カラーダイヤモンドとは
カラーダイヤモンドは、透明なダイヤモンドとは異なり、希少な色を持つダイヤモンドのことです。価格も通常のダイヤモンドよりも高くなることがあります。ダイヤモンドになぜ色がつくのか、色別に特徴やエピソードを、そして天然と人工の見分け方などをご紹介しましょう。
ファンシーカラーダイヤモンドとの違い
カラーダイヤモンドとファンシーカラーダイヤモンドの主な違いは、色の濃さと透明度です。カラーダイヤモンドは、色の濃淡や透明度によって評価されます。そしてファンシーカラーダイヤモンドは、発色が美しく透明度が高い、希少なカラーダイヤモンドを指します。
天然のダイヤモンドは生成される過程で不純物が混ざることが多いため、色がつくことがほとんどです。全ダイヤモンドのなかで、わずか0.01%程度しか産出されない希少性を持つのがファンシーカラーダイヤモンドなのです。
カラーダイヤモンドが色づいている理由
カラーダイヤモンドに色がつく理由は、その生成過程での炭素原子への不純物の影響によります。天然のものは不純物が混じり、色が付きますが、一般的なダイヤモンドは透明です。特に鮮やかなファンシーカラーダイヤモンドとは、この色合いの美しいものを指します。
一方、人工的に着色されたダイヤモンドは、様々な技術を用いて色付けされます。例えば、放射線を照射して内部の色を変える方法や、高温と圧力で着色する方法などがあります。これらは着色されたダイヤモンドとして知られています。
カラーダイヤモンドの価値と評価基準
カラーダイヤモンドの場合、評価基準は色調に焦点を当てる傾向があります。このため、希少性に影響を及ぼす要素が異なります。
そこで、通常のダイヤモンドとカラーダイヤモンドの評価基準について見ていきましょう。
通常のダイヤモンドとは評価基準が異なる
通常のダイヤモンドとカラーダイヤモンドは評価が異なります。
ダイヤモンドはGIA(米国宝石学会)の4C(カット・カラット・クラリティー・カラー)基準によって評価されます。無色透明で内包物が少なく、カットが重要です。
一方、カラーダイヤモンドは3C(カット・カラット・特にカラー)基準で評価されるため、色合いが最も重視されます。クラリティーは希少性を考慮して柔軟に評価されますが、カットは色合いに大きな影響を与えるため重要です。また、天然のカラーダイヤモンドや特殊な加工をしたものがあり、品質や希少性に影響します。
市場で多く見かけるため、品質を見極める際には注意が必要です。
天然ダイヤ・人工ダイヤの違いが価値に影響
天然ダイヤモンドと人工ダイヤモンドの違いはとても重要です。天然のダイヤモンドは数百万から数億年かかって形成されるため、高い希少価値があります。一方、人工ダイヤモンドは数週間から1か月で生成されるため、希少価値はほぼありません。
市場で見かけにくいめずらしい色のカラーダイヤには、人工品が多いため注意が必要です。なかには悪質な業者もいますので、購入前に人工ダイヤかどうか確認しましょう。
また、天然ダイヤであっても、過度に人工的な加工が施されてしまうとその価値は失われてしまいます。
どの程度の加工処理が行われたかで希少性が変わる
ダイヤモンドの加工処理は希少性に影響します。そのため無加工のダイヤモンドが最も高い価値を持ちます。
カラーダイヤモンドは「色合いを人工的に調整する」と、希少価値が低下しますが、天然ダイヤならば元々の価値が失われるわけではありません。加工方法には放射線照射やトリートメント処理、加熱処理などがあり、鑑定書で判断可能です。
コーティング剤を表面に散布していたり、オイルを染み込ませて「傷を隠す」処理もありますが、これはプロが見れば分かります。これらの加工が施されたダイヤモンドは希少性が低くなるため、基本的に避けるべきです。
日本では出回りにくいのですが、米国では多く出回っています。顧客に説明すれば販売可能ですが、プロでないと確認が難しく、業界全体に悪影響を与える可能性があります。そのため、販売を控えられているようです。
傷や色ムラなどはマイナスの評価となる
ダイヤモンドの美しさには、傷や色ムラが影響します。カラーレス(無色透明)のダイヤモンドでは重要視されますが、カラーダイヤでは若干緩和される傾向があります。
傷や色ムラ、加工処理は希少性だけでなく美しさに影響するため、マイナス評価にダイレクトにつながります。傷に関しては、指輪などで隠れる程度ならば、影響は少ない場合もあります。
色ムラがある場合は低品質と見なされますが、カラーダイヤとしては評価されないことが一般的です。ただし、2つの色が混ざり合うパーテーションカラーは希少価値があります。
カラーダイヤモンドの色の種類一覧
ダイヤモンドの色合いは、内包物に左右されます。そのため形成において、特定の色を狙うことは難しいです。しかし、色があるからといって必ずしも希少ではありません。一部の希少な色合いは特別な評価を受けるため、色ごとに希少性を理解することが重要です。
レッドダイヤモンド
