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エルメス「シェーブル」とは
エルメスの素材「シェーブル(Chevre)」は、フランス語で「ヤギ」を意味します。シェーブルは、エルメスのバッグや小物など様々なアイテムに広く採用されています。ヤギ革は一般に非常に柔らかく、なめらかな質感があります。そして強靭で耐久性を兼ね備えています。
エルメスの製品は、その品質へのこだわりと職人技術で知られており、シェーブルを使用することで上質でエレガントな外観と手触りをもたらしています。様々な種類のヤギ革を使用し、それぞれ異なる仕上げやカラーリングが施されています。シェーブルの革製品は、一般にエレガントで上品な印象を与え、エルメスの伝統とクラフトマンシップを象徴しています。
エルメス「シェーブル」の特徴
エルメスのシェーブルは柔らかなヤギ革で、滑らかな質感と耐久性が兼ね備わっています。エルメスのこだわりにより上品な仕上げが施され、製品には自然な風合いと職人技の融合を感じることができます。
上品かつ実用性が高い素材
シェーブルは高度な加工技術と、厳選された品質のヤギ革です。エルメスが用いているシェーブルは、きめ細やかな皮目を誇り、さらにスペシャルな質感と発色が良く、他の革とは一線を画しています。さらに実用性が高く、多少ラフに使用しても傷が付きにくい特性も兼ね備えています。
皮革の王者と呼称されるだけあって、これといったデメリットがないパーフェクトな素材です。ただ残念ながら、ヤギの絶対数が少ないため入手が難しく、高い希少性があります。
希少価値が高く小物アイテムに使用される
シェーブルは上品なヤギ革で傷にも強く、牛革よりも軽量で、発色性にも優れています。2002年に誕生した「ミゾール」や、1998年から使用されている「コロマンデル」などのシリーズも存在し、柔らかさとデリケートな質感、丈夫さを備えた高品質な素材です。
牛と比べるとヤギの体は小さいため、採取できる量の少なさから確保しにくく、度々入手が困難になります。そのため、財布やバーキン25などの小さなアイテムを中心に採用されています。
バーキンのポケットの内側にも使用されている
小物だけでなく「バーキン」など、バッグの内側にもシェーブルは使用されています。以前はバーキンの内側のポケットにはスエードが使われていましたが、2010年以降はシェーブルに変更されたコレクションもあります。
そのためシェーブルを採用したバーキンやケリー製品は、より希少で高価なアイテムとなりました。シェーブルは美しい風合いと軽量性、優れた耐久性が魅力で、エルメスのバッグにおいてもその特性が活かされています。
徐々に柔らかくなる一方で型崩れしやすい
エルメスのシェーブルは、時間が経つと柔らかさが増します。ヤギ革は最高級ランクのレザーではないものの、独自の風合いがあります。ただし、柔らかくなる反面、型崩れしやすい特徴があります。使用感が出たら適度な買い替えを検討しても良いでしょう。
これらの特性はシェーブルの魅力であり、長期間の使用によって革の表情が深まります。お手入れや使い方に注意しながら、シェーブル製品を楽しむことが大切です。
エルメス「シェーブル」アイテムのお手入れ方法
シェーブル皮革で製造されたケリーやバーキン、小物アイテムのお手入れはそれほど難しくありません。ですが好ましくない方法で行ったり、そもそもお手入れをサボると品質を低下させてしまいます。正しいお手入れ方法を確認し、定期的なメンテナンスをするようにしましょう。
最適なケア方法はエルメスに問い合わせて教えてもらいましょう。教えてもらった上で、自分でお手入れを行う場合は、柔らかい布や柔軟なブラシ、皮革用クリームを使用します。埃や汚れは、布やブラシで取り除いておけば問題ありません。クリームは慎重に塗り、過度な使用は避けてください。
自信がない場合、エルメス専門のケア・リペアセンターに依頼することをおすすめします。
エルメス「シェーブル」以外のヤギ革の種類
