ダイヤモンドが高いのはなぜ?
ダイヤモンドの価値は品質によって左右されるものの、最高品質のダイヤモンドや希少なダイヤモンドであれば1カラット(0.2グラム)で100万円を上回ることもあります。ここでは、ダイヤモンドが高額となる理由を紹介します。
・採掘に多大なコストがかかる
・宝石として流通するダイヤモンドは希少である
・加工にコストがかかる
ダイヤモンドが採掘できる場所は地球上でも限られており、寒冷なロシアやカナダ、アフリカ大陸の一部の国々にある鉱山が中心です。かつては地表付近の露天掘りも盛んに行われていましたが、近年は地中深くに坑道を掘り採掘が行われています。
採掘地までの移動や採掘自体にコストがかかるだけでなく、採掘した膨大な岩石の中から宝石となりうるダイヤモンドを見つけ出す作業にも膨大なコストがかかります。なお、ダイヤモンドの採掘量は決して少ないわけではないものの、宝石に加工できる品質・大きさのダイヤモンドは全体の1割程度です。
また、ダイヤモンドの原石を宝飾用として加工するコストも無視できません。ダイヤモンドは非常に硬く、加工のためには研磨用のダイヤモンドを使った高い技術が求められます。ダイヤモンドの価値は、カットや研磨の仕上がりにも左右されるため、加工によって価格が跳ね上がるケースもあるでしょう。
なお、ダイヤモンド市場は「デビアス社」というイギリスの企業(発祥は南アフリカ共和国)が大きな影響を持っています。デビアス社は、ダイヤモンドの産出量が増えた19~20世紀に業界を掌握し、ダイヤモンドの価値を長期的に維持するための施策を打ちました。
ダイヤモンドの価値を決める基準とは?
ダイヤモンドは一つ一つ色味や輝きが異なるため、すべて同じ価値を持っているわけではありません。ダイヤモンドそのものの価値を決めるのは一般的に「要素」と「グレード」と言われていますが、他にもさまざまな基準があります。ここではそんなダイヤモンドの価値基準について紹介します。
◆ブランド品の有無
ダイヤモンドに限ったことではありませんが、ブランド品かノーブランド品かによってダイヤモンドの価値は大きく変わってきます。当然前者のほうが価値は上がるでしょう。
◆4つの要素
4つの要素とは、カラット・カット・カラー・クラリティーになります。石の鑑別で必ず用いられる基準でこれらの要素とグレードが高いほど価値の高いダイヤモンドになると言われています。
◆デザインや大きさ
ダイヤモンドのデザインや大きさも価値に影響します。同じダイヤモンドでも一つ一つ異なり多彩ですから、どんなカットが施されているのか石の大きさはどれくらいなのかなどで変わってくるでしょう。
◆品質「4C」で決まるダイヤモンドの価値
ダイヤモンドの品質を知るために欠かせないのが「4C」です。4Cで価値が決まるといっても過言ではありませんから、ダイヤモンドを購入するときの参考にもなるでしょう。ここでは4Cについて紹介します。
◆カラット(重さ)
カラットはctと表示し、1カラットあたり重さは0.2gになります。1個10ctのものと10個10ctのダイヤモンドでは当然前者のほうが価値があります。
ちなみに、0.3もしくは0.2ct未満の小さなダイヤモンドは「メレダイヤ」と呼ばれており、メイン宝石の周りに配置する脇石や飾り石として使われています。
◆カラー(色)
カラーはD~Zの23段階に分けられており、無色透明なほど価値のあるダイヤモンドになります。ダイヤモンドはもともと色味があるため段階によって透明度も変わってきます。ちなみに品質が高いのはD・E・Fです。
◆クラリティー(透明度)
傷や内包物が目視できるかどうかで決まってきます。もちろんこれらがないダイヤモンドのほうが価値は上がります。
◆カット(技術加工)
職人によってカットされたものを言います。どのような角度でカットするかでダイヤモンドの輝きや煌めきが変わってくるため5段階で評価されます。もっとも低品質なのがPoor、高品質がExcellentになります。
◆ブランドによるダイヤモンドの価値
ダイヤモンドに限らずジュエリーは「付加価値」で価値の高さが決まるため、ブランド品のほうが評価が上がりやすいのはそのためです。ブランド品はそれだけデザインなどにコストをかけ入念に作られているからでしょう。ブランド品でも世界的に有名なものやハイブランドであるほど価値は上がります。実は、ダイヤモンドの希少性は操作されていた!!
「ダイヤモンドは高価」という概念は、ダイヤモンドをブランディングしている側のコントロールによるもの。価値の高い宝石というイメージを醸成して高い価格を維持し、そこから「ダイヤモンドは高価な宝石」という価値感と常識が生まれたことをご存知でしょうか?
