バーキンが誕生するまでの歴史
もともとエルメス(HERMES)は馬具を作成する工房を開業したのが始まりです。 高級馬具の製造工房から世界中で愛される、エルメスバッグの歴史について紹介していきます。
エルメスの年表
・1837年:初代ティエ・エルメス(1801年~1878年)が創立者となり、パリのランパール通りに高級馬具の製造工房を開業。
ナポレオン3世やロシア皇帝の御用達馬具を授与される。
・1880年:2代目シャルル・エミール・エルメス(1831年~1913年)現在の本店所在地であるフォーブル・サントノーレ24番地に工房を移転。
徐々に移動手段が自動車に移り変わっていく流れを感じ、このころから鞄や財布などの制作に事業を広げていく。
・1892年:「オータクロア」発売。
馬具作りの技術を生かした馬鞍を入れるための最初のエルメスのバッグの発売。このオータクロアのデザインが後の、ケリーやバーキンに受け継がれることに。
・1923年:「ボリード」発売。
ファスナーを初めて使用したバッグとして人気を博した。
・1935年:「ケリー」発売。※当初はサック・クロアとして発売
当時のハリウッド女優であり、モナコ国王に嫁いだ故グレース・ケリー王妃がパパラッチにカメラを向けられた際、妊娠中のお腹をこのバッグで隠した事からケリーと呼ばれるように。
・1967年:「ブリュム」発売。
・1969年:「コンスタンス」発売。
“H”エルメスのイニシャルが留め具に使われ、故ケネディー大統領夫人のジャクリーヌ・ケネディが愛用したことで知られている。
・1978年:「エブリン」発売。
・1981年:「クリッパー」発売。
・1984年:「バーキン」発売。
フランスの女優ジェーン・バーキンにちなんで名づけられました。エルメスの5代目のデュマ社長がたまたま飛行機で見かけたジェーン・バーキンの当時のバッグに大量に詰め込められた荷物を見かねて、提案したのが始まりでした。
・1998年:「フールトゥ」「エールバッグ」発売。
使い買っても良くカジュアルで手ごろな値段から学生から社会人まで幅広い若い世代の男女から大人気を博しました。
バーキンの魅力
どんなものでも収納できるようにと仕切りをなくした内装は、バーキンが誕生したエピソードの由来も感じられます。ラップを開けると前面にはオープンポケット、背面にはファスナーポケットが備わり、携帯電話や鍵などの大切なアイテムもすぐに取り出せます。また、カデナ・キーホールの金具・クロシェット・マチ幅の調節とフラップをしっかりとおさえる役割をするクロアなど、エルメスらしいアイコニックなパーツたちもバーキンの大きな魅力となっています。
実用性と機能性のみならずノーブルな美しさをあわせ持つバーキンは、なるべくしてエルメスの代表的な存在となったのです。「不変的なシンボリックな存在」であること。また、「バーキンを手にすること自体困難」であることだと思います。
バーキンは35年前の誕生以来、外見上のデザイン変更はされていません。ハンドバッグとしての完成度もさることながら、バーキンとしての価値を不変的なものにする。という信念のようなものが伺えます。また店頭で販売している可能性は極めて“まれ”です。限られた職人の手によって製造されるアイテムは生産数が限られます。
そのため、いつでも・だれでも購入するということができません。つまり、限られた生産数であること、それによって購入できる販路が限られていることが、より一層バーキンの希少性を高めているといえます。
バーキンのサイズ別の特徴
女性の永遠のあこがれ「バーキン」。一生モノの買い物だから、失敗はしたくない!という方が殆どだと思います。エルメスのバーキンは、パーティーバッグとしても使える25から、希少な45までの5つのサイズラインナップを展開しています。「どんな時に、どうやって使うか」がバーキンを選ぶポイントの一つとも言えます。そこで、サイズごとに特徴をまとめました。
25センチ 横25cm × 縦21cm × マチ(幅)13cm
小ぶりでかわいらしいかわいらしいサイズ感です。
時計でもそうですが、バッグも小さいサイズの方が、上品で洗練されたイメージで持てます。
