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金とは何か
金(英名gold)は原子番号79、第11族元素に属する金属元素です。見た目は光沢のあるオレンジががった山吹色に輝き、金属のなかでもかなり重く、柔らかいという特徴をもっています。その柔らかさから展性と延性が強く、薄く広げたり(金箔)、細くする(金線)ことができ、様々な形状に加工され利用されています。
また、金は他の元素との反応性が低く、標準酸化還元電位に基づくイオン化傾向は全金属中で最小となっています。このような優れた特性をもっているのに加え、金は地球の表面部分にある岩の層1,000㎏の中に0.003g以下しか存在しないといわれており、その希少性ゆえに価値が高い金属となっています。
金はどうやってできているのか
金は自然界では石英・氷長石からなる白色緻密な,しま模様のある鉱石中に自然金として存在しています。そんな金は一体どのようにしてできたのでしょうか。実は、現在でもよくわかっていないようです。有力な説としてはキロノヴァといわれる中性子星同士がぶつかった時に生成される説や地球内部のマントルで生成されるなどの説です、また、金を人工的につくろうとする試みもあるようです。
金の採取方法
金は様々な採取方法によって採掘されており、ここでは現在までに行われている方法と新時代に向けて金の採取が期待されている方法についてご紹介します。
現在行われている採取方法
金鉱脈から採掘する
世界中で最も一般的に普及している方法は金鉱脈を含む金山から金を採掘するというものです。現在の日本では鹿児島県にある菱刈鉱山のみで金鉱石の採掘がおこなわれていますが、過去には佐渡の金鉱山や高玉金山、鯛生鉱山、鴻之舞鉱山など、たくさんの金山から金を採掘していました。
この採掘方法では金鉱石に含まれる金成分を精錬加工し、金を抽出します。
河川から砂金として採取する
河川にも金が存在しており、これらは砂金と呼ばれ、砂金が発見されたことをきっかけにゴールドラッシュとよばれる現象も過去に世界各地で起こっています。砂金は、金鉱脈が川などに浸食された際に一緒に流れ、川岸や川底に砂と一緒に堆積したものです。砂金は金鉱石に比べて金の含有量が多く、90%を超えるのが一般的です。これは川の浸食作用に伴い、銀の成分が水中に溶けだしたためだと考えられます。現在ではレジャーとして砂金採りなどを楽しめる施設もできるようです。
これから期待される採取方法
海水中に含まれた金を採取する
海水中には微量の金が溶け込んでいることがわかっており、その総量は地球上に50億トンともいわれています。地球上に残っている金の埋蔵量が約5万トン程度ということを考えるととんでもない量だとわかると思います。
特に海底熱水鉱床といわれる、地下深部に浸透した海水に地殻から様々な元素が溶け、マグマ等により熱せらた際に熱水として海底から噴出し、周辺の海水によって急速に冷却されることで、金や銀などの貴金属やレアメタルを含む各種金属が沈殿して熱水鉱床が形成されます。形成された鉱床は、金鉱山などでとれる通常の金鉱石に比べ、重量あたりに含まれる金の含有量がかなり多く、レアメタルなどの希少金属も同時に採取できることから、今後の金属資源として期待されています。
すでに使われた金をリサイクルする
金は安定性が高く変質しにくい性質があるため、リサイクル出来る金属です。金のリサイクル分野で注目を浴びているのが都市鉱山といわれているものです。都市鉱山という名前から都市部にある鉱山のような印象を受けますが、都市鉱山は天然鉱山ではありません。都市部のような人がたくさんいる街では、家電製品や工業製品のゴミがたくさん出ます。廃棄されるスマホやカメラのような家電製品や工業製品には端子などに金をはじめとした貴金属やレアメタルが使用されており、それらを鉱物資源と見立てて都市鉱山と呼んでいます。地球上に限りある資源「鉱物資源」を再利用するという試みは世界中で注目されており、この都市鉱山という言葉も近年注目度が上がっています。
実際、2020東京オリンピックで選手に授与されたメダルすべてがこの都市鉱山から集められたリサイクル金属で作られました。現在の日本の都市鉱山に存在する金の総量は6,800トン程度といわれており世界有数の規模を誇っており、現在世界に残っている金の埋蔵量が5万トン程度といわれていますので実に15%程度の金が都市鉱山に眠っています。この他にも銀は60,000トンで、これは世界の埋蔵量の22%、レアメタルであるイリジウムは世界の16%、錫は11%、タンタルは10%と、日本の都市鉱山には全世界埋蔵量の一割を超える金属が多数存在します。
まとめ
限りある資源として金は古来より人々に重用されてきました。昨今では装飾や希少だからというのみならず、機械部品のパーツや投資目的の需要も上昇しています。限りある資源である金をどのように活用していくのかが、これからの人類にとっての課題なのかもしれません。