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エメラルドの特徴
エメラルドはアクアマリンやモルガナイトなどと同様にベリル系の宝石です。色は深く透き通る緑色で、エメラルドグリーンというように色を表す言葉にもつかわれる程です。モース硬度は7.5~8と宝石の中でもかなり硬い部類に入るが、結晶内部にキズを多く抱えている場合も多く、実際の硬度に比べて脆く、欠けや割れなどを引き起こしやすい性質をもっています。
世界の4大宝石にも数えられており、古くにはクレオパトラジュリアス・シーザーなど名だたる権力者にも愛された宝石であり、古来より富と権力の象徴として重用されてきました。
エメラルドが高い理由や価格高騰の背景
世界でおもに流通している宝石は40種類ほどあり、エメラルドはその中でも希少な宝石のひとつとして知られ、宝石の中でも高い価値があると評価されています。
エメラルドは他の価値の高い宝石であるダイヤモンド、ルビー、サファイアと合わせて世界四大宝石と呼ばれ、ジュエリー用途として新品・中古問わず高値で取引されています。
現段階でも希少性、需要ともに高いエメラルドですが、世界最大産出地であるコロンビアでの産出量は年々減少傾向にあり、今後さらに価値が高まる可能性があります。
エメラルドの価値基準
エメラルドはその品質によって価値が大きく変動します。ここではエメラルドの価値を決めるために重要な基準となる4つの項目についてご紹介します。
価値基準①大きさ
宝石は長い年月をかけて物質が堆積や結晶化することによって生成されるため、大きければ大きいほど数が少なく、希少になっていきます。特に、ジュエリーなどに用いられるジェムクオリティとなると大きなものはほとんど存在しません。
エメラルドも例外ではなく、大きな原石は大変希少であり、大きなものほど価値は上がっていきます。一方で、ダイヤモンドなどと比べると大きさによる差はそこまで大きくなく、小さなものであっても後述する色や輝きが優れているものであれば高値で取引されます。
価値基準➁色
エメラルドの価値基準として最も重要な項目ともいえるのが、色味になります。価値基準に影響する色味は、エメラルドの色の濃淡や明るさなどになり、基本的に緑色が濃く、鮮やかなほど価値が高くなります。
一方で、緑色があまりにも濃すぎる場合、黒ずんでいるように見えてしまうことから、緑が濃くても価値が下がる場合があるのは注意が必要です。
価値基準③内包物
内包物はインクルージョンとよばれ、エメラルドが生成される過程で液体や気体が閉じ込められたり、他の物質が混入することで発生するものです。これはエメラルドに限らず、様々な宝石でも同様ですが、エメラルドは宝石の中でもインクルージョンが多いのが特徴です。
これらは色や透明度に影響を及ぼし品質を低下させるといわれています。しかしエメラルドの場合は、芸術的な観点から魅力のひとつとして評価される場合もあります。有無や状態によってエメラルドの価値に大きく影響するポイントだといえます。
余談になりますが、エメラルド全体の生産量の0,001%未満(10万個に1つ)にキズやインクルージョンが全くなく、それらを見にくくする処理を行わない「ノンエンハンスエメラルド」と呼ばれるものもあります。その値段は0.87カラットで100万円を超える価格帯になっており、ルビーやダイヤモンドよりも価値の高い存在となっています。
価値基準④輝き
輝きはエメラルドにとって、重要な価値要素となります。エメラルドはダイヤモンドなどと比べると内包物やキズが多く、欠けやすい性質をもっています。これを補うためにカット数の少ないテーブルカットという長方形のカットが多く採用されています。
カット数が少ないため、カット面が多いラウンドカットに比べて光の反射が少なく弱いため、ダイヤなどと比べて、エメラルド自体が本来もっている輝きが価値基準として重要視される傾向にあるのです。
エメラルドのカラット数と見た目の大きさは異なる
エメラルドの大きさはカラット(ct)で表されていますが、それは正確には間違っています。石の大きさは石の縦×横×高さをそれぞれ(mm)で表記したもので、石の重さと大体比例するためカラットで示しているにすぎません。そのため、エメラルドを正面から見ると同じ大きさであっても、石の高さ(深さ)によって体積は変わるため、重さであるカラット数も変化するのです。
エメラルドのカットの種類と特徴
