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インカ帝国とは
インカ帝国は南アメリカ大陸に存在していた国で現在の地理でいうペルー、ボリビア、エクアドル、チリ北部一帯を支配していた帝国です。1200年頃に建国されたとされ、15世紀に高度な文明を築き、最盛期を迎えていました。しかし、新大陸に進出したスペインの征服者ピサロによって征服され、1533年に滅亡しました。インカ帝国の首都であったクスコや標高約2,450mの尾根に位置する古代インカ帝国の遺跡であるマチュピチュは「空中都市」「インカの失われた都市」などと称され、現在では世界遺産として登録されています。
インカ帝国が有した文明
インカ帝国はその当時でも優れた技術をいくつも有していました。その一部をご紹介します。
高度な金・銀装飾品
インカ帝国には優れた金属加工技術がありました。金や銀などが豊富に採れていたこともあり、それらを加工した祭具や装飾品が多数発見されています。しかし、豊富な金・銀があったにもかかわらず、貨幣制度が存在していませんでした。
高度な石建築技術
マチュピチュ遺跡やクスコの建造物を見るとわかりますが、インカ帝国にはかなり高度な石建築を行う技術がありました。多角形の切石が隙間がなく積まれており、小さな石から岩ともいえる大きなものまでが組み合わされ「カミソリの刃1枚通らないほど精密なインカの石積み」といわれるほど緻密かつ隙間なく積まれています。ペルーは日本と同じく地震が起こる国ですが、もっと新しいヨーロッパ風の建物が壊れる中、これらの石建築はしっかりと残っていることからその技術の高さが伺えます。
文字は存在していない
これだけ高度な技術が発展していたインカ帝国ですが、じつはインカ帝国には文字がありませんでした。そのため、記録を行う方法としてキープとよばれる細く長い紐の結び目や色などで情報を記録していました。このキープを作成・解読する専門の職人(キープカマヨック)がいましたが、インカ帝国が征服された際にこのキープの作成・解読に関する知識が途絶え、インカ文明独自のキープは完全に失われてしまい、現在でも解読ができていません。
貨幣がないのになぜ発展していたのか
インカ帝国は高地にあるにもかかわらず、その優れた山岳農業技術などによって非常に豊かな国であったといわれています。また、貨幣をつくる必要がなかったことから、貿易は存在せず、生産や流通に関してはインカ政府によってすべて管理されていたのではないかと考えられます。つまり、インカ帝国の人々には税がなく、生活必需品をすべて国家から支給される代わりに、国のために働かされていたと考えられ、徹底した社会主義国と考えられます。
インカ帝国の滅亡
インカ帝国が滅亡した1533年スペインの征服者ピサロはインカ皇帝アタワルパが率いる8万もの軍勢を168人という少人数で皇帝アタワルパを捕らえられてしまったそうです。このようなことがなぜ起こったのでしょうか。
鉄製の武器を持たなかった
インカ帝国には優れた金属加工技術がありましたが、高温を扱う炉がなく、鉄製の道具というものが存在しませんでした。そのため、武具は良くても青銅製であり、基本は木製でした。それに対してスペイン側は鉄製の鎧に銃をもっていたため、装備面で圧倒的な差があり勝負になりませんでした。
内戦で疲弊していた
当時の皇帝であったワイナ・カパックの息子2人が帝国内で1529年~1532年にかけて内戦をしていたことがわかっています。この内戦の要因は明らかになっていませんが、インカ帝国内の国力が低下していたのは間違いないといえます。
天然痘による人口減少
インカ帝国は中央アメリカから拡がってきた天然痘により甚大な被害を受けていたともいわれています。この天然痘により全人口の6割~9割もの人が天然痘によって亡くなったともいわれています。
インカ帝国の黄金伝説
インカ帝国には豊富な金があったとされていますがその多くは現在でも見つかっていません。これらの黄金はどこにいってしまったのでしょうか。考えられている仮説2つをご紹介します。
征服者ピサロに回収された
インカ帝国を滅ぼした征服者ピサロが、インカ帝国皇帝アタワルパから自分を生かすかわりに部屋いっぱいの金銀を渡したという説があります。結果としてインカ帝国皇帝アタワルパは処刑されてしまっていますが、自分の命がかかっている時にこのような取引をしようとした可能性は十分にありえますよね。そう考えるとこの説も納得できる気はします。
生き残ったインカ帝国民がどこかに隠した
インカ帝国では湖などに供物を捧げて災厄から自分たちを守ろうとする儀式があったとされています。このことから軍勢から逃げ延びる際に高価な金を運び出し、湖に沈めたということも考えられるのではないでしょうか。いまだに見つかっていないインカの黄金がどこかに沈んでいるかと考えるとロマンのある話だと思いませんか?
まとめ
インカ帝国はその特殊な国土や地形によって独自の進化をたどった文明であり、その技術や文化は現在でも全容がわかっていません。もしもどこかに隠された黄金やそれを記した遺跡などが見つかれば世界に衝撃が走るかもしれませんね。