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貴金属とは?貴金属と金属の違い
資産価値や種類を知る前に貴金属とはなにかを理解しておくことが重要です。貴金属とはなにか「金属」との違いから解説します。
貴金属の本当の意味
「貴金属」とは世間において「高額で価値のある金属」という意味で知られていますが、正確には「イオン化傾向が低く、アルカリや酸に反応することが少ない安定性がある金属」です。
つまり、錆が発生しにくく、性質が変化しにくいものを指します。また、大量生産されていないレアメタルでもあります。
例えば、鉄は硬く非常に耐久性があるため工業では必須の金属ですが、酸化しやすいうえに大量産出されるため貴金属とは判断されません。
貴金属とは、主に以下の8種類です。
・金(Au)
・銀(Ag)
・プラチナ(Pt)
・パラジウム(Pd)
・ロジウム(Rh)
・ルテニウム(Ru)
・オスミウム(Os)
・イリジウム(Ir)
プラチナ族に属する6種類の金属を含めた合計8種類です。
時計やジュエリーは貴金属なのか
貴金属とは普段の生活では金や銀などの金属そのもののほか、使用する時計やアクセサリーなども指します。
貴金属は素材による分類であり商品カテゴリーではありませんが、貴金属を多用した時計や宝石は貴金属と呼んでもよいでしょう。
例えば、金18を大量に使い数十万円~数百万円もする高級時計は「高級貴金属」といえます。
貴金属と卑金属の違い
貴金属の対極にあるのが卑金属です。卑金属は貴金属と比較して変質しやすく(イオン化)、価値や用途があります。
例えば、広く産出される銅は一般的には貴金属とはみなされないものの、電子パーツや10円玉など幅広く使用されている金属です。
銅がこうした用途に使われるのは耐食性が高いからであり、貴金属と呼ぶための条件はクリアしているでしょう。実際に、金属加工においては銅が貴金属として使用されるケースもあります。
一方、貿易では銅が関税にかかわることから明確に卑金属に分類されます。つまり、銅は使用用途や場面によって「貴金属」として使用されたり、「卑金属」として使用されたりするのです。
知名度の高い3つの貴金属の種類
知名度が高く、身近な貴金属には金、銀、プラチナが挙げられます。ジュエリーを購入したり、投資をしたりなど身近な貴金属だといえるでしょう。ここでは、知名度が高い3種類の貴金属について特徴と用途を解説します。
金(Au)
古代エジプトで生成された金の飾りは現代でも輝きを失っていません。このことからも金は不変の性質を持つことで知られ、資産として取引されるだけではなく宝飾品としても広く使われています。
しかし、純金は耐久性に劣るため、ジュエリーに使用される金にはパラジウムや銅など別の金属と混ぜて合金(混合金属)を作ることが多いです。
金をメインにした合金には、「K18」のように金の含有率を示すマークが刻印されているため一目で判断が可能です。K18(18カラット)は、24カラット中18カラット、75%が金であることを意味します。
銀(Ag)
銀もジュエリーに広く使われる貴金属です。空気中で酸化しませんが、硫化して黒く変色するため、硫黄を含む温泉に入るときは銀のアクセサリーは外したほうがよいでしょう。
銀の純度は1000分の1で表され、純度95%の銀は「Sv950」もしくは「Ag950」と表記されます。
プラチナ(Pt)
金と銀ではない貴金属は「プラチナ族」といわれておりプラチナも当然プラチナ族のひとつです。ジュエリーの素材としてのイメージが強く店舗でもよく目にするでしょう。
純度は銀と同じく1000分の1で表され、純度95%のプラチナは「Pt950」と表します。
プラチナは希少金属で、金の年間生産量およそ3,000トンに対し、プラチナはおよそ200トンです。
その他5つの貴金属の種類
先に紹介した3種類の貴金属ほど知られていないですが、人々の生活を支えている5つの貴金属を紹介します。紹介する5つの貴金属はすべてプラチナと同じく「プラチナ族」に分類される金属です。
パラジウム(Pd)
パラジウムはなじみのない金属ですが、あらゆるところで使われています。
1800年頃に発見されたプラチナの採掘時に見つかった鉱石からロジウムとパラジウムが抽出されました。現在でもプラチナ採掘の際にパラジウムが産出されるため、金やプラチナよりも希少価値が高いです。
ロジウム(Rh)
ロジウムはパラジウムと一緒にプラチナ鉱石で見つかった貴金属です。そのため、パラジウムと同様に希少性が高く産出量も少ないことが特徴です。
ロジウムはその需要の高さから貴金属のなかでも価値が高く安定性がある貴金属で、金やプラチナを誘拐する「王水」と呼ばれる物質でもロジウムを溶かすことはできません。
ルテニウム(Ru)
ルテニウムもプラチナの副産物として産出され、1840年頃ロシアの研究者によって発見されました。
プラチナ鉱石に含まれるルテニウムの量は2%以下といわれ希少性があります。硬度、融点、沸点が高いことも特徴です。
オスミウム(Os)
貴金属の中で最も比重(22.59)が大きいことが特徴です。硬度と融点が高く、アルカリや酸にも強い貴金属です。
イリジウム(Ir)
イリジウムはすべての金属のなかで最も耐食性が高く、王水では溶けない金属のひとつです。また、非常に硬く、イリジウムとプラチナを混ぜると硬くて腐食しにくい合金ができます。
買取に適した貴金属の種類と資産価値
貴金属を持っている場合や購入を検討している場合、どの貴金属が買取をしてもらいやすいのか気になる方が多いでしょう。買取されやすい貴金属の種類と資産価値があるのかどうかを解説します。
買取に適した貴金属の種類
貴金属のなかでも特に買取に適した貴金属は次のとおりです。
・金
・銀
・プラチナ
・パラジウム
いずれも希少性が高いですが、入手は比較的容易で世界中の市場で大量に取引されています。今後貴金属を売買するのであれば、高価で入手が困難なものよりも買取に適した種類を見極めることが大切です。
貴金属の資産価値
金は古来より世界中から人気がある貴金属で、他にはない光沢や美しさは現代でも資産価値が高いです。
耐食性が高く輝きや美しさを保つことができるため、ジュエリーの材料として使われることも珍しくありません。金製品は食器や宝飾品に限らず、さまざまなアイテムで生産されてきました。
金や金製品は多くの投資家の注目を集める貴金属で、金は通貨や株式と違い、世界情勢が不安定になっても値下がりしにくいため「有事に強い資産」といわれています。
これから金融取引を始めようと思っている方は売買する資産として価値が安定している金を選ぶことをおすすめします。
まとめ
指輪やネックレスなど貴重な貴金属がどれだけ使われているかはなかなかわかりにくいものです。メッキ加工された製品も多く出回っているため、見た目だけでは判断できないことも多いといえます。
貴金属の価値を正確に知りたい場合には、買取業者に鑑定してもらうことも検討しましょう。