金は変色や腐食しにくい物質
金は物質的に安定しており、酸やアルカリにも強く、汗をかいたり温泉に入ったりしても変化が起こらない金属といわれています。その安定性は、王水という濃塩酸と濃硝酸を混合して作成する溶液以外では溶けないほどです。このように金が酸化しない仕組みには、金属のイオン化傾向(陽イオンへのなりやすさ)が関係します。金属はイオン化傾向が大きい金属ほど酸化しやすく、小さい金属ほど酸化しにくいのが特徴です。金属は陽イオンになりやすい性質を持っていますが、そのなかでも金は最もイオン化傾向が小さい金属です。そのため酸化が起こりにくいといえます。
変色や腐食しないはずの金アクセサリーが変色してしまうのはなぜ?
金アクセサリーのはずなのになぜかくすんでしまったことがある人もいらっしゃるのではないでしょうか、これは大きく2つの原因が考えられます。
◆金の純度が低いため
金は、とっても繊細でやわらかい金属です。プラチナやシルバーと比べると硬い種類の金属ではあるけれど、K24(純金)のままアクセサリーにするのは難しいのです。すぐに変形するおそれがあるため、ほかの物質をまぜて強度をあげます。金の割合は、K18で75%、K14で58%、K10で41.7%の金が含まれています。そのため、金の純度が下がれば下がるほど他の金属が混ざり、変色や腐食しやすくなります。そのため金のアクセサリーでも変色してしまうことがあるのです。
◆皮脂などの汚れ
ジュエリーやアクセサリーを普段から使っているとどうしても汗や皮脂が付着してしまいます。ジュエリーに皮脂が付着したままになると、皮脂が酸化して、それが空気に触れることで変色します。そのため、使用したらジュエリーに皮脂を残さないこと、その都度汚れを拭き取ることで、K10などの純度の低い金でも輝きを保つことができます。
変色してしまったものはもう戻らないの?
変色してしまっても諦めないでください、ご自宅でできるお手入れ方法で黄金の輝きが蘇る可能性はまだあります。以下の方法で汚れを落とし、変色を元どおりにできるかどうか試してみてください。
◆専用のクロスで磨く
ジュエリー専用のクロスはジュエリーショップなどで購入できます。金を磨く以外にも宝石のお手入れにも使用できるので、1枚あると便利です。毎日のお手入れもクロスで軽く拭くだけで十分ですし、汚れが気になったときも専用のクロスで磨いて落ちる場合があります。
◆中性洗剤を使って洗浄
中性洗剤とぬるま湯を1:1の割合で混ぜて洗浄液を作ります。その中に金のジュエリーを5分間浸しておくと、汚れが浮いてきます。その後、乾いた柔らかい布で水分を拭き取って完了です。
◆重曹を使って洗浄
K10アクセサリーはどうしても黒ずみが起きやすいです。しかしその黒ずみは重曹で磨き落とすことができます。重曹が糊状になるよう、少量ずつ水を足して溶いて、それをK10の汚れが気になる部分につけて優しくこすります。こすっても汚れが落ちなさそうなら重曹をつけたまま5分ほど置き、柔らかい布でこすりながら水洗いします。仕上げに柔らかい布で乾拭きし、水分が残らないようにして完了です。
まとめ
頻繁に装着するものであれば、ケースに入れるにしてもひとつひとつ柔らかい布で包んだり仕切りを作っておくだけでも劣化を大きく防げるでしょう。また、香水や制汗剤などの薬品も貴金属にとって良いものではありません。外出時はアクセサリーを最後に装着する習慣をつけると長持ちにつながるでしょう。アクセサリーは日常を彩る身近な装飾品です。それだけに、いざ装着しようと取り出してみたとき色褪せてしまっていてはがっかりするものです。時々取り出して眺め、汚れに気付いたら丁寧に落として磨き上げてみると、新たな発見もあるかもしれません。