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金のETFとは?
ETFは「上場投資信託」と呼ばれます。ETFはTOPIXや日経平均株価と連動するように運用される投資信託の一種です。
証券取引所に上場しており、金の価格の変動をチェックしながら自由に売買することができます。
つまり、金ETFは「金の現物を持たずに投資が可能な投資信託」なのです。
金ETFとETF・投資信託との違い
投資信託、ETFは、金ETFと異なる特徴があります。3つの違いを理解して、自分に合う方法を選びましょう。
投資信託
投資信託とは、投資家から集まったお金をプールして投資のプロが運用し、運用益を投資家に分配する仕組みのことです。
集めたお金をどのように運用するかは、投信によって異なります。
例えば、インデックスファンドといわれる投信は、TOPIXや日経平均株価といった特定の指数に連動する動きを目指します。インデックスが上昇しているときは、投信の投資口価格も連動して上がります。
一方、アクティブファンドといわれる投信は、インデックスを上回る運用を目指します。インデックスファンドと比較してリターンが大きくなりやすい一方で、損失が大きくなるリスクもあります。
いずれの場合も、投資信託は預貯金と違い元本保証の商品ではないことに注意です。
ETF
ETFとは「Exchange Traded Funds」のことであり、上場投資信託と呼ばれています。投資信託のひとつではありますが、株式と同じく証券取引所に上場しているため、リアルタイムの値動きで売買されることが特徴です。
また、投資信託と同じように元本保証されている商品ではないことに注意です。ETFの購入金額は、株式と同じく株価によって購入口数が決まります。
例えば、1口1,000円だった場合で、最低購入口数が10口であれば、最低購入金額は1万円となります。
一方、投資信託は指定した金額から購入でき、100円から購入できる証券会社もあります。
金ETF
金ETFは「上場投資信託」と呼ばれるETFの中でも、金価格に連動するETFです。
毎日の金の取引価格の変動が即座に反映され、株のようにリアルタイムの取引が可能です。
さらに、手元に大きな資金がない方でも、少額で行うことができます。
金ETFのメリット
金ETFがおすすめかどうかは、他にどのような投資をしているかによります。ここでは、金ETFを行うメリットを解説します。
盗難リスクがない
現物の金を買う投資では、紛失や盗難を予防するために慎重に管理しなければなりません。
管理をするためには、高額な金庫を用意したり、貸金庫を契約して保管してもらったりなどのコストがかかります。
しかし、金ETFは金の現物を保有しないため、管理にかかる費用や手間を省けることがメリットです。
売買手数料が安い
金ETFは、株式などと変わらない購入手数料であり、投信よりも手数料が安いことが多いです。
何度も取引を行う場合は節約すべき項目のため、手数料が安いことはメリットだといえるでしょう。
国内保管なので交換ができる
金ETFでは購入したものは日本で保管され、交換ができることも特徴です。
また、金は「有事の際に役立つ」といわれており、古来より権力者、経済力のある人の投資対象として人気が高いです。
そのため、有事に備えて、通常の投資に加えて金ETFで積立をするのも投資方法のひとつです。
少額から購入できる
少額で購入できる点も大きなメリットです。金の現物を購入したいと思えば、多額の資金が必要になるでしょう。
しかし、金ETFは1口単位から購入できるため、多額資金を用意できない方でも投資できます。
スマホで投資できる
株と同様に投資しやすいことも金ETFの特徴だといえます。
現代では、場所を問わずインターネットで購入できるため、世界情勢を左右するような事件が起きても、すぐに資産を金に換えることができます。
金ETFのデメリット
自由度の高さやリスク分散としての有用性など、メリットの多い金ETF。しかし、現物資産を介さない分、注意しなければならない点も多く、頭に入れておく必要があります。
ここでは、金ETFに投資する際のデメリットを紹介します。
分配金・配当金がない
株と同様に取引できるため誤解されがちですが、金ETFには配当がありません。
そもそも、金そのものに投資しても配当はないため、金投資を考えている人は認識しておきましょう。
自動積立できない
自動積立は難しく、積立投資を考えている方には不向きかもしれません。
そのため、月々自動的に積立が行われることを期待する方や、几帳面ではない方は注意が必要です。
しかし、自分で操作することで定期的に貯金をすることができるため、手間をかけることが苦ではない方であれば、あまり心配する必要はないといえます。
さらに、難しい手続きもなく、すぐに安心して投資を始められます。
信託手数料が高い
金そのものへの投資と違うのは、手数料がかかることです。インゴットを購入する場合は手数料はかかりませんが、金ETFでは信託報酬がかかります。
長期投資を考えている方にとっては、手数料はかなりの額になるため、事前にいくらかかるのか確認をしましょう。
金を長期保有するのであれば、インゴットを購入するのも有効です。
金地金はインゴットともいわれ金を最も実感できる金の現物の塊であり、金は株式や債券とは違った動きになるため、分散投資の効果が期待できます。
金ETFと現物の違い
