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金の価値について

金の価値について

金は紀元前から人々に利用され、時代によってその価値を変化させていきました。今回はそんな金の価値についてご紹介していきます。

プラチナより金か高い

一時期、プラチナは金の2倍ほどの価格で取り扱われていました。そのため、プラチナの価値は金よりも高いと思われている方が今でも多くいらっしゃるかと思います。しかし、2022年現在の金の価格は8,528円、プラチナの価格は4,858円(1グラム当たり)と金の価値はプラチナよりも高くなっています。

プラチナと金の違い

この2つには用途の違いがあります。金は資産や宝飾用として、プラチナは宝飾用の他に工業用として使用されることが一般的です。この用途の違いが価値の逆転現象の原因です。投資目的や着飾る目的で使用されているので金はなかなか下がりにくく、世界経済が安定性を欠いた場合などには逆に上がりやすくなるという傾向があります。それに引き換え、プラチナは工業用・産業用として使用されるため、景気の低迷などにより商品の開発の鈍化や買い控えなどが起きた際にその影響をはっきりと受けます。世界経済の低迷に伴い、明確に価値を落としたプラチナに引き換え、金は投資価値からそこまで大きく落とすことはありませんでした。このそれぞれの用途の違いが現在の価値の違いにつながっていると考えられます。

金(ゴールド)とは

学生時代に習った元素記号を覚えていますか?金は元素記号でいうとAu、原子番号79の金属元素です。ちなみにAuはラテン語で「光るもの」、英語のGOLDはサンスクリット語で「輝く」という意味を持つ言葉に起源があるとされています。金にはその輝き以外にも優れた性質がいくつもあります。まず挙げられるのが、展延性です。手にするとずっしりと重量感のある金属ですが、とても柔らかいため、形を変えて加工しやすいという特徴があります。

金は金属のなかで最も薄く延ばせる金属です。たとえば、純金箔と呼ばれる金箔は純金を金槌で叩いてごくごく薄く延ばして作られます。ただし、金の展延性はアクセサリーなどに金を加工する際にはデメリットになるといえるでしょう。そこで、他の金属と混ぜて純度を下げることで加工しやすくします。金は純度によって用途が異なるのです。

さらに、金の持つ性質として挙げられるのが、熱伝導性、電気伝導性、耐食性などがあります。金は持ったときはひんやりした感触ですが、持ち続けているとすぐに温まってきます。この性質は、金が本物かどうかを見分けるポイントでもあるのです。電気伝導性に優れている性質は、工業用品や医療機器の部品にも活かされています。耐食性とは、酸化しにくい性質のこと。つまり、年月が経過しても退色・腐食しにくいのです。この性質があるからこそ、金は永遠の輝きを持つといわれるのですね。

以上のような性質は他の金属にはありません。また、金の地中の埋蔵量には限りがあることも、金の希少価値を高めています。中世には、卑金属から金を造り出す、今では荒唐無稽と思われる錬金術が真剣に研究されていました。それほどまでに金は昔から人々を魅了し、求められてきたのです。

川と山からも金!

金には川から採れる砂金(川金)と山から採れる山金の2種類があります。砂金は、金鉱脈からはがれ落ちたものが川底にたまったものをさらって採取。山金は、「浅熱水性金銀鉱床」と呼ばれる鉱脈から採掘されます。マグマの中から溶け出した鉱物や元素が含まれた熱水が岩石の割れ目を通過し、その後温度や圧力が低下することで、鉱物や元素が結晶化して岩石に付着します。この結晶が金や銀です。

19世紀にはアメリカやオーストラリアで金鉱が発見され、多くの人が文字通り一攫千金を目指して採掘地へと詰めかけました。これがいわゆる「ゴールドラッシュ」です。最も有名なゴールドラッシュはアメリカで1848年に起こりました。全米だけでなく、世界中から金を求める人々が殺到し、辺鄙な一地方に過ぎなかったカリフォルニアの人口は数年で一気に15倍以上にふくれ上がったといわれています。

日本ではかつて、東北や新潟で多く金が採れる時代がありました。現在ではほとんどの金山は閉山し、いまだに稼働中の金山は鹿児島県の菱刈鉱山を残すのみです。菱刈金山では現在でも年間6トンのペースで高品位の金を産出し、商業ベースで操業が行われています。