エメラルドはカットの仕方によってその様々な魅力を魅せてくれます。ここでは、エメラルドのカット方法をそれぞれの特徴とともにご紹介していきます。
ファセットカット
ファセットカットは、宝石の加工法のひとつで、宝石の表面に角度の違う多数のファセット(切子面)をもたせることで、内部に入り込んだ光を屈折させ、内側から輝いているように見せるカット方法で、光を透過させる必要があるため、透明度の高い宝石に用いられます。
ファセットカットの代表的なものとして、ダイヤモンドに用いられるラウンドカットが挙げられます。一方、エメラルドはダイヤモンド程の屈折率がないことから、ラウンドカットではなくステップカットが採用される場合が多く、ステップカットの別名がエメラルドカットと呼ばれる程に定着しています。
角を僅かに切り落とすエメラルドカットは、エメラルドのために特別に開発されました。これは長めのファセットによって、宝石の色を最大限に引き立たさせる目的に加え、カッティングの際にかかる圧力を減らし、欠け(チッピング)や割れを防ぐ目的もありました。
カボションカット
全体に丸みのある形状で、全体の形は半円状になっているのが、カボションカットです。ジュエリーのセッティングがしやすく、ジュエリーデザインにも制限が少なく自在にデザインすることが出来るので、様々な宝石で好まれています。
カボションカットはファセットカットと異なり、光の反射を利用するカット方法ではないため輝きという面ではファセットカットには及びません。しかし、宝石本来がもつ色味や輝きをダイレクトに魅せることができるため人気があります。特に、キャッツアイ効果をはじめとした、特殊な性質をもつ原石を輝かせる手段として最適され、それらの宝石は希少性の高さも相まって高額取引されています。
エメラルドの色のランクと値段相場
エメラルドは色の美しさと透明度(内包物の有無を含む)によって値段相場が大きく変動します。「買取大吉」では目安としてエメラルドのランクをつけ、それに基づいて査定を行っています。ランクはS〜Cランクまであり、それぞれの基準は以下のようになっています。
【色の濃さ】
Sランク:濃いエメラルドグリーンをしている
Aランク:しっかりと色づいた葉のような緑色
Bランク:若葉のような緑色や濃すぎて黒ずんでいるような緑色
Cランク:色があまりなく薄く青みがかった緑色
【透明度・内包物】
Sランク:透明度が高く内包物が見当たらない
Aランク:透明度は高いが内包物が少しある
Bランク:わずかに濁ったように見える
Cランク:肉眼でもはっきりと内包物が確認できる
このような基準でランク付けされ、参考価格相場としては以下のようになります。
カラット\ランク | Sランク | Aランク | Bランク | Cランク |
---|---|---|---|---|
1.0ct | 150,000円 | 120,000円 | 80,000円 | 11,200円 |
2.0ct | 400,000円 | 250,000円 | 180,000円 | 28,000円 |
3.0ct | 630,000円 | 350,000円 | 250,000円 | 63,000円 |
5.0ct | 1,400,000円 | 700,000円 | 500,000円 | 210,000円 |
産地によってエメラルドの色や種類が異なる
エメラルドの産地はブラジル、コロンビア、パキスタン、シベリア、ザンビア、ジンバブエなどがあります。採掘場所によってエメラルドの特徴が異なり、熟練の宝石鑑定士になると、エメラルドを見ただけでその産地を言い当てることが出来ます。
ここではエメラルドの価値に直結する産地や特別なエメラルドについてご紹介します。
コロンビア産エメラルド
世界のエメラルドの50%が採掘されている世界最大の産地がコロンビアです。コロンビア産のエメラルドには、美しい緑色の色素要因であるクロムが多く含まれているため、発光するような輝きを放つエメラルドが産出されるのが特徴です。
さらに、コロンビア国内にはいくつものエメラルド鉱山が存在し、多種多様なエメラルドが採れるのも特徴です。有名な場所ですと、ムゾー鉱山やチボール鉱山が挙げられ、ムゾー鉱山産は、深く鮮やかなグリーンのエメラルドである一方、チボール鉱山産は透明度が高く明るい色合いのものが産出されています。
サンダワナ産エメラルド
サンダワナとはジンバブエにある鉱山の名前で、その鉱山で採れたエメラルドのみサンダワナ産のエメラルドといわれています。サンダワナ産のエメラルドの特徴は小粒ながらも美しい色合いです。