ただし、持ち手周りは短く、腕に通すことも困難な点は注意が必要です。レストランでのディナーや食事会など、荷物が少ないときに使うことをオススメします。お出かけの時は、なるべく荷物が少ないときを選んでください。
無理に詰め込んでも、見た目もどこかカジュアルな感じになってしまい、バッグ自体の形も崩れてしまうかもしれません。上品なデザインだからこそ、サブバッグはもたず、スマートに持ちたいですよね。
30センチ オンオフ兼用の万能サイズ 横30cm × 縦22cm × マチ(幅)16cm
サイズ感としては、中間サイズにあたります。カジュアル過ぎず、上品になりすぎず、幅広いシーンで使うことができます。サイズで迷われる方は、まず30㎝を基準にして選ぶことをオススメします。
普段のお出かけから、パーティーシーンなどにも使える万能サイズ。ファッションコーディネイトも幅広いジャンルに合うため、「せっかく買ったんだからたくさん使いたい!」という方にオススメです。
35センチ 横35cm × 縦27cm × マチ(幅)18cm
大きいサイズのバーキンをもつことで感じるイメージは「小慣れ感」。高級なバッグをあえてラフに使うことで、その人に対するステータスはきっと強まるはず。ワンピースやドレスに合わせても、サイズが大きく主張し過ぎてしまう為、無地のシャツにパンツなど、シンプルなコーディネイトがオススメです。ビジネス、カジュアルがオススメ。
相反するシーンにも適応できる風格は、やはりバーキンが持つ魅力ではないでしょうか。ただし、大き目のバッグだと、思わぬところにぶつかって傷ついてしまう、など高級バッグならではの危険も。
40センチ以上 横40cm × 縦29cm × マチ(幅)21cm
40㎝以上は、使用される革の面積も多く、希少性の高いサイズになっており、新品・中古品でも流通量は非常に少ないです。バーキンならではの収納力を発揮するのであれば、大き目のサイズですがこのサイズになってくると、どの素材であっても女性で感じることは「ちょっと重いかも・・・」ではないでしょうか。
日常で持ち歩くにはちょっと難しいと感じられるなら、いっそパートナーと「シェアバッグ」として検討しても良いかもしれません。女性の普段使いには難しくても、男性には大人気の40㎝以上のバーキン。カラーはキャメルゴールドや、ブラック、グレーなどユニセックスでも使えるカラーで検討してみてはいかがでしょう。
バーキンの購入方法
バーキンのサイズ感を参考にしていただきつつ、重要なバーキンの購入方法について深堀してみますエルメス正規店に、バーキンが並んでいることはほぼありません。また一見さんはバーキンを売ってもらえないなどの情報を聞くことも多々あります。購入するためにはいくつかの方法があるようなので、その情報をお教えします!
エルメスの商品を身に付けて直営店に行く
身に付けているエルメスの時計、バッグ、アクセサリーからスタッフとのコミュニケーションが始まることが多く、顔を覚えてもらうことで購入のチャンスが広がります!
行きつけの店舗を決める、そこでしかエルメスの商品を購入しない
全国のエルメスの店舗を回るような非効率的な購入方法はおすすめしません。同一店舗に足を運び、担当の販売員の方から名刺を頂いて交流を深めてから購入することが、バーキンを手に入れるための近道と言えるでしょう!
正規店での購入履歴を作る
エルメスの顧客として、覚えてもらうことが必要となります。バーキン以外の商材を購入し、顧客登録をしてから担当スタッフとの関係値を作り上げることにより、"エルメスがバーキンを本当に届けたいと思える方"に提供したいというエルメス側の意向があるようです。バーキン以外のバッグから購入し、次に足を運ぶ際にそのバッグを着用していくことをおすすめします!
このような方法から正規店での購入ができることがあるようです。しかし、入店早々の在庫確認をすると正規店側には警戒されることも多いようなので、その点は注意が必要です。また入荷のタイミング次第で、購入経験がない一見さんでも購入できたという方もあるため、タイミングさえ合えば運よく買えるといったことも少なくないようです!