非常に希少なレッドダイヤモンドは、世界にはわずか30個しか存在しないといわれています。数億円での取引があるほどの価値があり、一般市場にはほとんど出回りません。希少性から幻のダイヤモンドと称され、入手も売却もオークションが主流です。
希少なピンクダイヤモンドの色が赤方向に濃くなったものであり、1カラット以上のレッドダイヤモンドはほとんど見られません。その希少性は他のカラーダイヤモンドとは一線を画し、圧倒的に高く評価されています。
ブルーダイヤモンド
ブルーダイヤモンドも高い希少価値があります。たとえば、最高品質のダイヤモンドの価値を1とすると、ブルーダイヤは10に相当するでしょう。レッドダイヤよりも希少性がやや劣るとされていますが、現在の流通数や発見された原石の最大カラットを考えると、それほどの差はありません。
ブルーダイヤは非常に希少で、市場には人工品や低品質な物が多いため、説明や鑑別書を確認することが重要です。濃い青だけでなく内部のグレイさも重視されるので、理想的なブルーダイヤは少なく、コレクターの間で高い関心を集めています。
グリーンダイヤモンド
グリーンも希少な色であるため、人工品が多く流通しているダイヤモンドだといえるでしょう。天然で濃い色のものは非常に珍しいため、買取店ではその真贋を確認しようと、まず鑑定書を求められます。
しかし、GIA(米国宝石学会)は「色の起源が天然か人工かを100%正確に判断できない」とコメントしており、果たして天然のグリーンダイヤが存在するのかと疑われることもあります。
出回りが少ないため価値は個々に異なりますが、ピンクやブルーと同様に高い評価を受けます。イエローやブラウンよりも希少性が高いダイヤモンドです。
パープルダイヤモンド(赤紫)
パープルダイヤモンド(赤紫)は幻のレッドダイヤと同様に高い希少価値があります。バイオレットダイヤとの違いは、赤みがかった紫色です。
見た目は紫色ですが、鑑別結果ではピンクダイヤモンドとして扱われることもあります。年間にパープルダイヤとして鑑別されるものは僅かです。耐久性も考慮すると、品質や保存状態が良いものほど希少価値が高まります。
バイオレットダイヤモンド(青紫)
バイオレットダイヤモンド(青紫)は、青みがかった紫色が特徴的です。希少なカラーダイヤモンドであり、市場に出回る数も極めて少ないです。
一般的には鮮やかな青紫ではなく、やや暗く、青味が少ないものが多いです。透明度の高い青紫のバイオレットダイヤは、非常に高価で貴重な品ですが、鑑別の際にはグレーダイヤと混同されることもあります。
ピンクダイヤモンド
最高品質のダイヤモンドを1とするならば、ピンクダイヤモンドは10に相当します。淡い赤色がベースであり、赤い絵の具を水で薄めていくような絶妙な色合いです。
ピンクダイヤの認知度を高めたのは、オーストラリアのキンバリーにあるアーガイル鉱山です。それまでアーガイル鉱山で産出されていたのは、小粒でブラウン色の低品質ものが多かったため、この希少なピンクダイヤの発見は大きなニュースとなりました。
現在でも市場に流通している約90%は、アーガイル鉱山が原産地だといわれています。しかし、アーガイル鉱山は2020年に閉山してしまいました。そのため天然の、しかも上質なピンクダイヤは非常に高価で入手が難しく、市場で見つかる場合は人工的なものが多いです。
ホワイトダイヤモンド
ホワイトダイヤモンドは、高い希少性と人気を誇る、非常に価値があるダイヤモンドです。色合いは真っ白ではなく、乳白色で半透明な色合いを持ちます。
カラーレス(無色透明)のダイヤモンドと混同されがちですが、まったく別の異なる種類です。単に白みがかったものであれば比較的多いのですが、乳白色は極めて珍しいため、高く評価されています。
その乳白色の色合いは科学的にも未解明であり、とても神秘的な魅力があります。カラーダイヤモンドの中でも、「白色」はその汎用性の高さから、安定した需要があります。
オレンジダイヤモンド
通常のダイヤモンドは、茶色から黄色に近づくと価値が下がりますが、オレンジダイヤモンドは高い価値があります。レッドとイエローが混ざり合った独特の色合いが美しく、特に綺麗なビビットカラーとなると希少性がさらに上がります。
市場で流通することがめったになく、基本的にオークションや専門家同士の取引が行われています。同じグレードのイエローダイヤと比較すると、価値は約10倍にもなるといわれていますが、人工品も多く出回っています。
中品質とされるライトオレンジなどであれば、一般的な市場で手に入ることもあります。残念ながら高品質なものは、非常に高価格であるといえるでしょう。
イエローダイヤモンド
黄色に輝くイエローダイヤモンドは、カラーダイヤモンドの中でも特に有名です。通常、ダイヤモンドは無色透明からやや黄色や茶色がかったものが多く、これらは価値が低い傾向にあります。
イエローダイヤの色合いの基準は、他のカラーダイヤよりも厳格です。特にカナリヤ色が美しいイエローダイヤは人気が高く、市場価値も上昇しています。そして好まれるのは、ブラウンを帯びていない濃いイエローです。
