金の価値が高い理由
最大の理由は、全世界規模での金争奪戦が続いている為です。世界的に金地金を保有する動きが強まり、世界中の投資マネーが金を求めて市場に流入しているのです。1990年台は下降トレンドが続き、マイナス資産となっていただけに、この10年で、金に一体何が起きたのでしょうか。過去を振り返ると、様々な要因が絡み合っていたことがわかります。実は金の史上最高値は、近年の暴騰中ではなく1980年でした。しかし、6945円という史上最高値を叩きだした金は、その後下落。1983年から始まった下降トレンドは転換することなく、1990年台は市場最安値の865円を記録するほどに価格が下がり続けました。そのため、鉱山の経営が悪化し、金は長らく減産が続いていました。経営悪化はその後も影響が続き、金価格が上昇に転じた2001年から、東京金相場で3300円台を記録した2008年まで、減産傾向にありました。つまり、金需要に対し、年間生産量が追い付かない状態にあったのです。しかし、鉱山開発や産出も順調になった今も金の高値推移が続くのは何故でしょうか。
それは世界的な金融不安から、機関投資家を中心に資産の一部を金にする動きが強まっているためです。また、各国の金融緩和によって金利が実質マイナスになっていることで、各国の中央銀行でさえ2010年以降は買いに回っているのです。通貨価値の目減りの回避やインフレ対策のため、国の資金までもが金地金を保有するように動き、金市場はまさに戦場の様相を呈しています。
こうして世界中の通貨が市場を流れる金を奪い合い、相場が上がり続けるという状況が続き、結果として10年以上に渡って金相場は暴騰を続けています。この状況は現在も続いており、今年も市場価格は高値で推移すると見られています。金の価格は一定しておらず絶えず変化しています。2000年代は、とりわけ金価格が著しく上昇しました。1999年9月の上場安値が836円だったのに対し、2013年2月の上場来高値は5,081円と約6倍にも高騰しています。
こうした金相場の変動は、以下のような複数の要因によって起きています。
おそらく金相場は引き続き高値を続けると予想されています。ひたすら上昇トレンドだった金も2014年に入り大幅な下落を見せ、今後金市場は下がり続けるのではないかともささやかれましたが、2015年には再び急上昇、1月には近年最高値の5383円まで上昇しています。これは何故でしょうか。
答えは、今までご説明した「市場が金を選んでいる理由」が一過性ではないためです。各国の動きはやや慎重になり、金の最大の買い手である中国もじっくりと市場を見ている状況ではありますが、歴史的に見ても中国は金を非常に重用してきました。そのため、今後中国が金を嫌う可能性は低く、一気に大幅買いに転じる可能性は大いにあります。また、同じく新興国の中でも金需要が高いインドは、ペースを緩めず順調に買いを続けています。例年通りであれば、この2国で新産金の5割以上を買い占めるでしょう。同時に世界規模での金融不安は続いており、EU加盟国のキプロスの債務問題などから、ヨーロッパを発端に金相場が急騰する可能性は今後もあります。去年の金相場下落の理由は、金の増産、機関投資家の資金流出、米国の金融政策などが挙げられます。
しかし、現在金の生産は不採算鉱山の操業停止などもあり、今までのような順調な増産は、今後緩和すると見られています。また、機関投資家の金ETF売却量は、年初の傾向から今年は大幅に減少すると見られています。更に米国の金融政策はドル増刷を終了し、利上げがほぼ確実視されているため、過去の利上げの局面から市場は上昇する可能性が高いと言われています。こうした各方面の要因により、今後も金の争奪戦は激化し、金は上昇トレンドが続くと予想されています。
需要と供給
基本的にモノの価格は需要量と供給量のバランスによって決定されており、それは金も例外ではありません。金の需要量と供給量のバランスは、鉱山からの生産量やスクラップ回収量、投資需要、宝飾品の売れ行き、各国中央銀行による売買量など複数の要因によって決定されます。需要量が供給量を上回れば価格が引き上げられ、反対に供給量が需要量を上回れば価格が引き下げられます。金価値の高騰が続いている場合、需要が供給を上回っているということです。
また、金は世界中で取り引きされているため、その価値に公平性が保たれ、誰もが納得のできる取り引きができるのも大きな特徴です。金が資産として運用されている理由とも言えるでしょう。
流動性とは、必要になったときにすぐに手元に引き出せる状態のことです。株式や債券などの投資商品は、国や企業が破綻した場合に価値はなくなってしまいます。一方で自分の資産を金に変換しておけば、世界中で現金にでも株式・不動産にでも変えることができます。金の価値は世界中で通用することは、金の流動性の高さを表しています。金を手元に残しておけば価値が破綻することはないため、他の投資商品と違い価値がゼロになることはありません。この高い流動性も金の価値を高めています。
【金の純度】
手元の金製品をチェックしてみると、「K24」や「K18」といった刻印が刻まれていることがわかります。これは、金を表す表記です。この刻印からも、金に関する情報を把握可能です。「K24」や「K18」の「K」というアルファベットは、「カラット」のこと。英単語の「karat」の、頭文字が使われています。この「K」というアルファベットに「24」や「18」といった数字をつなげることで、その製品に用いられている「金の純度」を表しているのです。見た目だけで金の純度を判断するのはほぼ不可能ですが、刻印さえ見つけられれば、正確な情報を把握できます。