バーキンは素材もデザインも一級品
バーキンに限ったことではありませんが、エルメスは何といってもそのカラーや素材も多岐に渡り、理想の素材や色の組み合わせ、金具の色合わせに至るまで、たった一つのまいバーキンにたどり着くのは至難の業。そこで今回は特におすすめな組み合わせをいくつかご紹介します。
ファーストバーキンには定番がおすすめ < トゴ × ブラック>
1997年に登場したトゴは、ほどよい革目と適度な張りをもつ雄仔牛のレザー。摩擦や傷などにも強く、エルメスのさまざまなアイテムに使用される人気素材です。優れた耐久性と実用性が特徴のトゴとレザーバッグの定番カラーでもあるブラックの組み合わせは、ファーストバーキンにふさわしいコンビネーション。
デイリー使いに人気なバーキン35はシルバー金具ですっきり
耐久性に優れたトゴ×定番カラー、ブラックのバーキン。日ごろから荷物が多い女性にも人気の35サイズ。すぐれた収納力がうれしいポイント。内側のステッチのカラーを変えれば、まわりのブラックバーキンとは、さりげなく差を付けたい方にも、おすすめなカスタマイズデザインです。
エルメスらしいバーキンなら < トゴ × オレンジ>
エルメスカラーとも呼ばれるオレンジは、ブランドをイメージするアイコンカラーのひとつ。扱いやすいトゴとオレンジの組み合わせなら、ビビットカラーのバーキンを気軽に使えるデイリーバッグに仕上げてくれます。エルメスオレンジのキュートなバーキン25だったら、デニムなどの定番カジュアルやシンプルなベーシックスタイルの主役にふさわしいデザインです。
バーキンに使われる素材
バーキンに使われる革は、多くは牛や羊を使用しています。今回はその3種類を紹介します。型押し加工がほどこされたトゴやヴォー・エプソン、トリヨンクレマンスは経年変化が少なく、丈夫さと扱いやすさから抜群の人気を集めています。これらの素材は発色も美しく、カラーの魅力をそのまま楽しむことができるので、ブラックやゴールドなどの定番カラーに限らず、パステルピンクやパステルブルーなどのペールトーンカラーにも適しています。また、使いこむことにより美しい光沢を増す素材がお好きなかたには、ガラス加工をほどこした雄仔牛のレザー ボックスカーフがおすすめです。時とともに気品あふれる艶が生まれ、自分だけのバーキンとして愛用できますよ。そして、皮革製品の定番カラーともいえるブラックや、ブラウンのカーフレザーなら、独特の光沢を上品に演出できます。スタンダードな牛革素材を選ばれる方は、デザインが豊富なツイリーや、チャームなどでのアレンジもおすすめです。
バーキンの主な牛革素材とその特徴
①トゴ
バーキンの数ある素材の中で最もポピュラーなのがこの素材。雄の子牛革を使った素材で、正式名称を「ヴォー・クリスペ・トゴ」と言います。斑が深く革の風合いがそのままの状態で活かされているのが特徴で、程よい柔らかさとキズや擦れなどに対する耐性の高さから抜群の人気を集める素材です。
②トリヨンクレマンス
かつては「ムー」と呼ばれていた素材のひとつです。適度な張りと柔らかい質感が特徴の雄成牛の革を使っていて、バーキンをはじめとするバッグはもちろん小物など幅広いアイテムで展開されています。斑の大きさも程よく、キズや擦れにも強いため、デイリーユースとしてもぴったりです。
③ヴォーエプソン
雄の子牛革を使用した素材「クシュベル」が廃番となった後、2003年に登場した素材です。細かい型押しがプレス加工によって施されているのが特徴で、硬い質感でカチっとした印象でありながら、軽量で持ち歩きしやすく、家宅連れもほとんどありません。また、キズや擦れはもちろん水濡れにも強いため、普段使いしやすい素材として人気です。
④グランアッシュ
2012年に登場した雄子牛の革を使った素材で、整列された細かな型押しがプレス加工によって施されているのが特徴です。
羊革の種類と特徴
