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ブラッド・ダイヤモンド、紛争ダイヤモンドとは?

ブラッド・ダイヤモンド、紛争ダイヤモンドとは?

キラキラと輝くダイヤモンドですが、その歴史の全てが美しいわけではありません。ブラッド・ダイヤモンドや紛争ダイヤモンド、あるいは、コンフリクト・ダイヤモンドという言葉を耳にした経験がある方も多いのではないでしょうか。自分自身を美しく見せてくれるダイヤモンドが、海外の紛争に関わっているとしたら…残念に思う方も多いはずです。ブラッド・ダイヤモンドや紛争との関連性について知り、あらためてダイヤモンドの価値を見つめ直してみましょう。

武装組織とダイヤモンドコングロマリットとの利害一致

ダイヤモンド、そしてルビーサファイアエメラルドの四大宝石を筆頭に、宝石類は世界標準の価値を持つ資産です。かさばらないので持ち運びしやすく、古今東西人々の携帯財産として重宝されてきました。

しかし、その特性によって、鉱山から容易に持ち出しやすくダイヤモンド産地における紛争資金源となってきました。これらのダイヤモンドが「ブラッドダイヤモンド」「紛争ダイヤ(コンフリクトダイヤ)」と呼ばれるものです。ダイヤモンドは、金と同様に世界中で換金が容易、しかもカットや研磨によっていくらでもカムフラージュが可能です。そして、紛争国に武器を売りたい欧米諸国は、ダイヤモンド需要国でもあります。あらゆる意味でダイヤモンドは武器調達資金源として最適だったのです。

紛争の資金として使われるダイヤモンド

ダイヤモンドが多く産出されるアフリカ地域では、1980年代から90年代にかけて多くの内戦が勃発しました。これらの内戦が引き起こされた原因、また長期間にわたって続いてしまった原因の一つが、実はダイヤモンドだと言われています。

世界各国の人々を魅了するダイヤモンドは、世界の市場においても確かな価値を認められたもの。貧しい国々にとっては非常に重要な資源ですが、内戦時には「ダイヤモンドを売ってそのお金で兵器を購入する」という負の流れが生まれていました。そのように紛争の資金源となっているダイヤモンドが「ブラッド・ダイヤモンド」と呼ばれているのです。

ブラッド・ダイヤモンドの問題で特に注目されたのは、シエラレオネという国です。政府勢力と多数の反政府勢力が激しく争ったシエラレオネの内戦では、ダイヤモンドはどちらの資金源としても利用されました。ダイヤモンド鉱山を巡って争いが激化したり、罪なき市民が強制的にダイヤモンド採掘のために働かされたりと、多数の問題が報告されています。

非政府組織(NGO)の活動により、これらの問題が明るみに出ると、ダイヤモンド業界は問題解決のために動き出します。国連や各国政府と協力し、紛争ダイヤモンドを市場で取り扱わないための取り組みを、2003年よりスタートしています。

この取り組みよって作られた制度をキンバリープロセス認証制度と言います。現在は各所の努力により、世界で流通しているダイヤモンドの99%以上が、紛争ダイヤモンドではありません。より安心してダイヤモンドを手に入れられる環境が整ってきています。

キンバリープロセスとは?

キンバリープロセス認証制度の問題点や成果を挙げる前に、まず、キンバリープロセスについて説明します。キンバリープロセスを一言で言うと「ダイヤモンド原石を輸出する時、これは紛争ダイヤモンドではありませんという証明をつけて輸出する取り組み」のことです。

これだけ聞くと、非常に良さそうな取り組みですね。ダイヤモンド産出国がキンバリープロセスを実行するために必要な法律を整備し、関係者が「紛争ダイヤモンドは、悪である」という認識を持つに至った点は、評価に値すると考えます。実際、1990年代と比較したら、紛争ダイヤモンドの流通量は、減っているでしょう。しかし、キンバリープロセスは、多くの課題も抱えています。欧米では、それらが認知されつつありますが、日本では残念ながらほとんど知られていません。

