ダイヤモンドの採掘方法
天然のダイヤモンドはどのようにして採掘されるのでしょうか。それは主に3つの採掘方法があります。
・パンニング
パンニングは砂金を採る方法としてもお馴染みで、川でザル状の皿を手に、砂を洗い流しながら原石を探すやり方です。パンニングの名称は用いられる皿から来ています。パンニング皿は市販もされており、わたしたちでも可能なダイヤモンドの採掘方法です。古くから行われてきた採掘法でもあります。とは言え、現代となってはあまりに非効率で、かつ大きなダイヤモンド原石の採掘が困難なため、今ではほとんど行われていません。
・パイプ鉱床
パイプ鉱床は、パンニングに代わって主流になっていった採掘方法です。地面に大きな穴を掘って原石を採掘する方法です。冷えたマグマがダイヤモンド原石を含んだ岩石になったものを「キンバーライト」と呼びますが、このキンバーライトが円筒状になっているものを「ダイヤモンドパイプ」と呼び、ここから「パイプ鉱床」という呼び名が付きました。大規模に採掘が行える半面、崩落などの危険性も高いことから、近年ではあまり行われなくなりました。
・漂砂鉱床
近年、パイプ鉱床から徐々に切り替わっている方法が、「漂砂鉱床」です。別名「堆積鉱床」とも言われます。パイプ鉱床と同じく広範囲を採掘可能で、尚且つ危険性も低いこの漂砂鉱床はもっとも新しい採掘方法です。火山で円筒状に残ったパイプ鉱床から、長い年月を経て風化や浸食によりキンバーライトが河川に流出し、堆積して川床や川岸に鉱床を形成します。海へ流れ出たキンバーライトは海岸に打ち寄せられ堆積し、鉱床を形成します。これらキンバーライトの漂砂(堆積)に着目した採掘方法が漂砂鉱床です。
産出国について
ダイヤモンドの産出国は世界でも限られており、希少性の裏付けにもなっています。一般的なイメージではアフリカがダイヤモンドの産出国として有名ですが、実際の産出量ランキングはどのようになっているのでしょうか?2013年度のダイヤモンド産出国ベスト10は以下のとおりです。
・ロシア
・ボツワナ(アフリカ大陸)
・コンゴ民主共和国(アフリカ大陸)
・オーストラリア
・カナダ
・ジンバブエ(アフリカ大陸)
・アンゴラ(アフリカ大陸)
・南アフリカ(アフリカ大陸)
・ナミビア(アフリカ大陸)
・シエラレオネ(アフリカ大陸)
このように産出国の大半をアフリカ大陸が占めています。以前はインドがダイヤモンド産出国のトップだったのですが、近年になりロシアやアフリカ大陸にダイヤモンドの鉱脈が見つかったこともあり、産出国のランキングが入れ替わりました。ちなみに現在のインドのダイヤモンド産出量は、ランキングで19位になっています。
10位以下にもアフリカ大陸の産出国が多く、現在のダイヤモンドの主流はアフリカ産と言えるでしょう。世界的に見てもダイヤモンドの産出量は限られており、今後一気に産出量が増えることは無いでしょう。ダイヤモンドの鉱脈も見つかる可能性もありますが、しばらくはロシアとアフリカ大陸の産出によるダイヤモンド供給が続くと見られています。
かつてはダイヤモンドはインド特産の宝石で、他の地域では産出されないと考えられていました。そのため、インド石という別名で呼ばれていたほどで、ダイヤモンドの産出はインドの独占状態だったのです。しかし、18世紀にブラジル、19世紀にはアフリカ大陸でダイヤモンドの鉱脈が発見されます。採掘技術が進歩したことも手伝い、かつてインドのみだったダイヤモンドの産出国ランキングが一変しました。
さらに、近年になるとロシアとオーストラリアでもダイヤモンドの鉱脈が見つかりました。特にロシアのダイヤモンド鉱脈はかつてない埋蔵量と見られ、推測では数兆カラットとも言われています。この埋蔵量は数千年に渡って世界のダイヤモンド需要を支えられるほどで、今後もロシアが産出国ランキングのトップに立つことは間違いないでしょう。
また、ロシアのダイヤモンド鉱脈は隕石の衝突によって生まれたものだと考えられています。そのため、他の産出国のダイヤモンドよりも質に優れており、資産価値の面でも評価されているのです。ダイヤモンドの価値を保つためにロシアのダイヤモンド産出量は急激に増えることは無いでしょうが、今後もランキングの上位を保つことは間違いないでしょう。
ちなみに日本ではダイヤモンドは採れる??
