産出量と保有量の違い
最初に、産出量、埋蔵量、保有量の違いについて説明します。産出量は、ある国が金を採掘している量を表します。埋蔵量は、その国にまだ採掘されていない金がどれくらい眠っているかを示します。保有量は、その国の政府や中央銀行が、現在所有している金の総量を指します。
なぜ各国は金を保有するのか
「金」は、他の金属に比べてほぼ経年劣化しない特性から、長い間、富や権力の象徴として重要視されてきました。また、共通の価値を持つ金属として、お金の代わりとして使われたり、通貨が生まれた後も、金貨や小判などの素材に利用されました。近代において、金本位制が存在した時期には、世界の通貨価値は、各国で共通の価値を持つ金を基準にしていました。
しかし、1971年のニクソン・ショックをきっかけに、先進国の金本位制は終焉を迎えました。同時に、国際金融と為替相場の安定を促進するために設立された国連の専門機関であるIMF(国際通貨基金)は、加盟国の政府や中央銀行に対し、有事に備えて一定比率以上の外貨や金の資産を保有する義務を課しました。この資産は「準備資産」または「外貨準備」と呼ばれ、保有する金は「金準備」として知られています。
言い換えれば、世界各国が金を保有する理由は、国が破産する可能性や世界的な経済の不安定性が高まる場合に備えるためです。IMFに加盟する国々(2023年時点で約190カ国)は、国の信用や財政の安全保障として、世界共通の安定した資産である金を保有し、準備しておく義務があるのです。
金の保有量
各国の中央銀行が金を「金準備」として保有している量について、2023年のデータを見てみましょう。
1位はアメリカで、8,134.5トンの金を保有しています。これは2位のドイツの3,354.9トンよりも2倍以上も多い量です。3位以下は、IMF(国際通貨基金)が2,814.0トン、イタリアが2,451.8トンと続きます。そして、日本は第9位で、846.0トンの金を保有しています。
このデータを見ると、アメリカの金の保有量が極めて多いことが分かります。
何故アメリカはこれほどの金を保有しているのか
何故アメリカがここまで大量の金を保有しているのかというと、大きく2つの要因が挙げられます。
ブレトンウッズ体制の名残
戦後の世界経済発展に大きな影響を与えたブレトンウッズ体制は、ドルを間に挟んだ疑似的な金本位制でした。そのため、基軸となるアメリカは多量の金を保有しておく必要があり、最盛期には1万トンを超える金塊が保管されていました。その名残で圧倒的な金量が今なお残っています。
ドルと金の関係
アメリカがここまで大量の金を持つもうひとつの理由は、ドルと金の関係が影響しています。金とドルの相場は逆相関になることが多い。つまりドル安の局面になると金の価格が上昇します。これは、金が米ドルを基準として世界中で取引されているためです。つまり、ドルの価格が下落し、ドル安の状態だとしても、金はその分価格が上昇するので、ドル安での損失をカバーする事ができます。
莫大な量の金塊が保管されている場所
アメリカのマンハッタンにある、NY連銀(ニューヨーク連邦準備銀行)では大量の金が保管されています。ここに保管されている金はすべてNY連銀やFRB(連邦準備制度理事会)のものではなく、ここに口座を保有している人々の金を預かっているだけです。ここに金を預けているのは、アメリカ政府、外国の政府、その他各国中央銀行そして公的国際機関などで、個人や私企業はここに金を預けることはできません。
この金庫はマンハッタンの本店地下にあります。1920年代前半に本店ビルが建てられたときに一緒に作られ、マンハッタン島の岩盤をくり抜く形で作られています。世界中の金塊が収められているだけあって防犯対策は完璧といえ、地下24m海面下15mの岩盤の中という外部から完全に遮断された立地に加え、金庫への唯一の入り口にある90トンの鉄制のシリンダーをはじめとした、何重もの安全対策が金庫に施されています。
まとめ
今回は金の保有国についてご紹介しました。金価格の上昇の影響を受けて、金の重要性が更に上昇しています。これは、昨今のような地政学リスクを考えていくと仕方なく、日本の場合は円安も加わって史上最高額を更新し続けています。先日、ついに金の取引価格が1gあたり1万円を超え、金の売却を考える方が増えています。
今後、円高に傾いたり、地政学リスクの解消によって金相場が下落する事も十分に考えられます。金製品は今が売り時です。「買取大吉」ではご査定・ご相談は無料で行っておりますので、是非お気軽にお近くの「買取大吉」各店までご来店ください。