紀元前

金は紀元前3000年代に使われ始めた。最古の金属貨幣は紀元前7 - 6世紀(紀元前670年頃)にリディアでアリュアッテス2世王により造られたエレクトロン貨で、天然の金銀合金に動物や人物を打刻している。金は中国で商時代に已に装飾品として使われ、春秋戦国時代には貨幣や象嵌材料として使用された。古代エジプトのヒエログリフでは、紀元前2600年頃から金についての記述が見られる。ミタンニの王トゥシュラッタが、通常は粒として請求をしている。エジプトとヌビアは、史上でも有数の金産出地域である。『旧約聖書』でも、金について多く触れられている。黒海の南西部は、金の産出地として名高い。金を利用した物としては、ミダスの時代にまで遡ると言われている[誰によって?]。この金は、前述のリディアでの世界で初めての貨幣成立(エレクトロン貨)に大きく影響を及ぼしたと言われている。

宝飾品として

金は精製を必要としない形で産出され、かつ加工性の良い金属のため、紀元前3000年頃から青銅と共に使われてきました。人類にとって鉄よりも長い歴史を持つと言いますから驚きです。扱いやすさ・耐久性が高い万能の金属である反面、非常に希少な金属です。それゆえ、金は王族を中心とした一部の上流階級の権威の象徴として身に着けられたり、贈答品として加工される機会が多かった様です。紀元前1300年頃に作られた古代エジプト文明の、ツタンカーメン王の黄金のマスクが有名ですね。

日本にも中国の魏の国から邪馬台国の卑弥呼が賜った金印や、漢の洪武帝から奴の国に贈られた漢委奴國王 (かんのわのなのこくおう) の金印があります。その後、長い時を経て、主にヨーロッパ圏の貴族社会を中心に加工法や精製法が確立されていきました。そのため、現在私達が身に着けているジュエリーやアクセサリーの基礎は、フランスやイギリスを中心としたヨーロッパ圏にあります。

貨幣として

金はその希少性と万能性から世界中で価値が認められ、人々にとって最も信頼できる価値を持つ金属として扱われました。「この品物なら金○分の1と交換」「この労働は金○分の1の働き」といった感じで、金は価値判断の中心に考えられていきます。金製の硬貨すなわち金貨の誕生です。金製の硬貨であれば万が一国が無くなってしまっても、金と必要な物品を交換すれば移民先の地域で生活ができます。この様な利点や腐食しにくい特性から、紀元前670年頃には既に金を使用したエレクトロン貨という貨幣使われるまでになりました。

やがて金への信頼性は個人に留まらず、金の保有率 = 安定した国家という図式が生み出されます。近代になるとこの考え方は更に強まり、1800年代からロシア、イギリス、アメリカなどで多くの金貨が発行され、国際通貨となりました。しかし、金は希少金属ですので、戦争や恐慌などで多くの人々が同時に金貨を求めると流通システムが上手く機能しなくなるため、金貨を用いた貨幣制度は廃止されました。現在では、金は国際リアルタイム相場によって価値付けされる世界各国の第二の貨幣となっています。

価値

金は様々な要因で価格が変動すると思われていますが、実はそうでもありません。長期的な金価格の推移を調べると、基本的に金価格を決める要因はひとつしかありません。それはインフレ(物価上昇)の度合いです。金価格には、通貨の価値が下がる(つまりインフレになる)と上昇し、通貨の価値が上がる(デフレになる)と下落するという明確な特徴が見られます。通貨の価値は国によって異なりますが、現代の基軸通貨はドルですから、基本的にドルの価値が下がると金価格が上がり、ドルの価値が上がると金価格が下がります。

戦後、金価格が異常に高騰したのは1980年と2011年の2回だけです。1970年代後半から米国は深刻なスタグフレーション(不景気であるにもかかわらず物価が上昇すること)に悩まされ、それに伴って金価格も上昇し、1980年にピークとなりました。その後、インフレが収まったことから金価格は暴落しました。2011年の高騰は、リーマンショックが発生し、その対策として大量の資金供給が行われるとの見方(結果的にマネーのバラマキは量的緩和策という形で実施されました)が台頭したことが主な要因でした。しかし、米国の景気がすぐに回復し、ドルに対する信認が復活したことから、価格はやはり下落に転じています。

そして、今回、9年ぶりに再び金価格が上昇することになったわけです。歴史を見れば分かるように、金価格はインフレが懸念されると上昇するわけですから、今回もインフレ懸念が背景にあると考えるのが自然です。問題は市場にインフレ懸念が発生している理由ですが、これはコロナ対策による国債の大増発である可能性が高いでしょう。

需要と供給

金の相場は需要と供給のバランスによって価格が変化します。もともとは装飾品や資産目的で所有されることが多かった金ですが、近年は精密機械などの素材として利用されることが増え、金の需要が高まりました。さらに、需要が高まったことで金が投資の対象になり取引が活発に行われることで、現在の需要と供給のバランスは需要が上回り、金相場が上昇しています。反対に、金の流通量に比べ金の需要が減れば、金相場は下落します。