エルメスではシェーブル以外にも、加工の仕方によって異なる素材となっています。高度な技術でヤギ革を加工し、ユニークな風合いが楽しめます。それぞれ異なる特有の特徴があり、一部は廃盤となっていますが、リユース市場で見つけることもできるでしょう。
シェーブル・コロマンデル
エルメスの「シェーブル・コロマンデル」は雌の子ヤギの革です。後述のミゾールと同様の革目で、左右対称な模様を持ちます。特徴はつややかな光沢と、やわらかすぎないしっとりとした手触りです。
コロマンデルは独自の魅力を備え、エレガントで高級感のある製品に用いられています。シェーブルシリーズの中でも優れた素材であり、その繊細な表情がエルメス製品に特有の品質を与えています。
シェーブル・ミゾール
エルメスのシェーブルの正式名称は「シェーブル・ミゾール」です。ミゾールの名称は産地のインド南部の街に由来しています。ヤギ革独特のしなやかさが魅力です。
細かな皮目に上品な艶のある風合いがあり、使い込むとツヤが増します。さらに丈夫な性質を備えています。小さな雌ヤギの革であるため、特に希少価値が高い素材です。
アストラカン
「アストラカン」は子ヤギの巻毛皮です。品種改良を重ねたことで、柔らかな手触りを実現させました。元々はロシアのアストラカン地方のカラクール種の毛皮を指していましたが、現在はそれに似た生地も含まれています。
エルメスのアストラカン製品は非常に希少で、品質にこだわった製品となっています。アストラカンのアイテムはめったに見かけることがなく、レアアイテムだといえるでしょう。
ヴィブラート(廃盤)
「ヴィブラート」はすでに廃盤となった、エルメスのヤギ革素材です。複数の色に染められたヤギ革を重ね合わせて裁断した独自の素材です。2000年頃にケリーやボリードなどに使用され、同じ配色のアイテムがなく、オンリーワンのバッグを楽しむことができました。
ヴィブラートは遊び心満載でデリケートな質感が魅力でしたが、現在では入手が難しく、コレクションアイテムとして希少価値が高まっています。
ヴィブラート・スニップ(廃盤)
「ヴィブラート・スニップ」は、ヴィブラートから派生した、幅や色が変えられたヤギ革素材です。廃盤アイテムであるため大変希少です。ヴィブラートと違う点は、3~4cmごとに裁断し、交互に貼り合わせたデザインが、繊細で鮮やかな色彩を生み出す点です。
廃盤になっているため入手が難しく、もしも見つけたらすぐに手に入れることをおすすめします。きっとオンリーワンのアイテムを、手に入れる喜びを感じることができるでしょう。
発色よく上品な色合いのシェーブルにおすすめのカラーとは?
エルメスにはベーシックなモノトーンカラーから、鮮やかでカラフルなものまで、実に豊富なカラーバリエーションがあります。シェーブルと相性の良いおすすめのカラーを3つご紹介します。
エトゥープ(Etoupe)
「エトゥープ」は上品で使いやすいグレージュカラーです。ブラウンとベージュ、シックなグレーの中間色で、優れた発色性を持ちます。ブラックやゴールドなどの定番色と同様に、広く人気を集めています。気品ある色調で、ファーストエルメスとしても好まれ、優雅で自然な色合いを持っています。
その洗練された落ち着いた色味は、パーティーやビジネスシーンまで幅広くマッチしてくれるので、取り入れたいカラーのひとつです。
ブルーアズテック(Blue aztec)
エルメスのシェーブルに相性抜群の「ブルーアズテック」。透明感と穏やかな輝きが特徴の明るいライトブルーで、シェーブルの高い発色性によって美しく映えます。エルメスのアイテムに採用されると、品位と清涼感を感じさせてくれるでしょう。
洗練されたスタイルをさわやかに演出してくれるブルーアズテックは、シェーブルの自然な質感と調和し、さまざまなシーンで活躍します。
ローズショッキング(Rose shocking)
「ローズショッキング」は青みがかったビビットなピンクトーンです。シェーブルの上品な質感と発色性で大人の魅力を持つピンクカラーに仕上がります。優雅で品格あるピンクは、遊び心と大人の雰囲気が融合した印象を与えてくれるでしょう。
いたずらっ子のような少女の活発さが、美しい女性の魅力へと変わる、そんなシェーブルのローズショッキングは、華やかで品のあるスタイルを楽しむ上でおすすめのカラーです。
