金・プラチナについて
金とプラチナは共に貴金属として数えられる金属で、希少価値が高い金属として知られています。
金
金(gold)は、原子番号79の元素です。第11族元素に属する金属元素で、人類が古くから希少価値を認め、重用してきた金属です。金属の中ではかなり重く、その上、展延性に富み、薄く延ばしたり、広げたりすることができます。1グラムの金があれば、数平方メートルまで薄く延ばすことができ、金線にすれば約3,000メートルまで延ばすことができます。また耐腐食性が非常に高く、王水などの特殊な酸でしか溶解することがないため、アクセサリーなどの他に電子機器の端子にも使われています。
プラチナ
プラチナ(platinum)は、原子番号78の元素です。白金族元素の一つとなり、和名では白金と呼ばれています。プラチナは、白い光沢(銀色)を持つ金属で、化学的に非常に安定しているため、装飾品に多く利用されています。また、触媒としても有用で、自動車の排気ガスの浄化など工業面でも使用されています。金と同様に酸に対して強い耐食性を示し、王水以外では溶解しない性質を持っています。
希少価値について
金とプラチナのどちらが希少価値が高いかを考えていきましょう。希少価値を考えるうえで重要な要素として、地球上に存在している埋蔵量と現在までに採掘されている採掘量が挙げられます。金は現在、年間約3,000トン程採掘されており、残っている埋蔵量は約50,000トンといわれています。また、現在までに採掘された金の合計は180,000トンといわれておりオリンピックプール約3杯分の金が採掘されています。
一方プラチナは、過去に産出された分も含め、地球上に存在する総量は約16,000トンといわれています。また、現在までに採掘されたプラチナの合計は約6,000トンといわれており、オリンピックプールに換算すると足首が浸かる程度にしかなりません。また、プラチナが1トンの原鉱石から3g程度しか採取できず、精製する時間も金と比べてかかる事から希少性に拍車がかかっています。
以上のことから、希少価値という観点で金とプラチナを比べるとプラチナの方が希少価値が高いといえます。
金・プラチナの現在の相場について
金とプラチナ、どちらも同じ貴金属というカテゴリーですが、その用途や性質は全く違います。プラチナは工業需要の多い貴金属であり、工業利用の場合は世界の動向や経済状況の影響を受けやすくなります。自動車をはじめとするプラチナを使用した工業製品が売れなければ、プラチナの需要も減少するためです。実際、2008年に起きたリーマンショックや2015年に起きた自動車排ガス規制の際には自動車への需要が落ち、価値が暴落し年平均で1,000円以上の下落を記録しました。
一方、金の代表的な用途はアクセサリーであるため、景気の動向を受けにくく安定した値動きをする傾向にあります。また、安定資産として投資商品としても人気が高く、現在の地政学リスクから値段が高騰しています。結果として、過去にプラチナは希少価値が高いため、価格も高価ではありましたが、これらの要因により現在では、金に比べて安値で推移しているのが現状です。
投資商品として
金やプラチナなどの貴金属は地球上に無限に存在するわけではなく、資源が限られています。そのため、価値が0になる事がなく、今後埋蔵量が少なくなるほど希少価値は上がっていきます。この希少性から、金やプラチナなどの貴金属を投資資産として、確保する投資家も多くいます。
金
金は安全資産といわれ、昔から世界中で取引されています。金を投資する一番のメリットは価値が0にならないということです。また、大きな変動が少なく長期的には右肩上がりを続けているため、長期的な運用に向いています。
プラチナ
プラチナは投資という面では金よりもマイナーですが、景気に左右されやすいため、金よりも値段の上がり下がりが激しいです。そのため短期運用の投資に向いており、ハイリスク・ハイリターンだといえます。また、経済産業省は2030年半ばを目標に販売する新車を全て電動車にするという計画を立てています。そのため、燃料電池車の製造が本格的になる2020年代後半にかけ、プラチナの相場上昇は確実視されています。
まとめ
プラチナは金に比べて安いから価値がないと思われがちですが、上述の通り希少価値自体はプラチナの方が高く、これからの世界情勢次第で金の相場を上回る可能性も十分にある貴金属です。投資資産として金の購入を考えていた人も、プラチナを購入することを検討してみてはいかがでしょうか。