宝石エメラルド
エメラルドは、ダイヤモンド、サファイア、ルビーと並び四大宝石と称される特に価値の高い宝石です。エメラルドは、緑柱石(ベリル)という鉱物に分類され、その中でもとくに深く美しい青緑色をしたものがエメラルドと呼ばれます。ちなみにアクアマリンやモルガナイトも緑柱石の一種です。緑柱石はベリリウム、アルミニウム、ケイ素、および酸素によって組成され、変成岩や花崗岩の割れ目に見られます。エメラルドの緑色は、その構造内にクロムやバナジウムが存在することによって生じます。しかし、すべての緑色のベリルがエメラルドの称号を得られるわけではなく、緑色が淡かったり明るすぎる場合は、エメラルドと見做されません。
エメラルドの硬度は、鉱物の硬度を示すモーススケールで7.5~8と、ダイヤモンド、ルビー・サファイアに次ぐ硬さがあります。一方で、傷やひび、不純物が多いことも特徴で、天然に産するエメラルドでそういったものが無いことは非常に稀です。そのため、透明で傷がないものは模造品か、非常に高価な最高級品のどちらかということになります。そのため、逆に言えばそういった天然由来の傷やくすみは、本物の天然エメラルドである証拠とも言えます。
エメラルドは、コロンビア、ロシア、マダガスカル、カナダ、ザンビア、ブラジルなどで産出されます。とくにコロンビアは最大のエメラルド生産国です。
エメラルドの歴史
エメラルドという言葉は英語のEmeraldに呼応するカタカナ言葉ですが、このEmeraldという言葉は、「緑色の宝石」を意味するラテン語「smaragdus」から派生した、古いフランス語の「Esmeralde」に由来します。
古来、エメラルドは豊かな緑の色合いで魂を落ち着かせ、想像力を豊かにする宝石として信じられてきました。また緑という色は、人々のイマジネーションや心に働きかける色であると考えられていました。大プリニウスは著書『博物誌』の中でエメラルドを「これ以上に美しい緑色を呈するものはない」と表現しました。彼はまた、宝石細工師が視力を回復する手段としてエメラルドを使用したことについても説明しています。今日でも、緑という色は目の疲れを和らげ、ストレスを軽減すると言われます。
伝説によると、エメラルドは神からソロモン王に与えられた4つの宝石の1つです。この四つの石は、万物を支配する力を王に与えたと言われています。ちなみに残りの3つの石はルビー・ラピスラズリ・トパーズです。
エジプトでは5,000年以上前にエメラルドの採掘がおこなわれていました。さらに、エメラルドはクレオパトラが好んで収集していたことでも知られています。彼女はエジプトのエメラルド鉱山も所有していましたが、彼女の死後、その鉱山はローマ人に引き継がれました。
エメラルドは、16世紀にスペインの探検家が新世界(現在のコロンビア)を侵略したときの戦利品の一部でした。インカ帝国では宝石や宗教儀式でエメラルドを使用していました。エメラルドの価値は、当時海の覇権を握っていたスペインの貿易によって、ヨーロッパやアジアの王侯貴族に広まりました。スペインの人々は宝石よりも金と銀を高く評価していたため、エメラルドを貴金属と交換しました。
パワーストーンとしてのエメラルド
古くは、エメラルドは「眼・視力・慧眼」を司ると考えられていました。エメラルドを舌の下に置くと真実が明らかになったり、未来を予見する能力が備わるとされました。エメラルドは知恵と忍耐を象徴する石でもあり、エメラルドは、友情とロマンチックな関係を強化し、忠誠心と誠実さを促進します。内なる平和をもたらし、負のエネルギーを退けます。正しい道を見定める一助となるため、エメラルドを持つ者は邪(よこしま)な誘惑に惑わされないといわれたり、エメラルドを身に着けると、弁が立つようになり、真の愛を見つけることができるともいわれました。
ヒーリングストーンとして、エメラルドは目の疲れや白内障を和らげるとともに、免疫力を高めてウィルス感染を予防すると言われています。
ヒーリングストーンとしてエメラルドを使用していると、浄化やエネルギーの再チャージが必要になってきます。浄化が必要なときは塩水に数時間浸してから、柔らかい布で拭いてください。その後、太陽光の下で数時間おくことでエネルギーをチャージできます。
※ヒーリングストーンは、医学的根拠に基づくものではありません。
まとめ
エメラルドは、古くからその価値を認められてきた高貴な宝石です。5月の誕生石で永遠の春を象徴する石としても知られます。鮮やかで深い緑色の色味から、眼にいい影響をもたらすと考えられ、眼球疲労や眼病予防に効果を発揮すると考えられました。また、視力との関連性から、エメラルドを持つものには予知能力や慧眼が備わるとも考えられました。