金の過去最高価格

日本での金の最高価格はいくらなのでしょうか。近年の金価格は右肩上がりで上昇しており、2020年8月7日には7,769円/1gとなったことで、1980年1月の6,945円/1g以来40年ぶりに最高値を更新しました。もともと好調だった金価格でしたが、2020年と2019年の年間最高価格を比べると約2000円も値を上げています。これは2020年に新型コロナウイルス感染症の流行で経済への不安が募り、世界情勢が不安定になったことが影響しています。いわゆる「有事の金」で金の価格が急激に上がったのです。その後も金価格は高い水準で保たれ、2022年2月25日に7,827円/1gとなり、日本における金価格の過去最高値を更新しました。(2022年2月25日現在)

これはロシアによるウクライナ侵攻で国際的な緊張が高まり、安全資産である金の需要が増加したことが影響しています。また、2020年の最高値更新までは1980年1月の6,945円/1gがこれまでの金相場の最高価格だったと述べましたが、これはイラン革命が起こり原油価格高騰、ソ連のアフガニスタン侵攻、アメリカとソ連の対立などの非常事態が多数重なった影響での金価格の上昇でした。しかし、その4か月後の5月にはその年の最低価格3,645円/1gとなりました。アメリカとソ連の対立が緩和されたことで情勢が安定し、その後2000年までの20年間金価格は低迷を続けました。なお、日本の金価格の過去最低値は、1980年から2000年まで続いた低迷期の最中であった1998年の865円/1gです。

ゴールド金貨について

世界には様々な種類の金貨が存在します。金貨には大きく分けて通貨型金貨、地金型金貨、収集型金貨などがあります。金貨をアクセサリー類に利用したり、収集しているコレクターなども存在します。金貨の中でも最も信頼の高い、カナダの国旗にも描かれているカエデの葉が印象的な「メイプルリーフ金貨」はとても有名ですね。メイプルリーフ金貨は純度99.99%で、カナダ中央政府が保証する通貨。

金/ゴールド/Au

主に宝飾品としてK18(750/1000)の品位が使われています。イエローゴールド(YG)とホワイトゴールド(WG)は定番の貴金属です。パラジウムやニッケルなどの割り金で色を変えることができ、イエロー、ホワイト、ピンク、ローズ、グリーンとバリエーションも豊富です。

白金/プラチナ/Pt

日本では通称白金(はっきん)ですが、プラチナと呼ぶのが一般的です。欧米のブライダルジュエリーで人気なのは金ですが、日本ではプラチナの方が人気が高い。純プラチナは軟らかいので、パラジウムなどの割り金で品位の調整をしています。

銀/シルバー/Ag

シルバーはカジュアルに好まれている貴金属。硫化により黒く変色してしまうのが難点ですが、磨き直しもできます。宝飾品は925の品位が多い。925の中でも銅のみを混ぜた合金であるスターリングシルバーは時効硬化に優れています。

パラジウム/Pd

白金族に属する白色金属。貴金属として宝飾品にも使われており、プラチナ850~950やホワイトゴールドの割り金として利用されています。造幣局の貴金属品位証明制度において、金、プラチナ、銀の品位検定は行われていますが、パラジウムの品位検定は行っていません。

日本の金相場価値

・1871年

67銭 日本でも金本位制が採用されて、明治政府が純金を「1.5g=1円」とする。

 

・1914年

1円34銭 世界中に金本位制が広がったが、第1次世界大戦によって各国が廃止とする。

 

・1919年

1円36銭 米国が金本位制を復活させて、各国も再び金本位制を採用し始める。

 

・1929年

1円39銭 世界大恐慌によって金本位制が機能しなくなる。ほとんどの国が金本位制を放棄し、米国も1933年3月に金本位制を放棄する。

 

・1944年

4円80銭 米国は米ドルを基軸通貨にするために「1oz=35ドル」と定める。さらに各国の通貨と交換比率を定めたブレトンウッズ体制が採用されて、固定相場制となる。

 

・1971年

24円91銭 米ドルの発行額が金地金の量を上回ったため、1971年8月に「1oz=775円」の比率による交換をやめる。

 

・1973年

690円 為替レートが2月に固定相場制から変動相場制に変更したため、金価格も変動相場制となり、金本位制が終了する。

 

・1980年

4499円 1月に史上最高値である「1g=6495円」を付けたあと、5月に年間最安値の3645円となる。4カ月で3000円以上の下落幅を記録する。

 