では「金の純度」とは、具体的にどのような情報を示しているのでしょうか?金の純度とは、金の含有率のことを指します。金を使ってジュエリーを作る場合、金に一定分量の、別の金属を混ぜるスタイルが一般的です。だからこそ、重要な意味を持つのが「純度」に関する情報となります。その製品にどのくらいの割合で金(純金)を含んでいるのか、つまり、どのくらいの割合で金以外の金属が含まれているのかを表しているのが、「純度」という情報なのです。純度100%の金のみを使ったジュエリーを「純金製」と言いますが、多くの金製品は、こちらには当たりません。だからこそ、金製品に刻まれた刻印から「どの程度金が含まれているのか?」を調べ、その価値を見定めていきます。
純度によって違う?用途や特徴
金の純度に関する基礎知識を学んだところで、気になるのがそれぞれの違いについてです。現在市場に出回っている金製品の多くは、「K24」「K22」「K18」「K14」「K10」のどれかに分類されるケースが多いですが、それぞれどのような違いがあるのでしょうか。詳しくチェックしていきましょう。
【K24・24金(純金99.99%~100%)】
いわゆる「純金」と言われる、「K24」。純金含有率がほぼ100%のため、腐敗・変色といったリスクはほぼありません。長い時間が経過しても、その輝きが失われることはありません。ただし硬度は低く柔らかいため、ジュエリーとして使用するのには向いていません。純金という「価値」を重視し、コインやインゴットなど、「資産」として保有される製品へと加工されています。ちなみに、料理などにも使われる「金箔」は、「K24」ではなく「K23」です。94.44%の純金に、4.90%の純銀と0.66%の純銅を混ぜて作られている「金箔」を「プルラン」というデンプンでコーティングしているものがほとんどです。
【K22・22金(純金91.7%:混合物8.3%)】
「K24」や「K18」と比較すると知名度が低いですが、近年注目され始めています。K24よりも丈夫で、K18よりも金特有の雰囲気を楽しめる素材として、ジュエリーに加工されるケースが増えてきています。純金よりは丈夫とは言え、傷がつきやすく、変形しやすいというデメリットも健在です。取り扱いには十分に注意しましょう。純金特有の濃いゴールドカラーが好まれる国々で、人気を集めているようです。
【K18・18金(純金75%:混合物25%)】
ジュエリーによく用いられるのが「K18」です。純度の高さと加工のしやすさ、使い勝手の良さと、絶妙にバランスの取れた素材です。ピンクゴールドやホワイトゴールドといった、華やかなカラーバリエーションを楽しめるのもK18の特徴の一つ。加工しやすく使い勝手が良いため、ジュエリー以外にも時計やライター、スマートホンケースなど、さまざまな商品へと加工されており、一番身近な金といえます。
【K14・14金(純金58.5%:混合物41.5%)】
混合物の割合が増える14金は、リーズナブルな価格で手にしやすいという特徴があります。ただし金の割合が減少するため、金特有の色味が失われてしまうほか、変色リスクも上昇するでしょう。一方で、耐久性は増すので、ジュエリーよりもさらに日常的な文房具等に加工されるケースも目立ちます。
【K10・10金(純金42%:混合物58%)】
K14よりも、さらに金の含有量が低いのがK10です。金の価格が高騰している今、「手ごろな価格で購入できる金製品」として人気を博しています。K14よりもさらに輝きが弱く、変色・サビといったトラブルも生じやすくなります。加工がしやすく安価なので、手ごろな価格のジュエリーとして、市場に多く出回っています。金属アレルギーを持つ方にとって、金の純度は非常に重要な情報の一つです。純度が下がるにつれ、アレルギー発症リスクが高くなります。肌の弱い方やアレルギーが心配な方が金ジュエリーを購入するなら、K18以上を選択するのがおすすめです。
インフレ
物価上昇が続くいわゆる「インフレ」になりますと、モノの値段が高まって購買力の低下が招かれます。しかし、金の価値も同時に上昇します。そのため、インフレが予測されると金に需要が集中し、価格が上昇するのです。さらに近年では、物価低下が続く「デフレ」に対しても金が有効と言われています。
デフレになって、景気が悪化すると企業や国家の信用不安が高まり、株や債券が下降します。そのため、破綻リスクの少ない金が、投資対象として人気になるのです。
各国中央銀行の売買動向
世界各国の中央銀行は、万が一のリスクに備えて大量の金を保有しており、その売買動向は金価格に大きな影響を及ぼします。特に米リーマンショック以降は、米ドルに対する信頼が揺らぎ、中央銀行における金取引は2010年に売り手から買い手に変わっています。また、最近では新興国の中央銀行も率先して金の購入をしていることもその理由にあげられるでしょう。
金はリスク回避の資産としておすすめ
金は通貨と異なり、そのものに価値があります。そのため、株や債券などの破綻リスクを考えた場合には、金を資産として運用しておけば、ある程度のリスクは回避できます。万が一に備えて金の購入を検討するのも良いでしょう。
まとめ
金の価値を決める上で、重要な情報となるのが「純度」です。純度について正しく知って、金資産やゴールドアクセサリーを購入しましょう。金は純度によって、異なる性質を持つもの。また将来的に売却を考える際にも、純度に関する情報が、きっと役立つと思います。