キンバリープロセス認証制度の課題

●目的
キンバリープロセス認証制度(以下、キンバリープロセス)はそもそも、ダイヤモンド原石が紛争の資金源となることを予防する目的で制定された認証制度です。言い換えると、紛争の資金源以外の問題には一切関与していないということです。

ダイヤモンドにまつわる課題には、様々なものがあります。紛争の資金源、労働者の極度の貧困、児童労働、強制労働、債務労働、暴力、搾取、密輸、環境破壊、サプライチェーンの複雑さ、運用…。

仮にキンバリープロセスが完璧に運用されていたとしても、上の課題のうち解決できるのは紛争の資金源の問題だけ。さらに問題だと思われるのは、キンバリープロセスの内容を理解している人が少なく、「キンバリープロセスに認証されているのだから、ダイヤモンドには問題なんて無い」と思いこんでいる人が多いのが日本の現状です。

 

●定義
では、キンバリープロセスの紛争ダイヤモンドの定義をみていきましょう。「紛争ダイヤモンドは、正当な政府を転覆させることを目的とする反政府軍による紛争の資金源として用いられるダイヤモンド原石を意味する」です。

 

【ポイント1:定義が反政府軍による活動に限定】
つまり政府軍が紛争や人権抑圧に使う目的でダイヤモンドを資金源としても、それは紛争ダイヤモンドではないという解釈です。例えば、アフリカ南部にあるジンバブエはムガベ大統領が率いるジンバブエ・アフリカ民族同盟愛国戦線を旧与党とする、実質的軍事政権の国です。ジンバブエには大きなダイヤモンド鉱山があり、ジンバブエ軍がそれらを制圧しています。最も有名なマランゲダイヤモンド鉱山では、軍や警察が鉱山で子どもを含む地元住民に強制労働をさせ、拷問・暴力・レイプ・殺人をしたという報告が国際NGOのヒューマンライツウォッチからされています

それにもかかわらず、ジンバブエのダイヤモンドは紛争ダイヤモンドの定義にあてはまらないため、キンバリープロセスはジンバブエのダイヤモンドを疑問視せず、2010年にジンバブエのダイヤモンド輸出を解禁しました。つまり、ジンバブエでこのような状況下で採掘されたダイヤモンドは何ら問題のないダイヤモンドとして、キンバリープロセス認証され、通常の市場に流通しています。

また、反政府軍が政府軍に勝ち政権を奪取すれば、もともとの反政府軍は政府軍になります。政府軍になれば、鉱山近隣住民を襲ったり強制労働させた上でダイヤモンドを得ても、紛争ダイヤモンドの定義には当てはまらないため、キンバリープロセスに認証されたダイヤモンドとして公式に輸出することができます。

ダイヤモンド産出国が多いアフリカでは未だ紛争が散発し、反政府軍が政府軍を倒し、政府軍に変わることも珍しくありません。そのような状況下で、紛争ダイヤモンドの定義を「反政府軍による活動」に限定する意味はないように思えます。

 

【ポイント2:定義がダイヤモンド原石に限定】
内戦・紛争の多いアフリカでは、ほとんどの国が原石を輸出しているため、紛争ダイヤモンドの定義がダイヤモンド原石に限定されているのかもしれません。これはつまり、カット・研磨済のダイヤであれば紛争の武器等を購入する資金源になっても「紛争ダイヤモンドではない」という解釈になります。

例えばイスラエルは、世界三大カッティングセンターの一つと言われ、ダイヤモンドの研磨・カット業界で有名です。誰もが知っているジュエリーのスーパーブランドの多くが、イスラエルでカット・研磨されたダイヤモンドを使っています。2013年のイスラエルから外国への全輸出額のうち23.5%は研磨済ダイヤモンド、4.9%は未研磨のダイヤモンドが占めており、イスラエル経済を牽引している産業の一つがダイヤモンドであることは疑問の余地がありません。

