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金と原油価格の関係性
金の価格と原油価格の間には、古くから原油価格が上昇すると金の価格も上昇するという相関関係があるとされています。実際に2つの価格を比べてみるとどちらも右肩上がりに上昇しています。
なぜこの2つに相関性があるのか
なぜ、このような関係が発生するのかといいますと、「金」も「原油」もドル建てで取引され、ドルの影響を強く受けるためです。
例えば、テロや戦争・パンデミックなどの有事の際には、人々はより安全な資産を求めて株券やドルを売り、金を購入します。特に中東を巻き込んだ有事であれば、原油の安定供給に対して不安が募り原油価格は大きく上昇するでしょう。
また、世界的にドル安が進んだときには、ドル建てで取引が行われる「原油」は、自国通貨と比較して割安になります。「お買い得だから、今買っておこう」という投資家心理が働くというわけですね。
また、ドル安が進むと市場に対する不安は大きくなります。そうなると「金」という安全な資産の魅力が上がり、金の需要が上昇します。このように直接的には「金」と「原油」に特別な関係はありません。しかしドルという共通項が関わることで、両者のチャートは似た動きを見せることになります。
過去の事例
特にこの動きが顕著に出たのが、1979年から1980年にかけて起こった第2次オイルショックです。当時の金価格は1年間で約4倍ほど上昇し、当時の金価格としては史上最高額となる1gあたり6,586円となりました。
近年は相関性がなくなってきている
相関性が強いといわれてきた金と石油価格ですが、近年ではその関係性に陰りがみえており、特に2014年以降は顕著にでています。
2014年に起きた原油価格の急落
2014年には、後述する出来事が要因となり、原油価格が急落しました。
シェールガス・オイルの開発
シェールオイル・シェールガスとは、シェール(頁岩)という、泥が固まった岩石から採れるエネルギーの総称です。
シェールは太古の海や大河の河口では、水中のプランクトンや藻類などの有機物が、死後に沈降、堆積し、バクテリアによる分解作用を受け変質して腐食物質(ケロジェン)に変化します。ケロジェンを含んだ堆積物がさらに地下深くに埋没すると、地熱や圧力により化学変化して石油分やガス分が固まったものです。シェール層の石油分やガスは、外部に移動する一方で、シェール層の隙間に残留する場合があり、存在自体はわかっていましたが、従来は経済的に掘削が困難と考えられていました。
しかし、近年の掘削技術の発展に伴い、アメリカでは地下2,000メートルより深くに位置するシェール層の開発が2006年以降進められました。その後、シェールガスの生産が本格化していくことに伴い、米国の天然ガス輸入量は減少し、国内価格も低下していきました。これが、いわゆる「シェール革命」であり、エネルギー分野における21世紀最大の変革であるとともに、世界のエネルギー事情や関連する政治状況にまで大きな影響を与えました。
イランの経済制裁解除
イランは核問題などにより、各国から経済制裁を受けていましたが、この時期から一部解除となり、原油の供給国が世界経済に復帰し、原油の供給量が増える事になりました。しかし、上述したシェール革命によって原油の需要は下がっていたため、需要と供給のバランスが更に崩れる結果となりました。
OPEC(石油輸出国機構)による、シェア維持のための価格調整
上述した2つの事象の影響により、世界の石油への需要は大きく下がりました。そのため、OPECは石油の需要を維持するために原油の価格を大きく引き下げました。
このような事が立て続けに起こったため、2014年の原油価格は急落する事になりました。金と原油のこれまでの相関性を考えると、原油価格が下落したため、金価格も下がるはずでした。しかし実際には、金の価格は緩やかに上昇を続けました。
2020年に発生した新型コロナウィルス
2020年に中国の武漢で発生し、その後世界で新型コロナウィルスが猛威を振るったのは、記憶に新しい人も多いでしょう。この際にも世界経済の停滞による原油への需要が低下し価格を大きく下げました。しかし、金の価格は下がるどころか大きく上昇するという逆相関関係が起こりました。
何故このような事が起こったのか
上記の2つの事象では、原油価格が短期間であまりにも下落したために、「世界経済に悪い影響を与えるリスク」として捉えられ、安全資産である金の需要が増えたと考えられます。また、投資家達の間では、現在の金と原油の関係は、以前のような相関関係ではなく、一方が下がれば、もう一方は上がるという、逆相関関係になっていると指摘する声も少なくありません。
金の売買は世界情勢も見極めて
世界中で常に取引されている金は、世界経済の流れや情勢によって、常に変動しています。過去の「相関関係」から一時期は「逆相関関係」とまで言われた金と原油ですが、この先どうなるのか、事前に予測するのは困難です。
とはいえ、「使わない金」をただ所有していても、投資という意味では効果がないのも事実です。金の売買をするときは今後の流れを見極めて、金を買い増すのか、それとも売却するのかを検討し、後悔のない売買ができたらいいですね。
まとめ
現在(2023年7月)、原油価格は2022年に比べ落ち着きをみせていますが、金の高騰が止まらず、1gあたり10,000円を超えるのではといわれています。これは昨今の世界情勢や経済への不安から金の需要が上昇しているためと考えられています。
過去と異なり、金と原油価格の相関性が薄れ、今後の金価格の変動の予測が大変難しくなっています。しかし、一つ言えることは現在の金取引価格は過去に類を見ないほど高水準であるということです。
つまり現在、金は売り時です。「買取大吉」でも金の買取には特に力を入れており、金の状態や純度に関わらず高価買取を行っております。ご査定・ご相談は無料で行っておりますので、是非お近くの「買取大吉」各店までお持ち寄りください。