・1983年

3296円 OPECが石油価格を大幅値下げし、この年から金価格の下降トレンドが始まる。最高値3975円から最安値2895円まで変動する。

 

・1989年

1776円 1985年のプラザ合意、1987年のブラックマンデーを乗り越え、日経平均株価が3万8957円となり、純金へ流れる投資マネーが激減する。

 

・1991年

1657円 バブル崩壊後も金価格は一貫して下がり続ける。

 

・1997年

1403円 7月にアジア通貨危機、11月に山一證券と北海道拓殖銀行銀行の破綻するなど不況が続くも、金価格は下がる。

 

・1999年

1122円 米国が好景気のために資金が米ドルに流れて、1999年9月に「1g=962円」という変動相場制以降の最安値で大底を迎える。

 

・2000年

1064円 世界がミレニアムを迎えた節目の2000年。株や為替が盛り上がりを見せて、資金が純金から離れたため、年間平均では最安値を付ける。

 

・2001年

1160円 ITバブル崩壊と米国景気後退で、世界経済は悪化する。9月に米国同時多発テロが発生し、安全資産である純金に資金が流れ始める。

 

・2002年

1360円 米国経済が回復し始める。

 

・2003年

1399円 下落基調が続いていた金価格は、アメリカのイラク攻撃などによる有事の影響で上昇トレンドへと移り変わる。

 

・2004年

1559円 国内は景気回復が続く。

 

・2005年

1544円 国内は景気回復が続いたため、純金から株や為替に資金が流れる。

 

・2006年

2131円 北朝鮮によるミサイル発射やイスラエル軍のレバノン侵攻といった度重なる有事で、安定力のある純金に資金が集まる。

 

・2007年

2552円 同年9月にサブプライムローン問題が発覚して、株高がストップ。資金は高利回りの投資商品から純金に流れて、金価格が上昇していく。

 

・2008年

3226円 2000年から8年で4倍以上に迫る。ただ、9月のリーマンショックの影響で現金確保が急務となり、純金が売却されて金価格が一時的に下がる。

 

・2009年

2728円 世界同時不況の最悪期から脱しても2番底が懸念され、株価、為替、石油に不安定さが抜けない。そのため、純金に投機マネーが集中し始める。

 

・2010年

3471円 中国やインドの金需要が高まると同時に、米ドルやユーロの通貨不振、株取引などの低迷から、安全資産である純金への買いが集中する。

 

・2011年

3931円 リーマンショックによる世界同時不況から3年、各国の景況感に差が出る。欧州は危機的状況でそのことから金価格も堅調に推移する。

 

・2012年

4179円 欧州は不透明感が続くが、年末には米国を中心に緩やかな景気回復にシフト。高騰した金価格も落ち着きを見せる。

 

・2013年

4962円 世界的には株や為替に資金が流れたために、海外金価格は下落トレンドとなる。一方、国内金価格は円安の影響で大幅に上昇する。

 

・2014年

4396円 中国や新興国経済の好調でマネーは株に集中するが、急激な円安のために国内金価格は年度末に5000円を突破する。

 

・2015年

5003円 米国経済が好調で純金より株が人気、中国は景気減速で純金を買い控える。海外金価格は下落し続けて、国内金価格も影響を受ける。

 

・2016年

4494円 海外金価格は堅調に推移するも、為替が「1ドル=120円」から110円などの円高になり、相対的に国内金価格が下がっていく。

 

・2017年

4779円 景気は緩やかな回復傾向。金余りもあって金価格も上昇する。

 

・2018年

5171円 引き続き、景気は緩やかな回復傾向。ただし、世界経済は不確定要素が強まって、資金が純金に流れる。

 

・2019年

4880円 株価が高止まりするも資金は戻らず、円高によって国内金価格は少し値を下げる。

 

・2020年

6013円 米国と中国の貿易戦争で純金を買い求める動きが強まる。さらに新型コロナウイルスの感染拡大で「1g=7769円」となり、40年ぶりに歴代最高値を更新する。

 

・2021年

6904円 新型コロナウイルスの感染拡大が止まらず「1g=7000円」前後を維持する。また自動車需要の減少と電気自動車へのシフトでプラチナ需要が減り、純金よりプラチナ価格のほうが下回る。

 

購入する純金を米ドルで買う場合はドル建て金価格、日本円で買うときは円建て金価格を見ます。ドル建て金価格は「1トロイオンス=31.1035g」あたりであり、1gあたりではないことには注意しましょう。ドル建てがある理由は、2国間で取引されるときに「通貨の単位」と「重さの単位」をどれか1つに決める必要があるからです。その際はニューヨーク金先物相場で使用されているドル建て金価格が適用されます。

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