目次
ダイヤモンドとエメラルドの特徴や見た目の違い
●光沢
・エメラルド … ガラス光沢
・ダイヤモンド … ガラス光沢
そのほとんどが、ファセットカット(小さな面を多数作って形にするカット)されます。これは、外部から取り入れられた光によって内側からの煌(きらめ)きを引き出すカット方法で、ガラス光沢で透明性の高い宝石をより美しく見せる技術です。
なお、どちらの宝石も親油性があるため、肌に直接当たる形で身に付けた場合等には、皮脂等が宝石表面になじんでしまい、油膜が張ることで光沢が著しく落ちてしまうため、注意が必要です。
※お手入れすることで、また元の光沢に戻ります。
●色
・エメラルド … 緑色
・ダイヤモンド … 無色透明から黒までほぼ全色
エメラルドは、クロム、もしくはバナジウムによる発色要因で緑色になります。鉱物ではベリルに属しています。ベリルは、色によってアクアマリンやモルガナイト等、宝石の名称が異なるのですが、中にはグリーンベリルという宝石名のものもあり、エメラルドと混同されることもあります。しかし、発色要因が異なるため、グリーンベリルがエメラルドと呼ばれることはありません。一方、ダイヤモンドは炭素により構成されていますが、その一部分が窒素に置き換わる程度(窒素の割合等)で、無色・または様々な色に変化しています。
●モース硬度(鉱物の硬さを1~10までの数字で表したもの)
・エメラルド … 7.5~8
・ダイヤモンド … 10
エメラルドは、鋼鉄のヤスリと同等で、ガラスなどを傷つけることのできる硬さになります。しかし、内部に小キズなどが多数存在する鉱物的特徴があるため、衝撃にはもろく、欠けやすい性質があります。これに対して、ダイヤモンドはご存じのとおり、自然界にある鉱物の中で最も硬い物質です。しかし、弱点もあります。それは衝撃です。「へき開性が4方向に全開」という性質があるのですが、これは4つの方向に向けてもろい“面”があり、割れやすい性質を持っていることを表しています。
ダイヤモンドとエメラルドのお手入れや保存方法の違い
●水やお湯でのお手入れ
・洗剤での洗浄 … 可能
・超音波洗浄機での洗浄 … 不可
どちらも、水やぬるま湯での洗浄が可能です。ただし、水へのつけ置き洗いは、ダイヤモンドだけしかできません。なお、洗剤を使用する場合には、どちらも必ず液体のキッチン用洗剤(中性洗剤)を利用し、水で薄めたものに浸してソフトなブラシ等であまり力を入れずに擦り洗いします。その後、洗剤を落として水分も残さないように拭き取りましょう。また、どちらの宝石も衝撃には弱いため、超音波洗浄機での洗浄は、割れや欠けを招いてしまう可能性があります。
ダイヤモンドの場合は短時間の使用であれば大丈夫なこともありますが、エメラルドに関しては避けるのが賢明です。
●拭く
ふだんのお手入れは、保管する前に柔らかい布で拭くようにします。くすみが出てきたら、キッチン用の中性洗剤の希釈液を柔らかいブラシ等に付けて、洗浄するようにしましょう。洗浄後は必ず、吸水性の良いタオル等で水分を十分に拭き取ってから保管します。
●保存方法
エメラルドは、光に当たり続けることで退色や変色を招きます。ダイヤモンドは熱や光には強いのですが、ジュエリーとしては貴金属部分の劣化を招く恐れがありますので、どちらも冷暗所にて管理することをおすすめします。
ダイヤモンドとエメラルドのアクセサリーの違い
●ダイヤモンドジュエリー
世界で最初にダイヤモンドが発見されたのは、古代インドでした。当時はダイヤモンドをジュエリーとして加工せず、ヒンドゥー教の神の目に嵌めるなどして崇高な存在として扱われていました。古代インド人たちは高技術でダイヤモンドを研磨しており、グレートムガルやシャーと呼ばれるカットが施されていました。14世紀になると、インドからヨーロッパへダイヤモンドが輸出されます。15世紀になると研磨技術が向上し、テーブルカットやローゼンツカットが誕生します。16世紀にはファセット面が多く、バラの蕾に似たローズカットが生み出されます。後にブリリアントカットにつながることになる、マザランカットが誕生しました。