2007年、愛媛県・四国中央市に位置する四国山地にて、日本初となる天然のダイヤモンドが見つかりました。地質的には和歌山県・奈良県・三重県・千葉県も同様とのことで、今後日本各地でダイヤモンドが見つかる可能性が出てきました。夢がある話ですね!
世界最大のダイヤモンドとは
カリナンは1905年1月26日に南アフリカのカリナン鉱山で発見されたダイヤモンドの原石で、3106.75カラット(621.35g)という世界最大の大きさです。鉱山の監督フレデリック・ウエルズが見回り中、鉱山の壁にガラスのようなものを発見。ポケットナイフで削ると、巨大なダイヤモンド原石が現れたという事です。その後そのダイヤモンドの原石は鉱山の所有者であるトーマス・カリナンに敬意を表し、カリナンと命名されました。カリナンは、価格が付けられないほどの価値があると言われています。原石からカットされた最大のカリナンⅠは、推定価格4億ドル(約440億円)と言われており、3106カラットの原石であれば24億ドル(約2600億円)以上の価値があるだろうと言われています。
4Cについて
まずダイヤモンドの評価は米国宝石学会が定めた4Cと呼ばれる基準があります。それぞれの評価が高いほど品質がいいとされます。では、詳しく4Cについてみていきましょう。
・Crat(カラット)重量
1カラット=0.2gに換算され、カラット数が大きいほどダイヤモンドも大きくなります。ちなみに0.2未満のダイヤモンドはメレダイヤと呼ばれ、結婚指輪のメインのダイヤの周りを飾るダイヤとしても用いられます。
・Color(カラー)色
ダイヤモンドの色は一般的に無色に近いほど品質が高いとされます。Dランク~Zランクまで分けられ、Zに近づくほど黄色っぽい色をしており、色の違いは歴然です。
・Cut(カット)輝き
ダイヤモンドのカットは最上級(Excellent)~理想的(VeryGood)~良い(Good)~まずまず(Fair)~基準以下(Poor)と区分されます。最上級のExcellentは職人による計算されつくした美しいカットです。
・Clarity(クラリティ)透明度
天然ダイヤモンドには少なからずの汚れや傷があり、不純物が少ないほど高い品質となります。
カラーダイヤモンドとは
ダイヤモンドといわれ想像するのは、無色透明かもしれませんが、不純物や様々な証券が重なってできたカラーダイヤモンドも存在します。大まかに分類すると「無色」、「ホワイト(White)」、「イエロー(Yellow)」、「オレンジ(Orange)」、「ピンク(Pink)」、「レッド(Red)」、「パープル(Purple)」、「バイオレット(Violet)」、「ブルー(Blue)」、「グリーン(Green)」、「ブラウン(Brown)」、「グレー(Gray)」、「ブラック(Black)」と分類されます。
ちなみにレッドダイヤモンドはカラーダイヤモンドの中で1番希少価値が高く。世界に30個程度しか存在しない、オークションでは数十億円の値段がつくほどのものです。またカラーダイヤモンドは、一般的なダイヤモンドとは別の判断基準で評価されています。
合成ダイヤモンドとは
合成ダイヤモンドとは人工的にダイヤモンドに似せて作られたもので『キュービックジルコニア』が代表格と言われています。合成ダイヤモンドは、化学成分や結晶構造は天然ダイヤモンドと基本的に同じで、光学的・物理的特性も同じです。日本では、一般社団法人日本ジュエリー協会(JJA)と一般社団法人宝石鑑別団体協議会(Aが1994年に制定した「宝石もしくは装飾用に供される物質の定義および命名法」において、人工生産物の呼称を、「合成石」、「人造石」、「模造石」に分類しています。
今回は、ダイヤモンド採掘方法や4Cについて紹介しました。ダイヤモンドは品質により値段や価値が大きく変わってきます。肉眼ではわからない区分があり、知識を身に着けていると購入の際に役立つかと思います。