エルメス「シェーブル」と相性のいいアイテム6選
シェーブルとの相性抜群なエルメスのアイテムを6つご紹介します。どのアイテムも気品あふれるエルメスらしい、おすすめの逸品です。
バーキン
シェーブルの希少価値が際立つのは、エルメスの代表作「バーキン」でしょう。ヤギ革は希少であるため、入手が難しく高い人気を誇ります。バーキンは5種類のサイズで展開されていますが、シェーブルは一番小さなバーキン25に採用されています。
シェーブルがもたらす贅沢な質感は、エルメスのアイコンであるバーキンにより一層輝きを添え、エレガントで個性的なファッションを演出します。
ゲタ
エルメスの「ゲタ」は、2021年のコレクションで登場したショルダーバッグです。日本の下駄にインスパイアされ、開閉時の音が下駄の歩行音を彷彿させます。マグネットクラスプを採用することでスムーズな操作が可能となりました。開閉口にエルメスのアイコン「H」がデザインされています。
洗練された美しさと機能性を持つこのバッグに、シェーブルは適した素材となっています。
ヴェルー
1938年に誕生した「ヴェルー」は、馬房の錠をイメージにしたバッグです。2016年に復刻され、かっちりと上品ながら、シンプルで汎用性が高いことで人気があります。チェーンストラップや調節可能なストラップ、太めのバンドなど豊富なバリエーションがあり、選ぶ楽しみがあります。
小さめのサイズにはシェーブル・ミゾールが多く使われ、ヴェルーはシェーブルとの相性が抜群の魅力的なアイテムです。
ベアンスフレ
「ベアンスフレ」はエルメスの「H」がモチーフの金具を持つ財布です。多彩なカラーやデザインで展開されているので、持つ人の個性を引き立ててくれます。1cmのマチがあるので、100枚以上のお札やカード、レシートもスマートに収納できるでしょう。
ウォレットは使用する際に頻繁な開閉が必要なアイテムです。傷に強いシェーブル素材の耐久性は、ベアンスフレの魅力を一段と際立たせています。
ケリーウォレット
「ケリーウォレット」は、ケリーバッグをコンパクトにしたエルメスの財布です。ケリーバッグのディテールを忠実に再現し、マチが広く大きな収納力が自慢です。シェーブル素材は軽量かつ傷に強く、使い込むほどにツヤや柔らかさが増していき、質感の変化を楽しむことができます。
洗練されたエレガンスさと高い実用性を兼ね備えたアイテムで、上質なライフスタイルを彩ってくれるでしょう。
アザップロング
「アザップロング」はエルメスの優れたデザインが光るラウンドファスナータイプの長財布です。ベアンやドゴンと同様に人気があり、アザップクラシックとも呼ばれています。ファスナーを開けるとコイン入れやカードポケットが12個あり、内装とジッププラーはエルメスのスカーフ「カレ」の柄で飾られています。
シンプルなデザインのアザップロングはカラーバリエーションが豊富なので、発色が良いシェーブル素材との相性も抜群です。
エルメス「シェーブル」と「エプソン」の違い
「エプソン(正式名称ヴォー・エプソン)」は、2003年に誕生した雄仔牛の革です。光沢は控えめに抑えられ、硬さがありカッチリとした印象があります。プレス加工のみでガラス加工はなく、軽量で取り扱いが容易なので、バーキンやケリーなどのバッグは勿論、ウォレットなど小物まで幅広いアイテムに採用されています。
対照的に「シェーブル」は2002年に登場したヤギの革で、目が細かく光沢があります。柔らかい質感で、主にお財布や小物、小型のバッグに採用されています。色彩が鮮やかで発色が優れており、豊富なカラーバリエーションが特徴です。
シェーブルとエプソン、それぞれの異なる皮革ですが、エレガントで高品質なエルメスのアイテムを、より一層魅力的に演出してくれる素材です。
まとめ
エルメスの創造的なラインに繊細な個性を加える素材「シェーブル」。牛革よりも傷が付きにくく、ラフなお手入れで維持できるこのヤギ革は、上品な風合いと柔らかさも兼ね備えています。使いやすく経年変化も少ないので、エルメスのアイテムを長く美しく愛用できる魅力的な皮革です。