発色性に優れているヤギ革は、パステルカラーやビビットカラー、なかでもエルメスカラーとしても人気なオレンジなどの、鮮やかで明るいカラーに適している素材です。
ポップなカラーのバーキンをデイリーに使いこなしたいというかたにもおすすめです。
⑤シェブルミゾル
2002年に登場した雄山羊革を使った軽量でいて丈夫な素材です。程よい柔らかさと程よい斑の大きさが特徴で、艶やかな光沢と凹凸の少ない繊細な仕上がりは、エルメスならではのラグジュアリー感を楽しむことができます。キズや擦れ、汚れにも強いためデイリー使いにも最適です。
⑥コロマンデル
艶やかな光沢感とシンメトリーな型押しが印象的な雄山羊革を使った素材。程よい柔らかさと、大きめの斑が特徴で、大変軽量で持ち運びしやすいのが魅力です。
エルメスの最高級素材とも言われる「ワニ革」の種類とその特徴
⑦ポロサス
「スモールクロコダイル」と呼ばれるワニ革を使用した最高級素材。「シャイニー」、「セミマット」、「マット」という3種類の仕上げ方法があり、ウロコが四角くかつ細かく揃っていることが特徴です。現在では入手が困難で非常に希少価値の高い素材となっています。
⑧ニロティカス
アフリカのナイル川流域に生息する「ナイルクロコダイル」と呼ばれるワニを使用した最高級素材。斑が大きく、ウロコが長方形で丸みを帯びているのが特徴です。ポロサスと同様に現在では入手困難で大変希少価値が高くなっています。
⑨アリゲーター
アメリカに生息する「ミシシッピーワニ」の皮を使った素材です。「穿孔」と呼ばれる斑の中にある点状の模様がないのが特徴で、ほかのワニ皮素材と同様に大変希少価値の高い素材となっています。
オーダーメイドでオリジナルのバーキンを
パーソナルオーダーとは、サイズ・素材・カラーを指定したバーキンをオーダーするシステムです。ハンドル・フラップ・クロア・クロシェットなど、各パーツのカラーを2~3色でデザインしたバイカラーや、トリプルカラーでオーダーされるかたが多いようです。オーダーできる箇所を紹介します。
素材・サイズ・カラー
ハンドルやフラップなど様々なパーツに自分に合った素材とカラーを指定することができ、通常のバーキンにはない複数カラーを使ったバーキンをオーダーすることも可能です。革見本からカラーを選び、担当者と一緒に完成イメージを固めていきます。
金具
一般的にバーキンやケリーの金具はゴールド・シルバーの2種類ですが、パーソナルオーダーでは、その他の金具を指定でき、シャンパンゴールドやマットゴールド、マットシルバーなど、自分のお好みに合わせた金具を組み合わせることが可能です。
ステッチ
通常ですと革の色と同じステッチが使われることが多いのですが、パーソナルオーダーにすることでステッチの色も選ぶことができます。1色だけでなくに2色使いオリジナリティあるバッグを作る方もいます。また、パーソナルオーダーのみに印される馬蹄マークの刻印も特別感があり嬉しいですね。
パーソナルオーダーは、エルメスショップで継続的に購入されている顧客であることと、ショップスタッフとの信頼関係が必要といわれているため、オーダーするまでのステップは容易ではありません。ですが、リユースショップにパーソナルオーダーされたバーキンが入荷することもあります。
自分好みのデザインのパーソナルオーダーバーキンと出会えることは稀なので、その機会を大事にしたほうがいいでしょう。
まとめ
バーキンは、高品質な素材と洗練されたデザインで知られるエルメスの代表的な存在。今回ご紹介させていただいたバーキンの情報を活用していただければ、自分にぴったりのバーキンを見つけていただけるのではないでしょうか。バーキンは店頭に並ぶことも少なく、欲しいと思ってもなかなか手に入らないからこそ、ひとうひとつとの出会いを大切にしなければなりません。世界の女性の憧れでもあるバーキンを手にした瞬間きっと、大人の女性のおしゃれが完成するのではないでしょうか。