カットされたサンダワナ産エメラルドの平均重量は0.08カラットと他の産地と比べるとかなり小粒です。小粒のダイヤモンドは一般的に色が淡くなってしまうため評価が下がりがちですが、サンダワナ産だけは黄色みを帯びたグリーンを小さな粒の中に美しく保つことができるのです。
ザンビア産エメラルド
ザンビアでは、丸みを帯びた形状のエメラルドが多く発掘されます。そのため、カボションカットに加工するのに最適といえます。また、原石全体に均等な緑色が広がっていることも大きな特徴で透明度が高く、色に深みがあるものも存在しており、高品質なジュエリーに使用されることもめずらしくありません。
後述するエンハンスメントなどのオイル処理をしない高品質なものも他に産出地に比べて多く出回っており、ノンエンハンスメントのエメラルドを入手したい場合はザンビア産が第一候補になるのではないでしょうか。
エメラルドキャッツアイ
キャッツアイ効果とは、宝石に上から光を当てると、宝石の表面に猫の目のような光の線が現れ、石を動かすとその線が移動する光の特殊効果のことで、宝石底面に針状結晶のインクルージョン(内包物)を持つ宝石に対して、半球形カボションカットを施すことで出現します。
エメラルドでもこのキャッツアイ効果が見られるものがあり、コレクターアイテムとして人気が高いです。エメラルドキャッツアイはその特性を最大限に引き出すため、カボションカットで研磨されます。
トラピーチェエメラルド
トラピッチェ エメラルドはエメラルドの中でも特徴的な模様がみられる特殊なエメラルドの呼び方です。「トラピッチェ」の語源は、サトウキビの搾り機の歯車に似ていた事からスペイン語の歯車を意味するトラピッチェをつけて呼ばれるようになりました。
1964年に発見されて以来、コロンビアでごく僅かに原石が得られる程度で、さらに宝石として研磨される結晶はさらに数が少ないため、コレクターストーンとして高値で取引されています。
その他エメラルドの価値に関するよくある質問
エメラルドに関する疑問として「エンハンスメント」や「トリートメント」とはなにか?といった質問を受けます。ここではそれらについてご紹介していきます。
エンハンスメントとトリートメント
じつは9割以上のエメラルドには、エメラルドがもつ潜在的な美しさを引き出すために、エンハンスメント(改善)といわれる処理が施されています。この処理は、色の改善をするためのものではなく、宝石の本来の美しさを引き出すために石の内包物を見えにくくするためのものです。具体的には、透明オイルや透明樹脂による改善が一般的に行われています。
トリートメント(改良)との違いは、色のついたオイルや色のついた樹脂による改良が施されていないかどうか、また、ガラスなどの充填による処理をしてエメラルドそのもの自体の魅力を惑わすものでないかどうかなど、本来のそのものが持つ魅力からかけはなれた処理が行われていないことが大きなポイントになります。
世界中のどこの代表的な鑑別機関などでも、エンハンスメント(改善)された宝石には、天然宝石として鑑別されておりますが、トリートメント(改良)された宝石は、天然宝石(トリートメントによる改良が認められる)という表示に変わります。
エンハンスメントされた宝石の価値は決して損なわれませんが、トリートメントされた宝石は勿論その価値は下がります。
ノンエンハンスメントとエンハンスメント
ルビーやサファイア、エメラルドなどを始めほとんどのカラーストーンには、上述したエンハンスメントが施されています。ノンエンハンスメントとはこれらの処理を一切行っていない、素の状態を指す言葉です。
エメラルドの生成過程の関係上どうしても内包物が存在してしまうのが普通です。そのため、ノンエンハンスメントの状態で、内包物の少ない綺麗な宝石はほとんど存在しないため、そのような宝石は途方もない金額で取引される事も珍しくありません。
ノンエンハンスメントが注目され、以前よりは市場に出回るようになりましたが、実際にはキズの目立つものも多く、ノンエンハンスメントの方が優れているとはいえないので注意が必要です。
まとめ
今回は希少なエメラルドについてご紹介しました。かつてはクレオパトラも愛用していたといわれているほど歴史あるエメラルドは今なお人々を魅了し続けています。ジュエリーとしても人気が高く、中古市場でも人気があります。もしもご不要なエメラルドのアイテムがございましたら是非「買取大吉」までご連絡ください。