さらに17世紀末には、ファセットが58面あるオールドマインカットが生まれ、やがて丸形をしたオールドヨーロピアンカットへと発展します。そして1919年には、ベルギーのカット職人マルセル・トルコフスキーによってラウンドブリリアントカットが開発されます。ダイヤモンドの3つの要素「ブリリアンシー」「ファイアー」「シンチレーション」を最大に引き出すため、綿密な計算の上発明されたカット方法です。
後にオーバル、ペア、ハート、マーキス、プリンセスなどファンシーカットが開発されました。現在は研磨機器やカット職人の技術の向上により、より繊細で華やかなカットが発明されています。
●ダイヤモンドジュエリーの歴史
14世紀にダイヤモンドがヨーロッパに運ばれ、研磨技術が発展するとともにダイヤモンドがジュエリーとして使用されるようになりました。ダイヤモンドは希少で高価なことから、王侯貴族や神職者のみが身に着けるものとされていました。世界で初めてダイヤモンドの婚約指輪が贈られたのは、1477年だと記録されています。後にローマ神聖皇帝となったオーストリアのハプスブルク家のマキシミリアン大帝が、ブルゴーニュ帝国シャルル勇胆公の娘マリアに贈ったものです。
1866年に南アフリカのキンバリーでダイヤモンド鉱山が発見されるとともに、世界中でダイヤモンド需要が一気に上昇します。世界的に有名な宝石企業や宝飾ブランドにより、ダイヤモンドを配した婚約指輪を贈る習慣が一般的に広まります。 やがて一般の女性たちも気軽にジュエリーを身に着けるようになり、ダイヤモンドを配したネックレスやリング、イヤリングなど様々なデザインのダイヤモンドジュエリーが製作されるようになりました。
●エメラルドジュエリー
エメラルドは、その内部にキズのような内包物(インクルージョン)が多く、これは地中奥深くで結晶生成時に生じるものなので天然の証にもなっています。
もちろん、内包物が少ないエメラルドも存在しますが、とても価値が高く、透明度が高く明るい濃い緑色のものほど高価です。
天然のエメラルドはほとんど内包物が多く入っているので、これらを樹脂やオイルに浸して傷を隠す処理が一般的で、このような処理をおこなった石を「天然」とすることが認められています。
この処理は、内包物を見えにくくするだけでなく、内包物による割れやすさを回避し耐久性をアップさせる効果もあります。
稀に、処理を行っていない天然で内包物の少ないエメラルドは「無処理」や「ノンオイル」と記載されることがありますが、このような記載が無い場合のほとんどは処理済のエメラルドと考えられます。衝撃に弱いことからジュエリー製作も困難で、セッティング中に割れてしまうことがあり、熟練の職人でも苦労します。
ダイヤモンドとエメラルドの評価や人気を比較
ダイヤモンドとエメラルドを単に比較するのであれば、圧倒的にダイヤモンドの方が人気です。ダイヤモンドは、鉱石の中でも一番と言っていいほど有名です。さらに石の硬さを表すモース硬度において、硬度10という鉱石の中でも最高ランクを叩き出しているのです。それ故に、割れることがなく永遠に輝き続けられると言われ、固い誓いを約束するとして婚約指輪としても高い人気を誇っています。そして忘れてはいけないのが工業用のダイヤモンドです。実はダイヤモンドの八割がその工業用ダイヤモンドに使われているとされています。トップクラスのその硬い特徴を生かし、半導体やコンクリート、ガラスなどのあらゆるものを研磨、切断することが可能なのです。そんな様々な用途に使われることこそが、ダイヤモンドが高い人気、高い知名度を誇り続けてきた理由なのです。一方エメラルドは、数々の歴史を生み出し、クレオパトラの時代から人類、世界を魅了し続けている装飾品です。ダイヤモンドにはない、その一時代を築き上げてきたという実績こそが、このエメラルドの最大の魅力と言えるでしょう。確かに実用性や、知名度、人気の面で見ても、エメラルドはダイヤモンドに比べ劣っている要素がありますが、エメラルドは非常に古くから存在している鉱石で、現代の鉱石という世界を創り上げたといっても過言ではないのです。
