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日本の金鉱山
日本は4つのプレートの境目付近にある関係上、日本国土の様々な地域で金が採掘されており、過去には「東方見聞録」にて黄金の国ジパングとよばれていました。
ほとんどの金鉱山は閉山済
日本で有名な金鉱山といえば、現在世界遺産に推薦されている新潟県の佐渡金山や東洋一の金山と称えられた北海道の鴻之舞金山が有名です。これ以外にもたくさんの金鉱山があり、室町時代の頃から採掘がされていました。しかし、これらの金山は開発が進んだ影響により、現在ではそのほとんどが閉山しています。
現状唯一稼働している商業金山
現在の日本で商業採掘がされているのは、鹿児島県にある菱刈鉱山のみとなっています。年間の採掘量は6トン程度といわれています。1つの鉱山という側面でみるとかなり量が多いですが、国別にみると採掘量は多くないのが現状です。
新時代の金鉱山として期待されているもの
海底熱水鉱床とは
海底熱水鉱床は、地下深部に浸透した海水に地殻から様々な元素が溶け、マグマ等により熱せらた際に熱水として海底から噴出し、周辺の海水によって急速に冷却されることで、金や銀などの貴金属やレアメタルを含む各種金属が沈殿して形成されたものです。金鉱山などでとれる通常の金鉱石に比べ、重量あたりに含まれる金の含有量がかなり多く、レアメタルなどの希少金属も同時に採取できることから、今後の金属資源として期待されています。
都市鉱山とは
都市鉱山という名前から都市部にある鉱山のような印象を受けますが、都市鉱山は天然鉱山ではありません。都市部のような人がたくさんいる街では、家電製品や工業製品のゴミがたくさん出ます。廃棄されるスマホやカメラのような家電製品や工業製品には端子などに金をはじめとした貴金属やレアメタルが使用されており、それらを鉱物資源と見立てて都市鉱山と呼んでいます。地球上に限りある資源「鉱物資源」を再利用するという試みは世界中で注目されており、この都市鉱山という言葉も近年注目度が上がっています。
実際、2020東京オリンピックで選手に授与されたメダルすべてがこの都市鉱山から集められたリサイクル金属で製作されました。現在の日本の都市鉱山に存在する金の総量は6,800トン程度といわれており世界有数の規模を誇っており、現在世界に残っている金の埋蔵量が5万トン程度といわれていますので実に15%程度の金が都市鉱山に眠っています。この他にも銀は60,000トンで、これは世界の埋蔵量の22%、レアメタルであるイリジウムは世界の16%、錫は11%、タンタルは10%と、日本の都市鉱山には全世界埋蔵量の一割を超える金属が多数存在します。
新時代の金鉱山の課題
新時代の金鉱山として期待されている都市鉱山や海底熱水鉱床ですが、手放しで喜べるものではありません。ここではこれらの課題についてご紹介していきます。
埋蔵量と採取可能な量の差異
これは特に都市鉱山でいえる事になるのですが、上述した埋蔵量はあくまでも日本にあると予測される埋蔵量であり、その中にはすでに埋立地となっているものや、燃やされてしまったものも含まれている値になるため、その予測されている埋蔵量と実際の埋蔵量が大きく異なる側面があります。
技術的な問題
海底熱水鉱床や都市鉱山から貴金属を採掘していくうえで大きな課題となっているのが技術的な問題です。特に海底熱水鉱床は名前の通り海底にあり、海中の開発は宇宙開発よりも難易度が高い事業だといわれています。実際、人類が把握している海洋は全体の5%程度であり、95%に関してはよくわかっていないのが現状です。日本では現在、JOGMEC(独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構)が中心となって開発・研究を行っており、少量の採掘に成功していますが、課題もまだまだ多いようです。
コスト的な問題
すべての産業や事業にいえることですが、その産業や事業が発展するかどうかは、利益がでるかどうかが最も重要になっているといってもいいでしょう。これらの新時代の金鉱山ですが、埋蔵量などに関しては商業ベースとするのに十分なポテンシャルをもっているといえますが、どちらも採掘するためには莫大なコストがかかってしまい、採掘コストと採掘量が見合っていないのが現状です。これを解消しない限りはあくまで研究としての域を脱することはできないといえます。
まとめ
現在は鉱物資源が乏しい国となっている日本ですが、隠れた金鉱山はまだまだ大いに残っている国です。上述したような課題点が解決し、エネルギー産業の中心地になれば、近い将来には黄金の国ジパングと再び呼ばれる日が来るのかもしれませんね。