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金投資ってどんなもの?
信用度が高く、世界中どこでも換金できるので、金は投資の対象として扱われています。金投資とは文字どおり、金に投資することで、ゴールドバーや金貨を購入する方法から、投資信託で積み立て投資をする方法などさまざまです。
また、金は政治的・経済的混乱期や災害時、インフレ時に値上がりする傾向にあるので、2022年現在のコロナウイルスやロシアのウクライナへの軍事侵攻からくる世界情勢への不安から、有事の金として資産を守るために金投資をする投資家も多いようです。
※詳細は下記のリンクをご参照ください。
金投資詐欺の実態
金投資が一般的に受け入れられるようになり、純金積立は気軽に始めることができる投資としても注目を集めています。その気軽さから知識をあまりもっていない状態ではじめる人も多いです。そして、その無知を利用して金銭を騙し取ろうとする金投資詐欺が実在するのも事実です。ここではその中で有名な手口をご紹介します。
地金取引詐欺
近年で、一番多い金投資詐欺の手口といわれているのが地金取引詐欺です。これは1㎏単位などの大きな金のインゴットを10年以上の分割で購入する契約をさせ、払い終わるまでは金の入手ができないようになっています。契約解除に多額の違約金をつけたり、特に悪質な業者になると年間の手数料や金の保管費でさらにお金を騙し取っています。この詐欺の厄介な点が純金積立に似ている点です。
実際に被害者に対して「純金積立みたいなものなのでご安心ください」などの誘い文句で相手を安心させているようです。しかし、純金積立とは大きく異なります。純金積立は期間毎に支払った分の金購入を代行してもらい、その分を保管している状態なので、実際に本人が所有している状態になりますが、地金取引詐欺の場合、契約期間内はまだ金を一切所有していない状態です。また、契約内容をわざと複雑にしているため、詳細がわかりにくくなっています。
海外取引を理由に行う詐欺
電話などで「海外で安く売っている金を仕入れて、日本で高く売りませんか?」などといった勧誘を行い、購入資金として支払ったお金を騙し取る手口です。金相場は世界で共通のため、為替の関係で多少の差はあれど大きな差が生まれることはありません。そのため、このような電話は100%詐欺です。このような悪質な業者から電話が来た場合には詐欺に引っかからないよう注意しましょう。
日本最大の詐欺事件「豊田商事事件」とは?
概要
豊田商事事件は、1980年代前半に発生した、豊田商事による金の地金を用いた悪徳商法(現物まがい商法)を手口とする組織的詐欺事件で、豊田商事問題ともいわれています。70代以降の高齢者を中心に全国で数万人が被害に遭い、被害総額は2000億円近くといわれており、日本の詐欺事件としては最大の被害額です。その後に豊田商事会長刺殺事件に発展した背景もあり、当時の日本に衝撃を与えた事件でした。
被害
この事件による被害は大きく、高齢者を中心に全国で3万人以上、被害額は2,000億円近くになるといわれており、この詐欺によって老後資金をすべて騙し取られてしまった被害者も多いといわれています。被害者の救済として弁護士達がある程度の資金を回収しましたが、ほとんどがすでに使われており、合計で100億円程度しか回収できませんでした。
手口
被害者は金の地金を購入する契約を結びますが、現物は客に引き渡さずに会社が預かり「純金ファミリー契約証券」という証券を代金と引き替えに渡す形式をとっています。そのため被害者は現物を購入するのか確認できず、実態は証券という名目の紙切れしか手元に残らない現物まがい商法です。
また、勧誘においては主に高齢者が対象で、まず電話で無差別に勧誘し、脈ありと判断すると相手の家を訪問します。家に上がると線香をあげたり身辺の世話をしたりして、相手を安心させ、インチキな契約を結びました。また、これが手に入りますなどといって、被害者達に見せていた金の延べ棒は、のちの捜査によってすべてニセモノであったことも明らかになっています。
「豊田商事」という社名自体、トヨタ自動車の系列と錯覚させるためにつけられたものであり、その他にも客を信用させるため、知名度がある企業とブランド名を悪用したりテレビCMを多数放映したほか、主催イベントで芸能人を起用し、さも有名な企業であるようにみせていました。
結末
1981年から「純金ファミリー契約証券」による詐欺を行っていましたが、1985年に国民生活センターへの連絡が相次ぎ、会長が逮捕される事になります。同年6月18日についに逮捕されるとの情報を得たマスコミが会長宅前で逮捕報道をしていたところ、会長が刺殺されるという重大事件が起きました。その後、豊田商事が破産申請を行い、会長が殺害されるという形でこの詐欺事件は幕を降ろしました。
社会へ与えた影響
このような重大な詐欺事件の横行を重く見た政府によって、新たな法律である特定商品等の預託等取引契約に関する法律(特定商品預託法)が制定されました。この法律により、金などの預託取引契約に対して、一定期間内であれば理由の如何を問わず契約を解除できるクーリングオフ制度が導入されることとなり、社会に与えた影響がどれだけ大きかったかがわかると思います。
身を守るためにはどうしたらよい?
制度を利用しよう
詐欺被害を防ぐため、日本では消費生活センター(消費者センター)で無料相談ができます。また、上述したようにクーリングオフなどの、意に沿わない契約を破棄する制度もあるため、それらを活用しましょう。
家族や弁護士など頼れる人に相談を
このような詐欺は高齢者をターゲットにしている面もあります。一人で悩むのではなく身近な人に相談するのが良いです。また、一般の人では対応できないような場合でもこのような相談を受け付けている法律事務所が複数あります。
まとめ
金の投資は安定して資産形成できる方法として人気があり、魅力が大きい投資であるのも事実です。しかし、豊田商事の事件や金投資詐欺に関する被害があるのもまた事実です。このような被害にあわないように自己防衛の方法や人の情報を鵜呑みにするのではなく、しっかりと精査し、利用するのが大切だといえます。