて鮮やかにしたりします。より天然翡翠に近いものにするためや、ひび割れを防ぐために加工されているため、宝石としては価値がありません。
Bランクの翡翠は、天然石として販売されていますが、通常低価格で販売されています。
Cランクは人工翡翠と呼ばれ、翡翠の粉末や破片を集めて処理したり、人気のある色に似せて染色したりして作られます。翡翠の含有量が少ないため、翡翠製品として安価で販売されています。
CランクもBランクと同じような加工なため、宝石としては価値がありません。
翡翠の色のランク
翡翠の色にはいくつかのランクと種類があります。ここでは、主な翡翠の色のランクを紹介します。
最高級ランク「ろうかん」
ろうかんは最高級の翡翠で、「翡翠の皇帝」と呼ばれています。
深いエメラルドグリーンと、表面には独特の粘り気に似たツヤがあることが特徴です。 深みがありながらも透明で、美しい緑色の佇まいは高級感を演出します。
世界で最も品質が高い翡翠の産地はミャンマーであり、北部のカチン州で高品質の翡翠が大量に産出されます。 実際、ろうかんと呼ばれる最高級翡翠の90%はミャンマー産です。
ろうかん翡翠の値段は数十万円~一千万円台のものもあり、最高級のものでは一億円を超えるものもあります。
深緑色
名前のとおり、濃い緑色が特徴です。深い緑色は力強さと豊かさを表現し、高級な印象を与えるでしょう。
また、落ち着きのある印象も与えるため、年齢を重ねた方が身につけるアクセサリーにも最適です。
実際に、深みがある緑色の翡翠は、フォーマルシーンや高級な装飾品にも使用されています。
明るい緑色
明るい緑色の翡翠は、鮮やかで生き生きとした雰囲気を演出します。
活気、若々しさ、エネルギーを表現し、ラフなデザインの製品に使用されることが多いです。
明るい緑色の石は、気軽に身につけられるアクセサリーに使用されます。
ミントグリーン
ミントグリーンは、特に鮮やかなバリエーションです。
爽やかで清涼感があるイメージを表し、夏の季節感や清潔感を強調できるでしょう。
明るい緑色の翡翠とは異なる印象があるため、好みの色の翡翠を見つけられます。
翡翠の色のランクを決める基準
翡翠色は、色の深み、透明感、均一性によってランク付けされます。以下はそのランク付けの基準です。
色の濃さ
翡翠の価値を判断する際に、色は重要なポイントです。
緑色の翡翠は人気があり、ラベンダー色の翡翠がそれに続きます。
翡翠は、濃く深い緑色であるほど、価値があります。さらに、色ムラがないことも大切な要素です。
色の透明性
どんなに透明な翡翠でも、霞のような濃淡や内包物はあります。
透明度の高い翡翠ほど価値が高く、透明できれいな緑色は、身に着ける方の魅力をより引き立ててくれるでしょう。
色の均一性
翡翠の色の均一性も、価値を決める材料のひとつです。
翡翠の色は均一であるほど価値があがりますが、完全に均一な色の翡翠は稀です。色ムラや斑点が少なければ品質が高いといえます。
まとめ
美しい緑色と豊かな個性で愛されている翡翠。濃い緑色や、淡い緑色まで複数のバリエーションが存在し、ランクによっても印象が異なります。また、パワーストーンとしても有名な石であり、身につけたいと考える方も多いです。自宅に眠っている翡翠や、使用していない翡翠のアイテムがある場合は、高値で売却できる可能性があります。