ダイヤモンドは原石の採掘から流通に至るまで、長年、南アフリカのデビアス社に支配されて来ました。同社は1888年の創業以来、ダイヤモンド原石の産地である南アフリカのダイヤモンド鉱山を次々と買収して権利を独占したり、生産調整から販売までを手がけるシンジケートの構築で、事実上、ダイヤモンド原石の市場を独占的にコントロールして来ました。このため、同社による「ダイヤモンドは特別で希少価値がある」というイメージが保たれ、高い価格で取引されて来たのです。
しかし、近年ではデビアス社の手が及ばないロシアやオーストラリア、カナダ、中国などでも採掘が行われ、従来の制御が効かず、同社のシェアも減っています。事情が変わり、市場を厳格に制御して来たデビアス社の「ダイヤモンドは高価な宝石」というマーケティング戦略も、今後は崩れる可能性があるのです。
え!?、ダイヤモンドを人口的に作ることが出来る?
人工ダイヤモンドは合成ダイヤモンドとも呼ばれ、天然ダイヤモンドと同様、炭素を原料しています。地球の内部で作られる天然ダイヤモンドに対して、人工的に成分を合成して生成されています。人工ダイヤモンドの生成技術は著しく向上していて、鑑定士でも天然ダイヤモンドと見分けるのが難しいと言われるほどです。
人工ダイヤモンドは天然ダイヤモンドと比べて、硬さ、熱や電気の伝導性、電子の移動度に優れているため、研磨材や切削工具、放熱板などに多く利用されています。1978年にアメリカが金星へ送った人工衛星の窓にも人工ダイヤモンドが使われていたそうです。
人工ダイヤモンドの製造メーカーであるWD Lab Grown Diamondsでは、化学気相成長法という技術によって、物理的、光学的、化学的に、もはや天然か人工か区別がつかないダイヤモンドを製造していると言います。その違いは、自然の中で数百年もの歳月をかけて生成されるか、ラボの機械で数週間で成長させるかの違いなのだとも。ダイヤモンド鑑定機関のひとつ、IGI(International Gemological Institute)が品質を認めた同社のダイヤモンドは、同品質の天然ダイヤモンドより30%以上も安価。天然と同等のダイヤモンドが天然の半額程度で入手できる日も、遠くないのかも知れません。
気があるダイヤモンドの種類はどれか
■大きなカラット数のダイヤモンド
採掘されるダイヤモンドの多くは、大きさが小さく、グラム数に換算してもあまり重さがありません。これまで大きな原石が採掘された記録は、歴史上でも数多くは残っていないようです。そのため大きなダイヤモンドは価値があり、高く評価されます。1カラット以上あるダイヤモンドは希少価値が大変高く、金額的にも高額で取引されます。
■希少性が高いダイヤモンド
白く美しく輝いているダイヤモンドも人気がありますが、石の仕上がりに外部から影響を受けたり、石の中に取り込まれた別の鉱物の影響で色が付いたカラーダイヤモンドは、産出量が極めて少ないため人気があります。カラーダイヤモンドで最も人気があるのは天然のカラーダイヤモンドで、その中でもピンクダイヤモンドはカラーダイヤモンドの中でも比較的に手に入りやすいため人気の石です。淡いピンク色の柔らかい色合いの石は女性に大変人気があり、結婚指輪や婚約指輪として希望される方が多いようです。落ち着ついた輝きがあるブラックダイヤモンドも男性に人気があり、あまりにも需要が高まったため人工で作られるほどになりつつあります。
■「凝ったデザイン加工を施してあるダイヤモンド
ダイヤモンドはそのままでも美しいですが、有名なデザイナーがデザインして加工することにより持っている特性が活かされ、さらに美しく輝きます。人気のあるデザイナーやブランド商品が売れて人気があるのは、ダイヤモンドをどのようにすればより光り輝く石に変わるのかを知り尽くしているからです。ティファニーやカルティエのように使用している貴金属はシンプルですが、ダイヤモンドを美しく見せるために凝った作りのデザインにしています。
品質が高いダイヤモンド
ダイヤモンドは4Cの評価基準で鑑定されますが、その中のクラリティの項目においてVS以上のグレードの石であればほとんど不純物が含まれておらず透明度が高いため、大変価値が高い石になるので、購入を希望する人は多くなります。
まとめ
宝石用のダイヤモンドは採掘や加工のコストが高いことから、希少で高価な宝石として知られています。しかし、近年人工ダイヤモンドが作られるようになったほか、加工技術の進歩や代替品となる安価な宝石の登場により、価値の下落が懸念されている状況です。
なお、ダイヤモンドはブライダルなど特別なシーンにおいて今後も選ばれ続けると考えられます。ただし、資産としてダイヤモンドの購入を考えている人は、市場の動向を考慮して判断することをおすすめします。