ダイヤモンドとエメラルドの値段と価格相場を比較
●色
エメラルドは、鮮やかな濃い緑色が最高品質とされています。また、色が均一に出ているかも評価の対象になります。薄い色よりも濃い方が評価されるのですが、濃すぎて色が暗く見えてしまうものは、マイナス要因となります。ダイヤモンドは、国際的基準である「4C」内のカラー基準から見て、無色透明のものが最も価値があるとされています。しかし、ファンシーカラーダイヤモンド等と言われる、色付きのダイヤモンドでは逆で、鮮やかな発色があるほどに価値が増します。その中でもレッドやピンク、ブルー等のように産出もまれで希少なものは、無色透明のダイヤモンドよりも資産的価値が高くなるものもあるのです。
●透明度
ダイヤモンドもエメラルドも内包物がなく、透明度の高いものの方が評価は高くなります。
特にダイヤモンドの場合には、宝飾用の10倍ルーペで確認したときに、どの程度内包物が見えるのかといった、細かい評価基準があります。
一方、エメラルドは、内包物や細かい傷が鉱物的特徴としてありますので、内包物があったとしても、それが宝石としての見た目に影響なければそれほどマイナスにはならず、カラーが優先されます。
●相場
ダイヤモンドは、国際的な評価基準があります。4C「カラット(Carat/重さ)、クラリティ(Clarity/透明度)、カラー(Color/色)、カット(Cut/プロポーション)」がそれで、この評価基準と国際相場は連動しているため、4Cの評価により相場価格も明確に分かるようになっています。ただし、国際相場はUSドルで決定するため、日本での取引の際には日本円に換算しなければなりません。これにより、為替相場の変動もダイヤモンドの価値を見る時には欠かせない指標となっています。
一方、エメラルドは流行や国際為替相場などにより、宝石相場も左右されやすい傾向にあります。特に、比較的流通量の多いグレードのものはその傾向が顕著です。しかし、評価の高い希少なものや特徴のあるもので美しいもの(カラット数が大きく発色の良いものや歯車模様のあるトラピッチェエメラルド等)については、他の宝石(ルビーやサファイア等)よりも高値傾向で取引されています。
ダイヤモンドとエメラルドの査定基準と買取店の上手な選び方
買取の場合には、前章までにお話しした評価基準が査定にも適用されます。しかし、サファイアを含むカラーストーンに関しては、明確な国際的基準がありませんので、買取業者により査定に大きな開きが出る場合もあります。業者を選ぶときには、宝石学のプロ資格である「GG(米国宝石学協会)」や「FGA(英国宝石学協会)」等の保持者が在籍しているかを、まずは確認しましょう。なお、保持者が在籍している業者なら査定額も同じになる、というわけではありません。業者が買取に力を入れている商品か否か、手数料等の仕組みはどうか等で査定額にも差が出てきます。
大切な宝石ですから、希望額ではなかった場合は、いくつかの業者に査定してもらうことも視野に検討すると良いでしょう。また、買取の査定では、商品の状態はもちろん、人気のデザインやブランド物か、箱やギャランティーカードなどの附属品はあるか、またその状態は良いか、鑑別書や産地証明書はあるか等によっても査定額が異なってくる可能性は大いにあります。高額査定に少しでもするためには、こうしたポイントも抑えておくと良いでしょう。