同時に、イスラエルの国防軍は、世界でも有数の戦争遂行能力を有していると言われています。2013年のイスラエルの軍事費はGDPの5.6%で、アメリカ3.8%、イギリス2.2%、中国2.1%、日本1.0%と比較し、世界の中でもGDPに占める軍事比率が高くなっています。イスラエルとパレスチナ間は長年断続的に戦っており、戦いに使われるイスラエルの軍事費を支える税金は、主要産業のダイヤモンド業界からかなりの額がもたられていると推測できます。一説には、年間約1,000億円がイスラエルのダイヤモンド業界から軍事費に流れているという話もあります。

海外には、イスラエルで研磨・カットされたダイヤモンドは紛争ダイヤモンドであると考え、イスラエルを経たダイヤモンドをボイコットするキャンペーンをしている人達も存在します。

 

●運用
キンバリープロセスの3つ目の課題は、運用に関するものです。キンバリープロセスは、加盟国が自主的に運用しています。また、強制力がないため、違反しても罰則はありません。

キンバリープロセスの加盟国の多くはアフリカ諸国であり、決められたルールに則って制度を運用する能力がまだ十分でないケースが散見されます。同時に、アフリカ諸国では紛争ダイヤモンドを抑止することより、原石輸出の際の税金を徴収する目的でキンバリープロセスを用いているという報道もあります。

2014年5月にDFP代表理事の村上がリベリアの採掘担当省でキンバリープロセスを担当する副大臣に面会した際、キンバリープロセスがどの程度きちんと運用されているのか聞いてみました。すると「運用は難しい」という回答で、理由としては政府が違法採掘者を取り締まることができない点、統計をとることができない点(地方から上がってくる数値が推定の数値でしかないとのこと)、国境警備が甘く密輸を取り締まれない点が挙がりました。

リベリアの地方を訪問した際にも、同様の質問を採掘担当官に聞いてみました。回答は、「州に数人しか取り締まる担当官がいない。移動もバイクのみで、ガソリン代がほとんど支給されていない。この状態で違法採掘者や密輸業者を取り締まることは無理だ」とのことでした。

ブラッド・ダイヤモンドを買ったのは?

ブラッド・ダイヤモンドの問題を語る際に気になるのが、当時出荷されたダイヤモンドの行方についてです。原石の状態で密輸されたダイヤモンドは、ヨーロッパへと運ばれ、加工された上で世界中に流通しました。ダイヤモンドには、以下のような特徴があり、そのルートをたどることが難しいとされています。

 

・大きさが小さいため、さまざまな荷物に紛れ込ませて密輸が可能であること

・カットや研磨によって、見た目が大きく変化すること

・数多くの業者の手を経て、市場に出回ること

 

どのような理由・条件で採掘されたダイヤモンドであるにも関わらず、職人の手で磨かれ、華やかなカットを施された石は、まぶしく輝きだすのです。手元のダイヤモンドから、そのルートをたどったり想像したりすることは非常に難しいこと。しかしそれは、誰の手元にブラッド・ダイヤモンドがあってもおかしくはないということなのです。

また、ブラッド・ダイヤモンドの存在は2006年に公開されたサスペンス映画『ブラッド・ダイヤモンド』が話題になり、世間に認知されました。
映画に出て来る登場人物や企業は架空ですが、当時の状況や問題は実話を忠実に再現しており、世間が紛争ダイヤモンドへ危機感を持つきっかけになったと言えます。

まとめ

「もう美しいだけのダイヤモンドは買わない」という消費者のこの決意こそがブラッドダイヤモンドをなくせるのです。そして、紛争問題だけでなく、ダイヤモンド採掘や加工における児童労働や環境破壊などの問題への配慮も必要です。

ご紹介してきたように消費者および販売側の意識改革そして技術革新によって、どのような足跡をもつダイヤモンドなのかがわかる時代となりました。ダイヤモンドも「どこから」「どのようにして」「誰の手で」もたらされたものなのかを知っておくことが重要です。

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