金への投資方法には、金地金や純金積立による現物の売買、株式市場を通じた金ETFの売買などがあります。どちらの方法も同じ金ですが、金現物投資と金ETF投資では利益の税金の扱いが異なります。
税金
金現物への投資で得た利益は譲渡所得とみなされ、給与をはじめ別の所得とともに総合課税の対象となり、累進税率が適用されます。
金の保有期間が5年未満の場合は短期譲渡所得、5年以上の場合は長期譲渡所得とみなされ、それぞれの所得金額は以下のように計算されます。
・短期譲渡所得(保有期間5年以下):売却益-購入価格-50万円の譲渡所得特別控除
・長期譲渡所得(保有期間5年超):(売却益-取得価額-譲渡所得50万円特別控除)÷2
一方、金ETFへの投資による利益は、株式や投資信託と同じように分離課税の譲渡所得として課税されます。
金現物の場合、売却益が出た場合は50万円の特別控除が使えますが、損失を受けた際は株式や投信との損益通算は不可です。しかし、金ETFでは損益相殺ができます。
税制が異なることから、50万円までの譲渡所得であれば特別控除を利用して課税を免れるという点に魅力を感じるのであれば、金現物への投資が有効です。
しかし、大きな利益が発生した際に給与の税率が上がる可能性がある点に不安を感じたり、株式との損益通算に魅力を感じたりするのであれば、ETFを通じて金に投資を検討しましょう。
管理コストや運用期間
金ETFと現物は、コストや運用期間が異なるため一覧で確認しておきましょう。
金ETF | 現物 | |||
---|---|---|---|---|
保管にかかる費用 | 信託報酬や管理費用、運営費用 | 自身で管理するため無料 | ||
運用期間 | 商品ごとに異なる 繰上償還の可能性がある |
なし |
特に先物取引を使って投資するETFは、金の現物を保有していないため、資産としての金の証明ができません。
そのため、流動性が下がることや投資家の参入などで先物取引が不安定になり、実際の金価格とETFの基準価額に大きな分離が生じる可能性があります。
現在、金融商品は多様化しており、「金に投資する」といっても色々な製品を通して金投資ができますが、それぞれの商品に特徴があるため理解しておきましょう。
特に税金に関しては、いざ税金を払うときに「思っていた金額と違う」ということにならないよう、投資を始める前に必ず確認が必要です。
金ETFの代表的な銘柄
投資する際には、どの銘柄がよいのか迷ってしまう方も多いでしょう。ここでは、金ETFの代表的な銘柄を5つ紹介します。
SPDRゴールドシェア
SPDRゴールド・シェア(GLD)は、米国の金価格に連動することを目的とした金ETFで、経費率は0.40%と金ETFとしてはリーズナブルです。
金ETFの主流の一つで、金ETFについて知っている人なら目にしたことがあるかもしれません。ドル建ての金ETFを購入してリスク分散を図りたい方におすすめのETFです。
なお、ETFを購入するには、米国株に投資できる証券会社を利用します。SBI証券や楽天証券は為替手数料が無料、NISA口座を持っていれば取引手数料も無料なためおすすめです。
SPDRゴールド・ミニシェア・トラスト
内容は基本的に「SPDRゴールド・シェア」(国内ETF/海外ETF)と同じで、「SPDRゴールド・シェア」の信託報酬を引き下げたバージョンです。
信託報酬が最も安い金ETFです。なお、名称の冒頭にある「SPDR」は、ステート・ストリートが提供しているETFのブランド名を意味します。
iシェアゴールドトラスト
iシェアーズ・ゴールド・トラストは、米国の投資ファンドです。
純資産に比例する未分割受益権を表す証券を発行しています。信託の主な資産は、信託に代わってカストディアンが保有している金です。
純金上場信託
純金上場投信(1540)は、東京工業品取引所における1グラム当たりの金の先物価格を特定の貴金属業者が提示するフォワード・レートで、現在価値に換算して連動させることを目的としたETFです。
経費率は0.44%であり、株価は直近で最高値を更新しました。
また、「金地金」と交換できる唯一の金ETFでもあります。ただし、金地金との交換は一定の株数以上に限られ、交換の際には手数料がかかるので注意が必要です。
金価格連動型上場信託
金価格連動型上場投資信託のメリットは、地金の現物売買とは違い保管の手間や費用を省けます。
株や債券と値動きが違い、いくつか保有することで分散効果を期待でき、実物資産となる金に株と同様に手軽に投資が可能です。
税金も株式と同じ扱いであり、特定口座を使用すれば証券会社が源泉をするため納税の手間がありません。購入単位は約1万円で資金が少ない方でも始めやすいでしょう。
ただし、対象指標が利益や配当を生まない資産は、分配金がない場合もあります。
まとめ
金ETFは、金の取引価格を常に確認でき、株式と同様に値動きを見た取引ができます。
さらに、税制に関しては分離課税の譲渡所得として扱われ、損益通算もできるため、取引で損失が発生した際にも別の金融商品の利益を含めて相殺できる点もメリットです。
反面、株式と違い配当金を受け取ることができず、金の売買価格や保有する期間によっては手数料が増えるリスクもあります。
どのような金融商品を買っても、リスクのない投資はありません。金ETFを行うときには、紹介したメリットとデメリット、リスクを十分に理解し、無理のない範囲内で始めるようにしましょう。