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ダイヤモンドは珍しい宝石なのか

ダイヤモンドは珍しい宝石なのか

結婚指輪の代名詞とすら言えるダイヤモンド。その色あせない美しさや何物にも負けない硬さは愛する二人の絆の象徴として輝きます。ダイヤモンドの価値は誰もが認めるところですが、それゆえ珍しいという印象はあまり抱きません。しかし、ダイヤモンドは珍しいのか、と問われた時あなたはどう考えますか?「そもそもダイヤモンドとはどういうものなのか」、というところからダイヤモンドの正体に迫っていきます。

ダイヤモンドは白い(無色である)のか

ダイヤモンド鉱山では、様々な色合いを帯びたダイヤモンドが採掘されます。ダイヤモンドの価値を決定する世界基準である「4C」においては、無色透明に近く、石内の不純物(=インクルージョン)が少ないほどその価値は高いとされますが、自然界が生み出すダイヤモンドには黄色味や赤味、青味を帯びたものも存在します。これらの発色が鮮やかなものは「ファンシーカラーダイヤモンド」として、ホワイトダイヤモンドとは別の高い価値を有します。

ダイヤモンドの黒い歴史

ダイヤモンドの鉱山が数多く存在するアフリカ諸国において、ダイヤモンドは一攫千金のチャンスをもたらしてくれるものです。ゆえにダイヤモンドの採掘に際して、紛争や人身売買・児童労働などの労働搾取が引き起こされた暗い過去があります。これらの悲劇から2000年、「キンバリープロセス」とよばれる、紛争やテロ行為へダイヤモンドが利用されることを防ぐためのダイヤモンド流通システムが、国連によって構想されました。これは、キンバリープロセス証明書という、産出国政府がダイヤモンドの出自を証明する証明書を発行し、キンバリープロセス加入国に輸出する際にはこの証明書がないと国境を越えられないというシステムです。キンバリープロセスにはアメリカやEU諸国、日本など、主なダイヤモンド産出国および消費国が加入しています。

ダイヤモンドは今や富裕層の特権ではない

現在ダイヤモンドの市場は多様化しています。これは供給ルートの多様化であり、需要の多様化でもあります。特に需要の面では、中国やインドなどの新興富裕層が購買力をつけていることが大きな要因です。そのため、競争が促進され様々なダイヤモンドプロダクトが販売されており、価格帯においても幅広くアクセスすることができるようになっています。また、人工ダイヤモンドの製造技術も向上しており、人工的に自然界のダイヤモンド生成環境を再現し、天然のダイヤモンドとほぼ同質のダイヤモンドを作ることができます。人工ダイヤモンドは、天然のダイヤモンドとほぼ変わらない輝きを手頃な価格で手に入れることができます。

ダイヤモンドの“年齢”

天然のダイヤモンドは古いもので25億年前、新しいものでも6500万年前のものです。ダイヤモンドは人知の及ばぬところで生まれ、地球によって育まれてきたものなのです。その輝きが半永久的に失われないこともそうですが、長い歳月をかけて作られたものであるという点でも、ダイヤモンドには永遠の神秘が感じられます。人工ダイヤモンドのクオリティが高いとはいえ、大自然のもたらした奇跡は天然ダイヤモンドの格別な価値になっています。

ダイヤモンドは壊れないのか

ダイヤモンドは、この世で最も硬い石として有名です。鉱物の硬さを示す「モース硬度」において、ダイヤモンドは最も高い数値である10です。ダイヤモンドは炭素原子が規則正しくならんで結びつきあっている「共有結合」という状態の炭素の結晶です。その硬さゆえに壊れない印象が生まれがちですが、実際ダイヤモンドは壊れます。ダイヤモンドの原子結合には結びつきの弱い方向があり、この特定の方向に割れやすい性質を「へき開性」と呼びます。なので、へき開性のある角度からハンマーなどで叩けば、簡単に割れてしまいます。ちなみに、ダイヤモンドは木炭とおなじ炭素なので、火によって燃えてなくなってしまうという弱点もあります。

ダイヤモンドは投資対象になり得るか

ダイヤモンドは投資対象としても有望です。リーマンショック以降、株式に代わる投資先や、分散投資による投資対象として、じわじわと注目を集めています。ダイヤモンドの価格は少しずつ上がっていて、中長期的にみれば利益をもたらしてくれる可能性を大いに期待できます。ダイヤモンドには世界共通の価値があり、場所も取らないので火とセキュリティにさえ気を付ければ、管理もしやすい投資物件と言えます。しかし、ダイヤモンドならなんでもいいというわけではなく、少なくとも2カラット以上のもので、4C基準において高いグレードのものであったほうが価値として確実でしょう。

ダイヤモンドは珍しい宝石なのか

ダイヤモンドの希少価値は年々高まっています。なぜならダイヤモンドの埋蔵量は有限であるからです。ダイヤモンドはロシアやアフリカ諸国、オーストラリアやカナダなどが主な産出国です。その中でも高い産出量を誇ったオーストラリアのアーガイル鉱山は2020年にダイヤモンドを採りつくしたと判断され閉山しました。その総採掘量は8億2500万カラットにも上ると言われています。アーガイル鉱山はピンクダイヤモンドのほとんどを産出していた鉱山でもあり、特にピンクダイヤモンドの希少性は今後高まっていくことでしょう。このようにダイヤモンド鉱山には採掘寿命があり、継続的な採掘により今ある鉱山の埋蔵量が年々減少しているという事実があります。カナダの「ガーチョ・クエ鉱山」のように比較的新しく(2016年)操業を開始したものもありますが、新しい鉱山は今までよりも開発に手間がかかるとみられています。というのも開発が容易な鉱山はすでに掘りつくされてしまっているからです。ダイヤモンドが投資対象として有望であるというのも、この埋蔵量の減少に因るところがあります。

結論

ダイヤモンドは珍しいのか?という問いに関しては「ダイヤモンドは手に入れることができるが、希少性は高い」と言えるでしょう。現役のダイヤモンド鉱山の消耗と、需要の高まりを鑑みても、希少価値はますます高まっていくと言えます。そもそも、天然のダイヤモンドが採掘されること自体が奇跡の連続であり、天然のダイヤモンドの輝きは一つとして同じではなく、唯一無二のものなのです。

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