そのためイエローダイヤを選ぶ際には、色の濃さよりもブラウン色の有無に注意することが賢明です。濃いイエローのダイヤモンドは希少ですが、ブルーやピンク、レッドなどに比べると多く産出されています。
ブラウンダイヤモンド
トーンバリエーションが豊富で、褐色に輝くブラウンダイヤモンド。無色透明なダイヤモンドと比べると、その価値はやや低い傾向にありました。最近ではカラーダイヤモンドの普及により、ブラウンダイヤの人気が高まっています。比較的安価であるため入手がしやすいためでしょう。
初期のダイヤモンド採掘では、産出の大部分が茶色から黄ばみがかったものであり、これらはブラウンダイヤとして扱われてきました。その影響もあるためブラウンダイヤの供給量は、他のカラーダイヤモンドよりも多い傾向にあります。
カラーレスダイヤモンド
宝石の王様と称される、最も一般的なダイヤモンドはカラーレス(無色透明)でしょう。採掘される約70%が色味があるため、ダイヤモンドとして品質が高いものは全体の約30%程度しかありません。
ダイヤモンドは内包物・カット・サイズ・色によって細かく分類されています。全ての要素がパーフェクトな高級品はわずか10~15%程度でしょう。
色の微妙な違いで価値が大きく変わるため、色が微かに現れるものは基本的に価値が低いとされます。肉眼では無色に見えても、高度な鑑定では無色ではないダイヤモンドが多いことが分かります。
グレーダイヤモンド
クールな印象のグレーダイヤモンド。以前は美しさが評価されにくく、価値が低かったグレーダイヤも、最近では品質が向上し、希少価値が高まっています。
グレーダイヤもホワイトダイヤと同様に、高い希少価値が付く例が増えています。しかし、ブラックやグレーのダイヤモンドは他の色と比べると暗い印象があり、そのためジュエリーとしての評価はまだ不十分な部分があります。
ブラックダイヤモンド
ブラックダイヤモンドは、石自体に色がついているわけではありません。硫化物やグラファイトなどが内包されることで黒く見えているのです。そのシックな色合いは黒く鋭い光沢を放ち、最近では入手しやすいカラーダイヤとして人気があります。
ブラックダイヤは近年まで、工業用ダイヤモンドとして流通していました。その背景から今のところ価値は低い傾向にありますが、丁寧に研磨されたブラックダイヤは、ジュエリーなど宝飾品としての立ち位置を確立しつつあります。
カラーダイヤモンドは透明ダイヤより価値が低い?
「カラーダイヤは透明のダイヤよりも価値が低いのか?」という問いには、イエスでもありノーでもあります。色が薄いカラーダイヤモンドは多く産出されるため、一般的に価値が低いとされます。
しかし、色が濃く鮮やかなものは希少であり、そのため高い価値がつけられます。一般的には定番であるカラーレス(無色透明)のダイヤモンドが好まれますが、色が鮮やかで透明度の高いファンシーカラーダイヤモンドは例外です。
色が濃く鮮やかなファンシーカラーダイヤモンドは非常に珍しく、希少価値が高いため、透明のダイヤモンドよりも高値で取引されることがほとんどです。
天然カラーダイヤモンドと人工ダイヤの見分け方
天然のカラーダイヤモンドと、人工のカラーダイヤモンドを見分ける方法はいくつかあります。それではポイントをいくつか挙げてみましょう。
鑑定書の記載を確認する
専門家が発行した鑑定書を確認してください。これが最も確実な方法でしょう。専門の宝石鑑定士や gemological laboratory による鑑定であれば信頼できるでしょう。
鑑定書の「color origin(色の起源)」という欄に、天然かそれとも人工であるかの記載があります。鑑定士たちはダイヤモンドを詳細に検査し、その特性や組成を分析します。
角の丸みを確認する
天然と人工のダイヤモンドを区別する方法の一つは、角の丸みを確認することです。天然のダイヤモンドは非常に硬いため、角が丸くなることはありません。
一方、人工のダイヤモンドは硬度が天然のものほど高くないため、角が丸くなっていることがあります。
蛍光性があるかどうを確認する
天然と人工のダイヤモンドを見分ける方法の一つは、ブラックライトを使ってみることです。ブラックライトを当てると、天然のダイヤモンドは青く輝きますが、人工の場合は青く輝かないことがあります。これは、天然のダイヤモンドが持つ特有の「蛍光性」によるものです。
天然のダイヤモンドは、紫外線の光を吸収して一部のダイヤモンドが蛍光を示すことがありますが、人工のダイヤモンドは通常、蛍光を示しません。ただし、これも全てのダイヤモンドで一貫して当てはまるわけではないことに注意してください。
まとめ
カラーダイヤモンドは市場での流通が少ないため、適正相場が曖昧なカテゴリーだといえるでしょう。またカラーダイヤの価値は、色の希少性と需要に大きく左右されます。
珍しい色合いが高値で取引されるとは限りませんが、色合いが及ぼす価値や希少性について、ぜひ心に留めてください。